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公共工事の設計変更と工期延長の協議の進め方

公共工事の工事中に、数量や施工条件、工期が変わりそうなときの協議の進め方を整理します。中央建設業審議会の公共工事標準請負契約約款で、受注者が何を、どの順で、書面で出すのかを確認し、コリンズの変更登録へつなげます。

公共工事標準請負契約約款で確認
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

工事を進めると、図面と現場が合わない、天候や関連工事の調整で工期内に終わらない、といった場面が出てきます。公共工事の契約で使われる標準の約款には、こうしたときに受注者が通知・請求する先と、発注者が協議して定める仕組みが条文で決まっています。この記事は、その流れを事務担当の目線で整理します。契約書そのものの記載事項は『建設工事の請負契約書の記載事項』で確認してください。

どの約款の話か

中央建設業審議会が定めた「公共工事標準請負契約約款」は、公共工事の契約に使われる標準の約款です。以下の条文番号は、国土交通省が公開している同約款(最終の改正は令和7年12月2日)によります。

発注者ごとに約款が少しずつ違うことがあり、標準の約款の「〇日以内」の部分は、発注者が実際の工期と請負代金額を考えて数字を入れる形になっています。協議の日数や書面の様式は、自分の工事の契約書と特記仕様書、発注者の担当者に必ず確かめてください。

設計図書と現場が合わないとき(第18条・第19条)

第18条は、受注者が次のような事実を見つけたとき、直ちに監督員へ通知し、確認を請求するよう求めています。

  • 図面、仕様書、現場説明書などが一致しない。
  • 設計図書に誤りや抜けがある、表示が明確でない。
  • 設計図書に示された施工条件(地形、地質、湧水など)と、実際の現場が一致しない。
  • 設計図書で明示されていない施工条件で、予期できない特別な状態が生じた。

確認の請求を受けた監督員は、受注者の立会いの上で調査を行い、発注者は調査の結果をまとめて受注者に通知します(通知までの日数は約款の〇日の部分)。事実が確認されて設計図書を変更するときは、変更が工事目的物に及ぶかどうかで、発注者が行うか、発注者と受注者が協議して発注者が行うかが分かれます(第18条第4項)。設計図書が変更されると、発注者は必要があると認められるとき、工期や請負代金額を変更し、損害には費用を負担します(第18条第5項)。

発注者が自ら設計図書を変えるときは第19条です。変更内容を受注者に通知して変更し、同じく工期・請負代金額の変更や費用の負担が必要と認められるときは行うと定めています。

ここで事務担当が押さえたいのは、現場で気づいた時点で、書面で監督員に通知・確認を請求する点です。口頭のやりとりだけで施工を進めると、後から変更の根拠を示しにくくなります。

工期の延長を請求するとき(第22条・第24条)

第22条は、天候の不良、関連工事の調整への協力、そのほか受注者の責めに帰すことができない理由で工期内に完成できないとき、受注者がその理由を明示した書面で、発注者に工期の延長変更を請求できると定めています。発注者は、必要があると認めるときは工期を延長しなければならず、延長が発注者の責めによる場合は、請負代金額の変更や損害の費用負担も行います。

工期の変更方法は第24条です。流れは次のとおりです。

  1. 工期の変更は、発注者と受注者が協議して定める。
  2. 協議が、協議開始の日から約款に定めた日数以内に整わないときは、発注者が定めて受注者に通知する。
  3. 協議開始の日は、発注者が受注者の意見を聴いて定める。発注者が、変更の事由が生じた日(第22条では請求を受けた日)から決められた日数以内に通知しないときは、受注者が協議開始の日を定めて発注者に通知できる。
  4. 発注者は、受注者の意見の趣旨をできる限り勘案して十分に協議し、協議が整わなかったことなどを理由に受注者を不利益に扱ってはならない。

また第21条は、工期を延長または短縮するとき、発注者に、工事に従事する者の労働時間などの労働条件が適正に確保されるよう、やむを得ない事由で工事の実施が困難と見込まれる日数などを考慮するよう求めています。延長の根拠に、天候・関連工事・労働条件への影響を具体的に書くと、協議で使える資料になります。

工事の一時中止(第20条)もあります。工事用地等が確保できない、天災などで受注者が施工できないと認められるとき、発注者が中止内容を通知して施工を一時止めます。このとき、必要があれば工期や請負代金額を変更し、現場維持などに要した増加費用を負担します。

請負代金額の変更と協議(第25条・第26条)

請負代金額の変更は第25条です。約款には(A)と(B)の2つの形があり、(B)では、発注者と受注者が協議して定め、協議開始の日から決められた日数以内に整わないときは発注者が定めて通知します。(A)では、数量の増減が内訳書の数量の一定割合(約款では〇の部分)を超えるなどの場合は変更時の価格で協議、それ以外は内訳書の単価を基礎にする、という書き分けがあります。どちらの形を使うかは契約書で決まります。

工期内で契約締結から12か月を経過した後に、賃金や物価の変動で請負代金額が不適当になったと認めるときは、発注者・受注者のどちらからでも相手方に変更を請求できます(第26条第1項)。変更に応じる額は、変動前の残工事代金額の1000分の15を超える部分です(同条第2項)。

発注者が請負代金の増額や費用の負担をすべき場合に、特別の理由があるときは、増額などに代えて設計図書を変更できる定めもあります(第31条)。

受注者から出す書面の控え

約款が受注者から出すことを求めている、または出す場面が想定されている書面は、次のとおりです。様式は発注者が決めるため、ここでは書く内容の観点だけを挙げます。

場面約款の条文書面に書くこと
設計図書と現場が合わない第18条第1項見つけた事実、場所、該当する号(図面・仕様書の不一致、施工条件の相違など)、確認の請求
工期の延長を請求する第22条第1項工期内に完成できない理由(天候、関連工事の調整など)。理由を明示した書面と定められている
協議開始の日が通知されない第24条第2項受注者が協議開始の日を定めて、発注者に通知する書面
物価・賃金の変動で代金を請求する第26条第1項契約から12か月を経過した後の変動であること、請求の内容

協議の日付、出席者、決まった内容は、議事録や打合せ記録に残し、発注者の確認を受けておくと、変更契約の根拠になります。この運用は約款の条文にはなく、一般的な実務の工夫です。

コリンズの変更登録へつなぐ

協議の結果、工期や請負金額が変わると、コリンズの変更登録の対象になります。期限は発注機関の契約図書で決まり、国土交通省の土木工事共通仕様書(案)では、変更があった日から土日祝日等を除き10日以内と定めています。変更契約書の日付と協議が整った日のどちらを起点にするかは、発注機関の担当者に確かめてください。詳しくは『コリンズの変更登録』にまとめています。

変更後の請負金額や工期は、工事実績に載せるときの数字にも関わります。実績の見方は『コリンズとは』を参照してください。

確認した一次資料

確認日:2026年10月15日。発注者ごとの運用(協議の日数、書面の様式、設計変更の審査の流れ)は、契約書と発注者の担当者に確かめてください。

まとめ

  • 設計図書と現場が合わないときは、気づいた時点で監督員に通知し、確認を請求する(第18条)。
  • 工期の延長は、理由を明示した書面で請求する(第22条)。変更は発注者との協議で定め、協議開始の日が通知されないときは受注者から通知できる(第24条)。
  • 請負代金額の変更の形は契約書の(A)(B)で決まる。契約から12か月後の物価・賃金の変動は、第26条の請求がある。
  • 協議の日数や書面の様式は発注者ごとに違うため、契約書と担当者に確かめる。
  • 工期や金額が変わったら、コリンズの変更登録の期限を確認する。

この記事は標準約款の条文の整理で、個別の工事での請求の可否や金額を判断するものではありません。契約の解釈は契約書と発注者の担当者に確認してください。正式な評点は審査結果が優先します。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

設計図書と現場の条件が合わないとき、受注者は何をしますか?
公共工事標準請負契約約款の第18条は、図面と仕様書の不一致、設計図書の誤り、施工条件と現場の相違などを見つけたとき、直ちに監督員へ通知し、確認を請求するよう求めています。
工期の延長はどう請求しますか?
約款の第22条は、天候の不良や関連工事の調整など受注者の責めに帰すことができない事由で工期内に完成できないとき、その理由を明示した書面で発注者に工期の延長変更を請求できるとしています。
発注者が協議開始の日を通知しないときはどうなりますか?
約款の第24条第2項は、発注者が決められた日数以内に協議開始の日を通知しない場合、受注者が協議開始の日を定めて発注者に通知できるとしています。日数は契約書で確認します。
契約から時間がたって物価が上がったときは?
約款の第26条は、工期内で契約締結の日から12か月を経過した後に、賃金や物価の変動で請負代金額が不適当となったと認めるときは、相手方に変更を請求できるとし、変動前の残工事代金額の1000分の15を超える部分について変更に応じるとしています。
工期や請負金額が変わったらコリンズはどうしますか?
変更登録の対象になります。国土交通省の土木工事共通仕様書(案)は、変更があった日から土日祝日等を除き10日以内と定めています。発注機関ごとに契約図書で確認してください。

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