ガイド

経審の評点が低かったとき、次回までに点が動く項目と動かない項目(X1・X2・Y・Z・W別)

経営事項審査(経審)の結果が思わしくなかったときに、次の申請までに手を打てる項目と、時間が過ぎるまで動かせない項目を、国土交通省の事務取扱いの基準時点で仕分けします。

国土交通省の事務取扱い
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

経審の総合評定値(P点)は、完成工事高(X1)、自己資本額と利益額(X2)、経営状況(Y)、技術力(Z)、社会性等(W)の評点を重み付けして合わせたものです。点が低かったとき、まず知りたいのは「どこを直せば次の申請で点が変わるのか」でしょう。答えは項目ごとに違い、決め手は審査基準日(申請日の直前の事業年度の終了の日)です。基準日を過ぎた決算や在籍の状態は、あとから変えられません。この記事は、国土交通省の「経営事項審査の事務取扱いについて」に書かれた基準時点だけを使って仕分けます。点数の増え方や優先順位は経審の点数を上げる方法で比べられます。

仕分け表:項目ごとの基準時点と動かし方

項目ごとの基準時点と、次の申請までの動き(事務取扱いの記載にもとづく整理)
項目評価の基準時点次の申請までの動き
X1 完成工事高当期事業年度開始日の直前2年または直前3年の各事業年度過去の年度は確定済み。次の申請では1年分が入れ替わる。選ぶ平均(2年か3年か)は変えられる
X2 自己資本額審査基準日の決算(基準決算)の純資産合計、または基準決算と直前の審査基準日の決算の平均次の決算の結果で動く。基準日より後の増資や利益は、その申請には入らない
X2 利益額審査基準日を含む決算期とその前期次の決算期の利益で動く
Y 経営状況審査対象事業年度の決算書の数値(8つの指標)次の決算書の数値で動く。確定した決算書の数字は直せない
Z1 技術職員数値審査基準日における技術職員数値次の審査基準日までの採用・資格取得・在籍で動く
Z2 元請完成工事高当期事業年度開始日の直前2年または直前3年X1と同じく、過去の年度は確定済み
W 加入・認定の項目(建設業退職金共済、退職一時金・企業年金、法定外労働災害補償など)審査基準日において次の審査基準日までに加入・導入すれば動く
W CPD単位・就業履歴の蓄積措置審査基準日以前1年のうち次の審査基準日までの1年間の実績で動く
W2 営業年数許可を受けた時から審査基準日までの期間(年未満は切り捨て)努力では動かない。審査基準日が来ると年数が増える

基準時点の詳しい文言は経審の審査基準日とはに、加点項目の判定時点を全部並べています。

今回の申請では動かせないもの

直前の決算が終わっている場合、今回の申請に使う次の数字は確定しています。

  • 基準決算の自己資本額と、直前の事業年度の利益額
  • 直前2年または直前3年の完成工事高と元請完成工事高
  • 経営状況分析に使う決算書の数値(Y点)
  • 審査基準日に加入していなかった制度、持っていなかった認定、在籍していなかった技術職員

事務取扱いは、これらを審査基準日の決算や審査基準日の状態で見ると書いています。基準日のあとに増資をしたり、制度へ加入したりしても、その申請には入らないと読めます。数字を合わせるために決算書や申請内容を書き換えることは、虚偽申請にあたります。直前の結果を受けて動かすのは、次の決算と次の審査基準日からです。

次の審査基準日までに動かせるもの

次の審査基準日までに、事業の中身を変えることで動かせる項目です。

次の審査基準日までに手を打てる項目
系統手を打てる内容詳しい記事
Y・X2次の決算の利益と財務内容。8つの指標のうちどれが弱いかを先に見る経営状況分析(Y点)の8指標、X2の自己資本・利益
Z1技術職員の資格区分(1級・2級・その他)の組み合わせと、審査基準日の在籍技術職員数値の求め方、加点される資格
W審査基準日までに加入・導入できる制度と、1年間の実績が要る項目の準備W点を上げる方法、W点の項目一覧
X1・Z2直前2年か3年かの選択。年度が確定したあとは、どちらの平均が有利かを比べて選ぶ2年平均と3年平均の選び方

実績が要る項目は、期間の途中からは間に合いません。たとえばCPD単位や就業履歴の蓄積措置は「審査基準日以前1年のうち」の実績で見るので、次の審査基準日の1年前までに準備を始める必要があります。

時間の経過でしか動かないもの

営業年数(W2)は、建設業の許可を受けた時から審査基準日までの期間で、年未満は切り捨てます。努力で増やせる項目ではなく、基準日が来れば年数が1つ進みます。ただし、営業休止の期間は年数から引かれます。民事再生や会社更生を受けた場合などは起算の考え方が変わるため、営業年数の数え方で確認します。

X1も、売上を急に積めない点では同じです。完成工事高は、基準日までの2年または3年の実績の平均なので、1年ごとに新しい年度が入る形で少しずつ動きます。

低かった項目の切り分け手順

  1. 項目別の評点を見る:経営規模等評価結果通知書で、X1・X2・Y・Z・Wのどれが低いかを確認する。見方は結果通知書の見方で整理しています。
  2. 基準時点で仕分ける:低い項目を、この記事の仕分け表で「今回は動かせない」「次の審査基準日までに動かせる」「時間経過」に分ける。
  3. 動かせる項目から条件を確かめる:Z1とWは、次の審査基準日までに要件を満たせるか、証明書類がそろうかを確認する。
  4. 数字で比べる:現状値をP点シミュレーターに入れ、一項目ずつ変えて、P点の差を見る。
  5. 入札側の必要点を確認する:目標のP点は、発注機関ごとの等級の基準で決まります。P点と入札参加資格ランクの関係で確認します。

確認した一次資料

まとめ

  1. 審査基準日は、申請日の直前の事業年度の終了の日。基準日を過ぎた決算や在籍の状態は、その申請では変えられない。
  2. X1・X2・Yは確定した決算で決まり、動かせるのは次の決算から。Z1とWの加入・認定項目は、次の審査基準日までの準備で動く。
  3. 営業年数は時間の経過でしか進まない。努力で動かす項目に数えない。
  4. 低い項目を基準時点で仕分けてから、動かせる項目の条件と効果を比べる。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

経審の点が低かったとき、次の申請までに動かせる項目はどれですか?
事務取扱いでは、自己資本額や完成工事高は審査基準日の決算や直前の事業年度で見ます。次の決算で動くのがX2・Y、次の審査基準日までの採用・資格取得で動くのがZ1、加入や導入で動くのがWの一部の項目です。
審査基準日のあとに制度へ加入したら、今回の評点に入りますか?
建設業退職金共済や退職一時金制度などは「審査基準日において」加入している場合に加点すると書かれています。基準日より後の加入は、その申請では対象にならないと読めます。
営業年数は努力で増やせますか?
営業年数は許可を受けた時から審査基準日までの期間で、年未満は切り捨てます。時間が経過すると進む項目で、努力で増やせるものではありません。

令和8年新基準・改正前基準を新旧比較で無料試算(無料・登録不要):経審P点シミュレーターを使う

専門書で詳しく確認したい場合

広告

下記書籍の紹介による報酬の有無は、記事の内容に影響しません。制度の背景や申請実務を書籍でまとめて確認したい方向けです。

本ツールは事業者ご自身が入力・利用する試算です(申請の代行・作成支援は行っていません)。個別のご相談は承っておりません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。数値は概算であり、実際の申請前に専門家へご確認ください。算定方法・出典・免責