ガイド

債務超過の会社の経審評点|純資産マイナスでのX2の0円扱いとY評点の下限値(実測)

純資産合計がマイナス(債務超過)の会社で、経審のX2(自己資本額)とY評点の自己資本対固定資産比率・自己資本比率・利益剰余金・負債回転期間がどう扱われるかを国土交通省の通知から整理し、自己資本を2,400万円から-6,000万円まで動かしたモデル会社でP点を実測します。

国土交通省の通知・P点シミュレーターの実測
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

経審(経営事項審査)では、自己資本の額がP点のX2(経営規模)とY評点(経営状況)の両方に使われます。純資産合計がマイナスになると、X2では0円とみなされる一方、Y評点の比率はマイナスのまま計算され、下限値に届くまで下がり続けます。

この記事は、国土交通省の通知「経営事項審査の事務取扱いについて」の定めを確認したうえで、当サイトのP点シミュレーターと同じ計算エンジンで、自己資本だけを動かしたモデル会社のX2・Y評点・P点を実測します。債務超過の解消方法は財務・税務の判断になるため扱いません。正式な評点は、登録経営状況分析機関と審査行政庁の審査結果が優先します。

X2の自己資本額は0円とみなす

通知は、X2の自己資本の額を、基準決算の純資産合計の額、または基準決算と直前の審査基準日の自己資本の額の平均の額としています。そのうえで「自己資本の額が0円に満たない場合は0円とみなして審査する」と定めています。

X2のもう一つの要素である平均利益額(営業利益+減価償却実施額の2期平均)にも、平均の額が0円に満たない場合は0円とみなすという同じ定めがあります。当サイトの計算エンジンでは、自己資本額が0円のときの自己資本額の点数は361点で、マイナスの額を入れても361点より下がりません。

Y評点で自己資本を使う指標と下限値

Y評点の8指標のうち、自己資本の額を直接使うのは自己資本対固定資産比率と自己資本比率の2つです。利益剰余金は純資産の内訳の一つで、損失が累積するとマイナスになります。負債回転期間は負債の額を使うため、自己資本が減って負債が増えると長くなります。

債務超過で動くY評点の4指標と上限・下限(国土交通省の通知)
指標算式下限上限
負債回転期間(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)0.9ヵ月18.0ヵ月
自己資本対固定資産比率自己資本÷固定資産×100-76.5%350.0%
自己資本比率自己資本÷総資本×100-68.6%68.5%
利益剰余金利益剰余金合計÷1億-3.0100.0

通知は、自己資本対固定資産比率がマイナス76.5%に満たない場合はマイナス76.5%と、自己資本比率がマイナス68.6%に満たない場合はマイナス68.6%とみなすと定めています。下限がマイナスの値で定められているため、Y評点の比率はX2と違って0で止まらず、マイナスの値のまま計算に入ります。負債回転期間は短いほど良い指標で、長い側の上限が18.0ヵ月です。

8指標から求めた経営状況点数(A)から、経営状況の評点を167.3×A+583で求めます。通知は、この評点が0に満たない場合は0とみなすとしています。

モデル会社の前提

実測では、総資本8,000万円・固定資産2,000万円・売上高12,000万円・資本金1,000万円を固定し、過去の損失の累積で利益剰余金が減り、その分が負債に置き換わった会社を想定します。自己資本は資本金と利益剰余金の合計とし、自己資本を2,400万円・0円・-1,000万円・-2,000万円・-6,000万円の5段階で動かします。

据え置いたもの:Y評点の純支払利息比率(2.0%)・総資本売上総利益率(20.0%)・売上高経常利益率(3.0%)・営業キャッシュフロー(0.3億円)は変えていません。X2の平均利益額(1,000万円)、X1の完成工事高、Z(技術力)、W(社会性等)も当サイトのモデルケースのままです。実際の債務超過の会社では、利息の負担や当期の損益もあわせて動くことがあります。

自己資本2,400万円〜-6,000万円の実測

自己資本の段階ごとに、4指標の値と、X2・Y評点・P点(令和8年改正後の基準)を当サイトの計算エンジンで求めた結果です。

自己資本ごとのY評点の4指標(万円単位の金額から算出)
自己資本負債負債回転期間自己資本対固定資産比率自己資本比率利益剰余金
2,400万円5,600万円5.6ヵ月120.0%30.0%0.14
0円8,000万円8.0ヵ月0.0%0.0%-0.1
-1,000万円9,000万円9.0ヵ月-50.0%-12.5%-0.2
-2,000万円10,000万円10.0ヵ月-100.0%(下限-76.5%で計算)-25.0%-0.3
-6,000万円14,000万円14.0ヵ月-300.0%(下限-76.5%で計算)-75.0%(下限-68.6%で計算)-0.7
自己資本ごとのX2・Y評点・P点(令和8年改正後の基準・実測)
自己資本自己資本額の点数X2Y評点P点
2,400万円626点625点585点693点
0円361点493点498点656点
-1,000万円361点493点461点648点
-2,000万円361点493点429点642点
-6,000万円361点493点329点622点

平均利益額の点数は、すべての段階で625点です。計算はP点シミュレーターと同じエンジンで行い、評点表・算式は国土交通省の告示・通知から転記しています。

実測からわかること

自己資本が2,400万円から0円になるまでに、P点は693点から656点へ37点下がりました。この区間ではX2(625点→493点)とY評点(585点→498点)の両方が下がっています。

0円から-6,000万円までは、X2は493点のまま動きません。それでもY評点は498点から329点へ169点下がり、P点は656点から622点へ34点下がりました。債務超過の後の下がり幅は、すべてY評点から来ています。

-2,000万円の段階で自己資本対固定資産比率が下限の-76.5%に届き、-6,000万円の段階では自己資本比率も下限の-68.6%に届いています。下限に届いた指標はそれ以上Y評点を下げませんが、負債回転期間と利益剰余金はこの範囲ではまだ下限・上限に届いていません。

自社の数字で確かめるとき:Y評点は8指標をまとめて計算するため、実際の会社では据え置いた4指標も動きます。自社の決算書の数字はP点シミュレーターのY評点の8指標入力で試算できます。正式なY評点は、登録経営状況分析機関の経営状況分析の結果通知書で確認します。

各指標の算式と上限・下限の詳しい扱いは、自己資本対固定資産比率、自己資本比率、利益剰余金の各記事で、X2の自己資本額と平均利益額の点数はX2(自己資本額・平均利益額)で整理しています。

確認した一次資料

まとめ

  1. X2の自己資本額は、0円に満たない場合は0円とみなす。債務超過が深くなってもX2は下がらない。
  2. Y評点の自己資本対固定資産比率・自己資本比率はマイナスのまま計算され、下限は-76.5%と-68.6%。
  3. モデル会社では、自己資本2,400万円から0円までにP点が37点、0円から-6,000万円までにさらに34点下がった。
  4. 債務超過の後の下がり幅は、すべてY評点(498点→329点)から来ている。

この記事の数字は据え置いた前提のもとでの概算です。正式な評点は、登録経営状況分析機関と審査行政庁の審査結果が優先します。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

債務超過だとX2の自己資本額の点数はマイナスになりますか?
なりません。国土交通省の通知は、自己資本の額が0円に満たない場合は0円とみなして審査すると定めています。当サイトの計算エンジンでは、自己資本額の点数は0円のときの361点より下がりません。
債務超過だとY評点の自己資本比率も0%とみなされますか?
みなされません。通知は自己資本比率の下限をマイナスの値で定めており、比率はマイナスのまま計算に入り、マイナス68.6%に満たない場合だけマイナス68.6%とみなされます。自己資本対固定資産比率の下限はマイナス76.5%です。
債務超過が深くなるとP点はどこまで下がりますか?
モデル会社の実測では、自己資本0円のP点656点が、-6,000万円では622点まで34点下がりました。X2は493点のまま動かず、下がり幅はすべてY評点(498点→329点)から来ています。ほかの指標を据え置いた概算です。
自己資本が2,400万円から0円になるとP点は何点下がりますか?
モデル会社の実測では693点から656点へ37点下がりました。この区間ではX2(625点→493点)とY評点(585点→498点)の両方が下がります。据え置いた条件のもとでの概算で、実際の下がり幅は会社ごとに変わります。
経営状況の評点(Y)がマイナスになることはありますか?
ありません。通知は、経営状況点数(A)から167.3×A+583で求める経営状況の評点が0に満たない場合は0とみなすとしています。正式なY評点は登録経営状況分析機関の結果通知書で確認します。

令和8年新基準・改正前基準を新旧比較で無料試算(無料・登録不要):経審P点シミュレーターを使う

専門書で詳しく確認したい場合

広告

下記書籍の紹介による報酬の有無は、記事の内容に影響しません。制度の背景や申請実務を書籍でまとめて確認したい方向けです。

本ツールは事業者ご自身が入力・利用する試算です(申請の代行・作成支援は行っていません)。個別のご相談は承っておりません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。数値は概算であり、実際の申請前に専門家へご確認ください。算定方法・出典・免責