経審の営業年数とは|数え方(起算点・端数・休業の控除)と点数表
建設業の許可を受けて営業してきた年数がそのまま加点になります。ただし6年未満は0点です。
国土交通省の告示・通知営業年数は、経審のW2(建設業の営業継続の状況)の評価項目です。建設業の許可を受けて営業してきた年数がそのまま点数になる、努力ではなく時間が積み上げる珍しい加点項目です。この記事では、点数の仕組みと、起算点・端数処理・控除という「数え方」のルールを解説します。
点数の仕組み:6年2点から35年60点まで
営業年数の点数は次の構造です。
- 6年未満:0点
- 6年:2点。以降1年ごとに2点ずつ増える
- 35年以上:60点で頭打ち
たとえば15年なら20点、25年なら40点です。創業から35年までは、何もしなくても毎年2点ずつW点の材料が積み上がっていくことになります。
営業年数の数え方:起算点・端数処理・控除
営業年数は、単に「創業から何年経ったか」ではありません。経審の実務では、次のルールに従って数えます(根拠:国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて」通知)。
① 起算点:建設業の許可又は登録を受けた時から
営業年数は、建設業法による許可又は登録を受けた時から審査基準日までの期間として計算します。創業年や個人事業としての営業開始時期ではなく、あくまで建設業の許可(または登録)を取得した日が起点です。
② 年未満の端数は切り捨て
起算点から審査基準日までの期間に1年未満の端数があるときは、切り捨てます。13年11か月でも13年として扱われるため、審査基準日の直前に許可を取り直すといった調整で端数が切り上がることはありません。
③ 営業休止期間・許可失効後の無許可営業期間は控除(ゼロリセットではない)
営業を休止していた期間(建設業の許可又は登録を受けずに営業していた期間を含む)は、営業年数から控除します。申請様式の記入要領(茨城県土木部監理課「経営事項審査の手引き(令和7年8月一部修正)」)は、この控除の対象を「一時停止(建設業の許可又は登録の更新を行わず、許可又は登録の失効後無許可(登録)で営業を行っていた期間を含む)」と具体的に定めています。
④ 民事再生・会社更生の手続終結後は、そこから起算し直す(ゼロリセット)
平成23年4月1日以降の申立てに係る民事再生手続又は会社更生手続の開始決定を受け、かつ審査基準日以前に手続終結の決定を受けた場合は、営業年数はその終結決定を受けた時から起算し直します。記入要領は「再生(更生)手続終結決定により営業年数を0年にリセットし、新たにカウントする」と明記しており、③の休止期間の控除とは異なり、こちらは文字どおりのゼロリセットです。
民事再生法・会社更生法の適用を受けている間は、営業年数の起算し直しとは別に「民事再生法又は会社更生法の適用の有無」という項目で-60点の減点対象にもなります(次の章を参照)。
⑤ 組織変更・事業承継・合併の特例
商業登記法上の組織変更、または建設業の譲受けの経歴があり、その前にすでに建設業の許可又は登録を有していた場合は、その許可又は登録を受けた時が起算点になります(通知3(2)イ③)。個人事業から法人成りした場合や、グループ内の別法人が事業を承継した場合に関わるルールです。
記入要領はこれに加えて、合併の経歴を持つ企業体では、合併前の各企業体のうち許可又は登録年月が最も古いものを起算点とすると定めています(茨城県土木部監理課「経営事項審査の手引き」)。
数え方の計算例:許可日と決算日から営業年数を出す
次の仮の会社で、上のルールを順に当てはめます(日付は説明用の例です)。
- 建設業の許可を受けた日:2012年10月15日
- 決算日:3月31日(審査基準日は2026年3月31日)
- 休業していた期間:2018年4月1日から2019年3月31日までの1年間
| 手順 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 起算点から審査基準日まで | 2012年10月15日〜2026年3月31日 | 13年5か月 |
| 休業期間を差し引く | 13年5か月−1年 | 12年5か月 |
| 年未満を切り捨てる | 12年5か月→12年 | 12年 |
| 点数にする | (12−5)×2点 | 14点 |
休業がなければ13年(16点)です。次の決算日(2027年3月31日)が審査基準日になると、休業を差し引いても13年5か月となり、営業年数は13年(16点)に1年増えます。決算日をまたぐと年数が切り替わる点に注意してください。
この計算例は上記通知の規定(起算点・端数切り捨て・休止期間の控除)を当てはめた説明用で、実際の年数は許可行政庁が提出書類(許可年月日・休業期間の記載)で確定します。
P点への効き方(実測)
本サイトのモデルケース(年間完成工事高3億円・技術職員6名の小規模建設業者)で、営業年数だけを変えて実測すると次のとおりです。
| 営業年数 | 総合評定値P(令和8年新基準) |
|---|---|
| 5年(6年未満=0点) | 693点 |
| 14年 | 717点 |
| 15年 | 719点 |
| 25年 | 745点 |
| 35年(頭打ち) | 772点 |
本サイトの計算エンジンで実測(評点テーブルは国土交通省の公式資料と照合済み)。
5年と35年ではP点にして79点の差になります。業歴の長い会社が同規模の若い会社よりP点で優位に立つ構造は、この項目から生まれています。1年違うだけの14年と15年でもP点は717点→719点で+2点動くため、審査基準日をまたいで1年分の年数が積み増せるかどうかは、端数を切り捨てる②のルールと合わせて意識しておく価値があります。
この60点(生の営業年数点)は、そのままP点に足されるわけではありません。W1〜W8の合計点数をW評点へ換算し、さらに総合評定値Pでは15%のウェイトで反映されます。
営業年数のW2点が総合評定値Pへ換算される流れはP点の計算の仕組み、決算日から受審時期を逆算するときは経審の有効期間と逆算スケジュールで確認できます。
注意点:民事再生・会社更生の減点
営業年数そのものとは別に、W2には「民事再生法又は会社更生法の適用の有無」という項目があります。
この手続終結を受けた場合の営業年数の起算し直しは、前章④で解説したとおりです。許可の更新期限・失効リスクは建設業許可の更新は5年ごとで解説しています。
W点全体の構成は『経審のW点(社会性等)とは』、すぐに動かせる加点項目は『建退共の加点』・『建設機械の加点』、加点項目全体の優先順位は『W点を上げる方法』を参照してください。
確認した一次資料
- 国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて」通知(令和8年改正反映版)3(2)イ:営業年数の起算点・年未満の端数切り捨て・再生/更生手続終結後の起算し直し・休止期間の控除・組織変更/譲受けの特例
- 茨城県土木部監理課「経営事項審査の手引き(令和7年8月一部修正)」項番55「営業年数」の記入要領:許可失効後の無許可営業期間の扱い、合併の経歴を持つ企業体の起算点の定め方、民事再生・会社更生手続終結によるゼロリセットの明記
まとめ
- 営業年数は6年未満0点・6年2点から1年2点刻み・35年以上60点で頭打ち。
- 起算点は「建設業の許可又は登録を受けた時」から審査基準日まで。1年未満の端数は切り捨てる。
- 営業休止期間・許可失効後の無許可営業期間は控除されるが、ゼロリセットではない。積み上げた年数は再度許可を得た後も通算される。
- 民事再生・会社更生の手続終結を受けた場合だけは、終結決定日から営業年数をゼロで起算し直す。
- モデルケースの実測では、5年と35年でP点に79点の差(693点→772点)。14年→15年でも+2点(717点→719点)。
- 自社の年数での点数は経審P点シミュレーターで実測できる。
- 営業年数によるP点差が入札参加資格の等級にどう影響するかは入札参加資格ランクの目安計算で確認できる(無料・登録不要)。
評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。
よくある質問
- 営業年数は何年からP点に効きますか?
- 6年からです。6年未満は0点ですが、6年で2点になり、以降1年ごとに2点ずつ増えます。35年以上は60点で頭打ちになります。
- 営業年数だけでP点はどれだけ変わりますか?
- 本サイトのモデルケースの実測では、5年(6年未満で0点)と35年(頭打ち)でP点に79点の差が出ました(693点→772点)。14年から15年でも717点→719点で+2点動きます。業歴の長い会社が同規模の若い会社よりP点で優位に立つ主な理由の一つです。
- 建設業許可を更新せず失効させると、営業年数はゼロにリセットされますか?
- されません。失効してから再び許可を取得するまでの空白期間(休止していた期間、または無許可のまま営業していた期間)が営業年数から控除されるだけで、それ以前に積み上げた年数は再度許可を得た後も通算されます。ゼロから数え直すのは、民事再生法又は会社更生法の手続終結の決定を受けた場合だけです。
公開日: 2026-07-14 / 最終更新日: 2026-10-09
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