経審の総合評定値Pが前回より下がったとき|X1・X2・Y・Z・Wのどこが動いたかを切り分ける手順
前回と今回の結果通知書を並べ、Pの差を5つの評点に分けて、動いた評点だけ原因の資料に当たります。
前回の通知書と今回の通知書を並べる総合評定値Pが前回より下がったとき、最初にやることは「何が悪かったか」を考えることではなく、Pの差をX1・X2・Y・Z・Wの5つの評点に割り振ることです。Pはこの5つに決まった重みをかけて足したものなので、前回と今回の通知書の評点を並べれば、どこが動いたかは引き算で分かります。そのあとで、動いた評点だけ、通知書の算定ルールに沿って原因の資料に当たります。この記事は、その順番を整理します。
切り分けの5ステップ
- 比べる土台をそろえる前回と今回の通知書で、同じ業種の列を並べます。審査基準日(決算日)も確認します。令和8年7月の改正をまたぐ場合は、Wの算定ルールが変わっているため、先に別枠として扱います。
- Pの差を評点ごとに引き算するX1・X2・Y・Z・Wの前回値と今回値を並べ、差を出します。X1とZは業種ごと、X2・Y・Wは会社共通の値です。
- 重みをかけて、Pを動かした評点を特定する評点の差に重みをかけた値が、Pへの影響です。差が大きくても重みが小さければ、Pへの影響は小さくなります。
- 動いた評点の原因を、算定ルールで確かめる下の表で、その評点が何から決まるかを確認します。今回の決算や申請内容に、前回と違う点がないかを見ます。
- 申請控えと照らす通知書の数値等が申請控えと一致しているかを確認します。食い違うときは、結果通知書の見方の記事の手順で窓口を切り分けます。
Pの差を5つの評点に割る
総合評定値Pは、次の式で業種ごとに計算します。重みは、本サイトの計算エンジンが使う数値(関東地方整備局の経審の手引き別添資料で確認済み)と同じです。
| 評点 | 重み | 値が決まる単位 | Pへの影響 |
|---|---|---|---|
| X1(完成工事高) | 0.25 | 業種ごと | X1の差 × 0.25 |
| X2(自己資本額・平均利益額) | 0.15 | 会社共通 | X2の差 × 0.15 |
| Y(経営状況) | 0.20 | 会社共通 | Yの差 × 0.20 |
| Z(技術職員数・元請完成工事高) | 0.25 | 業種ごと | Zの差 × 0.25 |
| W(社会性等) | 0.15 | 会社共通 | Wの差 × 0.15 |
Pは小数点以下を四捨五入して通知書に表示されるため、5つの影響を足した値と、Pの差が1ずれることがあります。X2・Y・Wは会社共通なので、複数の業種でそろってPが動いている場合は、この3つを先に疑います。特定の業種だけPが動いているなら、その業種のX1とZが候補です。
式と端数処理の詳細は経審P点の計算方法、通知書の項目の読み方は経営規模等評価結果通知書の見方で説明しています。
評点ごとに、動く原因と見る資料
各評点が何から決まるかは、国土交通省の通知「経営事項審査の事務取扱いについて」(令和8年改正反映版)に定められています。次の表は、その中から、前回との差が出やすい点を抜き出したものです。
| 動いた評点 | 通知が定める算定のしかた | 前回との違いとして確かめること | 照らす資料 |
|---|---|---|---|
| X1 | 審査対象建設業の完成工事高を、申請する日の属する事業年度の開始日の直前2年または直前3年で平均する。審査対象建設業ごとには選べず、すべての業種で同じ方法にする。 | 前回と今回で、2年平均か3年平均かが違わないか。平均に入る年が1期ずれ、前々期の大きな工事が外れていないか。完成工事高を計上する業種の振り分けが変わっていないか。 | 工事経歴書、別紙の完成工事高の申請控え |
| X2 | 自己資本額は、基準決算の純資産合計の額、または基準決算とその直前の決算の自己資本の額の平均。0円に満たないときは0円として審査する。平均利益額は、営業利益に減価償却実施額を加えた利益について、審査対象の事業年度と、その直前の事業年度の平均。0円に満たないときは0円として審査する。 | 前期の営業利益や減価償却費が大きく変わっていないか。自己資本の平均に入る決算が1期ずれ、高かった期が外れていないか。 | 決算書、申請書の財務数値の控え |
| Y | 登録経営状況分析機関が、決算の数値から算出した経営状況の評点を使う。Yは経営規模等評価を行う行政庁ではなく、分析機関が出す結果です。 | 負債や利益に関わる決算数値が前期から動いていないか。Yが動いた理由は、分析結果通知書の数値で確かめる。 | 経営状況分析結果通知書、決算書 |
| Z | 技術職員数値は、審査基準日の時点の技術職員について、資格や区分ごとに決められた数をかけて合計して求める。一人の職員が技術職員として申請できる業種は二まで。元請完成工事高は、X1と同じく直前2年または直前3年で平均する。 | 審査基準日時点の技術職員に、退職・異動・資格区分の変更がなかったか。2業種に数えた職員の申請が変わっていないか。元請完成工事高の平均に入る年がずれていないか。 | 技術職員名簿、資格の確認書類、元請完成工事高の申請控え |
| W | その他の審査項目(社会性等)。申請した項目と確認書類で決まる。 | 前回加点された項目の確認書類の期限切れや更新漏れがないか。令和8年7月の改正で、項目や点数の扱いが変わっていないか。 | 別紙三の申請控え、確認書類の控え |
原因を見つけたあとの対策は、評点ごとに別の記事で整理しています。X1は2年平均と3年平均の選び方、X2は平均利益額が減る場面、YはY点(経営状況)の仕組み、Zは技術職員数値の数え方、WはW点(社会性等)の項目を確認してください。
原因が見つからないとき
- 改正をまたいでいるとき:令和8年7月の改正で、Wの扱いが変わっています。前回の通知書が改正前なら、同じ基準で比べられるかを令和8年7月改正のW点の新旧比較で確認します。
- 申請控えと通知書が合わないとき:行政庁側の誤りが疑われる場合、近畿地方整備局の手引きは、結果通知書を受領した日から30日以内に再審査を申し立てられると案内しています。申請者側の記入漏れや書類不足は対象になりません。受領日を控えたうえで、経審の結果に異議があるときを確認します。
- 評点には差がなく、等級だけ変わったとき:Pは経審の評価で、入札参加資格の等級は発注者が決めます。等級の変動はP点と入札参加資格ランクの関係で確認します。
この記事は通知書の読み方の整理で、個別の結果についての判断や、申請内容の評価は行いません。通知書の内容に疑義があるときは、経営規模等評価を行った行政庁の案内を確認してください。
次に知りたいこと
- 技術職員の増減がZに響くとき: 技術職員数値の数え方
- Wの項目が変わったとき: 令和8年7月改正のW点の変更点
- 決算ごとの届出の期限: 決算変更届の期限
今の決算数値でPを試算したいときは、経審P点シミュレーターで、評点ごとの変化を確認できます。
出典
- 国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて」(通知・令和8年改正反映版)X1の年間平均完成工事高、X2の自己資本額・平均利益額、Zの技術職員数値と元請完成工事高の算定
- 関東地方整備局 経営事項審査の手引き 別添資料(令和8年7月改正版)総合評定値Pの式(76ページ)
- 近畿地方整備局「経営規模等評価申請・総合評定値請求」令和8年7月版再審査の申立て(結果通知書の受領から30日以内)
まとめ
- Pの差は、X1・X2・Y・Z・Wの前回値と今回値の差に、重みをかけて割り振れます。
- 複数の業種でそろって動いたら会社共通のX2・Y・W、1業種だけならその業種のX1とZを先に見ます。
- 動いた評点だけ、通知が定める算定のしかたに沿って、前回との違いを確かめます。
- 申請控えと合わないときは、受領から30日以内の再審査の対象かを確認します。
よくある質問
- 総合評定値Pが下がったとき、最初に何を見ますか?
- 前回と今回の結果通知書で同じ業種の列を並べ、X1・X2・Y・Z・Wの差を出します。Pは0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15Wで計算するため、評点の差に重みをかけるとPへの影響が分かります。
- 複数の業種でPが同時に下がっているときは、どこを疑いますか?
- X2・Y・Wは会社共通の評点なので、複数の業種でそろって動いているときはこの3つを先に見ます。特定の業種だけ動いているときは、その業種のX1とZが候補です。
- 結果通知書の内容が申請と違うときはどうしますか?
- 近畿地方整備局の手引きは、行政庁側の誤りであれば結果通知書の受領日から30日以内に再審査を申し立てられると案内しています。申請者側の記入漏れや書類不足は対象外です。
公開日: 2026-10-17
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