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経審Y点「負債回転期間」の計算|流動負債・固定負債と評点への影響

(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)で求める、Y評点の8指標のうち寄与度2番目(11.4%)の指標です。算式・上限下限と、1ヵ月の差が評点に与える影響を実測で示します。

国土交通省の通知・手引き
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

経審(経営事項審査)のY評点(経営状況)は8つの財務指標から求めます。そのうち「負債回転期間」は、関東地方整備局の手引きが示すY評点への寄与度が11.4%で、純支払利息比率(29.9%)に次いで大きい指標です。手引きの表では「Ⅹ2」と表記されますが、P点を構成するX2(自己資本額・平均利益額の評点)とは別のものです。この記事では、算式、上限・下限、事業年度が12か月に満たない場合の扱い、評点への影響を国土交通省の通知にもとづいて整理します。

負債回転期間の算式

負債回転期間は、平均月商(1か月あたりの売上高)に対して、負債(流動負債+固定負債)が何か月分たまっているかを示す指標です。手引きの表4は算式を次のように示しています。

負債回転期間(ヵ月)=(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)

通知は、1月当たり売上高を純支払利息比率で使う売上高の額を12で除して得た数値と定義したうえで、負債回転期間はその1月当たり売上高で基準決算における流動負債及び固定負債の合計の額を除して得た数値と定めています。ここでの売上高は純支払利息比率と同じく、審査対象事業年度の完成工事高と兼業事業売上高の合計です。負債の額は基準決算(1期分)だけで、純支払利息比率のような減算調整はありません。

出典: 国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて」(通知)「5 経営状況について(告示第一の二関係)」(2)負債回転期間について、および関東地方整備局「経営事項審査の手引き」別添資料(令和8年7月改正版)表4より

決算書の金額から求める手順

次の金額を例に、算式へ当てはめます(金額はこの記事の説明用に置いたもので、実在の会社のものではありません)。売上高32,000万円は、経審Y点「純支払利息比率」の計算の設例(完成工事高29,600万円+兼業事業売上高2,400万円)と同じ会社のものです。

負債回転期間の計算例(単位:万円)
項目金額計算
流動負債7,500万円負債合計は流動負債と固定負債の合計で12,000万円
固定負債4,500万円
負債合計12,000万円
売上高32,000万円負債回転期間は12,000万円÷(32,000万円÷12)=4.5ヵ月
負債回転期間4.5ヵ月

流動負債・固定負債は貸借対照表の科目をそのまま使います。純支払利息比率のような受取利息配当金の控除にあたる調整はありません。

上限・下限(0.9ヵ月〜18.0ヵ月)

通知は、算出した数値に上限と下限を定めています。負債回転期間が18.0ヵ月を超える場合は18.0ヵ月と、0.9ヵ月に満たない場合は0.9ヵ月とみなされます。

負債回転期間は数値が小さいほど(負債が少なく、回転が速いほど)評点に有利です。下限の0.9ヵ月がもっとも評点に有利な値、上限の18.0ヵ月がもっとも不利な値になります。

この数値はY評点の8指標一覧の「上限値18.0・下限値0.9」に対応しています。

1ヵ月の差が評点に与える影響(実測)

負債回転期間の係数は、経営状況点数(A)の算式でマイナス0.0508です。負債回転期間が1ヵ月大きくなるとAが0.0508小さくなり、Aは167.3倍されてY評点になります(0.0508×167.3≒8.5)。

次の表は、他の7指標をY点の計算例のまま据え置き、負債回転期間だけを動かしたときの実測です。P点は、モデルケース(完成工事高3億円・技術職員6名など)のYだけを8指標モードに差し替えて求めました。

負債回転期間だけを動かしたときのY評点とP点(エンジン実測)
負債回転期間経営状況点数(A)Y評点モデルケースのP点
0.9ヵ月(下限)0.24623点704点
3.0ヵ月0.13605点700点
6.0ヵ月-0.02580点695点
9.0ヵ月-0.18553点690点
12.0ヵ月-0.33528点685点
15.0ヵ月-0.48503点680点
18.0ヵ月(上限)-0.63478点675点

負債回転期間だけで、Y評点は下限側の623点から上限側の478点まで145点、P点は704点から675点まで29点動きます。1ヵ月あたりでは、Y評点でおよそ8.5点前後、P点でおよそ1.7点前後の差です。P点への差が小さくなるのは、P点でYに掛かる重みが0.20だからです。

上限・下限の外側の値を入れても、評点は上限・下限のところで止まります。エンジンでは0.5ヵ月を入れても0.9ヵ月と同じ623点、20.0ヵ月を入れても18.0ヵ月と同じ478点です。

この表は算式の感度を示す試算で、正式な評点ではありません。Y評点は登録経営状況分析機関の分析結果通知書の値が優先されます。借入や資金繰りの進め方を助言するものではありません。

事業年度が12か月に満たない場合

通知は、事業年度の変更、商業登記法の規定に基づく組織変更の登記、他の建設業者を吸収合併した場合などの特殊な事由があり、審査対象年の間に開始する事業年度の月数が12か月に満たないときについて、純支払利息比率で使う売上高・純支払利息の額、総資本売上総利益率の売上総利益の額、売上高経常利益率の経常利益の額、営業キャッシュフローの法人税等の額の5項目を、年間平均完成工事高の算定の要領で求めると定めています。この5項目に、負債回転期間で使う流動負債・固定負債の額は含まれていません。

この特殊な事由を除き、単に審査対象年の間に開始する事業年度の月数が12か月に満たないときは、純支払利息比率と負債回転期間の2項目は最大値を、それ以外の項目は最小値をとるものとして算定すると定められています。負債回転期間では上限側(18.0ヵ月)が評点に不利な値なので、この場合は不利な側で算定されることになります。

設立初年度などの個別の当てはめは、審査行政庁の最新の取扱いで確認してください。この記事は通知の規定を紹介するもので、個別の事案の判断や相談は受け付けていません。

まとめ

  1. 負債回転期間は、(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)。売上高は純支払利息比率と同じく完成工事高と兼業事業売上高の合計、負債は基準決算(1期分)の額。
  2. 18.0ヵ月を超えれば18.0ヵ月、0.9ヵ月に満たなければ0.9ヵ月とみなされる。数値が小さいほど評点に有利。
  3. 寄与度は手引き表4で11.4%と、8指標の中で純支払利息比率(29.9%)に次ぐ大きさ。実測では1ヵ月の差はY評点でおよそ8.5点前後、P点でおよそ1.7点前後。
  4. 事業年度が12か月に満たない場合の扱いは事由によって異なる。事業年度変更等の特殊事由による年間平均算定の対象に流動負債・固定負債は含まれない一方、それ以外の理由で12か月未満のときは純支払利息比率とあわせて最大値(不利な側)をとる。

Y評点全体の8指標と2段階の計算方法は経審のY点(経営状況)とはで解説しています。寄与度がもっとも大きい純支払利息比率は経審Y点「純支払利息比率」の計算、自社の数値でP点全体を試算するには経審P点シミュレーターが使えます。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

経審の負債回転期間はどうやって計算しますか?
(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)で求めます。売上高は純支払利息比率と同じく、審査対象事業年度の完成工事高と兼業事業売上高の合計です(国土交通省の通知)。
負債回転期間の売上高は完成工事高だけですか?
いいえ。純支払利息比率と同じ売上高(完成工事高と兼業事業売上高の合計)を使います。負債の額は基準決算(1期分)だけで、2期平均は取りません。
負債回転期間の上限と下限はいくつですか?
上限は18.0ヵ月、下限は0.9ヵ月です。18.0ヵ月を超える場合は18.0ヵ月、0.9ヵ月に満たない場合は0.9ヵ月とみなして評点を計算します(通知、手引き表4)。
負債回転期間は数値が大きい方と小さい方、どちらが評点に有利ですか?
数値が小さいほど評点に有利です。負債が少なく、回転が速いことを示す下限の0.9ヵ月がもっとも評点に有利な値になります。
負債回転期間が1ヵ月違うと、点数はどのくらい変わりますか?
他の7指標をY点の計算例に据え置いた本サイトのエンジン実測では、Y評点でおよそ8.5点前後、モデルケースのP点でおよそ1.7点前後の差です。下限0.9ヵ月と上限18.0ヵ月の間ではY評点が145点、P点が29点動きます。
事業年度が12か月に満たない場合、負債回転期間はどう扱われますか?
事業年度の変更・組織変更・吸収合併などの特殊な事由による年間平均算定の対象(売上高・純支払利息・売上総利益・経常利益・法人税等の5項目)に、負債回転期間で使う流動負債・固定負債は含まれていません。それ以外の理由で12か月に満たない場合は、純支払利息比率とあわせて最大値(上限18.0ヵ月、不利な側)をとるものとして算定すると通知が定めています。個別の当てはめは審査行政庁の取扱いで確認してください。

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