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経審のX1(完成工事高)とは|業種別・2年平均と3年平均の基本

X1に使う完成工事高の範囲、業種別に分ける理由、平均方式の共通制約を整理します。

国土交通省の告示・事務取扱通知
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

X1は、審査対象とする建設工事の種類ごとの年間平均完成工事高を評価する点数です。会社全体の売上高をそのまま入力する項目ではありません。受審する業種、完成工事高の区分、直前2年または3年の平均方式をそろえて確認します。

X1が評価するもの

国土交通省の告示では、直前2年または直前3年の各事業年度における完成工事高から、許可を受けた建設業の種類別年間平均完成工事高を算定し、区分表に当てはめて審査すると定めています。

X1は総合評定値Pの計算式で25%のウェイトを持ち、Zと並んで最も大きい指標です。ただし、ウェイトが大きいことと、少額の増加で評点が大きく動くことは同じではありません。金額帯ごとの算式で連続的に点数化されます。

X1は決算書・工事経歴書に基づく業種別の合計金額で、個別契約ごとの実績を登録する「コリンズ(CORINS)」とは別のデータです。両者の違いはコリンズ(工事実績情報システム)とはで整理しています。

完成工事高は業種別に扱う

土木一式、建築一式、舗装など、審査対象とする建設工事の種類ごとに完成工事高を分けます。同じ会社でも業種ごとの完成工事高が違えばX1が異なり、業種別のP点も同じとは限りません。

会社全体の完成工事高ではなく、選択した業種の完成工事高を入力します。複数業種の扱いはP点が業種ごとに異なる理由で整理しています。

完成工事高をどの業種へ区分するか迷う場合は、29業種の区分と間違えやすい境界事例も確認してください。

工事経歴書や直前3年の工事施工金額と、経審で使う工事種類別完成工事高の区分が一致しているかも確認が必要です。単に決算書の完成工事高合計を転記すると、対象業種以外の金額が混ざる可能性があります。

審査対象にしていない業種の完成工事高を審査対象業種へ含める取扱い(積み上げ)と、一式工事を専門工事へ振り分ける分割分類は完成工事高の積み上げと分割分類で解説しています。

工事経歴書の完成工事高は消費税を含めない税抜き額で記載する決まりで、税込みのまま記載するとX1評点が実際より高くなります。詳しい実測値は完成工事高は税込み・税抜きどちらで書くかで確認できます。

2年平均・3年平均の選択

年間平均完成工事高は、直前2年平均または直前3年平均を選びます。直近年度の完成工事高が大きい場合は2年平均、過年度の完成工事高が大きい場合は3年平均のほうが高くなることがあります。

平均方式は業種ごとに別々には選べず、すべての審査対象建設業で同一の方法を使います。複数業種を受審する場合は、1業種だけの結果で決めず、全対象業種を同じ方式で比較します。具体的なモデル比較は完成工事高の2年平均と3年平均で確認できます。

X1評点とP点への反映

令和8年基準のX1評点は42区分で、年間平均完成工事高を該当区分の算式へ入れて小数点以下を切り捨てます。最高点は2,309点、最低点は397点です。

総合評定値Pへの反映は「X1評点×0.25」です。ただしPはX2・Y・Z・Wとの合計後に整数化されるため、X1の変化だけから最終的な整数差を固定して説明することはできません。

金額ごとの実測値は経審P点の早見表に分けています。本記事は、何をX1へ入力するかという範囲と制約の確認に重点を置いています。

入力前に確認する順序

  1. 審査対象の業種を選ぶ通知書や申請予定をもとに、確認する建設工事の種類を特定します。
  2. 業種別の完成工事高を確認する工事経歴書、直前3年の工事施工金額、経審の工事種類別完成工事高の整合を確認します。
  3. 2年平均と3年平均を比較する全審査対象業種で同じ方式を使う前提で比較します。
  4. シミュレーターへ入力する経審P点シミュレーターでは選択中の1業種の年間平均完成工事高を入力します。

工事進行基準(原価比例法)採用企業の完成工事高根拠資料

売上等の計上方法として工事進行基準を採用している場合、審査対象事業年度の完成工事高に計上した金額について、根拠資料の提出・持参を求められることがあります。工事完成基準(引き渡し時に一括計上)だけを前提に準備すると、当日不足書類が生じます。

原価比例法を採用している場合、決算日時点の原価算出資料が根拠資料になります。加えて工事原価総額の算出資料も必要です(茨城県の手引きが示す例)。原価比例法とは、決算日までに発生した工事原価が工事原価総額に占める割合をもって、決算日における工事進捗度とする方法です。

工事経歴書(建設業法施行規則別記様式第2号)の「請負代金の額」欄でも、工事進行基準が適用される完成工事については、当期に計上した完成工事高を括弧書きで付記する記載方法が定められています(関東地方整備局・近畿地方整備局の手引き)。工事全体の請負代金の額とは別に、当期分の完成工事高がいくらかを明示する扱いです。

近畿地方整備局の手引きは、工事進行基準を採用する場合は記載額の根拠資料の追加提出を求めることがあるとしています。工事進行基準(原価比例法等)で完成工事高を計上している業種がある場合は、決算日時点の原価算出資料をあらかじめ用意しておくと審査がスムーズです。

建設工事に当たらない業務は完成工事高に計上できない

建設業法第2条第2項は、「建設業」を「元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業」と定義しています。完成工事高に計上できるのは、この定義に当てはまる業務に限られます。

具体例の記載は地方整備局・都道府県によって濃淡があります。以下は近畿地方整備局と茨城県の手引きが示す例で、関東地方整備局の手引き・国土交通省の通知には同様の例示はありません。全国一律の運用と断定せず、判断に迷う場合は受審先の許可行政庁へ確認してください。

  • 近畿地方整備局の手引き:除草(剪定)業務、調査、点検、部品の交換、物品の販売等は「建設工事の完成を請け負う営業」に該当しないため、原則として完成工事高に計上できないとしています。
  • 茨城県の手引き:資材や機械の販売、運搬、除草・草刈り、保守・管理(点検や部品の交換等)は建設工事とみなさず、兼業売上に計上するとしています。

審査で定義に該当しない案件の計上が判明した場合、当該案件の完成工事高からの除外、工事経歴書の訂正、これに伴う決算変更届の訂正、経営状況分析(Y評点)の再受審が必要になります(近畿地方整備局の手引きによる)。

兼業売上高の扱い全般は経審の完成工事高「その他工事」(項番33)とはでも解説しています。

契約後VEによる公共工事完成工事高の特例

国土交通省の通知は、契約後VEを「主として施工段階における現場に即したコスト縮減が可能となる技術提案が期待できる工事を対象として、契約後、受注者が施工方法等について技術提案を行い、採用された場合、当該提案に従って設計図書を変更するとともに、提案のインセンティブを与えるため、契約額の縮減額の一部に相当する金額を受注者に支払うことを前提として、契約額の減額変更を行う方式」と定義しています。

契約後VEによる公共工事の完成工事高は、減額変更前の契約額で評価できます。この特例を使う場合、経審の申請の際に契約後VEによる契約額の減額の金額が証明できる書類を提出する必要があります(国土交通省の通知による)。

関東地方整備局の手引きでは、工事種類別完成工事高を記入する様式の用紙ごとに、契約後VEに係る工事の完成工事高について、この特例の利用の有無を記入する欄が設けられています。特例の対象は公共工事の完成工事高に限られます。

確認した一次資料

まとめ

  • X1は審査対象とする建設工事の種類別の年間平均完成工事高を評価する。
  • 会社全体の売上高ではなく、確認する業種の完成工事高を使う。
  • 直前2年平均・3年平均は全審査対象業種で同じ方式を選ぶ。
  • X1のP点ウェイトは25%で、令和8年基準の評点範囲は397〜2,309点。
  • 工事進行基準(原価比例法等)で完成工事高を計上している場合、当期計上額の根拠資料の提出・持参を求められることがある。

審査対象業種以外の完成工事高を審査対象業種へ含める積み上げの条件は経審の完成工事高の積み上げ|業種間の振替と分割分類の申出、業種区分の対照表に載らない工事の記入先は経審の完成工事高「その他工事」(項番33)とはで解説しています。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

X1には会社全体の完成工事高を入力しますか?
いいえ。経審で審査対象とする建設工事の種類ごとの年間平均完成工事高を使います。複数業種を受審する場合は、業種ごとに完成工事高を分けて確認します。
X1の2年平均と3年平均は業種ごとに選べますか?
選べません。すべての審査対象建設業について、直前2年平均または直前3年平均の同一の方法を使う必要があります。
X1はP点にどれくらい反映されますか?
総合評定値Pの計算式ではX1評点に0.25を掛けます。ただしPは他の評点との合計後に整数化されるため、最終的な整数差は現在の各評点によって変わります。

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