公共工事の制度

品確法(公共工事の品質確保の促進に関する法律)とは|発注者・受注者の責務と入札で見られる項目

第3条の基本理念、第7条の発注者の責務、第8条の受注者の責務、第12・13条の入札参加者の審査を、条文にそって整理します。

第7・8・12・13条を中心に
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

品確法は、公共工事の品質を、価格だけでなく技術的能力や担い手の育成も含めて確保するための法律です。公共工事の入札や契約の事務で「適正な工期」「設計変更」「物価の変動に応じた請負代金の変更」「若手の技術者や建設機械の保有を評価する」といった考え方が出てくるとき、その根拠の多くはこの法律の第7条、第8条、第12条、第13条にあります。この記事は、条文の文言どおりに、発注者と受注者の責務と、入札参加者に対する審査の内容を一覧にします。個別の工事への当てはめは、発注者の入札公告や契約書で確認してください。

基本理念:価格以外の要素も見る(第3条)

第3条第2項は、公共工事の品質について、工事が使われて初めて品質を確認できること、受注者の技術的能力に負うところが大きいことなどを挙げます。そのうえで、経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素も考慮し、価格と品質が総合的に優れた内容の契約がされることで確保されなければならないと定めます。

第3条は、ほかにも次の点を基本理念として挙げています。

  • 担い手の育成(第3項):施工技術を持つ者が、中長期的に育成され確保されること。
  • 下請も含めた公正な契約(第9項):下請契約の当事者が、対等な立場の合意に基づいて、労務の取引価格や保険料を的確に反映した適正な額の請負代金と適正な工期を定め、請負代金をできる限り速やかに支払うこと。
  • 入札・契約の適正化(第10項):透明性と競争の公正性の確保、談合などの排除、適正な実施が通常見込まれない契約の締結の防止。

公共工事の品質は、価格だけでなく技術的能力や担い手の確保も含めて確保する、という考え方が法律の出発点です。

発注者に求められること(第7条)

第7条第1項は、発注者が、仕様書や設計書の作成、予定価格の作成、入札と契約の方法の選択、契約の相手方の決定、監督と検査などの発注関係事務を、次に定めるところによる等適切に実施しなければならないと定めます。受注者の実務に関わる主な項目を表にまとめます。

第7条第1項に定められた発注者の事務のうち、受注者の実務に関わる項目
号内容(条文の要点)受注者の実務で関わる場面
第1号適正な利潤を確保できるよう、労務・資材の取引価格や保険料などを勘案して予定価格を適正に定める積算と予定価格の水準
第5号適正な実施が通常見込まれない契約を防ぐため、基準や最低制限価格の設定などの措置を講じる低入札価格調査・最低制限価格
第7号地域の担い手の育成のため、競争参加の資格や工事の規模などの入札に関する事項を適切に定める入札参加資格の条件
第10号計画的な発注と、翌年度にわたる工期の設定などで、工事の実施時期の平準化を図る発注時期・工期の見通し
第11号休日、準備期間、天候などの事由で施工が困難と見込まれる日数を考慮し、適正な工期を設定する週休二日工事・時間外労働の上限と工期
第12号施工条件を設計図書に明示し、現場の状態と一致しない場合などに、設計図書と請負代金・工期を適切に変更する設計変更・工期延長の協議
第13号契約に、労務・資材の取引価格の変動に基づく請負代金の額の変更とその算定方法の定めを設け、変動が生じたら適切に変更するスライド条項の請求

出典は、e-Govの公共工事の品質確保の促進に関する法律第7条です。この表は要点の抜粋で、各号には条文の細かい要件があります。実際の契約への当てはめは、契約書と発注者の運用基準で確認してください。

第7条第1項の事項は、発注者が実施する事務の定めです。受注者が個別の契約でどの請求ができるかは、契約書の条項と発注者の基準で決まります。

受注者に求められること(第8条)

第8条は、受注者側の責務を定めています。

  • 第1項:受注者は、基本理念にのっとり、契約された公共工事を適正に実施しなければならない。
  • 第2項:公共工事を実施する者は、下請契約を締結するとき、下請負人に使用される技術者や技能労働者の賃金、労働時間、休日などの労働条件と労働環境が適正に整備されるよう、労務の取引価格や保険料などを的確に反映した適正な額の請負代金と適正な工期を定める下請契約を結ばなければならない。
  • 第3項:公共工事を実施する者は、必要な技術的能力の向上、情報通信技術を活用した生産性の向上、技術者や技能労働者の育成と確保に努める。
  • 第4項:公共工事を実施する者は、使用する者の能力に応じた適切な処遇を確保し、外国人を含む多様な人材が能力を発揮できるよう、雇用管理の改善に努める。

下請契約の条件に関わる第2項は、元請の事務担当者が下請契約書を作るときの基準になります。下請に出す前の確認は法定福利費の見積書の記載が参考になります。

入札参加者に対する審査(第12・13条)

入札に参加する側にとって、発注者がどの観点で審査するかを定めているのが第12条と第13条です。

入札参加者の審査に関する条文
条発注者に求められること審査・評価の対象として挙げられている事項
第12条競争に付するときは、参加しようとする者の技術的能力を審査しなければならない工事等の経験、施工状況等の評価、配置が予定される技術者の経験または資格
第13条工事の性格や地域の実情に応じ、参加する者を適切に審査または評価するよう努めなければならない若年の技術者・技能労働者の育成と確保の状況、建設機械の保有の状況、災害時における工事の実施体制の確保の状況

第12条は審査をしなければならない義務、第13条は審査または評価するよう努める努力義務です。条文の書き分けのとおり、第13条の事項は、発注者によって点数に反映する度合いが異なります。

経審・入札参加資格との関係

第13条が挙げる「若年の技術者・技能労働者の育成と確保」「建設機械の保有」「災害時の工事の実施体制」は、経営事項審査の審査項目に通じる分野です。経審では、それぞれ次の項目が対応します。

第13条の事項と、経審のその他社会性(W)の項目
第13条の事項経審の項目詳しい解説
若年の技術者・技能労働者の育成と確保若年の技術職員の継続的な育成及び確保若年技術職員の加点
建設機械の保有の状況建設機械の保有状況建設機械の加点
災害時における工事の実施体制防災活動への貢献(防災協定の締結)防災協定の加点

これは分野の対応を示した表で、条文が経審の項目を直接指定しているわけではありません。経審の評点は、国土交通大臣が定める基準で計算されます。自社の評点への影響は、経審P点シミュレーターで概算できます。正式な評点は、許可行政庁の審査結果が優先されます。

入札の方式によっては、経審の評点のほかに、発注者が独自の項目で技術力を評価します。方式ごとの違いは総合評価落札方式で確認できます。

まとめ

  1. 品確法は、価格と品質が総合的に優れた契約で公共工事の品質を確保する考え方を、第3条の基本理念で定めている。
  2. 第7条は発注者に、適正な予定価格、低入札の防止、適正な工期、設計変更、物価変動に応じた請負代金の変更などを求めている。
  3. 第8条は受注者に、契約の適正な実施と、下請に適正な額の請負代金と工期を定めることを求めている。
  4. 第12条は技術的能力の審査の義務、第13条は若年の担い手・建設機械・災害時体制の評価の努力義務で、経審の社会性の項目と分野が重なる。

次に知りたいこと

よくある質問

品確法とは何を定めた法律ですか?
公共工事の品質を、価格だけでなく技術的能力や担い手の育成も含めて確保するための法律です。第3条の基本理念で、価格と品質が総合的に優れた内容の契約によって品質を確保することを定めています。
品確法で発注者が行うべきとされている事務は何ですか?
第7条第1項に、適正な予定価格の作成、適正な工期の設定、設計変更に伴う請負代金や工期の変更、物価変動に基づく請負代金の変更、低入札を防ぐ措置などが定められています。各号の細かい要件は条文で確認してください。
品確法は下請契約についても定めていますか?
第8条第2項が、公共工事を実施する者に、下請契約で労務の取引価格や保険料を的確に反映した適正な額の請負代金と適正な工期を定めることを求めています。第3条第9項にも同じ趣旨の基本理念があります。
品確法の第12条と第13条は何が違いますか?
第12条は、発注者が競争参加者の工事の経験や配置予定技術者の経験・資格などの技術的能力を審査しなければならないと定めます。第13条は、若年の担い手の育成、建設機械の保有、災害時の体制を審査または評価するよう努めると定める努力義務です。
品確法の条文は経審の項目をそのまま指定していますか?
指定していません。第13条が挙げる若年の担い手の育成、建設機械の保有、災害時の体制は、経審のその他社会性(W)の項目と分野が重なりますが、経審の評点は国土交通大臣が定める基準で計算されます。
品確法の条文はどこで確認できますか?
e-Gov法令検索で、公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成17年法律第18号)の本則を確認できます。この記事は2026年10月25日に取得した条文にもとづきます。改正されることがあるため、最新の条文を確認してください。

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