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国交省直轄工事の総合評価落札方式|施工能力評価型・技術提案評価型の違いと評価値の計算(除算方式)

評価値は「技術評価点÷入札価格」、技術評価点は標準点100点+加算点+施工体制評価点です。2つの類型の違いと、施工能力評価型の配点を、国交省の運用ガイドライン(2023年3月)から整理します。

国土交通省の運用ガイドライン
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

国土交通省の直轄工事は、価格だけでなく価格以外の要素も点数にして落札者を決める「総合評価落札方式」で発注されます。国交省のガイドラインは、近年の直轄工事のほとんどが一般競争入札・総合評価落札方式を適用していると説明しています。この記事は、2023年3月の運用ガイドラインから、落札者を決める評価値の計算、2つの類型の違い、施工能力評価型の配点を整理したものです。経営事項審査(経審)の点数との関係も、ガイドラインの記載に沿って確認します。

総合評価落札方式とは

国交省のガイドラインは、総合評価落札方式を、価格と価格以外の要素(品質など)を総合的に評価して落札者を決定する方式と説明しています。背景には、平成17年4月に施行された公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)があります。

「公共工事の品質は、経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮し、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならない」(品確法の基本理念。ガイドラインが引用)

ガイドラインによると、この基本理念のもとで、総合評価落札方式の適用は公共工事の品質確保のための主要な取組として位置付けられました。

評価値の計算:除算方式と技術評価点

落札者は、原則として評価値が最も高い者です。評価値の求め方には、技術評価点を入札価格で割る「除算方式」と、技術評価点と価格評価点を足す「加算方式」の2つがあり、国交省の直轄工事(港湾空港関係を除く)では除算方式を使うと書かれています。

評価値と技術評価点(国交省直轄工事・港湾空港関係を除く)
用語内容
評価値技術評価点を入札価格で除して求める(除算方式)。値が最も高い者が落札者
技術評価点標準点+加算点+施工体制評価点
標準点入札説明書等の要求要件を満足する者に一律100点を与える。満足しない場合は不合格
加算点評価項目について、各競争参加者の技術力等に応じて付与される点数
施工体制評価点要求要件を実現できる施工体制かを審査・評価して付与する点数。施工体制確認型を適用する工事で使う

入札価格が低いほど、技術評価点が高いほど、評価値は高くなります。標準点が全員一律の100点なので、加算点の差と入札価格の差が、評価値の差を決めます。

計算の例(架空の数字)

次の2社を仮定します。数字は計算の流れを示すための架空のもので、実際の工事の点数や価格ではありません。

評価値の計算例(架空の数字)
標準点加算点技術評価点入札価格評価値(技術評価点÷入札価格の億円数)
A社100201200.90億円約133.3
B社100101100.80億円137.5

A社は技術評価点が10点高いものの、B社の入札価格が0.10億円低いため、評価値はB社のほうが高くなります。このように、加算点で差がついても、入札価格の差で順位が入れ替わります。

施工体制評価点は、この例では0点(施工体制確認型でない工事)と仮定しています。実際の評価値の計算は、工事ごとの入札説明書に従います。

2つの類型:施工能力評価型と技術提案評価型

ガイドラインは、総合評価落札方式を、工事の特性(工事内容・規模・要求要件など)に応じて「技術提案評価型」と「施工能力評価型」に大別しています。

2つの類型(国交省運用ガイドライン2023年3月)
類型対象となる工事評価の中身
施工能力評価型技術的工夫の余地が小さい工事発注者の仕様に基づき、適切で確実な施工を行う能力を確認する。企業の能力等(施工実績・工事成績・表彰等)と技術者の能力等で評価する。施工計画も審査するⅠ型と、審査しないⅡ型がある
技術提案評価型技術的工夫の余地が大きい工事構造上の工夫や特殊な施工方法などの技術提案を求め、技術提案と価格を総合評価する。A型とS型がある

技術提案評価型のうちA型は、発注者と競争参加者の技術対話で技術提案を改善し、技術提案に基づいて予定価格を作成します。S型は、発注者が標準案に基づいて算定した工事価格を予定価格とし、その範囲内で施工上の工夫などの技術提案を評価します。

ガイドラインの沿革の説明には、平成17年の体系として「簡易型」「標準型」「高度技術提案型」が出てきます。現行の2023年版では、類型は上の2つに大別されています。

施工能力評価型の配点

ガイドラインの表2-10は、類型ごとの配点割合を示しています。施工能力評価型の配点を、施工体制確認型の場合と、そうでない場合(かっこ内)に分けて並べます。

施工能力評価型の配点(施工体制確認型の場合。かっこ内は施工体制確認型でない場合)
評価の区分Ⅰ型Ⅱ型
企業の能力等20(15)20(15)
技術者の能力等20(15)20(15)
賃上げの実施に関する評価3(2)3(2)
施工計画点数化しない(原則「可」か「不可」のみ)提出を求めない

企業の能力等と技術者の能力等は配点割合が同じです。ガイドラインは、企業に蓄積する技術力や工事の支援体制と、監理技術者の能力の両方が重要だからと説明しています。

地域精通度等は企業の能力等の中で評価し、企業の能力等の配点の半分を超えない範囲で必要に応じて設定する。

技術提案評価型では、品質向上の観点から技術提案の配点を高く設定します。A型は、総合評価の段階では技術提案のみで評価する、とも書かれています。

経審の点数との関係

施工能力評価型で評価する「企業の能力等」は、ガイドラインでは企業の施工実績、工事成績、表彰等と説明されています。今回確認した2023年3月版の本文には、「経営事項審査」「経審」「総合評定値」の語は見当たりませんでした。経審の点数を加算点として使う旨の記載は確認できていません。

ガイドラインは、企業評価のあり方、定期の競争参加資格審査、工事ごとの競争参加資格の確認、総合評価落札方式の各段階の役割分担について、「今後検討が必要」としています。経審の点数は、競争参加資格を審査する段階で使われる点数です。経審と入札参加資格の関係は『経審と入札参加資格の違い』で整理しています。

この記事は国交省直轄工事のガイドラインの整理です。都道府県・市町村の工事の評価項目や配点は発注団体ごとに異なるため、入札公告・入札説明書で確認してください。個別の工事の入札方法を助言するものではありません。

発注者が通知する工事成績評定の対象・通知・説明請求は『国交省直轄工事の工事成績評定』で整理しています。

確認した一次資料

確認日は2026年10月7日です。国土交通省の入札・契約のページには、本稿の確認時点で最新として2023年3月版が掲載されていました。その後の改定は、国土交通省の発表で確認してください。

まとめ

  1. 国交省直轄工事の総合評価落札方式は、評価値=技術評価点÷入札価格(除算方式)で、評価値が最も高い者が原則として落札者になる。
  2. 技術評価点は、標準点100点(一律)+加算点+施工体制評価点。
  3. 類型は技術提案評価型(A型・S型)と施工能力評価型(Ⅰ型・Ⅱ型)に大別され、施工能力評価型は技術的工夫の余地が小さい工事が対象。
  4. 施工能力評価型の企業の能力等と技術者の能力等は、どちらも20点(施工体制確認型でない場合は15点)。地域精通度は企業の能力等の配点の半分を超えない範囲。
  5. 2023年版の本文に経審の語は無く、経審の点数を加算点にする記載は確認できていない。

低い入札価格が調査の対象になる基準は国交省直轄工事の低入札価格調査基準、名簿に載る業者の見方は有資格業者名簿の見方で確認できます。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

総合評価落札方式とは何ですか?
国交省のガイドラインでは、価格と価格以外の要素(品質など)を総合的に評価して落札者を決定する方式です。品確法の基本理念のもとで、公共工事の品質確保の主要な取組と位置付けられています。
評価値はどのように計算しますか?
国交省の直轄工事(港湾空港関係を除く)では除算方式で、評価値は技術評価点を入札価格で除して求めます。評価値が最も高い者が原則として落札者になります。
技術評価点は何で決まりますか?
標準点、加算点、施工体制評価点の合計です。標準点は入札説明書等の要求要件を満足する者に一律100点を与える点数で、加算点は評価項目に応じて競争参加者ごとに付与されます。施工体制評価点は施工体制確認型の工事で使います。
施工能力評価型と技術提案評価型はどう違いますか?
施工能力評価型は技術的工夫の余地が小さい工事が対象で、企業の施工実績・工事成績・表彰等や技術者の能力等で評価します。技術提案評価型は技術的工夫の余地が大きい工事が対象で、技術提案と価格を総合評価します。
施工能力評価型の配点はどうなっていますか?
ガイドラインの表2-10では、企業の能力等と技術者の能力等がそれぞれ20点(施工体制確認型でない場合は15点)、賃上げの実施に関する評価が3点(同2点)です。地域精通度等は企業の能力等の配点の半分を超えない範囲で設定します。
経審の点数は総合評価の加算点になりますか?
今回確認した2023年3月版のガイドライン本文には、経営事項審査や経審の語がなく、経審の点数を加算点にする記載は確認できていません。施工能力評価型の企業の能力等は、施工実績・工事成績・表彰等と説明されています。

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