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経審の合併・事業承継とP点|完成工事高・平均利益額の引き継ぎ特例

吸収合併、事業譲渡、個人事業からの承継があった場合に、経審の完成工事高(X1)と平均利益額(Y点)をどこまで引き継げるかを、国土交通省の経審事務取扱要領から整理します。

国土交通省の事務取扱通知
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

吸収合併・新設合併・事業譲渡・個人事業からの承継があった場合、直前2年または3年の完成工事高が、承継人自身の実績だけでは審査基礎期間に満たないことがあります。国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて(令和8年改正反映版)」は、一定の条件を満たせば消滅会社・譲渡会社・被承継人の完成工事高を組み合わせて算定基礎にできると定め、吸収合併の場合は平均利益額も同じ算式の対象にしています。

本記事はX1(完成工事高)とY点の平均利益額の引き継ぎ算式に絞って解説します。自己資本額・技術職員数の扱いや、経審とは別制度の入札参加資格の点数加算措置は、それぞれ該当する章・別記事で扱います。

対象となる4つのパターン

国交省の事務取扱要領は、直前2年(または3年)の完成工事高合計を年間平均完成工事高の算定基礎とできる特例の対象として、次の4パターンを挙げています。

  1. 商業登記法の組織変更当期事業年度開始日から2年以内(または3年以内)に、商業登記法の規定に基づく組織変更の登記を行った者。
  2. 個人事業から近親者への承継被承継人(個人の建設業者)の配偶者または2親等以内の者が承継し、被承継人の廃業・事業年度の連続・承継人の業務補佐経験のいずれも満たす場合。
  3. 個人事業から出資法人(承継法人)への承継被承継人が50%以上出資して設立した法人が承継し、被承継人の廃業・事業年度の連続・承継法人の代表権を有する役員が被承継人であることのいずれも満たす場合。
  4. 吸収合併・新設合併・事業譲渡合併の沿革を有する者(吸収合併の存続会社、新設合併の新設会社)、または建設業を譲り受けた沿革を有する者。
4パターンはいずれも「算定基礎とすることができるものとする」という条文の書き方です。引き継ぎを申し出るかどうかを含め、実際の適用可否は受審先の許可行政庁・登録経営状況分析機関の審査によります。

完成工事高(X1)の引き継ぎ算式

吸収合併・新設合併・事業譲渡(既に許可を持つ業者が譲り受ける場合)は、直前2年または3年の完成工事高合計に、消滅会社・譲渡会社の対応期間における同一種類の建設工事の完成工事高を、決算期のずれを月数で調整した算式で加えた額を、年間平均完成工事高の算定基礎にできます。

事務取扱要領には、直前2年パターン・直前3年パターンそれぞれの調整算式が図とともに示されています。加えて、事業譲渡によって新たに建設業を開始する場合(既存の許可を持たない状態からの譲受け)は、既存業者間の合併とは別の算式が定められています。金額を実際に当てはめる際は、本記事の要約ではなく一次資料本文の算式・図を直接確認してください。

個人事業からの承継(近親者・出資法人のいずれも)は、被承継人の直前2年または3年の完成工事高合計をそのまま承継人の算定基礎に加えられます。合併・事業譲渡のような期間按分の調整は不要です。

平均利益額(Y点)も同じ算式で算定

事務取扱要領は、事業年度変更で審査対象年・前審査対象年の合計が24か月に満たない場合、商業登記法上の組織変更を行った場合、個人事業からの承継(近親者・出資法人)に該当する場合、または他の建設業者を吸収合併した場合の平均利益額の算定を、完成工事高の引き継ぎ算式(ト・チ・リの要領)で行うと定めています。

平均利益額の引き継ぎ規定が明記する対象は「吸収合併」で、条文の文言は新設合併・事業譲渡には触れていません。新設合併・事業譲渡の場合に平均利益額も同様に扱えるかは、本記事で確認した条文からは判断できません。P点シミュレーターへ入力する際は、この違いを踏まえて申請方針を確認してください。

自己資本額・技術職員数は引き継ぎの対象外

Y点のもう一つの要素である自己資本額は、審査基準日の基準決算における純資産合計の額(または基準決算と直前決算の平均)で審査すると定められており、本記事で確認した範囲では合併・承継時に過去の実績を合算する調整規定はありません。

技術職員数(Z点)についても、本記事で確認した事務取扱要領の該当章に、合併・承継時の人数を合算する特例の記載は見当たりませんでした。技術職員数は審査基準日時点で実際に雇用関係にある人数を数える項目のため、完成工事高・平均利益額のような期間実績の引き継ぎとは性質が異なります。

自己資本額・技術職員数の合併時の取扱いについて、本記事で確認した以外の規定(告示や別の通知)がないかは、申請先の許可行政庁・登録経営状況分析機関へ確認してください。

別制度「入札参加資格の点数加算措置」との違い

合併に関連する制度としては、国土交通省地方整備局等の入札参加資格の点数加算措置(合併等後3年未満15%・3年以上5年未満10%)もあります。これは経審の評点そのものではなく、入札参加資格審査の主観点に対する別枠の加算措置で、対象・算定方法とも本記事が扱う経審の完成工事高・平均利益額の引き継ぎとは別の制度です。両方に該当しうる合併でも、それぞれの要件を個別に確認する必要があります。

合併・分割・事業譲渡があった場合の申請方法・審査基準日の扱い全般は経審の有効期間の逆算、入札参加資格の随時受付の対象になるかは入札参加資格審査の随時受付で解説しています。

確認した一次資料

まとめ

  • 組織変更・個人事業からの承継(近親者/出資法人)・吸収合併/新設合併/事業譲渡の4パターンで、完成工事高の引き継ぎ算式が定められている。
  • 合併・事業譲渡は決算期のずれを月数で調整する算式、個人事業承継は被承継人の実績をそのまま合算する。
  • 平均利益額(Y点)は、吸収合併に該当する場合に同じ算式で引き継ぎの対象になる(新設合併・事業譲渡は条文に明記なし)。
  • 自己資本額・技術職員数は、本記事で確認した範囲では合併時の合算調整の規定がない。
  • 経審の完成工事高・平均利益額の引き継ぎと、入札参加資格の点数加算措置は別制度。

本記事は制度の一般的な算定ルールの整理であり、個別の合併・事業譲渡・事業承継を実施すべきかどうかの助言や、申請書類の作成・提出代行を行うものではありません。実際に引き継ぎが認められるかどうかは、申請先の許可行政庁・登録経営状況分析機関による審査結果が優先します。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

会社を吸収合併した場合、経審の完成工事高はどう扱われますか?
国交省の経審事務取扱要領は、合併の沿革を有する会社について、直前2年または3年の完成工事高合計に、消滅会社の対応期間の完成工事高を月数で調整して加えた額を、年間平均完成工事高の算定基礎とすることができると定めています。
個人事業から後継者へ事業承継した場合も完成工事高を引き継げますか?
条件付きで引き継げます。承継人が被承継人の配偶者・2親等以内の者で、被承継人の廃業・事業年度の連続・承継人の業務補佐経験のいずれも満たす場合、被承継人の直前2年または3年の完成工事高合計をそのまま算定基礎に加えられます。
事業譲渡の場合も同じ扱いになりますか?
既に建設業許可を持つ業者が譲り受ける場合は合併と同じ調整算式です。譲り受けにより新たに建設業を開始する場合は、譲渡人の実績を組み合わせる別の算式が事務取扱要領に定められています。
平均利益額(Y点)も完成工事高と同じように引き継げますか?
吸収合併の場合は引き継げます。事務取扱要領は、組織変更・個人事業承継・吸収合併に該当する場合の平均利益額の算定を、完成工事高の引き継ぎ算式と同じ要領で行うと定めています。新設合併・事業譲渡についても同様に扱えるかは、条文の文言には明記されていません。
自己資本額や技術職員数も同じように過去の実績を合算できますか?
自己資本額は基準決算時点の純資産合計をそのまま使う規定で、本記事で確認した範囲では合併時の合算調整はありません。技術職員数も審査基準日時点の実際の雇用人数を数える項目で、合併時の特例の記載は見当たりませんでした。
この記事の内容だけで自社の経審申請書類を作成できますか?
できません。本記事は制度の一般的な算定ルールの整理で、個別の適用可否や書類作成は、申請先の許可行政庁・登録経営状況分析機関への確認が必要です。

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本ツールは事業者ご自身が入力・利用する試算です(申請の代行・作成支援は行っていません)。個別のご相談は承っておりません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。数値は概算であり、実際の申請前に専門家へご確認ください。算定方法・出典・免責