ガイド

経審の点数を上げる方法|P点の差分と実行条件から優先順位を決める

点数だけでなく、費用・期間・証明要件まで比較して対策を選びます。

国土交通省の告示・通知
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

経審のP点対策は、配点が大きい項目だけを選べばよいわけではありません。現在値からどれだけP点が動くか、審査基準日までに実行できるか、必要書類で証明できるか、事業上も合理性があるかを比較します。区分表の境界は計算式の切替点ですが、境界を越えた瞬間に点数が不連続に跳ねるものではありません。

区分表の境界を正しく読む

X1(完成工事高)・X2(自己資本額等)・Z(技術力)は、金額や技術職員数値を区分表に当てはめ、区分ごとの計算式で評点を求めます。境界をまたぐと式の係数と切片が変わるため、入力に対する評点の増え方(傾き)が変わります。

区分の境界で評点が不連続に大きく跳ねる仕組みではありません。境界は次の式へ切り替わる位置であり、現在値から候補値までの増加分全体で効果を比較します。

たとえば年間平均完成工事高3億円のX1は842点、4億円では884点で、1億円の増加全体による差は42点です。P点ではX1に25%のウェイトが掛かるため、ほかの条件を固定したモデルではP点差は約11点になります。「4億円の線を1円越えた瞬間にX1が42点増える」という意味ではありません。

優先順位を決める4つの基準

候補を比較するときは、次の4点を同じ表に並べます。

  1. P点の増加幅:現在値から一項目だけ変更し、変更前後のP点差を確認する。
  2. 費用と経営上の効果:採用、資格取得、保険加入、認証取得、設備投資などの費用を、経審以外の効果も含めて判断する。
  3. 必要期間:審査基準日までに加入・取得・在籍などの要件を満たせるか確認する。
  4. 証明可能性:資格証、加入証明、契約書、認証書、財務諸表などで申請内容を裏付けられるか確認する。

P点差が大きくても、次回審査基準日までに要件を満たせない施策は今回の申請には使えません。反対に、P点差が小さくても、本業上必要な投資や制度加入であれば優先する合理性があります。

項目別にできること・できないこと

P点を構成する項目ごとの検討内容と注意点
項目主な検討内容注意点
X1 完成工事高受注・施工体制、2年平均と3年平均の比較実態のある完成工事高が前提。業種間の付け替えは不可
X2 自己資本・利益利益確保、内部留保、基準決算と2期平均の比較決算確定後に都合よく動かせる数字ではない
Y 経営状況8つの財務指標を継続的に改善一つの指標だけでなく全体への影響を確認
Z 技術力有資格者の採用、既存職員の資格取得、元請実績資格と対象業種、審査基準日時点の在籍を確認
W 社会性等各種制度加入、防災協定、CCUS就業履歴機械ISO項目ごとに基準日・対象範囲・証明書類が異なる

X1とZはP点で各25%とウェイトが大きい一方、売上や人員は短期の点数対策だけで増やせるものではありません。Wには手続きで対応できる項目がありますが、加入・協定・認証の実態と証明が必要です。

実測例:完成工事高と技術職員

完成工事高3億円を4億円へ増やしたモデルでは、X1は842点から884点へ42点、P点は約11点上がります。売上1億円の増加が必要なため、P点差だけを見て施策の難易度を判断することはできません。

完成工事高3億円・技術職員6名(1級1名・2級2名・その他3名)のモデルケースで、1級技術者を1人増やして試算すると、P点は+13点上がります(本サイトのエンジンで実測)。

この比較では技術職員1名のほうがP点差は大きいものの、採用費・人件費、対象業種の資格、在籍要件を満たす必要があります。既存職員が上位資格を取得する場合は人数を増やさず技術職員数値を上げられますが、合格・登録の時期と審査基準日を確認します。

自社で比較する手順

  1. 現状値を保存:最新の決算書、経営状況分析結果、技術職員名簿、W点資料から基準ケースを入力する。
  2. 一項目ずつ変更:複数項目を同時に動かさず、何が何点に効いたかを分けて確認する。
  3. 複数案を比較:完成工事高の平均年数、自己資本の選択、資格取得、W点施策などを候補化する。
  4. 証明書類を確認:申請先の最新手引きで、審査基準日と添付書類の要件を確認する。
  5. 入札側の効果を確認:P点差が希望工種の等級・順位に影響するか、発注者の資格審査基準で確認する。入札参加資格ランク(等級)の目安計算で概算を確認できます。

P点が上がっても、発注者の等級境界を越えない場合や、主観点を含む総合点で順位が変わらない場合があります。最終目標はP点そのものではなく、参加したい発注区分で必要な条件を満たすことです。

虚偽申請と数字の付け替えは不可

完成工事高を実態と異なる業種へ計上する、在籍・資格要件を満たさない者を技術職員名簿へ載せる、対象範囲外の認証をW点へ計上するなど、事実と異なる申請はできません。経審の申請書は記載事項が事実に相違ないことを前提に提出します。

点数対策は、実際の経営改善や人材育成、制度加入の結果として行います。判断に迷う工事区分、実務経験、組織再編などは、申請前に許可行政庁または専門家へ確認してください。

確認した一次資料

まとめ

  • 区分境界では計算式の傾きが変わるが、評点が不連続に跳ねるわけではない。
  • P点差、費用、必要期間、証明可能性の4点で施策を比較する。
  • 技術職員の増員・資格取得は効果が出やすいが、対象業種と基準日時点の要件がある。
  • P点だけでなく、発注者の等級・順位へ実際に影響するか確認する。

完成工事高・技術者数・自己資本をそれぞれ動かすとP点が何点変わるかはP点の早見表で実測値を並べています。P点全体の計算方法は経審P点の計算方法、W点の内訳はW点(社会性等)とはを参照してください。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

経審の点数は区分の境界で急に上がるのですか?
区分ごとに計算式の傾きは変わりますが、境界で評点が不連続に跳ねる仕組みではありません。例えば完成工事高3億円から4億円への増加ではX1が842点から884点へ42点上がりますが、これは1億円の増加全体による変化です。
どの項目から手をつけるのが効率的ですか?
現在値から各項目を一つずつ動かし、P点の増加幅、実行費用、必要期間、審査基準日時点で証明できるかを比較します。点数だけでなく、W点の加入・認証要件や技術職員の資格・在籍要件まで確認して優先順位を決めます。
技術職員を1人増やすとどれくらい点数が上がりますか?
モデルケース(完成工事高3億円・技術職員6名)で1級技術者を1人増やすと、P点は+13点上がります(本サイトのエンジンで実測)。技術力(Z)の重みは0.25と大きいため、資格者の増員は効果が出やすい項目です。

令和8年新基準・改正前基準を新旧比較で無料試算(無料・登録不要):経審P点シミュレーターを使う

本ツールは事業者ご自身が入力・利用する試算です(申請の代行・作成支援は行っていません)。個別のご相談は承っておりません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。数値は概算であり、実際の申請前に専門家へご確認ください。算定方法・出典・免責