ガイド

工事実績ゼロでも経審・入札参加資格は申請できるか|完工高0・技術職員0人の違い

完成工事高が0円でも申請できる場面と、受審業種・P点・希望工事種別・個別案件で別に確認すべき条件を整理します。

国土交通省の経審通知・一元受付手引き
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

「工事実績ゼロでも経審を受けられるか」という質問では、何がゼロなのかを先に分ける必要があります。経審の年間平均完成工事高が0円なのか、技術職員名簿へ載せる人が0人なのか、発注機関との契約実績がないのかで、確認する制度が違うためです。

国土交通省の令和9・10年度インターネット一元受付手引きは、総合評定値通知書上の年間平均完成工事高が0でも、その建設業法工事種別について通知を受けていれば、対応する希望工事種別へ申請できると明記しています。ただし、経審を受けること、入札参加資格の名簿へ登録されること、個別工事へ参加して受注することは別の段階です。この記事では、その境界を一次資料から整理します。

結論:完工高0だけで申請不可にはならない

少なくとも国土交通省などが参加するインターネット一元受付では、希望工事種別に対応する建設業法上の工事種別について経審の総合評定値通知書を受けていれば、その年間平均完成工事高が0でも申請できます。反対に、完成工事高があるだけでは足りず、対応する工事種別のうち1種類以上について総合評定値通知書を受けていなければ申請できません。

完工高0の会社が区別する3つの段階
段階完工高0の扱い主な確認先
経営事項審査完成工事高や技術職員数値が0でも、区分表の最下位として評点を算定する経審の申請先となる許可行政庁
競争参加資格審査国の一元受付では、該当工事種別の総合評定値通知書があれば完工高0でも対応する希望工事種別へ申請可能申請する発注機関の手引き
個別工事への参加登録後も、案件ごとの等級、地域、技術者、施工実績などの条件を満たす必要がある個別案件の入札公告・入札説明書

「申請できる」は「自動的に認定される」「どの案件にも参加できる」「受注できる」という意味ではありません。まず該当業種の経審を受け、次に発注機関の資格審査を受け、その後に個別公告の参加条件を確認します。

「実績ゼロ」を4種類に分ける

実務で使われる「実績」には、少なくとも次の4種類があります。申請前の相談では「ゼロです」だけで終わらせず、どの欄がゼロなのかを確認すると判断が早くなります。

「工事実績ゼロ」が指しうる数値
ゼロの内容経審・入札での位置づけ混同しやすい点
年間平均完成工事高が0円対象業種のX1が最下位区分になる会社全体の売上が0とは限らない
年間平均元請完成工事高が0円対象業種のZ2が最下位区分になる下請の完成工事高があっても元請実績は0になりうる
技術職員数値が0対象業種のZ1が最下位区分になる会社の従業員数が0という意味ではない
発注機関での施工実績がない資格審査の技術評価や個別公告の条件に関係する場合がある経審の完成工事高とは別の集計

たとえば、民間の下請工事は施工しているものの、発注者から直接請け負った工事がなければ、完成工事高はあっても元請完成工事高は0になりえます。一方、建設業以外の売上があっても、経審を受ける業種の完成工事高がなければ、その業種のX1は0円です。X1の対象範囲は経審のX1(完成工事高)、元請分との違いはZ2(元請完成工事高)で確認できます。

完工高0・技術職員0人でも評点は0にならない

経審のX1とZは、数値が0なら評点も0になる仕組みではありません。国土交通省の評点算出表には最下位区分があり、完成工事高0円のX1は397点、技術職員数値と元請完成工事高がともに0のZは456点になります。

業種別の数値が0の場合の評点
入力状況評点P点での重み
年間平均完成工事高0円X1=397点0.25
技術職員数値0・元請完成工事高0円Z=456点0.25

X2、Y、Wも会社の数値にもとづいて算定されるため、X1やZが最下位でも総合評定値Pは算定されます。全項目を理論上の最低条件に置いた本サイトの実測ではPは163点で、0点ではありません。内訳は経審P点の最高点・最低点で確認できます。

「技術職員0人」は、技術職員名簿でその業種に計上できる人数が0という意味です。資格の有無だけでなく、審査基準日時点の恒常的雇用関係や1人2業種までの制約があります。数え方は技術職員数値と技術職員名簿で確認してください。

ただし、評点が算定されることと、建設業許可の営業所技術者等の要件を満たすことは別です。許可を維持するための技術者要件まで「0人でよい」という意味ではありません。

必要なのは該当業種の総合評定値通知書

国の一元受付手引きが完工高0でも申請可能としている条件は、該当する建設業法工事種別について、経審の総合評定値通知書を受けていることです。希望工事種別と建設業法上の29業種は、必ずしも1対1ではありません。

一元受付手引きは、各機関の希望工事種別に対応する建設業法工事種別のうち、1種類以上で総合評定値通知書を受けていれば申請できると説明しています。対応する工事種別が複数ある場合、どの業種のP点を取得しておくべきかを、機関別の対応表で確認します。

  1. 受けたい希望工事種別を決める発注機関が使う工事種別名を確認します。
  2. 対応する建設業法工事種別を調べる一元受付の機関別画面・対応表で、土木一式、建築一式、電気、管などの対応を確認します。
  3. 該当業種の総合評定値通知書を確認する通知書に対象業種のP点があり、年間平均完成工事高が0と記載されている状態なら、0だけを理由に申請不可とはなりません。
  4. 発注機関固有の入力欄を確認する希望部局、希望工事種別、完工高の割り振りなどを、機関個別の案内に沿って入力します。

経審を受けても総合評定値を請求していない場合や、別の業種だけ通知を受けている場合は、この条件を満たしません。経営規模等評価の申請と総合評定値の請求の違いは経審の申請等の区分で整理しています。

入札参加資格を申請できることと受注できることは別

資格審査を申請できても、認定後の等級や個別工事の参加条件によって、参加できる案件は限られます。特に「過去の施工実績」は、経審の年間平均完成工事高とは別に、技術評価や公告条件で確認されることがあります。

申請後に残る主な確認
確認場面確認する内容完工高0との関係
資格審査総合点数、等級、希望部局、希望工事種別、機関固有の条件低い等級になる、または対象範囲が限られることがある
個別公告等級、地域要件、同種工事実績、配置予定技術者、許可業種施工実績要件があれば、その実績を別途証明する必要がある
落札・契約価格、総合評価、技術資料、契約保証など資格名簿に載ったことだけでは受注は決まらない

発注機関ごとに資格審査と等級の決め方は異なります。国土交通省・関東地方整備局の等級の目安を確認する場合は入札参加資格ランク計算、経審と入札参加資格そのものの違いは経審と入札参加資格の違いを参照してください。

適用範囲:この記事で「完工高0でも申請可能」としているのは、国土交通省のインターネット一元受付手引きで確認できる取扱いです。都道府県、市区町村、独立行政法人などの個別受付では、申請要件や等級付与の条件が異なるため、各発注機関の現行手引きを優先してください。

申請前に確認する6項目

  1. 何が0か:完成工事高、元請完成工事高、技術職員数値、発注機関での施工実績のどれか。
  2. 建設業許可:希望工事種別に対応する建設業の許可を受けているか。
  3. 経審の受審業種:対応する建設業法工事種別を審査対象として申請したか。
  4. 総合評定値:対象業種のP点が記載された総合評定値通知書を受けているか。
  5. 資格審査の対応表:希望工事種別と、通知書上の工事種別の対応が合っているか。
  6. 個別条件:資格審査の等級条件と、入札公告の施工実績・技術者・地域要件を満たすか。

完成工事高が0なのに通知書へ別の金額が載っている、工事をしたのに対象業種が0になっている、といった場合は、申請可否を考える前に集計範囲を確認します。工事の業種分類を誤って別業種へ計上している可能性は、建設工事29業種の区分で確認できます。

確認した一次資料

まとめ

  1. 工事実績ゼロは、完成工事高0、元請完成工事高0、技術職員数値0、発注機関での施工実績なしに分けて確認する。
  2. 完成工事高や技術職員数値が0でも、X1・Zには最下位区分の評点があり、P点は0にならない。
  3. 国の一元受付では、該当する工事種別の総合評定値通知書があれば、年間平均完成工事高0でも対応する希望工事種別へ申請できる。
  4. 対応する工事種別の総合評定値通知書を受けていなければ、完工高の有無にかかわらず、その希望工事種別へ申請できない。
  5. 入札参加資格を申請・取得できることと、個別工事の参加条件を満たして受注できることは別。
  6. 都道府県・市区町村などは独自条件があるため、申請先の最新手引きと個別公告を確認する。

経審をどの業種で受けるか、総合評定値を請求するか、入札参加資格でどの希望工事種別を選ぶかを、一つの表にして照合すると抜けを防げます。自社のX1・Z・Pの概算は経審P点シミュレーターで確認できます。

この記事は制度の一般的な読み方です。正式な評点と資格認定は、許可行政庁・登録経営状況分析機関・各発注機関の審査結果が優先します。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

完成工事高が0円でも経審の点数は出ますか?
出ます。年間平均完成工事高0円のX1は最下位区分の397点です。技術職員数値と元請完成工事高がともに0のZも456点となり、0点にはなりません。他のX2・Y・Wと合わせてP点が算定されます。
完工高0でも国の入札参加資格を申請できますか?
国土交通省の一元受付では、対応する建設業法工事種別について総合評定値通知書を受けていれば、年間平均完成工事高が0でも希望工事種別へ申請できます。発注機関固有の条件は別に確認が必要です。
完成工事高があれば総合評定値通知書がなくても申請できますか?
できません。国の一元受付では、希望工事種別に対応する建設業法工事種別のうち、1種類以上について経審の総合評定値通知書を受けていることが必要です。完工高の有無とは別の条件です。
技術職員0人なら建設業許可の技術者も不要ですか?
その意味ではありません。経審の技術職員名簿で対象業種に計上する人数と、建設業許可を維持するための営業所技術者等の要件は別です。許可要件は許可行政庁の案内で確認してください。
入札参加資格を取れば工事実績ゼロでも入札できますか?
資格名簿への登録だけでは決まりません。個別公告には等級、地域、同種工事の施工実績、配置予定技術者などの条件があり、案件ごとにすべて満たす必要があります。
工事実績ゼロとはどの数値を確認すればよいですか?
経審の年間平均完成工事高、年間平均元請完成工事高、技術職員数値、発注機関での施工実績を分けます。それぞれX1、Z2、Z1、資格審査や個別公告に関係し、同じ実績ではありません。

令和8年新基準・改正前基準を新旧比較で無料試算(無料・登録不要):経審P点シミュレーターを使う

専門書で詳しく確認したい場合

広告

下記書籍の紹介による報酬の有無は、記事の内容に影響しません。制度の背景や申請実務を書籍でまとめて確認したい方向けです。

本ツールは事業者ご自身が入力・利用する試算です(申請の代行・作成支援は行っていません)。個別のご相談は承っておりません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。数値は概算であり、実際の申請前に専門家へご確認ください。算定方法・出典・免責