合併等による入札参加資格の点数加算措置|3年未満15%・3年以上5年未満10%の適用条件
合併・事業譲渡・会社分割で会社が変わった有資格業者を対象に、経営事項評価点数・技術評価点数を加算する制度です。対象となる5類型と、加算を受けるための前提条件を整理します。
国土交通省地方整備局等の公式手引き国土交通省地方整備局等の入札参加資格審査には、「第7.特殊な資格審査制度」として4種類の特例があります。この記事が扱うのは、実際に合併・事業譲渡・会社分割によって会社が変わった有資格業者を対象にした1番目の制度です。
令和7・8年度版の公式手引きから、対象となる5つの類型、技術評価点数における特例、点数加算措置(3年未満15%・3年以上5年未満10%)とその前提条件を整理します。P点シミュレーター本体はこの特例措置には対応していません。
合併等により新たに設立された会社等とは(5類型)
合併等により新たに設立された会社等は、①〜⑤の5類型に整理されます。
| 類型 | 該当するケース |
|---|---|
| ①合併新設会社・合併存続会社 | 合併により新たに会社が設立された場合の新設会社、又は合併により一方が存続した場合の存続会社 |
| ②子会社(親会社の営業一部の譲受) | 親会社がその営業(建設業)の一部を独立させるため新たに設立した子会社が親会社の当該営業部門を譲り受け、親会社の当該部門の営業活動が廃止又は休止された場合の子会社 |
| ③承継譲受会社 | 新たに設立された会社が他の会社(承継譲渡会社)の営業(建設業)の全部又は一部を譲り受け、承継譲渡会社の当該営業部門の営業活動が廃止又は休止された場合の新設会社 |
| ④譲受業者 | 既存の建設業者が他の建設業者(譲渡業者)から営業(建設業)の全部又は一部を譲り受け、譲渡業者の当該営業部門の営業活動が廃止又は休止された場合の、当該営業を譲り受けた建設業者 |
| ⑤分割承継会社 | 会社分割により営業(建設業)の全部又は一部を他の会社に承継させた分割会社の当該営業部門の営業活動が廃止又は休止された場合の、当該営業を承継した会社 |
以下、②〜⑤の親会社・子会社、承継譲渡会社・承継譲受会社、譲渡業者・譲受業者、分割会社・分割承継会社の組み合わせは、資格審査の取扱いにおいて合併と同等とみなし得る場合に限られます。
技術評価点数における特例
合併新設会社又は合併存続会社にあっては、それぞれ合併前の合併当事会社を一つの会社とみなして技術評価点数を算定します。営業(建設業)の全部を譲り受けた場合等、資格審査の取扱いにおいて合併と同等とみなし得る場合のみ、親会社と子会社、承継譲渡会社と承継譲受会社、譲渡業者と譲受業者、又は分割会社と分割承継会社を一つの会社とみなして算定します。
この技術評価点数以外に「施工実績」についても同様に、合併新設会社・合併存続会社・子会社・承継譲受会社・譲受業者又は分割承継会社の施工実績とみなします。
点数加算措置は3年未満15%・3年以上5年未満10%
加算を受けるには、登録を希望する工事種別について、合併前の合併当事会社がそれぞれ国土交通省地方整備局等の有資格業者であることが前提です。等級区分が設けられている工事種別では、合併前の合併当事会社が同一の等級若しくは直近の等級に認定されている場合(又はこれと同等と認められる場合)に限られます。
受注機会の確保(指名の特例)
等級区分が設けられている工事種別では、合併新設会社又は合併存続会社は、認定された等級で指名することが原則です。ただし合併前の合併当事会社のうち1社以上が、その等級の直近下位の等級又は二等級下位の等級に認定されていた場合は、必要に応じて直近下位の等級でも指名できます。
営業(建設業)の全部譲渡を受けた場合等、合併と同等とみなし得る親会社と子会社、承継譲渡会社と承継譲受会社、譲渡業者と譲受業者についても同様です。この取扱いは、合併後5年間程度、適用されます。
| 組み合わせ | 認定等級 | 指名可能な等級 |
|---|---|---|
| A社+A社 | A | Aのみ |
| A社+B社(直近下位) | A | A・(必要がある場合)B |
| A社+C社(二等級下位) | A | A・(必要がある場合)B |
| A社+D社(三等級下位) | A | Aのみ |
| B社+B社(1ランクアップ) | A | A・(必要がある場合)B |
| C社+C社(2ランクアップ) | A | A・(必要がある場合)B |
グループ経審・持株会社化経審との違い
この記事が扱う点数加算措置は、実際に合併・事業譲渡・会社分割によって会社そのものが変わった場合が対象です。これに対し、グループ経営事項審査(グループ経審)と持株会社経営事項審査(持株会社化経審)は、会社は別法人のまま、企業集団としての評点の合算・按分を認める別の制度です。
国土交通省がグループ化・持株会社化を合併に近い行為とみなしたため加算率の数字が近くなっていますが、対象となる行為・審査基準日・加算の前提条件はそれぞれ異なります。
| 項目 | 合併等の点数加算措置(本記事) | グループ経審 | 持株会社化経審 |
|---|---|---|---|
| 対象となる行為 | 合併・営業の全部又は一部の譲受・会社分割 | 金融商品取引法適用会社を親会社とする企業集団の認定 | 持株会社を活用した企業集団の認定 |
| 会社の扱い | 会社が合体・承継され、譲渡側等の営業活動は廃止又は休止される | 各社は別法人のまま、代表建設業者に経審点を集約 | 各社は別法人のまま、Z・Wを親会社から按分 |
| 点数加算率 | 3年未満15%・3年以上5年未満10% | 認定後3年未満15%・3年以上5年未満10% | 認定後3年間10% |
| 審査基準日 | 合併等期日から主観的事項の審査基準日までの期間で判定 | 原則、親会社の直前の事業年度終了日 | 原則、企業結合の日 |
なお、経審のW2(営業継続の状況)における「営業年数の数え方」にも合併の特例がありますが、これは建設業法にもとづく経営事項審査そのものの点数計算のルールです。本記事が扱う入札参加資格の点数加算措置(資格審査側の特例)とは制度が異なるため、営業年数の起算点を確認したい場合は経審の営業年数を参照してください。
その他の取扱い
- 過去の未申告合併:既に合併を行っていたが、令和7・8年度以前の資格審査で合併の事実を申請していなかった場合でも、令和6年10月1日から過去5年間以内に合併された会社等であれば、合併の事実について申請があれば規定が適用されます。
- 合併後1年未満・決算未了の場合:合併等の後1年未満で、合併等会社として決算を済ませていない場合、点数加算措置等の適用を受けるには、合併日もしくは営業譲渡日を審査基準日とする経営事項審査を受けている必要があります。
- 資格審査申請時に使用する総合評定値通知書:合併日・譲渡日・分割日を基準日とした合併時経審・譲渡日経審・分割時経審が必要です(これらの基準日以降に新たに経審を受けている場合を除きます)。
確認した一次資料
- 国交省地方整備局等「建設工事 競争参加資格審査申請書作成の手引き-令和7・8年度版-」第7.1 合併等により設立された会社の資格審査(目次記載155〜157ページ、5類型の定義・技術評価点数の特例・点数加算措置15%/10%・受注機会の確保・その他の取扱い)
点数加算率・前提条件は令和7・8年度版の記載に基づきます。令和9・10年度版が公表された場合は記載内容が更新される可能性があるため、申請前に最新版の手引きで確認してください。
本記事は制度の仕組みの一般的な解説であり、個別の合併・事業譲渡・会社分割を実施すべきかどうかの助言や、申請書類の作成・提出代行を行うものではありません。正式な点数加算の可否は、申請先の地方整備局等による審査結果が優先します。
まとめ
- 合併等の点数加算措置は、「第7.特殊な資格審査制度」4種類のうち1番目にあたる、実際に合併・事業譲渡・会社分割で会社が変わった有資格業者向けの特例。
- 対象となる合併等により新たに設立された会社等は、①合併新設会社・合併存続会社、②子会社、③承継譲受会社、④譲受業者、⑤分割承継会社の5類型。
- 点数加算率は、合併等後の期間が3年未満は15%、3年以上5年未満は10%。前提として、合併前の当事会社がそれぞれ有資格業者であること、等級区分がある工種は同一又は直近の等級であることが必要。
- 点数加算措置は重複適用されない。過去5年間に複数回合併していても、最後の合併当事会社のみが対象。
- 等級区分がある工種で、合併前当事会社の1社以上が直近下位・二等級下位の等級だった場合、合併後5年間程度、その下位等級でも指名可能。
- 会社は別法人のままのグループ経審・持株会社化経審、建設業法上の経審の営業年数(W2)の起算点における合併特例とは別の制度で、混同しないよう注意が必要。
企業集団単位の特例はグループ経営事項審査(グループ経審)・持株会社経営事項審査(持株会社化経審)、共同企業体の資格審査は大手企業連携型建設共同企業体の資格審査・経常建設共同企業体(経常JV)の入札参加資格で解説しています。入札参加資格ランクの目安は入札参加資格ランクの目安計算、P点の計算方法全体は経審P点の計算方法を参照してください。
評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。
よくある質問
- 合併等による点数加算措置とはどのような制度ですか?
- 国土交通省地方整備局等の有資格業者間の合併等により、合併新設会社・合併存続会社等が申請した希望工種区分ごとの経営事項評価点数及び技術評価点数に対し、合併等後の期間に応じて加算する措置です。「第7.特殊な資格審査制度」4種類のうち1番目にあたります。
- 点数加算率はどのくらいですか?
- 合併等後の期間(合併等期日から主観的事項の審査基準日までの期間)が3年未満の場合は15%、3年以上5年未満の場合は10%が加算されます。令和7・8年度国土交通省地方整備局資格審査では、主観的事項の審査基準日は令和6年10月1日です。
- 加算を受けるための前提条件は何ですか?
- 登録を希望する工事種別について、合併前の合併当事会社がそれぞれ国土交通省地方整備局等の有資格業者であることが前提です。等級区分が設けられている工事種別では、合併前の当事会社が同一の等級もしくは直近の等級に認定されている場合(又はこれと同等と認められる場合)に限られます。
- 複数回合併している場合は加算が重複しますか?
- 重複しません。主観的事項の審査基準日までの過去5年間に複数回合併していても、最後の合併期日を基準時として、最後の合併当事会社のみが経営事項評価点数と技術評価点数の加算の対象になります。
- 対象となる合併等により新たに設立された会社等とはどのような会社ですか?
- ①合併新設会社・合併存続会社、②親会社の営業の一部を譲り受けた子会社、③他社の営業を譲り受けた承継譲受会社、④他の建設業者から営業を譲り受けた譲受業者、⑤会社分割による分割承継会社の5類型です。
- グループ経審の点数加算率も同じ数字ですが、この措置と同じ制度ですか?
- 別の制度です。この措置は実際に合併・事業譲渡・会社分割によって会社が変わった場合が対象で、グループ経審は金融商品取引法適用会社を親会社とする企業集団(会社は別法人のまま)が対象です。国土交通省がグループ化を合併に近い行為とみなしたため加算率が同じ数字になっているだけで、対象・要件は異なります。
公開日: 2026-09-23
P点から国交省・関東地方整備局の等級目安を確認(無料・登録不要):入札参加資格ランクの目安計算を使う
専門書で詳しく確認したい場合
広告下記書籍の有無や報酬によって、記事の内容は変わりません。制度の背景や申請実務を書籍でまとめて確認したい方向けです。
本ツールは事業者ご自身が入力・利用する試算です(申請の代行・作成支援は行っていません)。個別のご相談は承っておりません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。数値は概算であり、実際の申請前に専門家へご確認ください。算定方法・出典・免責

