ガイド

経審と入札参加資格の違い|審査する主体・有効期間・点数の3軸で比較

経営事項審査(経審)は入札参加資格そのものではありません。申請先、有効期間、点数の違いを表で並べます。

国土交通省の手引き・参考資料
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

公共工事の入札に出るには、経営事項審査(経審)と入札参加資格(競争参加資格審査)の2つが登場します。名前が似ているため同じものと思われがちですが、審査する主体も、申請先も、有効期間も、点数の意味も別々です。

この記事は、国土交通省の資料にもとづいて、2つの制度を審査主体・有効期間・点数の3軸で比べます。手続の代行や個別の相談は行わず、制度の違いを本人が理解するための整理です。

結論:経審は資格審査に使う客観的事項

公共事業の発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者の資格審査を行います。その審査のうち「客観的事項」にあたるのが経営事項審査です。

国土交通省の資料は、資格審査を、欠格要件の審査のあとに、客観的事項と発注者別評価を点数化(総合点数)して格付けする、と説明しています。経審は、この客観的事項を許可行政庁が統一した基準で審査する制度です。

つまり、経審の結果通知書は入札参加資格の材料であって、経審を受けただけでは入札に参加できる資格が付くわけではありません。参加したい発注者へ、別に資格審査の申請をします。

3軸の比較表

経審と入札参加資格(国土交通省地方整備局等の例)の比較
比べる軸経営事項審査(経審)入札参加資格(競争参加資格審査)
申請先・審査する主体建設業許可の許可行政庁に申請し、許可行政庁が審査する(経営状況は登録経営状況分析機関が分析)公共工事の発注者に申請する(国土交通省の令和7・8年度の手引きでは、申請者の本店所在地を受付担当部局とする地方整備局の1か所へ提出)
審査する内容客観的事項(経営規模・経営状況・技術力・社会性等)欠格要件の確認のうえ、客観的事項に発注者別評価を加えて点数化し、格付けする
有効期間審査基準日から1年7か月(結果通知書の受領日からではない)受付ごとに定められる。令和7・8年度の定期受付で認定された資格の有効期間は、令和7年4月1日〜令和9年3月31日
点数総合評定値P(X1・X2・Y・Z・Wを重みづけして合わせた点数)総合点数(経審の客観点に発注者別評価を加えた点数)
結果の書類結果通知書(総合評定値通知書)資格認定通知書(一般競争(指名競争)参加資格認定通知書)

資格審査側の申請先・有効期間・通知書は、国土交通省地方整備局等の令和7・8年度(現在の資格の期間)の手引きの例です。次の令和9・10年度の受付や、市区町村・都道府県などほかの発注者は、それぞれの受付要領で確認してください。港湾空港関係は通知書の名称が資格決定通知書です。

点数はどうつながるか

国土交通省の資料では、経審で得た客観点に発注者別評価(発注者点)を加えたものが総合点数です。直轄工事の「道路・河川・官庁営繕・公園関係」の例では、経営事項評価点数と技術評価点数を足して総合点数を出し、等級区分を設けている工事種別では、その多寡で等級を決めます。港湾空港関係は用語が変わります。

経営事項評価点数の算式は「0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W」で、経審のP点と同じです。ただし地方整備局は22の工事種別、経審のP点は29の建設工事の種類ごとに算定するため、両者は一致しない場合があります。

技術評価点数の算定と22の工事種別の考え方は経審のP点と入札参加資格ランクの関係、経審のP点の求め方は経審P点の計算方法で扱っています。手元のP点から、技術評価点数を考慮しない下限の等級の目安を見るには入札参加資格ランクの目安計算を使えます。港湾空港関係の用語は有資格業者名簿の見方で確認できます。

有効期間の違いとつなぎ方

経審は、審査基準日から1年7か月の間しか公共工事を請け負う根拠として使えません。国土交通省の資料は、毎年公共工事を直接請け負おうとする場合は、この期間が切れ目なく続くよう、毎年決算後に受審する必要があると案内しています。

この義務は、発注者の入札参加資格の有無とは関係なく、公共工事の受注そのものに課されます。一方、資格審査の有効期間は受付ごとに決まり、令和7・8年度の国土交通省地方整備局等で認定された資格は令和9年3月31日までです。経審は毎年、国土交通省地方整備局等の資格審査は2年に1回の定期受付と周期が違うため、両方の日付を別々に管理します。

2つの制度は申請時点でつながります。令和7・8年度の手引きでは、定期受付の後(令和7年1月16日以降)は随時受付になります。使える経審は、定期受付では審査基準日が令和5年6月16日以降の最新の結果通知書、随時受付では申請日の1年7月前までの間の決算日を審査基準日とし、申請の直前に受けた結果通知書と定めています。

あわせて、どちらの受付でも、結果通知書の雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況が「加入」又は「適用除外」であることが条件です。これは令和7・8年度の手引きの記載で、令和8年7月の経審改正後の通知書の扱いは、最新の受付要領で確認してください。

令和9・10年度の条件は令和9・10年度の入札参加資格審査、いまの経審結果は使えるかで確認できます。

経審側の日程の逆算は経審の有効期間と逆算スケジュール、随時受付の入口は国土交通省の随時受付で解説しています。

許可から落札までの順番

国土交通省の資料は、公共工事の入札・契約までの一般的な流れを、建設業許可、経営事項審査、競争参加資格審査(ランク分け)、入札参加条件、落札者の決定の順に示しています。経審は決算期ごと、許可は5年ごとの手続です。

入札・契約までの一般的な流れ
順番手続資料の図での区分
1建設業許可5年ごと。許可行政庁にて実施
2経営事項審査決算期ごと。許可行政庁にて実施
3競争参加資格審査(ランク分け)発注者別
4個別工事ごとの入札参加条件(工種・等級・施工実績・配置予定技術者・地域要件など)工事ごと
5入札参加、価格競争又は総合評価、落札者の決定、契約工事ごと

個別工事の入札参加条件は、資格審査を通ったあとに工事ごとに付く条件です。経審や資格審査に通っても、工事ごとの条件を満たさなければ、その工事には参加できません。

よくある取り違え

注意:国土交通省地方整備局等では、経審の点数がそのまま入札参加資格の等級になるわけではありません。
  • 経審を受ければ入札に参加できる:経審は資格審査で使う客観的事項で、参加したい発注者へ資格審査の申請が別に必要です。逆に、国土交通省地方整備局等では、建設業許可と経審を受けていない者は、道路清掃作業や河川・道路の維持作業のみを希望する者を除き、欠格要件に当たります。要件は入札参加資格の欠格要件にまとめています。
  • 有効期間は同じ:経審は審査基準日から1年7か月、資格審査は受付ごとの期間で、周期が異なります。
  • P点がそのまま等級:国土交通省の直轄工事の「道路・河川・官庁営繕・公園関係」の例では、等級区分を設けている工事種別の等級は、経営事項評価点数に技術評価点数を加えた総合点数で決まります。一般土木・アスファルト舗装・造園の各工事は、技術評価点数が0点だと最下位の等級になります。
  • 受審が不要な会社もある:公共工事を直接請け負わない会社などには、経審を受ける法的な義務がありません。範囲は経審の流れと費用の「経審が必要になる会社」で確認できます。

令和8年の改正で経審の結果が変わった場合に、資格審査をどう扱うかは経審の再審査と競争参加資格の再認定の違いで整理しています。正式な評点と等級は、許可行政庁と発注者の審査結果が優先されます。

確認した一次資料

まとめ

  • 経審は許可行政庁が審査する客観的事項、入札参加資格は発注者が行う資格審査で、経審の結果はその材料になる。
  • 有効期間は、経審が審査基準日から1年7か月、資格審査は受付ごと(令和7・8年度の国土交通省地方整備局等で認定された資格は令和9年3月31日まで)。
  • 点数は、経審の結果(客観点)に発注者別評価を加えたものが総合点数で、等級は経審のP点ではなく総合点数などで決まる。
  • 順番は、許可、経審、資格審査、工事ごとの入札参加条件、落札の順。
  • 自社のP点から入札参加資格の等級の目安を見るには入札参加資格ランクの目安計算が使える(無料・登録不要)。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

経審と入札参加資格は同じものですか?
別の制度です。経審は許可行政庁が審査する客観的事項で、入札参加資格は公共工事の発注者が行う資格審査です。経審の結果は資格審査で使われますが、経審を受けただけでは入札参加資格は付きません。
経審だけで入札に参加できますか?
できません。経審は資格審査で使う客観的事項で、参加したい発注者ごとに別の資格審査があります。国土交通省地方整備局等では、建設業許可と経審を受けていない者は、一部の維持作業のみを希望する場合を除き欠格要件に当たります。
経審と入札参加資格の有効期間はどう違いますか?
経審は審査基準日から1年7か月で、結果通知書の受領日からではありません。入札参加資格は受付ごとに決まり、国土交通省地方整備局等の令和7・8年度の定期受付で認定された資格は令和7年4月1日から令和9年3月31日までです。
経審のP点はそのまま入札参加資格の等級になりますか?
なりません。等級は、経審の結果(客観点)に発注者別評価を加えた総合点数で決まります。国土交通省の直轄工事の「道路・河川・官庁営繕・公園関係」では、経営事項評価点数と技術評価点数の合計が総合点数です。
経審は誰に申請し、入札参加資格は誰に申請しますか?
経審は建設業許可の許可行政庁に申請します。入札参加資格は公共工事の発注者に申請します。国土交通省の令和7・8年度の手引きでは、申請者の本店所在地を受付担当部局とする地方整備局の1か所へ提出します。
経審、入札参加資格、入札の順番はどうなりますか?
国土交通省の資料では、建設業許可、経営事項審査、競争参加資格審査(ランク分け)、個別工事ごとの入札参加条件、落札者の決定の順に示されています。

P点から国交省・関東地方整備局の等級目安を確認(無料・登録不要):入札参加資格ランクの目安計算を使う

本ツールは事業者ご自身が入力・利用する試算です(申請の代行・作成支援は行っていません)。個別のご相談は承っておりません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。数値は概算であり、実際の申請前に専門家へご確認ください。算定方法・出典・免責