経審のP点と入札参加資格ランク(等級)の関係|国交省地方整備局の等級区分表
P点が高くても、それだけでは上位等級には届きません。
国土交通省の公式資料「経審のP点を上げれば入札のランクも上がる」と思われがちですが、実際は違います。国が発注する公共工事では、P点(経営事項評価点数)に加えて、過去の工事実績(技術評価点数)を合算した「総合点数」で等級が決まります。この記事では、その仕組みと実際の等級区分表を示します。
総合点数の仕組み:P点+技術評価点数
国土交通省地方整備局等の直轄工事における入札参加資格の等級は、「総合点数」の多寡で決まります。総合点数の算定式は次のとおりです。
総合点数 = 経営事項評価点数 + 技術評価点数
出典: 国交省地方整備局等「建設工事 競争参加資格審査申請書作成の手引き-令和7・8年度版-」より
この資格審査の根拠は「工事請負業者選定事務処理要領」(昭和41年12月23日付け建設省厚第76号)です。同要領にもとづき、希望する工事種別ごとに客観的事項(経営事項評価点数)と主観的事項(技術評価点数)の審査を行い、両者を合算した総合点数を算出します。
経営事項評価点数は経審のP点と同じ算式(「0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W」)で求めます。
ただし地方整備局は22の工事種別区分、経審のP点は29の建設工事の種類区分と、区分の粒度が異なるため、両者の値に差が生じる場合があります。どの許可でどの工種区分を申請できるかは国交省入札の希望工種区分22種と建設業許可の対応表で確認できます。
主観的事項(技術評価点数)は、審査基準日の前日までの4年間に完成した希望工種区分ごとの工事成績等にもとづいて算定されます。令和7・8年度の資格審査における主観的事項の審査基準日は令和6年10月1日で、その前日までの4年間の工事成績等が対象です。
算定対象は当該地方整備局の発注工事だけではなく、各地方整備局・大臣官房官庁営繕部発注の工事成績等と、都道府県発注の工事成績です。他の地方整備局や都道府県で該当工種の実績があれば、それらも算定対象になります。
なお、許可換え等により総合評定値通知書の建設業許可番号から変更があった場合は変更届の提出が必要です。届出が無いと工事成績等が正しく反映されないため注意してください(同手引きより)。
経営事項評価点数(22工事種別)と総合評定値P(29業種)が一致しない理由
地方整備局が算定する「経営事項評価点数」と、経審(経営事項審査)で通知される「総合評定値(P)」は、同じ算式(0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W)で求めますが、区分の単位が異なるため一致しないことがあります。手引きには次のように明記されています。
「国土交通省地方整備局で定める上記経営事項評価点数は、22の工事種別(20ページ参照)ごとに算定しているのに対して、建設業法上の経営事項審査の総合評点は29の建設工事の種類ごとに算定しているため、経営事項評価点数と経営事項審査の総合評定値(P)に差が生じる場合があります」
(出典: 国交省地方整備局等「建設工事 競争参加資格審査申請書作成の手引き-令和7・8年度版-」より)
つまり、地方整備局が入札参加資格審査で使う経営事項評価点数は22の工事種別区分ごとに算定され、経審の総合評定値Pは建設業法上の29の建設工事の種類区分ごとに算定されます。
区分の粒度が異なるため、同じ企業でも工事種別によっては両者の点数がぴったり一致しない場合があります。どの許可(建設業許可の29業種)がどの工種区分(地方整備局の22種)に対応するかは国交省入札の希望工種区分22種と建設業許可の対応表で確認できます。
本サイトの入札参加資格ランクの目安計算は、経審の総合評定値P(29業種区分)をもとに「技術評価点数を考慮しない下限の等級」を試算するものです。実際に地方整備局へ資格審査を申請する際の経営事項評価点数は22工事種別区分で別途算定されるため、試算結果と実際の資格審査結果が一致しない場合があります。正式な等級・点数は各地方整備局の資格審査結果を確認してください。
6工種の等級区分表(関東地方整備局)
関東地方整備局の令和7・8年度の等級区分別総合点数は、工種ごとに以下のとおりです。関東地方整備局で等級区分が設けられているのはこの6工種のみです。等級区分を設定している工事種別と区分の数は、地方整備局によって異なる場合があります。
| 工種 | A等級 | B等級 | C等級 | D等級 |
|---|---|---|---|---|
| 一般土木工事 | 3,040点以上 | 2,630〜3,040点未満 | 1,660〜2,630点未満 | 1,660点未満 |
| アスファルト舗装工事 | 2,450点以上 | 1,730〜2,450点未満 | 1,730点未満 | - |
| 造園工事 | 1,100点以上 | 1,100点未満 | - | - |
| 建築工事 | 2,950点以上 | 2,180〜2,950点未満 | 1,550〜2,180点未満 | 1,550点未満 |
| 電気設備工事 | 2,360点以上 | 1,560〜2,360点未満 | 1,560点未満 | - |
| 暖冷房衛生設備工事 | 2,210点以上 | 1,140〜2,210点未満 | 1,140点未満 | - |
出典: 関東地方整備局「令和7・8年度一般競争(指名競争)参加資格における等級区分別総合点数」。この表の点数は総合点数(経営事項評価点数+技術評価点数)であり、P点単独の基準ではない点に注意してください。
等級ごとの予定価格の区分(関東地方整備局・6工種)
関東地方整備局の等級区分別総合点数の表には、総合点数の列と並んで「予定価格」の列があり、等級ごとに予定価格の区分が対応づけられています。総合点数の表だけでは「A等級・B等級がどの金額帯の工事に当たるか」が分からないため、6工種の予定価格の区分を工種ごとに整理します。金額はいずれも予定価格の区分です。
- 一般土木工事・建築工事(2工種は同じ金額帯):A等級は8億2,000万円以上/B等級は3億4,000万円以上8億2,000万円未満/C等級は7,000万円以上3億4,000万円未満/D等級は7,000万円未満
- アスファルト舗装工事:A等級は1億4,000万円以上/B等級は6,000万円以上1億4,000万円未満/C等級は6,000万円未満
- 造園工事:A等級は3,000万円以上/B等級は3,000万円未満
- 電気設備工事・暖冷房衛生設備工事(2工種は同じ金額帯):A等級は2億3,000万円以上/B等級は6,000万円以上2億3,000万円未満/C等級は6,000万円未満
同じ「A等級」でも、工種によって対応する予定価格の区分は異なります。たとえば一般土木工事のA等級は8億2,000万円以上、アスファルト舗装工事のA等級は1億4,000万円以上、造園工事のA等級は3,000万円以上です。自社の総合点数を上の表で等級に当てはめたあと、この一覧で同じ工種の金額帯を確認してください。
本サイトの入札参加資格ランクの目安計算でも、算出した等級に対応する金額帯を「発注標準(予定価格)」として同じ区分で表示します。個々の入札に参加できる等級や条件は、案件ごとの公告で確認してください。
出典: 関東地方整備局「令和7・8年度一般競争(指名競争)参加資格における等級区分別総合点数」の「予定価格」列。他の地方整備局では等級区分・金額帯が異なる場合があります。
技術評価点数0点の場合の注意点
一般土木工事・アスファルト舗装工事・造園工事の3工種には、重要な例外規定があります。技術評価点数が0点の場合、総合点数が上位等級の基準を満たしていても、区分表に関係なく最下位等級(関東地方整備局では一般土木はD等級、舗装はC等級、造園はB等級)で認定されます(建築工事・電気設備工事・暖冷房衛生設備工事の3工種にはこの規定はありません)。
一般土木・舗装・造園の3工種では、P点(経営事項評価点数)だけが高くても、算定された技術評価点数が0点なら自動的に最下位等級からのスタートになります。当該地方整備局の実績がなくても、他の地方整備局・大臣官房官庁営繕部・都道府県発注の該当工種の工事成績が反映されるかを、申請前に確認してください。
競争参加資格審査(工事・コンサル)の定期受付とP点通知の関係
入札参加資格には、ここまで解説した国土交通省地方整備局等の資格とは別に、国の機関や高速道路会社等が共通の窓口で受け付ける建設工事及び測量・建設コンサルタント等業務の競争参加資格審査(インターネット一元受付)があります。
国土交通省ほか23機関(国の機関14・高速道路会社等10、計24機関)は、令和8年7月6日付の発表で、令和9・10年度を有効期間とするこの資格審査の定期受付を令和8年11月に開始するとしています。受付はインターネット一元受付システムで行われます。
なお、名称の似た「全省庁統一資格」は物品の製造・販売等に係る一般競争(指名競争)参加者の資格で、建設工事及び測量・建設コンサルタント等業務は対象外の別制度です。建設業の入札参加資格を取るときに申請するのは、上記の競争参加資格審査(工事・コンサル)のほうです。
受付期間:パスワード発行申請は令和8年11月2日(月)〜令和8年12月28日(月)、申請書データの受付は令和8年12月1日(火)〜令和9年1月15日(金)(国土交通省 令和8年7月6日付発表より)
建設工事の資格審査を申請するには経営事項審査の総合評定値(P)通知を受けていることが要件で、審査基準日が令和7年6月16日以降の総合評定値通知書(複数ある場合は最新のもの)が対象になります。
インターネット申請の場合は通知書の写しの提出は不要ですが、文書郵送・電子メール方式で申請する場合は写しの提出が必要です。自社の経審結果がこの基準日以降のものかどうかは、決算変更届や経審の申請スケジュールとあわせて早めに確認しておく必要があります。
本サイトの令和9・10年度資格準備チェックでは、パスワード発行申請・納税証明書の準備・申請書データ作成という3つの手続きの受付期間を一覧で確認できます。
なお、国土交通省地方整備局等の令和7・8年度の資格については、定期受付の終了後も随時受付が続いています。申請方法・経営事項審査の条件・資格の有効期間は競争参加資格の随時受付で解説しています。
確認した一次資料
- 国交省地方整備局等「建設工事 競争参加資格審査申請書作成の手引き-令和7・8年度版-」総合点数=経営事項評価点数+技術評価点数の算定方法、22工事種別(20ページ参照)と29業種区分の差、一般土木・アスファルト舗装・造園工事における技術評価点数0点時の最下位等級規定
- 関東地方整備局「令和7・8年度一般競争(指名競争)参加資格における等級区分別総合点数」一般土木・アスファルト舗装・造園・建築・電気設備・暖冷房衛生設備の6工種の等級区分別総合点数表と予定価格の区分
まとめ
- 入札参加資格の等級は、P点(経営事項評価点数)と技術評価点数(工事実績)を合算した総合点数で決まる。
- 関東地方整備局で等級区分があるのは一般土木・アスファルト舗装・造園・建築・電気設備・暖冷房衛生設備の6工種のみ。対象の工事種別と区分の数は地方整備局によって異なる場合がある。
- 等級ごとの予定価格の区分は工種で異なる(一般土木・建築のA等級は8億2,000万円以上、舗装は1億4,000万円以上、造園は3,000万円以上、電気設備・暖冷房衛生設備は2億3,000万円以上)。
- 一般土木・舗装・造園の3工種は、技術評価点数0点なら区分表に関係なく最下位等級になる。
- 競争参加資格審査(工事・コンサル、令和9・10年度)の定期受付は令和8年11月開始予定で、建設工事の審査には審査基準日が令和7年6月16日以降のP点通知書が必要になる。物品の「全省庁統一資格」とは別制度。
- 本サイトの入札参加資格ランクの目安計算では、P点から「技術評価点数を考慮しない下限の等級」を確認できる。
P点の計算方法は経審P点の計算方法、点数を上げる考え方は経審の点数を上げる方法を参照してください。
審査主体・有効期間・点数の違いは経審と入札参加資格の違いの比較表にまとめています。
評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。
よくある質問
- 入札参加資格のランク(等級)はP点だけで決まりますか?
- 決まりません。国土交通省・関東地方整備局の総合点数=経営事項評価点数(経審のP点にほぼ相当)+技術評価点数(過去4年間の工事成績等に基づく点数)の合算で決まります。P点が高くても、技術評価点数(実績)がなければ上位等級には届きません。
- 技術評価点数が0点だとどうなりますか?
- 一般土木工事・アスファルト舗装工事・造園工事の3工種は、技術評価点数が0点の場合、総合点数が上位等級の基準を満たしていても区分表に関係なく最下位等級で認定されます。建築工事・電気設備工事・暖冷房衛生設備工事の3工種にはこの規定はありません(国交省地方整備局等の手引きより)。
- この等級区分表はどの発注者のものですか?
- 国土交通省・関東地方整備局の直轄工事(令和7・8年度)の基準です。他の地方整備局・都道府県・市区町村発注は基準表が異なります。本サイトの入札参加資格ランク計算ツールで、6工種の目安を確認できます。
公開日: 2026-07-13 / 最終更新日: 2026-10-12
P点から国交省・関東地方整備局の等級目安を確認(無料・登録不要):入札参加資格ランクの目安計算を使う
他の都道府県・政令指定都市のガイドを探す(地域別ガイド一覧)
専門書で詳しく確認したい場合
PR制度の背景や申請実務を書籍でまとめて確認したい方向けです。
事業者ご自身が入力する概算の試算です。申請の代行・作成支援や個別相談は行っていません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。算定方法・出典・免責

