受審後の実務

国土交通省の地方整備局の工事の等級区分の見方|予定価格と総合点数の対応(令和7・8年度)

国土交通省の地方整備局が発注する工事で、予定価格ごとに参加できる等級(A〜D)と、等級を決める総合点数の区切りを、近畿・関東・東北・九州の4つの地方整備局の別表で比べます。総合点数が経審の総合評定値(P点)とどう違うかも確認できます。

令和7・8年度 一般競争(指名競争)参加資格
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

地方整備局の工事では、等級ごとに入札できる予定価格の範囲が決まっています。等級を決めるのは、経審の総合評定値(P点)そのものではなく、地方整備局が資格審査で算定する「総合点数」です。点数の区切りは、予定価格の区切りが同じでも、整備局ごとに違います。

この記事は、4つの地方整備局が公表する令和7・8年度の等級区分の別表と、国土交通省の「建設工事 競争参加資格審査申請書作成の手引き(令和7・8年度版)」を原文で確認して整理します。都道府県や市の制度は、埼玉県の入札参加資格と経審のように別の記事で説明しています。

総合点数と経審のP点の違い

国土交通省の手引きは、総合点数を次の式で定めています。

  • 総合点数=経営事項評価点数+技術評価点数。
  • 経営事項評価点数=0.25×X1+0.15×X2+0.20×Y+0.25×Z+0.15×W。X1は希望工種区分ごとの年間平均完成工事高、X2は自己資本額と利払前税引前償却前利益、Yは経営状況、Zは技術力、Wはその他の審査項目(社会性等)の評点です。
  • 技術評価点数は、令和6年10月1日の前日までの4年間に、地方整備局・大臣官房官庁営繕部、都道府県が発注して完成した工事の成績などから算定します。
経営事項評価点数は、経審の総合評定値(P点)と一致するとは限りません。手引きには、地方整備局の点数は22の工事種別ごとに算定するのに対し、経審の総合評定値は29の建設工事の種類ごとに算定するため、差が生じる場合があると書かれています。

P点の計算の仕組みは経審のP点の計算の仕組みで説明しています。このサイトの入札ランク目安ツールは目安であり、地方整備局の総合点数や等級を算定するものではありません。

予定価格と等級の対応(4整備局に共通)

確認した近畿・関東・東北・九州の4つの別表では、等級が4段階ある工種(一般土木工事・建築工事)の予定価格の区切りは同じでした。

一般土木工事・建築工事の等級と予定価格(4整備局の別表で共通)
等級予定価格
A8億2,000万円以上
B3億4,000万円以上8億2,000万円未満
C7,000万円以上3億4,000万円未満
D7,000万円未満

予定価格は、その等級の業者が参加できる工事の規模の目安です。区切りが同じでも、次の章のとおり総合点数の区切りは整備局ごとに違います。

一般土木工事の点数の区切りを4整備局で比べる

一般土木工事の総合点数の下限(令和7・8年度の各整備局の別表から)
整備局A等級B等級C等級D等級
近畿3,200点以上2,650点以上1,650点以上1,650点未満
関東3,040点以上2,630点以上1,660点以上1,660点未満
東北3,380点以上2,860点以上1,680点以上1,680点未満
九州3,225点以上2,870点以上1,730点以上1,730点未満

同じ総合点数でも、等級が変わることがあります。たとえば3,100点は、近畿ではB等級、関東ではA等級、東北と九州ではB等級です。A等級の下限は、関東の3,040点から東北の3,380点まで、340点の開きがあります。

建築工事の点数の区切りを4整備局で比べる

建築工事の総合点数の下限(令和7・8年度の各整備局の別表から)
整備局A等級B等級C等級D等級
近畿3,000点以上2,350点以上1,550点以上1,550点未満
関東2,950点以上2,180点以上1,550点以上1,550点未満
東北3,330点以上2,550点以上990点以上990点未満
九州3,111点以上2,525点以上1,299点以上1,299点未満

建築工事は、C等級とD等級の境が、近畿・関東の1,550点から東北の990点まで大きく違います。他の整備局の表を自社の整備局の表の代わりに使うと、等級を取り違えます。

その他の工種と、整備局で違う点

等級を設ける工種と等級の数も、整備局ごとに違います。次は、一般土木・建築以外で別表に区分が載っている工種の比較です。

等級区分がある他の工種(令和7・8年度の各整備局の別表から。区分なしは「-」)
工種近畿関東東北九州
アスファルト舗装工事A・B・Cの3等級(Aは2,350点以上・予定価格1億4,000万円以上、Cは1,600点未満)A・B・Cの3等級(Aは2,450点以上、Cは1,730点未満)A・Bの2等級(Aは2,570点以上・予定価格1億4,000万円以上)A・Bの2等級(Aは2,440点以上・予定価格1億4,000万円以上)
造園工事A・Bの2等級(Aは1,550点以上・予定価格3,000万円以上)A・Bの2等級(Aは1,100点以上・予定価格3,000万円以上)-A・Bの2等級(Aは1,300点以上・予定価格3,000万円以上)
電気設備工事A・B・Cの3等級(Aは2,400点以上・予定価格2億3,000万円以上)A・B・Cの3等級(Aは2,360点以上)A・B・Cの3等級(Aは2,610点以上)A・B・Cの3等級(Aは2,676点以上)
暖冷房衛生設備工事A・B・Cの3等級(Aは2,300点以上・予定価格2億3,000万円以上)A・B・Cの3等級(Aは2,210点以上)A・B・Cの3等級(Aは2,250点以上)A・B・Cの3等級(Aは2,300点以上)

アスファルト舗装工事では、近畿と関東は3等級、東北と九州は2等級です。造園工事は、東北では区分がありません。セメント・コンクリート舗装、塗装、維持修繕、機械設備など、ほかの工種は、4整備局とも区分なしでした。

  • 一般土木工事とアスファルト舗装工事では、技術評価点数が0点だと、点数にかかわらず最下位の等級になります(東北の別表の注、関東の別表の注、国土交通省の手引き)。関東と手引きでは、造園工事も同じ扱いです。
  • 東北の別表には、残留措置の適用で総合点数が表の区分に当てはまらない業者もいるという注があります。

自社の点数の読み方

  1. 申請した地方整備局(本店所在地を受け付ける整備局)の別表を開く。他の整備局の表は使わない。
  2. 名簿や通知で、工種ごとの総合点数を確認する。手引きでは、名簿に総合点数・経営事項評価点数・技術評価点数が載るとされています。
  3. 工種ごとに、別表の点数の区切りと照らして等級を確かめる。
  4. 入札したい工事の予定価格に、その等級で参加できるかを、予定価格の表と照らす。個別の工事の参加条件は、公告で確認する。

名簿の読み方は有資格者名簿の見方、入札ランクの考え方はP点と入札ランクの関係で説明しています。

この記事で確認できなかった点

  • 北海道開発局、北陸・中部・中国・四国の各地方整備局、沖縄総合事務局の別表。
  • 令和9・10年度の等級区分の別表。確認した時点では、令和7・8年度の表だけを見つけています。
  • 港湾空港関係の工種の等級区分。この記事は、道路・河川・官庁営繕・公園関係の工種を扱っています。

確認した一次資料

この記事は、各地方整備局の公表資料を整理したものです。等級の認定や参加の可否は、各整備局の審査結果と個別の公告が優先されます。

まとめ

  1. 地方整備局の等級を決めるのは、経審のP点そのものではなく、経営事項評価点数と技術評価点数を足した総合点数。
  2. 一般土木・建築工事は、4整備局とも予定価格の区切りが共通(A:8億2,000万円以上、B:3億4,000万円以上、C:7,000万円以上、D:それ未満)。
  3. 総合点数の区切りは整備局ごとに違う。一般土木のA等級は、関東3,040点以上、近畿3,200点以上、九州3,225点以上、東北3,380点以上。
  4. 等級を設ける工種・等級の数も整備局で違う。申請した整備局の別表で確認する。令和9・10年度の表は確認できていない。

よくある質問

地方整備局の等級は、経審のP点で決まりますか?
P点そのものではなく、経営事項評価点数と技術評価点数を足した総合点数で決まります。手引きには、整備局の点数は22の工事種別ごと、経審の総合評定値は29の建設工事の種類ごとに算定するため、差が生じる場合があると書かれています。
一般土木工事のA等級は、予定価格いくらの工事ですか?
近畿・関東・東北・九州の別表(令和7・8年度)では、予定価格8億2,000万円以上です。B等級は3億4,000万円以上8億2,000万円未満、C等級は7,000万円以上3億4,000万円未満、D等級は7,000万円未満です。
一般土木工事のA等級になる総合点数は、どの整備局でも同じですか?
違います。令和7・8年度の別表では、関東3,040点以上、近畿3,200点以上、九州3,225点以上、東北3,380点以上です。申請した整備局の別表で確認します。
技術評価点数が0点だと、等級はどうなりますか?
一般土木工事とアスファルト舗装工事では、総合点数の区分にかかわらず最下位の等級になります。関東の別表と国土交通省の手引きでは、造園工事も同じ扱いです。

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