ガイド

経審のY点(経営状況)とは|8指標から評点を求める仕組み

財務諸表の8つの指標から、Y評点を2段階で計算します。

国土交通省の告示・通知
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

Y(経営状況)は、決算書から算出する8つの財務指標をもとに計算される評点です。総合評定値Pへの重みは0.20で、X1・Zに次いで大きな影響を持ちます。

Y評点は8つの財務指標を二段階で計算します。

8つの財務指標

Y評点を構成する8つの財務指標
指標算出式単位上限値下限値Y評点への寄与度
純支払利息比率(支払利息-受取利息配当金)÷売上高×100%5.1-0.329.9%
負債回転期間(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)ヵ月18.00.911.4%
総資本売上総利益率売上総利益÷総資本(2期平均)×100%63.66.521.4%
売上高経常利益率経常利益÷売上高×100%5.1-8.55.7%
自己資本対固定資産比率自己資本÷固定資産×100%350.0-76.56.8%
自己資本比率自己資本÷総資本×100%68.5-68.614.6%
営業キャッシュフロー営業CF÷1億円(2年平均)億円15.0-10.05.7%
利益剰余金利益剰余金÷1億円億円100.0-3.04.4%

純支払利息比率・負債回転期間・売上高経常利益率で使う「売上高」は、完成工事高だけではありません。国土交通省の経営事項審査の事務取扱いについてでは、審査対象事業年度の完成工事高と兼業事業売上高の合計と定められています。兼業がある場合に完成工事高だけを分母にすると、これらの指標とY評点が実際の算定とずれるため、決算書の両方の金額を確認します。

各指標には上限値・下限値が定められており、範囲外の値はクランプ(上下限に丸める)されます。寄与度が最も大きいのは純支払利息比率(29.9%)で、次いで総資本売上総利益率(21.4%)、自己資本比率(14.6%)と続きます。

寄与度は関東地方整備局の令和8年7月改正版手引き別添表4に基づきます。

経営状況点数からY評点への変換

経営状況点数(A)=-0.4650×純支払利息比率-0.0508×負債回転期間+0.0264×総資本売上総利益率+0.0277×売上高経常利益率+0.0011×自己資本対固定資産比率+0.0089×自己資本比率+0.0818×営業キャッシュフロー+0.0172×利益剰余金+0.1906

Y評点=167.3×A+583(最高1595点・最低0点)

8指標それぞれに係数を掛けて合計し、経営状況点数(A)を求めます。そのAをY評点の式に代入すると最終的な評点になります。

計算例

次の財務内容の会社を例にします。純支払利息比率2.0%、負債回転期間5.0ヵ月、総資本売上総利益率20.0%、売上高経常利益率3.0%、自己資本対固定資産比率100.0%、自己資本比率30.0%、営業キャッシュフロー0.3億円、利益剰余金0.5億円です。計算すると次のようになります。

Y評点の計算例
項目値
経営状況点数(A)0.03
Y評点588点

本サイトのP点シミュレーターでは、経営状況分析結果通知書に記載のY点をそのまま入力する方法と、この8指標から自動計算する方法の両方を選べます。

8指標を1単位ずつ変えたときのY評点・P点の差

上の計算例の8指標を基準に、1つの指標だけを各指標の単位で1大きくし、残り7指標は据え置いた場合を本サイトの計算部品で試算しました。仮定の数値による概算で、自社の評点は審査結果が優先します。本サイトは個別の相談や判断をお受けしていません。

P点は、次の仮定の会社で試算しています(令和8年改正後の基準)。完成工事高3億円、自己資本額5,000万円、平均利益額1,000万円、技術職員6名です。この会社のY評点だけを、8指標から計算した値に差し替えて求めています。基準のY評点は588点、P点は697点です。

1指標だけを1単位大きくした場合(他の7指標は計算例のまま)
指標計算例の値→変えた値経営状況点数(A)Y評点Y評点の差P点P点の差
純支払利息比率2.0%→3.0%-0.44509点▲79点681点▲16点
負債回転期間5.0ヵ月→6.0ヵ月-0.02580点▲8点695点▲2点
総資本売上総利益率20.0%→21.0%0.05591点+3点697点0点
売上高経常利益率3.0%→4.0%0.06593点+5点698点+1点
自己資本対固定資産比率100.0%→101.0%0.03588点0点697点0点
自己資本比率30.0%→31.0%0.04590点+2点697点0点
営業キャッシュフロー0.3億円→1.3億円0.11601点+13点699点+2点
利益剰余金0.5億円→1.5億円0.05591点+3点697点0点

仮定の数値による概算です。自社の評点は登録経営状況分析機関の分析結果と審査行政庁の審査結果が優先します。本サイトは個別の相談や判断をお受けしていません。

純支払利息比率と負債回転期間は係数がマイナスのため、値が大きくなるとY評点が下がります。残りの6指標は係数がプラスで、値が大きくなるとY評点が上がります。

「1単位」は指標ごとに%・ヵ月・億円と異なるため、この表の差の大小は、指標どうしを同じ物差しで比べたものではありません。各指標の上限値・下限値に達している場合は、それ以上値を変えてもY評点は動きません。

国土交通省の経営事項審査の事務取扱いについては、経営状況点数(A)の小数点以下2位未満と、Y評点の小数点以下を四捨五入すると定めています。自己資本対固定資産比率はこの端数処理でAが0.03のまま変わらず、Y評点の差も0点です。

P点は関東地方整備局の経営事項審査の手引きの算式で、X1・X2・Y・Z・Wの5項目を重み付けして合計し(Yの重みは0.20)、その小数点以下を四捨五入して求めます。Y評点が2〜3点動いても、P点の四捨五入によりP点の差が0点になる指標があります。

各指標の値を広い範囲で変えた実測は、まとめの下にある指標別の解説記事に載せています。

個人事業主(個人)の場合の読み替え

個人事業主(個人経営)の確定申告書類には、法人の決算書にある「経常利益」「利益剰余金」といった科目がありません。関東地方整備局の経営事項審査の手引きでは、8指標のうち3つについて、個人事業主の場合の読み替えを次のように定めています。

個人事業主の場合の読み替え
指標法人の項目個人事業主の読み替え
総資本売上総利益率の分子売上総利益完成工事総利益
売上高経常利益率の分子経常利益事業主利益
利益剰余金利益剰余金純資産合計

本サイトの計算機に8指標を入力する際、個人事業主の場合は上表の読み替え後の金額(完成工事総利益・事業主利益・純資産合計)を該当欄に入力してください。純支払利息比率・負債回転期間・自己資本対固定資産比率・自己資本比率・営業キャッシュフローの5指標は読み替えの定めがなく、法人と同じ科目で算出します。

まとめ

  1. Y評点は8つの財務指標から2段階(経営状況点数A→Y評点)で計算する。
  2. Pへの重みは0.20で、X1・Z(各0.25)に次いで大きい。
  3. 令和8年改正の対象外のため、新旧基準で共通の式・評点。
  4. 結果通知書のY点をそのまま入力するか、8指標から自動計算できる。
  5. 1指標だけを1単位変えた差は指標ごとに単位が違い、端数処理で0点になる指標もある。

P点全体の計算方法は経審P点の計算方法で解説しています。

Y評点を算出する機関の違いは登録経営状況分析機関の選び方で整理しています。

自己資本額・平均利益額から求める評点との違いは『X2(自己資本額・平均利益額)とは』で解説しています。

8指標のうち算定がもっとも複雑な項目は営業キャッシュフローの算定式と決算書の対応科目で詳しく解説しています。

寄与度がもっとも大きい純支払利息比率の算式と評点への影響は経審Y点「純支払利息比率」の計算、寄与度2番目の総資本売上総利益率は経審Y点「総資本売上総利益率」の計算、寄与度3番目の自己資本比率は経審Y点「自己資本比率」の計算、寄与度4番目の負債回転期間は経審Y点「負債回転期間」の計算、係数がもっとも小さい自己資本対固定資産比率は経審Y点「自己資本対固定資産比率」の計算、売上高に対する利益率は経審Y点「売上高経常利益率」の計算、寄与度がもっとも小さい利益剰余金は経審Y点「利益剰余金」の計算で解説しています。

算出したP点から入札参加資格の等級の目安を確認するには入札参加資格ランクの目安計算が使えます。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

Y点はどうやって決まりますか?
8つの財務指標(純支払利息比率・負債回転期間・総資本売上総利益率・売上高経常利益率・自己資本対固定資産比率・自己資本比率・営業キャッシュフロー・利益剰余金)から「経営状況点数(A)」を算出し、Y=167.3×A+583という式でY評点(最高1595点・最低0点)に変換します。
8指標の計算例を教えてください
例えば純支払利息比率2.0%・負債回転期間5.0ヵ月・総資本売上総利益率20.0%・売上高経常利益率3.0%・自己資本対固定資産比率100.0%・自己資本比率30.0%・営業キャッシュフロー0.3億円・利益剰余金0.5億円の場合、経営状況点数A=0.03、Y評点=588点になります(本サイトのエンジンで実測)。
Y点は令和8年改正で変わりましたか?
変わっていません。改正前基準の通知でも同じ計算式(Y=167.3×A+583)が使われており、新旧基準で共通です。

令和8年新基準・改正前基準を新旧比較で無料試算(無料・登録不要):経審P点シミュレーターを使う

事業者ご自身が入力する概算の試算です。申請の代行・作成支援や個別相談は行っていません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。算定方法・出典・免責