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経審X2の平均利益額は決算書のどの数字か|営業利益+減価償却実施額の範囲と2期平均

平均利益額の元になる「利払前税引前償却前利益」の算定範囲と、申請書の利益額欄に入れる金額の出どころを、通知と手引きで整理します。

国土交通省の通知・整備局の手引き
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

経審のX2は、自己資本額の点数と平均利益額の点数の平均です。平均利益額は、営業利益に減価償却実施額を加えた「利払前税引前償却前利益」の2期平均で、当期純利益や経常利益ではありません。この記事では、どの決算数値をどの範囲で足すかを、法人の場合で一次資料から確認します。

平均利益額の式:営業利益+減価償却実施額の2期平均

国土交通省の通知(経営事項審査の事務取扱いについて)は、平均利益額を次の順で定めています。

平均利益額の定義(通知Ⅰの1の(3))
項目通知の定め
営業利益審査対象事業年度における営業利益の額
減価償却実施額未成工事支出金・販売費及び一般管理費・完成工事原価・兼業事業売上原価に係る減価償却費、その他減価償却費として費用を計上した額
利払前税引前償却前利益営業利益の額に減価償却実施額を加えた額
平均利益額審査対象事業年度と、その直前の前審査対象事業年度の、利払前税引前償却前利益の平均の額。0円に満たない場合は0円とみなして審査する
平均利益額=(営業利益+減価償却実施額)の2期分の平均。平均がマイナスなら、0円とみなして審査されます。

近畿地方整備局の令和8年7月版の手引きは、審査対象事業年度を審査基準日以前12か月の期間、前審査対象事業年度をその直前12か月の期間と説明しています。

経常利益、税引前当期純利益、当期純利益は、この式には出てきません。営業利益には、営業外損益や特別損益は含まれません。区分表への当てはめと点数の動き方は経審のX2(自己資本額・平均利益額)とはで実測しています。

営業利益は損益計算書のどの行か

近畿地方整備局の手引きは、申請書の利益額欄の記載要領として、営業利益は損益計算書(施行規則様式第16号)の「営業利益(営業損失)の額」を記入するとしています。赤字の年は営業損失が出るため、マイナスの値は「-」を付けて記入し、「△」は使いません。

ある年が営業損失でも、直ちに評点が下がるとは限りません。2期分の合計で平均をとるため、もう1期の利益で相殺されます。次の記入例で確認します。

減価償却実施額に入る費用と、申請書に書く金額の出どころ

減価償却実施額は、通知が4つの費用区分と、その他の費用を挙げています。工事にかかる費用だけでなく、販売費及び一般管理費に計上した分も含む点が特徴です。

  • 未成工事支出金に係る減価償却費
  • 販売費及び一般管理費に係る減価償却費
  • 完成工事原価に係る減価償却費
  • 兼業事業売上原価に係る減価償却費
  • その他、減価償却費として費用を計上した額

近畿地方整備局の手引きの記載要領では、申請書に書く減価償却実施額は「法人税申告書別表十六(一)、(二)等に計上された額の合計額」です。確認書類も同じ帳票を中心にしています。

利益額欄の金額と確認書類(近畿地方整備局の手引き)
項目申請書に書く金額の出どころ確認書類
営業利益損益計算書(様式第16号)の営業利益(営業損失)の額貸借対照表・損益計算書の写し(法人は様式第15号・第16号)
減価償却実施額法人税確定申告書の別表十六(一)、(二)等に計上された額の合計額別表十六(一)及び(二)他の写し。減価償却実施額が分かるよう金額部分をマーカー等で明示

登録経営状況分析機関の一部は、経営状況分析結果通知書に「参考値」として、営業利益と減価償却実施額(2か年度分)を記載しています。12か月ずつの決算期間で、単独決算で分析を受けた場合は、この参考値が申請書の値と一致します。

審査基準日の決算期間とその前期がともに12か月で、単独決算を適用し、通知書に参考値が明示されている場合、近畿地方整備局の手引きは上の確認書類の提出を不要としています。当期か前期が12か月でない場合などは、参考値があっても提出が必要です。

申請書の記入例で2期平均を確かめる

近畿地方整備局の手引きの記入例(架空の会社)には、次の金額が載っています。単位は千円です。

利益額(2期平均)の記入例
項目審査対象事業年度前審査対象事業年度
営業利益−4,87111,986
減価償却実施額1,1871,981
利払前税引前償却前利益−3,68413,967

手引きは、4つの数値を合計して2で割った値を千円未満切り捨てで利益額欄に記入すると説明しています。合計は10,283千円、2で割ると5,141.5千円で、千円未満を切り捨てた5,141千円が、記入例の利益額欄の金額と一致します。

営業損失の期があっても、平均利益額はプラスになりえます。逆に、2期の合計がマイナスなら0円とみなされます。

決算期間が12か月でない場合の按分

決算期の変更などで、審査基準日を含む決算期間が12か月に満たない場合は、決算期間の実績値を月単位で按分し、審査対象事業年度と前審査対象事業年度のそれぞれが12か月分になるよう調整します。近畿地方整備局の手引きは、按分計算をした場合、計算式を余白に記載するとしています。

関東地方整備局の別添資料には、審査基準日が平成19年9月30日で、審査基準日を含む決算期間が6か月の記載例があります。

営業利益が2,300,000円(6か月)と2,000,000円(前の12か月)のとき、審査対象事業年度の営業利益は「2,300,000×6/6+2,000,000×6/12=3,300,000円」です。減価償却実施額も同じ要領で12か月分に按分します。

事業年度の変更で24か月に満たない場合、組織変更の登記を行った場合、他の建設業者を吸収合併した場合などは、通知が別に、年間平均完成工事高の算定の要領に沿って算定するよう定めています。個別の当てはめは、審査行政庁の最新の取扱いで確認してください。

Y評点の営業キャッシュ・フローとの違い

同じ「減価償却実施額」を足す指標が、経営状況(Y評点)にもあります。ただし土台になる利益が違います。

X2の平均利益額とY評点の営業キャッシュ・フロー
指標元になる式
X2の平均利益額(経営規模等評価)営業利益+減価償却実施額の2期平均
Y評点の営業キャッシュ・フロー(経営状況分析)経常利益+減価償却実施額-法人税、住民税及び事業税 ± 引当金(貸倒引当金)増減額 ± 売掛債権・仕入債務・棚卸資産・受入金の増減額

営業キャッシュ・フローの側は、営業外の損益を含む経常利益から出発し、税金と運転資本の増減も反映します。営業キャッシュ・フローの詳しい内訳はY評点の営業キャッシュ・フローで解説しています。

この記事は、通知や手引きに書かれた算定範囲の説明です。決算書の数値の作り方や、減価償却の方法・時期の選び方、税金に関する助言をするものではありません。税務上の取扱いは、税理士など専門家の領域です。

確認した一次資料

まとめ

  • 平均利益額は、営業利益+減価償却実施額(利払前税引前償却前利益)の2期平均。経常利益や当期純利益ではない。
  • 営業利益は損益計算書(様式第16号)の営業利益(営業損失)。減価償却実施額は、販売費及び一般管理費や完成工事原価などに係る減価償却費の合計で、近畿地方整備局の手引きでは法人税申告書別表十六(一)、(二)等の合計額。
  • 2期の合計を2で割り、千円未満は切り捨て。平均がマイナスなら0円とみなす。
  • 決算期間が12か月でない場合は月単位で按分し、計算式を余白に記載する。

平均利益額と自己資本額を区分表に当てはめた実測値は経審のX2(自己資本額・平均利益額)とは、P点全体の計算の流れは経審P点の計算方法で確認できます。この記事は制度の読み方の整理で、正式な評点は登録経営状況分析機関と審査行政庁の審査結果が優先されます。自社の数値でどう変わるかは経審P点シミュレーターで試算できます。

よくある質問

経審の平均利益額は、当期純利益や経常利益ですか?
いいえ。国土交通省の通知は、営業利益の額に減価償却実施額を加えた利払前税引前償却前利益の、審査対象事業年度と前審査対象事業年度の平均の額と定めています。経常利益や当期純利益は式に入りません。
減価償却実施額には、どの費用の減価償却費が入りますか?
通知は、未成工事支出金・販売費及び一般管理費・完成工事原価・兼業事業売上原価に係る減価償却費、その他減価償却費として費用を計上した額を挙げています。近畿地方整備局の手引きの記載要領では、申請書には法人税申告書別表十六(一)、(二)等に計上された額の合計額を記入します。
営業損失(赤字)の年があると、平均利益額はマイナスになりますか?
1期だけが赤字でも直ちにマイナスにはなりません。2期分の営業利益と減価償却実施額の合計を2で割るため、もう1期の利益で相殺されます。2期平均が0円に満たない場合に限り、0円とみなして審査されます。
申請書の利益額欄には、いくらを記入しますか?
近畿地方整備局の手引きは、審査対象事業年度と前審査対象事業年度の営業利益・減価償却実施額の4つの数値を合計して2で割り、千円未満を切り捨てた値を記入するとしています。記入例では、営業利益−4,871・11,986、減価償却実施額1,187・1,981(千円)から5,141千円になります。
決算期を変更して決算期間が12か月に満たない場合は、どうしますか?
審査対象事業年度と前審査対象事業年度のそれぞれが12か月分になるよう、各決算期間の営業利益と減価償却実施額を月単位で按分し、計算式を余白に記載します(関東・近畿地方整備局の手引き)。事業年度の変更で24か月に満たない場合などは、通知が別に算定の要領を定めています。
経営状況分析結果通知書の「参考値」は、申請書の利益額とどう関係しますか?
一部の登録経営状況分析機関は、通知書に営業利益と減価償却実施額(2か年度分)を参考値として記載しています。12か月ずつの決算期間で単独決算の場合は、申請書の値と一致します。近畿地方整備局の手引きでは、この条件を満たすと別表十六等の写しの提出が不要になります。

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下記書籍の有無や報酬によって、記事の内容は変わりません。制度の背景や申請実務を書籍でまとめて確認したい方向けです。

本ツールは事業者ご自身が入力・利用する試算です(申請の代行・作成支援は行っていません)。個別のご相談は承っておりません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。数値は概算であり、実際の申請前に専門家へご確認ください。算定方法・出典・免責