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経審Y点「純支払利息比率」の計算|売上高・支払利息と評点への影響

(支払利息-受取利息配当金)÷売上高で求める、Y評点の8指標でもっとも寄与度が大きい指標です。算式・売上高の範囲・上限下限と、1ポイントの差が評点に与える影響を実測で示します。

国土交通省の通知・手引き
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

経審(経営事項審査)のY評点(経営状況)は8つの財務指標から求めます。そのうち「純支払利息比率」は、関東地方整備局の手引きが示すY評点への寄与度が29.9%で、8指標の中でもっとも大きい指標です。手引きの表では「Ⅹ1」と表記されますが、P点を構成するX1(完成工事高の評点)とは別のものです。この記事では、算式、売上高の範囲、上限・下限、評点への影響を国土交通省の通知と手引きにもとづいて整理します。

純支払利息比率の算式

純支払利息比率は、実質的な利息の負担が売上高のどれだけを占めるかを百分比で表した指標です。手引きの表4は算式を次のように示しています。

純支払利息比率(%)=(支払利息-受取利息配当金)÷売上高×100

通知は、売上高を「審査対象事業年度における完成工事高及び兼業事業売上高の合計の額」、純支払利息を「審査対象事業年度における支払利息から受取利息配当金を控除した額」と定めています。どちらも審査対象事業年度の1期分の金額だけで求め、総資本を2期平均にする総資本売上総利益率や、2期分を平均する営業キャッシュフローのような平均は取りません。

出典: 国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて」(通知)「5 経営状況について(告示第一の二関係)」(1)純支払利息比率について、および関東地方整備局「経営事項審査の手引き」別添資料(令和8年7月改正版)表4より

決算書の金額から求める手順

売上高の分母に兼業事業売上高が入る点が、実務で見落とされやすい部分です。次の金額を例に、算式へ当てはめます(金額はこの記事の説明用に置いたもので、実在の会社のものではありません)。

純支払利息比率の計算例(単位:万円)
項目金額計算
完成工事高29,600万円売上高は完成工事高と兼業事業売上高の合計で32,000万円
兼業事業売上高2,400万円
売上高32,000万円
支払利息810万円810万円-170万円=640万円
受取利息配当金170万円
純支払利息640万円
純支払利息比率2.0%640万円÷32,000万円×100=2.0%

この2.0%は、Y点(経営状況)とはの計算例と同じ値です。ほかの7指標をその計算例(負債回転期間5.0ヵ月など)のままにすると、本サイトのエンジンの実測でY評点は588点になります。

分母の売上高は、P点のX1(完成工事高評点)で使う年間平均完成工事高とは別の数字です。X1評点側の完成工事高の数え方はX1(完成工事高)の解説で整理しています。

上限・下限(-0.3%〜5.1%)

通知は、算出した数値に上限と下限を定めています。純支払利息比率が5.1%を超える場合は5.1%と、マイナス0.3%に満たない場合はマイナス0.3%とみなされます

受取利息配当金が支払利息を上回れば、算式の上では純支払利息がマイナスになります。その場合も評点に効くのはマイナス0.3%までで、それ以上は下がっても評点は変わりません。

この数値はY評点の8指標一覧の「上限値5.1・下限値-0.3」に対応しています。

1ポイントの差が評点に与える影響(実測)

純支払利息比率の係数は、経営状況点数(A)の算式でマイナス0.4650です。比率が1ポイント大きくなるとAが0.4650小さくなり、Aは167.3倍されてY評点になります。

次の表は、他の7指標をY点の計算例のまま据え置き、純支払利息比率だけを動かしたときの実測です。P点は、モデルケース(完成工事高3億円・技術職員6名など)のYだけを8指標モードに差し替えて求めました。

純支払利息比率だけを動かしたときのY評点とP点(エンジン実測)
純支払利息比率経営状況点数(A)Y評点モデルケースのP点
-0.3%(下限)1.10767点733点
0.0%0.96744点728点
1.0%0.49665点712点
2.0%0.03588点697点
3.0%-0.44509点681点
4.0%-0.90432点666点
5.1%(上限)-1.41347点649点

純支払利息比率だけで、Y評点は下限側の767点から上限側の347点まで420点、P点は733点から649点まで84点動きます。1ポイントあたりでは、Y評点でおよそ77〜79点、P点でおよそ15〜16点の差です。P点への差が小さくなるのは、P点でYに掛かる重みが0.20だからです。

上限・下限の外側の値を入れても、評点は上限・下限のところで止まります。エンジンでは-1.0%を入れても-0.3%と同じ767点、8.0%を入れても5.1%と同じ347点です。

この表は算式の感度を示す試算で、正式な評点ではありません。Y評点は登録経営状況分析機関の分析結果通知書の値が優先されます。借入や資金繰りの進め方を助言するものではありません。

事業年度が12か月に満たない場合

通知は、事業年度の変更で審査対象年の間に開始する事業年度の月数が12か月に満たない場合のほか、組織変更の登記を行った場合、他の建設業者を吸収合併した場合などについて、売上高の額と純支払利息の額を年間平均完成工事高の算定の要領で求めると定めています。

この場合を除き、審査対象年の間に開始する事業年度の月数が12か月に満たないときは、負債抵抗力の2指標(純支払利息比率と負債回転期間)は最大値をとるものとして算定すると定められています。通知は「最大値」とだけ書いており、純支払利息比率では上限の5.1%を指すと読めます。

設立初年度などの個別の当てはめは、審査行政庁の最新の取扱いで確認してください。この記事は通知の規定を紹介するもので、個別の事案の判断や相談は受け付けていません。

まとめ

  1. 純支払利息比率は、(支払利息-受取利息配当金)÷売上高×100。売上高は完成工事高と兼業事業売上高の合計で、審査対象事業年度の1期分で求める。
  2. 5.1%を超えれば5.1%、マイナス0.3%に満たなければマイナス0.3%とみなされる。
  3. 寄与度は手引き表4で29.9%と、8指標の中で最大。他の7指標を据え置いた実測では、1ポイントの差はY評点でおよそ77〜79点、P点でおよそ15〜16点。
  4. 事業年度が12か月に満たない場合は、通知に別の算定の定めがある。

Y評点全体の8指標と2段階の計算方法は経審のY点(経営状況)とはで解説しています。自社の数値でP点全体を試算するには経審P点シミュレーターが使えます。

8指標のうち算定がもっとも複雑な営業キャッシュフローは経審Y点「営業キャッシュフロー」の算定式、Y評点を算出する機関の違いは登録経営状況分析機関の選び方で整理しています。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

経審の純支払利息比率はどうやって計算しますか?
(支払利息-受取利息配当金)÷売上高×100で求めます。売上高は審査対象事業年度の完成工事高と兼業事業売上高の合計、純支払利息は同じ事業年度の支払利息から受取利息配当金を差し引いた額です(国土交通省の通知)。
純支払利息比率の売上高は完成工事高だけですか?
いいえ。通知は売上高を、審査対象事業年度における完成工事高と兼業事業売上高の合計の額と定めています。兼業事業の売上がある場合は分母に含めます。
受取利息配当金が支払利息より多いとどうなりますか?
算式の上では純支払利息がマイナスになります。ただしマイナス0.3%に満たない場合はマイナス0.3%とみなされるため、評点に効くのはマイナス0.3%までです。
純支払利息比率の上限と下限はいくつですか?
上限は5.1%、下限はマイナス0.3%です。5.1%を超える場合は5.1%、マイナス0.3%に満たない場合はマイナス0.3%とみなして評点を計算します(通知、手引き表4)。
純支払利息比率が1ポイント違うと、点数はどのくらい変わりますか?
他の7指標をY点の計算例に据え置いた本サイトのエンジン実測では、Y評点でおよそ77〜79点、モデルケースのP点でおよそ15〜16点の差です。下限-0.3%と上限5.1%の間ではY評点が420点、P点が84点動きます。
事業年度が12か月に満たない場合、純支払利息比率はどう扱われますか?
事業年度の変更で12か月に満たない場合のほか、組織変更の登記・吸収合併などの場合は、年間平均完成工事高の算定の要領で求めます。それ以外で12か月に満たないときは、この指標は最大値をとるものとして算定すると通知が定めており、上限の5.1%を指すと読めます。個別の当てはめは審査行政庁の取扱いで確認してください。

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