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経審Y点「自己資本対固定資産比率」の計算|自己資本・固定資産と評点への影響

自己資本÷固定資産×100で求める、Y評点の8指標のうち寄与度6.8%の指標です。算式・上限下限と、1ポイントの差が評点に与える影響を実測で示します。

国土交通省の通知・手引き
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

経審(経営事項審査)のY評点(経営状況)は8つの財務指標から求めます。そのうち「自己資本対固定資産比率」は、関東地方整備局の手引きが示すY評点への寄与度が6.8%です。手引きの表では「Ⅹ5」と表記されます。この記事では、算式、上限・下限、事業年度が12か月に満たない場合の扱い、評点への影響を国土交通省の通知にもとづいて整理します。

自己資本対固定資産比率の算式

自己資本対固定資産比率は、固定資産(土地・建物・機械など長期保有の資産)の取得資金が、どれだけ自己資本でまかなわれているかを示す指標です。手引きの表4は算式を次のように示しています。

自己資本対固定資産比率(%)=自己資本÷固定資産×100

通知は、自己資本の額を「基準決算における純資産合計の額」(旧省令に基づき計算書類を作成している場合は資本の額)と定め、自己資本対固定資産比率はその自己資本の額を固定資産の額で除して得た数値と定めています。ここでの自己資本は基準決算(1期分)の額だけで、総資本売上総利益率(X3)のような2期平均は取りません。また、この自己資本の定義はP点のX2(自己資本額・平均利益額の評点)と同じ条文(純資産合計の額)を参照していますが、X2側は2期平均を使う点が異なります。

出典: 国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて」(通知)「5 経営状況について(告示第一の二関係)」(5)自己資本対固定資産比率について、および関東地方整備局「経営事項審査の手引き」別添資料(令和8年7月改正版)表4より

決算書の金額から求める手順

次の金額を例に、算式へ当てはめます(金額はこの記事の説明用に置いたもので、実在の会社のものではありません)。

自己資本対固定資産比率の計算例(単位:万円)
項目金額計算
自己資本(純資産合計)5,000万円5,000万円÷2,500万円×100=200%
固定資産2,500万円
自己資本対固定資産比率200%

固定資産は貸借対照表の「固定資産合計」の額をそのまま使います。自己資本対固定資産比率には、純支払利息比率や負債回転期間のような売上高との対応関係はありません。

上限・下限(-76.5%〜350.0%)

通知は、算出した数値に上限と下限を定めています。自己資本対固定資産比率が350.0%を超える場合は350.0%と、マイナス76.5%に満たない場合はマイナス76.5%とみなされます。

自己資本対固定資産比率は数値が大きいほど(固定資産が自己資本でよく賄われているほど)評点に有利です。純支払利息比率・負債回転期間とは逆に、数値が大きい方が良い指標である点に注意してください。

この数値はY評点の8指標一覧の「上限値350.0・下限値-76.5」に対応しています。

1ポイントの差が評点に与える影響(実測)

自己資本対固定資産比率の係数は、経営状況点数(A)の算式で0.0011です。比率が1ポイント大きくなるとAが0.0011大きくなり、Aは167.3倍されてY評点になります(0.0011×167.3≒0.18)。8指標の中でもっとも小さい係数です。

次の表は、他の7指標をY点の計算例のまま据え置き、自己資本対固定資産比率だけを動かしたときの実測です。P点は、モデルケース(完成工事高3億円・技術職員6名など)のYだけを8指標モードに差し替えて求めました。

自己資本対固定資産比率だけを動かしたときのY評点とP点(エンジン実測)
自己資本対固定資産比率経営状況点数(A)Y評点モデルケースのP点
-76.5%(下限)-0.17555点690点
0.0%-0.08570点693点
100.0%0.03588点697点
200.0%0.14606点700点
300.0%0.25625点704点
350.0%(上限)0.3633点706点

自己資本対固定資産比率だけで、Y評点は下限側の555点から上限側の633点まで78点、P点は690点から706点まで16点動きます。上限から下限までの幅は426.5ポイントと8指標の中でもっとも広い一方、1ポイントあたりの効き(およそ0.18点)は8指標の中でもっとも小さく、幅の広さで動く点数を確保している指標です。

上限・下限の外側の値を入れても、評点は上限・下限のところで止まります。エンジンでは-100.0%を入れても-76.5%と同じ555点、400.0%を入れても350.0%と同じ633点です。

この表は算式の感度を示す試算で、正式な評点ではありません。Y評点は登録経営状況分析機関の分析結果通知書の値が優先されます。借入や資金繰りの進め方を助言するものではありません。

事業年度が12か月に満たない場合

通知は、事業年度の変更、商業登記法の規定に基づく組織変更の登記、他の建設業者を吸収合併した場合などの特殊な事由があり、審査対象年の間に開始する事業年度の月数が12か月に満たないときについて、純支払利息比率で使う売上高・純支払利息の額、総資本売上総利益率の売上総利益の額、売上高経常利益率の経常利益の額、営業キャッシュフローの法人税等の額の5項目を、年間平均完成工事高の算定の要領で求めると定めています。この5項目に、自己資本対固定資産比率で使う自己資本・固定資産の額は含まれていません。

この特殊な事由を除き、単に審査対象年の間に開始する事業年度の月数が12か月に満たないときは、純支払利息比率と負債回転期間の2項目は最大値を、それ以外の項目(自己資本対固定資産比率を含む)は最小値をとるものとして算定すると定められています。自己資本対固定資産比率は数値が大きい方が評点に有利な指標なので、最小値=下限のマイナス76.5%(もっとも不利な側)で算定されることになります。これは負債回転期間が最大値(不利な側)をとるのと結果は同じ「不利な側」ですが、条文上は「最大値」と「最小値」で扱いが分かれている点に注意してください。

設立初年度などの個別の当てはめは、審査行政庁の最新の取扱いで確認してください。この記事は通知の規定を紹介するもので、個別の事案の判断や相談は受け付けていません。

まとめ

  1. 自己資本対固定資産比率は、自己資本(基準決算の純資産合計)÷固定資産×100。純支払利息比率・負債回転期間と異なり、売上高は使わない。
  2. 350.0%を超えれば350.0%、マイナス76.5%に満たなければマイナス76.5%とみなされる。数値が大きいほど評点に有利。
  3. 寄与度は手引き表4で6.8%。係数0.0011は8指標中もっとも小さく、実測での1ポイントあたりの効き(およそ0.18点)も最小。
  4. 事業年度が12か月に満たない場合、事業年度変更等の特殊事由による年間平均算定の対象に自己資本・固定資産は含まれない。それ以外の理由で12か月未満のときは、純支払利息比率・負債回転期間と異なり最小値(下限、不利な側)をとる。

Y評点全体の8指標と2段階の計算方法は経審のY点(経営状況)とはで解説しています。負債抵抗力の指標は純支払利息比率と負債回転期間で、自社の数値でP点全体を試算するには経審P点シミュレーターが使えます。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

経審の自己資本対固定資産比率はどうやって計算しますか?
自己資本÷固定資産×100で求めます。自己資本は基準決算における純資産合計の額、固定資産は貸借対照表の固定資産合計の額です(国土交通省の通知)。
自己資本対固定資産比率の自己資本は2期平均ですか?
いいえ。基準決算(1期分)の額だけを使います。総資本売上総利益率(X3)のように基準決算と直前の審査基準日の2期平均を取る指標とは異なります。
自己資本対固定資産比率の上限と下限はいくつですか?
上限は350.0%、下限はマイナス76.5%です。350.0%を超える場合は350.0%、マイナス76.5%に満たない場合はマイナス76.5%とみなして評点を計算します(通知、手引き表4)。
自己資本対固定資産比率は数値が大きい方と小さい方、どちらが評点に有利ですか?
数値が大きいほど評点に有利です。純支払利息比率や負債回転期間とは逆に、固定資産が自己資本でよく賄われているほど(数値が大きいほど)評価が高くなります。
自己資本対固定資産比率が1ポイント違うと、点数はどのくらい変わりますか?
他の7指標をY点の計算例に据え置いた本サイトのエンジン実測では、1ポイントあたりのY評点への影響はおよそ0.18点で、8指標の中でもっとも小さい部類です。下限マイナス76.5%と上限350.0%の間ではY評点が78点、P点が16点動きます。
事業年度が12か月に満たない場合、自己資本対固定資産比率はどう扱われますか?
事業年度の変更・組織変更・吸収合併などの特殊な事由による年間平均算定の対象(売上高・純支払利息・売上総利益・経常利益・法人税等の5項目)に、自己資本対固定資産比率で使う自己資本・固定資産は含まれていません。それ以外の理由で12か月に満たない場合は、純支払利息比率・負債回転期間とは異なり最小値(下限マイナス76.5%、不利な側)をとるものとして算定すると通知が定めています。個別の当てはめは審査行政庁の取扱いで確認してください。

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