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国交省直轄工事の低入札価格調査基準|計算式(直接工事費×0.97など)と予定価格の7.5〜9.2割の範囲

国土交通省が発注する工事の低入札価格調査基準の計算式、令和4年4月の一般管理費等の改定(0.55→0.68)、基準を下回ったときの調査までを、国交省の公表資料から整理します。

国土交通省の公表資料
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

低入札価格調査基準は、入札価格が極端に低いときに「契約の内容に適合した履行がされないおそれ」がないかを調べるための基準の価格です。国土交通省が発注する工事では、官積算(発注者の積算)の内訳に決まった率を掛けて足し上げる計算式で決まります。この記事は、国交省の令和4年2月24日の公表資料にある計算式と、その前の改定の経緯を整理したものです。経営事項審査(経審)の点数とは別の制度で、基準価格を示す資料ではなく、入札価格の決め方を助言するものでもありません。

低入札価格調査基準とは

国交省の資料は、低入札価格調査基準を、予算決算及び会計令第85条に規定された「当該契約の内容に適合した履行がされないこととなるおそれがあると認められる場合」の基準だと説明しています。

「この基準に基づいて算出した価格を下回った場合には、履行可能性についての調査を実施」し、「履行可能性が認められない場合には、落札者としない」(国土交通省「低入札価格調査基準の計算式の改定について」より)

基準を下回ると直ちに失格になるわけではなく、まず履行可能性の調査に進みます。落札者としないのは、調査で履行可能性が認められなかった場合です。

国交省の計算式と範囲

令和4年4月1日以降に入札公告を行う工事から適用されている計算式は、次の4項目に率を掛けて合計し、消費税を加える形です。

低入札価格調査基準の計算式(令和4年4月1日以降に入札公告を行う工事)
官積算の項目掛ける率
直接工事費0.97
共通仮設費0.90
現場管理費0.90
一般管理費等0.68

上の4項目の合計額に消費税を掛けた(加えた)額が基準の価格になります。ただし、計算した額には範囲があります。

範囲は予定価格の7.5/10~9.2/10。計算式で出た額がこの範囲を上回った(下回った)場合は、上限(下限)値で設定する。

つまり、基準の価格は予定価格の75%から92%のあいだに収まります。計算の結果が92%を超えれば92%、75%を下回れば75%になります。

計算の流れの例(架空の数字)

次の官積算を仮定し、予定価格が官積算の合計に消費税10%を加えた額と同じだとして、計算の流れを確かめます。数字は説明用の架空のもので、実際の工事の金額ではありません。

計算例(単位:千円。架空の数字)
項目官積算率率を掛けた額
直接工事費100,0000.9797,000
共通仮設費8,0000.907,200
現場管理費12,0000.9010,800
一般管理費等15,0000.6810,200
合計(税抜)135,000125,200

125,200千円に消費税10%を加えると137,720千円です。予定価格は135,000千円に消費税10%を加えた148,500千円と仮定したので、137,720千円は予定価格の約92.7%にあたります。上限の9.2/10を超えているため、この例の基準の価格は148,500千円の92%、136,620千円になります。下限の7.5/10は111,375千円です。

実際の官積算の内訳や予定価格は入札公告・契約担当部局が示す資料で決まります。この例は計算式の読み方を示すもので、個別の工事の基準価格や入札価格を示すものではありません。

過去の改定:現場管理費と一般管理費等

計算式は、時期によって率と範囲が変わってきました。確認できた2回の改定を並べます。

国交省資料で確認できた計算式の変更
時期範囲変更の内容
平成21年4月〜7.0/10~9.0/10直接工事費0.95・共通仮設費0.90・現場管理費0.70・一般管理費等0.30(合計額に1.05を掛ける)
平成23年4月〜(同年4月1日以降に入札公告をする工事)7.0/10~9.0/10現場管理費を0.70から0.80へ。他の率は据え置き
令和4年3月まで(令和4年2月の資料の「現行」)7.5/10~9.2/10直接工事費0.97・共通仮設費0.90・現場管理費0.90・一般管理費等0.55
令和4年4月1日以降に入札公告を行う工事7.5/10~9.2/10一般管理費等を0.55から0.68へ

平成23年の資料は、見直しの理由として、現場管理費が官積算の80%を下回ると工事成績評定点が平均点未満となる工事の割合が増えると説明しています。令和4年の資料は、最近の諸経費動向調査の結果と、企業として継続するために必要な経費の対象を考慮した、と説明しています。

平成23年から令和4年の間の途中の改定は、この記事では確認できていません。過去に入札した工事の基準は、その入札公告の時点で適用されていた計算式を確認してください。

地方公共団体の最低制限価格との関係

この計算式は、国土交通省が発注する工事に適用される基準です。都道府県・市町村が発注する工事には、国の計算式がそのまま適用されるわけではありません。

平成23年4月7日付けの総務省・国土交通省の通知「公共工事の入札及び契約手続の更なる改善について」は、都道府県と政令指定都市に対し、国交省の見直しを踏まえて「最低制限価格及び低入札価格調査基準価格」の算定方式を適切に見直すよう要請しています。同じ通知で、「工事請負契約に係る低入札価格調査基準中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデル」も同様に見直されたと述べています。

この通知は最低制限価格と低入札価格調査基準価格の両方の見直しを要請しており、この記事は国交省の低入札価格調査基準を扱います。自治体の最低制限価格と調査制度の違いは『最低制限価格と低入札価格調査制度の違い』で整理しています。具体的な算定方法は、この記事では扱っていません。発注する自治体の入札公告・要綱で確認してください。

入札参加資格の格付や、経審の点数がどこで使われるかは『経審と入札参加資格の違い』で整理しています。経審の点数は、国交省の計算式(官積算の内訳と予定価格)には含まれていません。

確認した一次資料

確認日は2026年10月7日です。その後の改定の有無は、国土交通省の発表で確認してください。

まとめ

  1. 低入札価格調査基準は、下回ると履行可能性の調査に進む基準で、調査で履行可能性が認められなければ落札者としない。
  2. 国交省の計算式は、直接工事費×0.97・共通仮設費×0.90・現場管理費×0.90・一般管理費等×0.68の合計に消費税を加える(令和4年4月1日以降の入札公告)。
  3. 計算した額は、予定価格の7.5/10〜9.2/10に収め、範囲外なら上限・下限にする。
  4. 令和4年の改定は一般管理費等の0.55から0.68への変更で、平成23年の改定は現場管理費の0.70から0.80への変更だった。
  5. 自治体の最低制限価格・基準価格は、発注団体ごとに確認する。経審の点数は国交省の計算式に含まれない。

価格以外の要素を点数にして落札者を決める仕組みは国交省直轄工事の総合評価落札方式で整理しています。入札参加資格の取り方は入札参加資格の随時受付、名簿に載る業者の見方は有資格業者名簿の見方で確認できます。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

低入札価格調査基準とは何ですか?
国交省の資料では、予算決算及び会計令第85条に規定された、契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認められる場合の基準です。この基準で算出した価格を下回ると、履行可能性の調査が行われます。
基準の価格を下回ると失格になりますか?
直ちに失格になるわけではありません。国交省の資料は、下回った場合に履行可能性の調査を実施し、履行可能性が認められない場合には落札者としないと説明しています。
国交省の低入札価格調査基準の計算式を教えてください。
令和4年4月1日以降に入札公告を行う工事は、直接工事費×0.97、共通仮設費×0.90、現場管理費×0.90、一般管理費等×0.68を合計し、消費税を加えた額です。計算した額は予定価格の7.5/10〜9.2/10の範囲に収めます。
計算した額が予定価格の範囲を外れたらどうなりますか?
国交省の資料では、計算式で出した額が範囲を上回った場合は上限値、下回った場合は下限値で設定します。つまり基準の価格は、予定価格の75%から92%のあいだになります。
令和4年に何が変わりましたか?
国交省は令和4年2月24日の資料で、一般管理費等の率を0.55から0.68へ改定しました。令和4年4月1日以降に入札公告を行う工事に適用されます。範囲(予定価格の7.5/10〜9.2/10)の記載は改定前後で同じです。
市町村の工事でも同じ計算式が使われますか?
国の計算式がそのまま適用されるわけではありません。平成23年の総務省・国交省の通知は、都道府県と政令指定都市に最低制限価格と低入札価格調査基準価格の見直しを要請したもので、自治体の具体的な算定方法は発注団体の入札公告・要綱で確認する必要があります。
経審の点数は低入札価格調査基準に関係しますか?
国交省の計算式には含まれていません。この基準は官積算の内訳と予定価格から計算するもので、経営事項審査の点数を使う項目はありません。

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