経審の評点と決算書の対応表|X・Y・Zの数字はどの様式のどの科目から取るか
完成工事高(X1)、自己資本額・利払前税引前償却前利益(X2)、経営状況の8指標(Y)、技術職員数(Z)が、貸借対照表(様式第15号)・損益計算書(様式第16号)・工事経歴書(様式第2号)などのどの科目や欄を元にするかを、国土交通省の事務取扱通知と関東地方整備局の手引きから1枚にまとめます。
国土交通省の通知・関東地方整備局の手引き経営事項審査(経審)の点数は、申請書に書く数字から決まります。その数字の多くは、決算書(貸借対照表・損益計算書)と工事経歴書の科目や欄から取ります。どの評点にどの科目が効くかが分かると、次の決算でどこを見ればよいかが決まります。
この記事では、国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて(通知)」の算定方法と、関東地方整備局「経営事項審査の手引き」の提出書類一覧から、確認できた対応だけを表にしました。各評点の詳しい算式は、表から個別の記事へ進めます。
決算書の様式と経審の評点の関係
手引きの提出書類一覧では、評点の元になる書類として、工事経歴書(様式第2号)、直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)、貸借対照表(様式第15号)、損益計算書(様式第16号)が挙がっています。通知は、審査に用いる額を原則として千円単位で表示した額とし、会社法上の大会社が百万円単位で表示した場合は百万円未満を0として計算するとしています。
数字をいつの時点・期間で見るかは経審の審査基準日で整理しています。
X1・X2:完成工事高・自己資本額・利益額
| 評点 | 元になる数字 | 決算書・書類 |
|---|---|---|
| X1(完成工事高) | 審査対象建設業の種類別年間平均完成工事高(当期事業年度開始日の直前2年又は直前3年) | 工事経歴書(様式第2号)、直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号) |
| Z2(元請完成工事高) | 発注者から直接請け負った完成工事高の種類別年間平均。完成工事高で2年・3年のどちらを選んだかに合わせる | 同上 |
| X2(自己資本額) | 審査基準日の決算の純資産合計の額、又は基準決算とその直前の審査基準日における自己資本の額の平均。0円に満たなければ0円 | 貸借対照表(様式第15号) |
| X2(利益額) | 営業利益に減価償却実施額を加えた利払前税引前償却前利益の、審査対象年と前審査対象年の各事業年度の平均。0円に満たなければ0円 | 損益計算書(様式第16号) |
通知は、減価償却実施額を、未成工事支出金・販売費及び一般管理費・完成工事原価・兼業事業売上原価に係る減価償却費その他減価償却費として費用を計上した額と定めています。営業利益だけでなく、完成工事原価に含めた減価償却費も足し戻す点が、損益計算書の科目を見るときの注意点です。
各評点の中身は、X1:完成工事高の評点、X2:自己資本額と利益額、Z2:元請完成工事高、完成工事高の2年平均・3年平均の選び方で確認できます。
Y:経営状況の8指標と元になる科目
通知の「経営状況について」は、Yの指標ごとに、どの科目をどの期間の数字で使うかを定めています。次の表は、そのうち算式の部品が決算書の科目として書かれている7指標を整理したものです。
| 指標 | 損益計算書の科目 | 貸借対照表の科目 |
|---|---|---|
| 純支払利息比率 | 支払利息、受取利息配当金、売上高(完成工事高+兼業事業売上高) | なし |
| 負債回転期間 | 売上高(12で除して1月当たりにする) | 流動負債、固定負債 |
| 総資本売上総利益率 | 売上総利益 | 負債純資産合計(基準決算とその直前の審査基準日の平均) |
| 売上高経常利益率 | 経常利益、売上高 | なし |
| 自己資本対固定資産比率 | なし | 自己資本の額(純資産合計)、固定資産 |
| 自己資本比率 | なし | 自己資本の額、負債純資産合計 |
| 営業キャッシュフロー | 経常利益、減価償却実施額、法人税・住民税及び事業税 | 貸倒引当金、受取手形・完成工事未収入金、支払手形・工事未払金、未成工事支出金・材料貯蔵品、未成工事受入金(いずれも基準決算とその直前の審査基準日の増減) |
残る1指標の利益剰余金については、利益剰余金の記事で扱っています。
通知には、売上高は完成工事高と兼業事業売上高の合計、純支払利息は支払利息から受取利息配当金を引いた額、売掛債権の額は受取手形と完成工事未収入金の合計(電子記録債権は受取手形に含む)、仕入債務の額は支払手形と工事未払金の合計(電子記録債務は支払手形に含む)、棚卸資産の額は未成工事支出金と材料貯蔵品の合計、と書かれています。
上限・下限は、たとえば純支払利息比率が5.1%を超えれば5.1%、マイナス0.3%に満たなければマイナス0.3%とみなされます。売上高経常利益率は5.1%とマイナス8.5%、負債回転期間は18.0と0.9です。決算書の数字がこの幅を超えると、それ以上は評点に反映されません。
指標ごとの算式と評点への効き方は、純支払利息比率、負債回転期間、総資本売上総利益率、売上高経常利益率、自己資本対固定資産比率、自己資本比率、営業キャッシュフローに分けています。全体像はY点(経営状況)で見られます。
Z:技術職員数の数え方
技術職員は決算書ではなく、審査基準日に常時雇用されている技術者の資格で数えます。通知は、資格の区分ごとに次の数を掛けて合計した技術職員数値を、建設業の種類ごとに求めると定めています。
| 区分 | 掛ける数 |
|---|---|
| 一級技術者で監理技術者資格者証の交付を受け、講習も受講した者(一級監理受講者) | 6 |
| 上記以外の一級技術者 | 5 |
| 監理技術者補佐 | 4 |
| 基幹技能者・レベル4技能者(上の区分に当たらない者) | 3 |
| 二級技術者 | 2 |
| その他の技術者 | 1 |
一人の職員が技術職員として申請できる建設業の種類は2までです。資格ごとの数え方は技術職員数値の計算で確認できます。社会性等(W点)の各項目は決算書の科目ではなく、制度への加入や認定の状況で判定されるため、この表の対象外です。W点(社会性等)の記事で見られます。
決算書を見るときの注意
- 次の審査基準日(決算日)の貸借対照表で、表の科目の金額を確認する。
- 損益計算書で、売上高・売上総利益・経常利益・支払利息・減価償却費を確認する。
- 経審P点シミュレーターに近い数字を入れ、評点の動きを試算する。
確認した一次資料
- 国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて(通知)」1 経営規模について、2 技術職員の数について、5 経営状況について
- 関東地方整備局「経営事項審査の手引き」別添資料(令和8年7月改正版)提出書類一覧(工事経歴書・工事施工金額・貸借対照表・損益計算書)
本記事は通知と手引きの一般的な整理です。申請に必要な書類や科目の扱いは申請先の審査行政庁の手引きで確認してください。正式な評点は審査結果が優先されます。
まとめ
- 完成工事高は工事経歴書(様式第2号)と工事施工金額(様式第3号)、自己資本額は貸借対照表(様式第15号)、利益額は損益計算書(様式第16号)が元になる。
- 利益額は営業利益に減価償却実施額を足した額で、完成工事原価に含めた減価償却費も対象になる。
- Yの指標は、損益計算書と貸借対照表の科目から算定し、指標ごとに上限・下限がある。
- 技術職員は決算書ではなく資格の区分で数え、一級監理受講者は6、その他の技術者は1を掛けて合計する。
自社の数値でどう変わるかは経審P点シミュレーターで試算できます。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。
よくある質問
- 経審の自己資本額は決算書のどこから取りますか?
- 通知は、審査基準日の決算における純資産合計の額、又は基準決算とその直前の審査基準日における自己資本の額の平均の額と定めています。手引きの提出書類一覧では貸借対照表(様式第15号)が根拠書類で、自己資本の額が0円に満たない場合は0円とみなします。
- 経審の利益額(利払前税引前償却前利益)はどう計算しますか?
- 通知は、営業利益の額に減価償却実施額を加えた額と定めています。減価償却実施額には、完成工事原価・販売費及び一般管理費・未成工事支出金・兼業事業売上原価に係る減価償却費が含まれます。審査対象年と前審査対象年の各事業年度の平均で見ます。
- Y点の営業キャッシュフローには、貸借対照表のどの科目を使いますか?
- 通知では、貸倒引当金、受取手形と完成工事未収入金の合計、支払手形と工事未払金の合計、未成工事支出金と材料貯蔵品の合計、未成工事受入金を使い、基準決算とその直前の審査基準日の増減額を加減すると定めています。電子記録債権は受取手形に、電子記録債務は支払手形に含めます。
- 経審の売上高には兼業事業売上高も含みますか?
- 通知は、純支払利息比率・負債回転期間・売上高経常利益率で使う売上高を、審査対象事業年度における完成工事高と兼業事業売上高の合計と定めています。
- 技術職員数は決算書から求めますか?
- 決算書ではなく、審査基準日に常時雇用されている技術者の資格区分で数えます。通知は、一級監理受講者に6、その他の一級技術者に5、監理技術者補佐に4、基幹技能者・レベル4技能者に3、二級技術者に2、その他の技術者に1を掛けた合計としています。
公開日: 2026-10-06
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専門書で詳しく確認したい場合
広告下記書籍の紹介による報酬の有無は、記事の内容に影響しません。制度の背景や申請実務を書籍でまとめて確認したい方向けです。
本ツールは事業者ご自身が入力・利用する試算です(申請の代行・作成支援は行っていません)。個別のご相談は承っておりません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。数値は概算であり、実際の申請前に専門家へご確認ください。算定方法・出典・免責

