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賃上げは経審の点数になるか|総合評価の賃上げ加点との違いと公告での確かめ方

経審(経営事項審査)のW点に「賃上げ」の項目はありません。賃上げが加点になるのは、発注者が行う総合評価落札方式のほうです。両者の違いと、国土交通省の制度の中身、自社の入札で使えるかの確かめ方を整理します。

国土交通省 賃上げ加点措置(令和8年4月1日以降の公告)
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営者情報

「賃上げをすると入札で有利になる」と聞いて、経審の点数が上がるのかと調べる方が多い題材です。結論から言うと、経審の評点に賃上げそのものの項目はなく、有利になる仕組みは発注者の総合評価にあります。この記事は国土交通省の公表資料を基準にしています。自治体ごとの運用は、それぞれの公告で確かめてください。

経審の点数と総合評価の加点の違い

経審の評点総合評価落札方式の賃上げ加点
決めるのは国土交通大臣・都道府県知事の審査結果入札ごとに、発注者が評価項目として設ける
賃上げの扱いW点の項目に賃上げはない賃上げの表明書を出した入札参加者を加点
見る時期審査基準日の決算と申請時の書類入札時の表明と、その後の実績確認

本サイトが転記しているW点(社会性等)の項目は、退職金・労災補償などの労働福祉、若年の技術者の育成、知識・技能の向上、ワーク・ライフ・バランス、就業履歴の蓄積、建設技能者を大切にする企業の自主宣言、営業年数、防災協定、法令遵守、監査、研究開発、建設機械の保有で、賃上げという項目はありません(確認日:2026年10月15日)。令和8年7月の改正で入った自主宣言は、処遇改善に取り組む姿勢を示す制度で、評価の条件は宣言日と提出書類です。詳しくは『経審の令和8年7月改正|W点の変更点』にあります。

国土交通省の賃上げ加点の中身

国土交通省の資料によると、令和8年4月1日以降に公告する、総合評価落札方式による国土交通省の工事・建設コンサルタント業務等が対象です。

  • 加点の条件:事業年度または暦年の単位で、従業員に対する目標値以上の賃上げを表明した入札参加者を加点します。目標値は、大企業が3%、中小企業等が1.5%です。
  • 表明書:加点を希望する参加者は、賃金引上げ計画を従業員に表明した「表明書」を提出します。この表明書の提出をもって加点評価します。
  • 加点の大きさ:加算点の合計の3%以上となるよう配点を設定します。資料の例では、従来の加算点が40点満点のとき、賃上げの加点は2点です。
  • 直轄工事の配点例:国土交通省直轄工事の総合評価ガイドラインでは、施工能力評価型の配点表に「賃上げの実施に関する評価」が入っています。配点の表は『総合評価落札方式の読み方』にあります。

加点を受けたあとに待っていること

  • 実績の確認:加点を受けた企業は、事業年度または暦年の終了後に、決算書等で達成状況を確認されます。標準的な確認書類は、事業年度単位なら「法人事業概況説明書」、暦年単位なら「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」です。
  • 未達成のとき:大企業はその後の国土交通省の工事・建設コンサルタント業務等の調達で、中小企業等はその後の国の調達で、入札時に加点する割合よりも大きく減点されます。期間は1年間です。
  • 確認書類の代替:標準の書類で確認できない場合は、税理士または公認会計士等の第三者が、基準と同等の賃上げ実績を確認できる書類と認めたものに代えられます。

加点は点数を足すだけでなく、達成できなかったときの減点まで含む仕組みです。表明書を出す前に、自社の給与の動きを経理担当者と確かめておく必要があります。賃上げの実績確認の細かい扱いは、国土交通省の運用資料で確認します。

自社が出る入札で使えるかの確かめ方

  1. 発注者を確かめる:上の制度は国土交通省の発注工事についての資料です。自治体の入札で同じ加点があるとは限りません。
  2. 入札公告・入札説明書の評価項目を読む:総合評価の評価項目に「賃上げ」「賃金引上げ」の語があるかを探します。ある場合は、表明書の様式と提出期限が説明書に書かれています。
  3. 加点の対象単位を確かめる:事業年度単位か暦年単位か、大企業と中小企業等の区分がどうなっているかを確かめます。
  4. 公告全体の読み方:参加資格を先に満たしているかは『入札公告の参加条件の読み方』で順に確かめます。

評価項目に賃上げがない入札では、賃上げをしても加点にはなりません。経審の点数を上げたい場合は、W点の項目を優先順位つきで比べられる『経審のW点を上げる方法』を参照してください。

確認した一次資料

確認日:2026年10月15日。この記事が説明しているのは国土交通省の工事・建設コンサルタント業務等の運用です。物品・役務は運用が異なります。自治体の運用、通知の改正全文、Q&Aの個別回答は確認していません。

次に知りたいこと

まとめ

  • 経審のW点に賃上げの項目はない。自主宣言は処遇改善の取組を宣言する制度で、賃上げ率の項目ではない。
  • 賃上げの加点は、発注者が総合評価の評価項目に設ける。国土交通省は大企業3%・中小企業等1.5%以上の表明で加点する。
  • 加点後は実績確認があり、未達成なら1年間、加点より大きく減点される。
  • 自治体の入札は、公告・入札説明書の評価項目で確かめる。

この記事は公開情報の整理で、個別の申請に対する判断や、申請・届出の代行・個別の相談は行いません。具体的な取扱いは、各発注者の案内で確認してください。正式な評点は審査結果が優先します。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

賃上げをすると経審の点数は上がりますか?
経審のW点(社会性等)の項目に賃上げはありません。賃上げが加点になるのは、発注者が総合評価落札方式の評価項目に設けた場合です。
国土交通省の賃上げ加点の目標値は何%ですか?
国土交通省の資料では、大企業が3%、中小企業等が1.5%以上の賃上げを表明した入札参加者を加点します。加点を希望する参加者は表明書を提出します。
賃上げを表明して達成できなかったらどうなりますか?
大企業はその後の国土交通省の工事・建設コンサルタント業務等の調達で、中小企業等はその後の国の調達で、1年間、入札時に加点する割合より大きく減点されます。
自治体の入札でも賃上げ加点はありますか?
国土交通省の資料は同省の発注分の運用です。自治体は入札公告や入札説明書の評価項目に賃上げがあるかで確かめます。

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