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最低制限価格と低入札価格調査制度の違い|自治体工事で下回ると失格になる基準と算定モデル

市町村・都道府県が発注する工事の最低制限価格が、低入札価格調査制度とどう違うかを、地方自治法施行令の条文と総務省の資料から整理します。公契連モデルの算定式と範囲(予定価格の75〜92%)も確認します。

総務省・e-Govの公表資料
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

最低制限価格は、自治体が工事の入札であらかじめ決めておく「これ未満の入札は落札させない」ラインです。国交省直轄工事の低入札価格調査基準とは別の制度で、下回った入札は、総務省の資料の図で失格として扱われます。この記事は、地方自治法施行令の条文と総務省の資料で、2つの制度の違いと算定の目安を整理したものです。経営事項審査(経審)の点数とは別の制度で、個別の工事の最低制限価格や入札価格を示すものではありません。

最低制限価格制度とは

根拠は、普通地方公共団体の一般競争入札について定める地方自治法施行令第167条の10第2項です。条文は、履行を確保するため特に必要があると認めるときに、あらかじめ最低制限価格を設けられるとしています。

「あらかじめ最低制限価格を設けて、予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもつて申込みをした者を落札者とせず、予定価格の制限の範囲内の価格で最低制限価格以上の価格をもつて申込みをした者のうち最低の価格をもつて申込みをした者を落札者とすることができる」(地方自治法施行令第167条の10第2項)

つまり、予定価格以下で最低制限価格以上の入札のうち、いちばん安い入札が落札者になります。最低制限価格を下回る入札は、価格がいくら低くても落札者になりません。

低入札価格調査制度との違い

同じ施行令の第167条の10第1項が定めるのが、低入札価格調査制度です。総務省の資料は2つを並べて、次のように説明しています。

2つの制度の違い(総務省「低入札価格調査制度及び最低制限価格制度の概要」より整理)
項目低入札価格調査制度最低制限価格制度
条文施行令第167条の10第1項施行令第167条の10第2項
基準の名前低入札価格調査基準価格最低制限価格
基準を下回ったとき(資料の図)調査の対象になり、不適当なら失格失格
落札者最低価格の者が不適当なら、次に低い価格の者最低制限価格以上で最低の価格の者

資料の図は、予定価格1,000万円の例で違いを示しています。低入札価格調査基準価格は850万円、最低制限価格は800万円で、図の入札者Dは820万円です。調査制度では、820万円は基準を下回るため調査の対象になり、図ではDが落札になっています。調査で不適当とされたC・B・Aは失格です。最低制限価格制度では、820万円は800万円以上なので落札になり、800万円を下回るC・B・Aは失格です。この数字は資料の図の例で、実際の工事の基準ではありません。

最低制限価格を下回る入札は、総務省の資料の図で失格として扱われます。調査制度の基準価格との違いは、「下回ったら調査の対象になる」か「下回ったら失格」かです。

国交省直轄工事の低入札価格調査基準の計算式は『国交省直轄工事の低入札価格調査基準』で整理しています。

算定の目安:公契連モデルの式と範囲

最低制限価格の決め方は、自治体ごとに決めます。総務省の資料は、公共工事の低入札価格調査の基準価格と最低制限価格について、国の直轄工事で使われている「工事請負契約に係る低入札価格調査基準中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデル」(公契連モデル)の算定基準を活用するよう要請している、と書いています。

公契連モデルの算定基準(総務省資料に記載の式)
予定価格の積算項目掛ける率
直接工事費9.7/10
共通仮設費9/10
現場管理費9/10
一般管理費等6.8/10

設定範囲は75%〜92%です。国交省直轄の計算式(予定価格の7.5/10〜9.2/10)と同じ率と範囲が、総務省の資料では自治体向けの算定基準として示されています。

ただし、この式を使うかどうか、率や範囲をどう設定するかは、発注する自治体の判断です。同じ工事でも、自治体の要綱が違えば最低制限価格は変わります。

総務省の資料には、令和7年6月26日の通知で、契約内容の適正な履行の確保や適切な価格転嫁を担保する観点から、原則すべての入札で低入札価格調査制度・最低制限価格制度の導入を検討するよう助言した、という記載もあります。

自治体の最低制限価格を確かめる場所

具体的な率は、発注する自治体の要綱・入札公告・入札説明書で確認します。この記事では、個別の自治体の算定方法や、金額の公表時期までは確認していません。

入札に参加できる資格の格付は経審の点数をもとに決まることがありますが、総務省の資料の算定式に経審の点数は含まれていません。格付と経審の関係は『経審と入札参加資格の違い』で整理しています。

この記事は制度の仕組みの整理で、入札価格の決め方や、特定の工事の最低制限価格の見込みを助言するものではありません。

確認した一次資料

確認日は2026年10月7日です。条文と資料の改定は、e-Govと総務省のページで確認してください。

まとめ

  1. 最低制限価格は地方自治法施行令第167条の10第2項に基づく制度で、下回る入札は落札者になれない。
  2. 低入札価格調査制度は基準を下回ると調査の対象になり、最低制限価格制度は最低制限価格を下回ると失格になる(総務省資料の図)。
  3. 総務省は、基準価格・最低制限価格に公契連モデルの式(直接工事費9.7・共通仮設費9・現場管理費9・一般管理費等6.8、各/10)と75%〜92%の範囲を活用するよう要請している。
  4. 実際の率と範囲は発注自治体が決めるため、入札公告・要綱で確認する。経審の点数は算定式に含まれない。

価格以外の要素で落札者を決める仕組みは国交省直轄工事の総合評価落札方式、名簿に載る業者の見方は有資格業者名簿の見方で確認できます。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

最低制限価格とは何ですか?
自治体が一般競争入札で、履行を確保するため特に必要があると認めるときにあらかじめ設ける価格です。地方自治法施行令第167条の10第2項が根拠で、これを下回る入札は落札者になれません。
最低制限価格を下回るとどうなりますか?
総務省の資料の図では失格として扱われます。低入札価格調査制度は、基準を下回ると調査の対象になる点が違います。
低入札価格調査制度とどこが違いますか?
調査制度は基準価格を下回った入札を調べ、不適当なら失格にします(施行令第167条の10第1項)。最低制限価格制度は、最低制限価格以上で最低の価格の者を落札者とします(同第2項)。
最低制限価格はどのように決めますか?
決め方は自治体ごとです。総務省は、国の直轄工事で使われる公契連モデルの算定基準を活用するよう要請しており、直接工事費9.7/10・共通仮設費9/10・現場管理費9/10・一般管理費等6.8/10を合計し、範囲は75%〜92%としています。
どの自治体でも公契連モデルの率が使われますか?
そうとは限りません。総務省の資料は活用の要請であり、率や範囲は発注する自治体が決めます。入札公告や要綱で確認する必要があります。
経審の点数は最低制限価格に関係しますか?
総務省の資料の算定式には、経営事項審査の点数を使う項目はありません。算定式は予定価格の積算項目に率を掛ける形です。

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