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経審Y点「売上高経常利益率」の計算|経常利益・事業主利益の読み替えと評点への影響

経常利益÷売上高×100で求める、Y評点の8指標のうちの1つ(寄与度5.7%)です。個人事業主の事業主利益への読み替えと、1ポイントの差が評点に与える影響を実測で示します。

国土交通省の通知・手引き
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

経審(経営事項審査)のY評点(経営状況)は8つの財務指標から求めます。そのうち「売上高経常利益率」は、関東地方整備局の手引きが示すY評点への寄与度が5.7%で、営業キャッシュフロー(同じく5.7%)と並び、もっとも寄与度が小さい利益剰余金(4.4%)に次いで小さい指標です。手引きの表では「Ⅹ4」と表記されます。個人事業主の場合は経常利益を事業主利益に読み替える点が特徴です。この記事では、算式、読み替え、上限・下限、評点への影響を国土交通省の通知にもとづいて整理します。

売上高経常利益率の算式

売上高経常利益率は、売上高に対してどれだけ経常利益を稼げているかを示す指標です。手引きの表4は算式を次のように示しています。

売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100

通知は、経常利益の額を審査対象事業年度における経常利益の額(個人である場合は事業主利益の額)と定めたうえで、売上高経常利益率をこの経常利益の額を売上高の額で除して得た数値と定めています。ここでの売上高は純支払利息比率と同じく、審査対象事業年度の完成工事高と兼業事業売上高の合計です。

出典: 国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて」(通知)「5 経営状況について(告示第一の二関係)」(4)売上高経常利益率について、および関東地方整備局「経営事項審査の手引き」別添資料(令和8年7月改正版)表4より

決算書の金額から求める手順

次の金額を例に、算式へ当てはめます(金額はこの記事の説明用に置いたもので、実在の会社のものではありません)。売上高32,000万円は、経審Y点「純支払利息比率」の計算の設例(完成工事高29,600万円+兼業事業売上高2,400万円)と同じ会社のものです。

売上高経常利益率の計算例(単位:万円)
項目金額計算
経常利益980万円売上高経常利益率は980万円÷32,000万円×100=3.06%
売上高32,000万円

経常利益は損益計算書の科目をそのまま使います(法人の場合)。個人事業主の場合は次章の読み替えが必要です。

個人事業主の事業主利益への読み替え

通知は、個人である場合の経常利益の額を「事業主利益の額」と読み替えると定めています。個人事業主の決算書(青色申告決算書等)には法人のような「経常利益」の科目がないため、事業主利益(所得金額に事業主給与・専従者給与等を加算した額に相当する概念)を代わりに使います。

事業主利益として計上できる範囲の実務的な当てはめ(青色申告決算書のどの行を使うか等)は、経営状況分析機関・審査行政庁の最新の取扱いで確認してください。この記事は通知の規定を紹介するもので、個別の事案の判断や税務・会計の相談は受け付けていません。

個人事業主向けの読み替えは、Y評点8指標のうち総資本売上総利益率(総資本売上総利益率の計算で解説)・利益剰余金の3指標に共通する規定です。

上限・下限(-8.5%〜5.1%)

通知は、算出した数値に上限と下限を定めています。売上高経常利益率が5.1%を超える場合は5.1%と、マイナス8.5%に満たない場合はマイナス8.5%とみなされます。

売上高経常利益率は数値が大きいほど(売上高に対して経常利益の割合が高いほど)評点に有利です。上限の5.1%がもっとも評点に有利な値、下限のマイナス8.5%がもっとも不利な値になります。

この数値はY評点の8指標一覧の「上限値5.1・下限値-8.5」に対応しています。

1ポイントの差が評点に与える影響(実測)

売上高経常利益率の係数は、経営状況点数(A)の算式でプラス0.0277です。売上高経常利益率が1ポイント大きくなるとAが0.0277大きくなり、Aは167.3倍されてY評点になります(0.0277×167.3≒4.6)。

次の表は、他の7指標をY点の計算例のまま据え置き、売上高経常利益率だけを動かしたときの実測です。P点は、モデルケース(完成工事高3億円・技術職員6名など)のYだけを8指標モードに差し替えて求めました。

売上高経常利益率だけを動かしたときのY評点とP点(エンジン実測)
売上高経常利益率経営状況点数(A)Y評点モデルケースのP点
-8.5%(下限)-0.29534点686点
-5.0%-0.19551点689点
-2.0%-0.11565点692点
0.0%-0.06573点694点
2.0%0.00583点696点
3.5%0.04590点697点
5.1%(上限)0.09598点699点

売上高経常利益率だけで、Y評点は下限側の534点から上限側の598点まで64点、P点は686点から699点まで13点動きます。1ポイントあたりでは、Y評点でおよそ4.6点前後、P点でおよそ0.9点前後の差です。前章の計算例(3.06%)は下限からおよそ11.6ポイント高い水準にあたります。

上限・下限の外側の値を入れても、評点は上限・下限のところで止まります。エンジンではマイナス15.0%を入れてもマイナス8.5%と同じ534点、8.0%を入れても5.1%と同じ598点です。

この表は算式の感度を示す試算で、正式な評点ではありません。Y評点は登録経営状況分析機関の分析結果通知書の値が優先されます。経費削減や利益計上の進め方を助言するものではありません。

事業年度が12か月に満たない場合

通知は、事業年度の変更、商業登記法の規定に基づく組織変更の登記、他の建設業者を吸収合併した場合などの特殊な事由があり、審査対象年の間に開始する事業年度の月数が12か月に満たないときについて、純支払利息比率で使う売上高・純支払利息の額、総資本売上総利益率の売上総利益の額、売上高経常利益率の経常利益の額、営業キャッシュフローの法人税等の額の5項目を、年間平均完成工事高の算定の要領で求めると定めています。売上高経常利益率の経常利益の額は、この5項目に含まれています。

この特殊な事由を除き、単に審査対象年の間に開始する事業年度の月数が12か月に満たないときは、純支払利息比率と負債回転期間の2項目は最大値を、それ以外の項目は最小値をとるものとして算定すると定められています。売上高経常利益率は「その他の項目」にあたり、数値が大きいほど有利な指標なので、この場合は最小値=下限側(マイナス8.5%)の不利な値で算定されることになります。

設立初年度などの個別の当てはめは、審査行政庁の最新の取扱いで確認してください。この記事は通知の規定を紹介するもので、個別の事案の判断や相談は受け付けていません。

まとめ

  1. 売上高経常利益率は、経常利益÷売上高×100。売上高は純支払利息比率と同じく完成工事高と兼業事業売上高の合計、経常利益は個人の場合は事業主利益と読み替える。
  2. 個人事業主向けの読み替えはY評点8指標のうち3指標(総資本売上総利益率・売上高経常利益率・利益剰余金)に共通する規定。
  3. 5.1%を超えれば5.1%、マイナス8.5%に満たなければマイナス8.5%とみなされる。数値が大きいほど評点に有利。
  4. 寄与度は手引き表4で5.7%。営業キャッシュフロー(同じく5.7%)と並び、8指標の中でもっとも寄与度が小さい利益剰余金(4.4%)に次いで小さい。実測では1ポイントの差はY評点でおよそ4.6点前後、P点でおよそ0.9点前後。
  5. 事業年度が12か月に満たない場合、特殊事由による年間平均算定の対象に経常利益の額は含まれる一方、それ以外の理由で12か月未満のときは最小値(下限マイナス8.5%、不利な側)をとる。

Y評点全体の8指標と2段階の計算方法は経審のY点(経営状況)とはで解説しています。総資本に対する利益率は経審Y点「総資本売上総利益率」の計算、自社の数値でP点全体を試算するには経審P点シミュレーターが使えます。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

経審の売上高経常利益率はどうやって計算しますか?
経常利益÷売上高×100で求めます。売上高は純支払利息比率と同じく、審査対象事業年度の完成工事高と兼業事業売上高の合計です(国土交通省の通知)。
個人事業主の場合、経常利益はどう扱いますか?
通知は個人である場合の経常利益の額を「事業主利益の額」と読み替えると定めています。個人事業主の決算書には法人のような経常利益の科目がないため、事業主利益に相当する額を代わりに使います。
売上高経常利益率の上限と下限はいくつですか?
上限は5.1%、下限はマイナス8.5%です。5.1%を超える場合は5.1%、マイナス8.5%に満たない場合はマイナス8.5%とみなして評点を計算します(通知、手引き表4)。
売上高経常利益率は数値が大きい方と小さい方、どちらが評点に有利ですか?
数値が大きいほど評点に有利です。売上高に対する経常利益の割合が高いことを示す上限の5.1%がもっとも評点に有利な値になります。
売上高経常利益率が1ポイント違うと、点数はどのくらい変わりますか?
他の7指標をY点の計算例に据え置いた本サイトのエンジン実測では、Y評点でおよそ4.6点前後、モデルケースのP点でおよそ0.9点前後の差です。下限マイナス8.5%と上限5.1%の間ではY評点が64点、P点が13点動きます。
事業年度が12か月に満たない場合、売上高経常利益率はどう扱われますか?
事業年度の変更・組織変更・吸収合併などの特殊な事由による年間平均算定の対象(売上高・純支払利息・売上総利益・経常利益・法人税等の5項目)に、売上高経常利益率の経常利益は含まれています。それ以外の理由で12か月に満たない場合は、純支払利息比率・負債回転期間とは異なり最小値(下限マイナス8.5%、不利な側)をとるものとして算定すると通知が定めています。個別の当てはめは審査行政庁の取扱いで確認してください。

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本ツールは事業者ご自身が入力・利用する試算です(申請の代行・作成支援は行っていません)。個別のご相談は承っておりません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。数値は概算であり、実際の申請前に専門家へご確認ください。算定方法・出典・免責