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経審の完成工事高の積み上げ|業種間の振替と分割分類の申出

審査対象にしていない業種の完成工事高は、条件を満たせば審査対象業種へ含められます。積み上げでX1がどれだけ動くかも実測しました。

国土交通省の事務取扱通知
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

経審のX1は建設工事の種類別に評価するため、同じ売上でもどの業種に計上するかで評点が変わります。

国土交通省の事務取扱通知は、審査対象にしていない業種の完成工事高を審査対象業種へ含める取扱い(積み上げ・振替)と、一式工事の完成工事高を専門工事へ振り分けて申し出る「分割分類」を定めています。この記事はその条件と、積み上げたときにX1・P点がどれだけ動くかの実測値を整理します。

X1そのものの範囲と平均方式は経審のX1(完成工事高)とはで解説しています。

大原則:1契約を2以上の業種に分割・重複計上できない

種類別年間平均完成工事高は、許可を受けた建設業のうち経営事項審査の対象とする旨の申出があった建設業(審査対象建設業)について算定します。積み上げの話に入る前に、通知が置いている制限を確認しておく必要があります。

注意:通知は「1つの請負契約に係る建設工事の完成工事高を2以上の種類に分割又は重複計上することはできない」と定めています。1件の工事を複数業種へ二重に載せることは、積み上げの仕組みとは別に禁止されています。

また、直前2年平均・直前3年平均は審査対象建設業ごとに選べず、すべての審査対象建設業で同一の方法によることとされています。

審査対象が一式工事業のとき

審査対象建設業が土木工事業または建築工事業(通知でいう「一式工事業」)である場合、許可を受けている一式工事業以外の建設業(審査対象建設業として申出をしている建設業を除く)に係る建設工事の年間平均完成工事高を、その内容に応じて当該一式工事業のいずれかの年間平均完成工事高に含めることができます。

積み上げの対象になるのは、審査対象建設業として申出をしている建設業を除いた業種の完成工事高です。専門工事のほうも経審を受ける(審査対象にする)と決めた業種の完成工事高は、一式へ移せません。

つまり「専門工事の許可も持っているが、その業種では経審を受けない」という場合に、その完成工事高を一式工事業側へ寄せられるという仕組みです。

審査対象が一式工事業以外のとき

審査対象建設業が一式工事業以外の建設業である場合も、許可を受けた一式工事業以外の建設業(審査対象建設業として申出をしている建設業を除く)に係る建設工事の完成工事高を、その建設工事の性質に応じて当該業種の完成工事高に含めることができます。

積み上げの方向と条件
審査対象建設業含められる完成工事高判断の基準
一式工事業(土木工事業・建築工事業)一式工事業以外の建設業(審査対象としているものを除く)の年間平均完成工事高その内容に応じて
一式工事業以外の建設業一式工事業以外の建設業(審査対象としているものを除く)の完成工事高その建設工事の性質に応じて

専門工事から一式工事への方向と、専門工事から専門工事への方向が定められています。一式工事業の完成工事高をそのまま別の業種へ移す取扱いは、次章の分割分類として別に定められています。

分割分類の申出

通知は、次の申出をしようとする者について、その申出の額をそのまま別記様式第1号に記載するものとしています。

  1. 一式工事業から専門工事業への分割分類一式工事業に係る建設工事の完成工事高を、一式工事業以外の建設業に係る建設工事の完成工事高として分割分類し、許可を受けた建設業の完成工事高に加えて申し出る場合。
  2. 専門工事業についての同様の計算一式工事業以外の建設業に係る完成工事高についても、①と同様の方法により計算して申し出る場合。

前章の積み上げが「審査対象にしていない業種の完成工事高を審査対象業種へ含める」ものであるのに対し、分割分類は「一式工事として受注した工事の内訳を専門工事側へ振り分けて申し出る」ものです。

積み上げ(通知1(1)ニ・ホ)は完成工事高に「含めることができる」とされた取扱い、分割分類(同ヘ①②)は申出にもとづく取扱いです。添付書類や記載方法は、申請先の審査行政庁が公開している手引きで確認してください。

内訳として審査される3つの工事

積み上げ・分割分類とは別に、通知は次の3つを内訳として審査すると定めています。業種そのものではなく、審査対象建設業の内訳という位置づけです。

  • 土木一式工事 → 内訳としてプレストレストコンクリート構造物工事
  • とび・土工・コンクリート工事 → 内訳として法面処理工事
  • 鋼構造物工事 → 内訳として鋼橋上部工事

この3つは、国土交通省地方整備局の入札で申請する希望工種区分(プレストレスト・コンクリート工事、法面処理工事、鋼橋上部工事)と対応しています。競争参加資格審査の手引きは、経審結果の内訳で計上されたPCの完工高は希望工種の「PC」と「橋梁補修」にのみ、法面処理は「法面処理」にのみ、鋼橋上部は「鋼橋上部」と「橋梁補修」にのみ計上されるとしています。

希望工種区分と建設業許可の対応関係は国交省入札の希望工種区分22種と建設業許可の対応表で確認できます。

出典: 国交省地方整備局等「建設工事 競争参加資格審査申請書作成の手引き-令和7・8年度版-」表-4(希望工種区分の名称)および表-4-2の注記★1〜★3。

実測:完成工事高が動くとX1・P点はどう動くか

積み上げや分割分類で審査対象業種の完成工事高が増えると、X1評点はどれだけ動くのでしょうか。本サイトの計算エンジンで実測した値は次のとおりです。

年間平均完成工事高別のX1評点(令和8年基準・実測値)
年間平均完成工事高X1評点
1億円711点
3億円842点
5億円918点

元請完成工事高をモデルケースと同じ3分の2の比率で連動させ、他の項目は固定した条件での実測値です。より細かい金額帯は経審P点の早見表にあります。

積み上げ・分割分類で完成工事高を集計する際も、工事経歴書は消費税を含めない税抜き額で記載します。税込みのまま集計するとX1評点が実際より高く出る点は完成工事高は税込み・税抜きどちらで書くかで実測しています。

完成工事高だけを動かした場合のP点への影響も測れます。モデルケース(完成工事高3億円・元請2億円・自己資本5,000万円・技術職員6名)のP点は719点で、元請完成工事高を据え置いたまま完成工事高だけを1億円積み上げるとP点は730点(+11点)になります

通知は、種類別年間平均元請完成工事高について「1の(1)の許可を受けた建設業に係る建設工事の種類別年間平均完成工事高と同様の取扱いとする」と定めており、積み上げ・分割分類の取扱いは元請完成工事高にも同じように及びます。

ただし元請かどうかは発注者から直接請け負ったかで判定するため、積み上げた額がそのままZ2へ加算されるわけではありません。Z2側の扱いは経審のZ2(元請完成工事高)とはで確認してください。

まとめ

  • 1つの請負契約の完成工事高を2以上の種類へ分割・重複計上することはできない。
  • 審査対象が一式工事業なら、審査対象としていない一式以外の業種の完成工事高を内容に応じて含められる。
  • 審査対象が一式以外なら、審査対象としていない一式以外の業種の完成工事高を性質に応じて含められる。
  • 一式工事の完成工事高を専門工事へ振り分ける「分割分類」は、申出の額をそのまま様式へ記載する取扱い。
  • 土木一式・とび土工・鋼構造物には、それぞれPC構造物・法面処理・鋼橋上部という内訳審査がある。
  • 実測では年間平均完成工事高1億円でX1は711点、3億円で842点、5億円で918点。モデルケースで元請完成工事高を据え置いたまま完成工事高だけを1億円積み上げるとP点は719点から730点へ動く。

どの業種に区分するかの判断は経審29業種の区分の考え方、業種ごとにP点が変わる理由は経審のP点は業種ごとに算定で解説しています。自社の数値での試算は経審P点シミュレーターをお使いください。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

完成工事高は業種間で自由に移せますか?
自由には移せません。移せるのは審査対象建設業として申出をしていない業種の完成工事高で、1つの請負契約の完成工事高を2以上の種類へ分割・重複計上することもできません。
一式工事業を受審する場合、専門工事の完成工事高を含められますか?
含められます。許可を受けている一式工事業以外の建設業(審査対象としているものを除く)の年間平均完成工事高を、その内容に応じて一式工事業の完成工事高へ含めることができます。
分割分類とは何ですか?
一式工事業の完成工事高を一式工事業以外の建設業の完成工事高として振り分け、許可を受けた建設業の完成工事高に加えて申し出る取扱いです。申出の額をそのまま別記様式第1号へ記載します。
積み上げるとX1評点はどれくらい動きますか?
実測では年間平均完成工事高1億円でX1は711点、3億円で842点、5億円で918点です。金額帯ごとの算式で連続的に点数化されるため、増加額に比例した一定の点数にはなりません。
積み上げた分は元請完成工事高にも反映されますか?
通知は元請完成工事高についても完成工事高と同様の取扱いとしているため、積み上げ・分割分類の取扱いは元請完成工事高にも及びます。ただしZ2で評価するのは発注者から直接請け負った完成工事高であり、積み上げた額がそのままZ2へ加算されるわけではありません。

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本ツールは事業者ご自身が入力・利用する試算です(申請の代行・作成支援は行っていません)。個別のご相談は承っておりません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。数値は概算であり、実際の申請前に専門家へご確認ください。算定方法・出典・免責