申請書類

経審の工事経歴書はどこまで書くか|元請工事7割・10件・未成工事の記載範囲

工事経歴書(様式第二号)の記載要領が定める、元請工事・その他の工事・未成工事の3段階の範囲と、10件の上限が効く工事の条件を、原文で整理します。

建設業法施行規則 様式第二号の記載要領で確認
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

経審を受ける会社の工事経歴書は、工事を全件並べる書類ではありません。記載要領は、請負代金の大きい順に「おおむね7割を超えるところまで」を3つの段階に分けて書くよう定めています。

この記事は、建設業法施行規則の様式第二号の記載要領と、建設業法施行令第1条の2の条文から、記載範囲の決まりだけを整理します。どの工事を載せるかの個別の判断は、申請先の手引きと窓口の案内が優先します。

記載する工事の対象期間

記載要領は、申請または届出をする日の属する事業年度の前事業年度に完成した建設工事(完成工事)と、その前事業年度末に完成していない建設工事(未成工事)を記載するとしています。

工事進行基準などで収益を認識している場合は、完成工事と未成工事をあわせて、完成工事高の額で数えます。

この書類は建設業の許可を受けている業種ごとに作成します。業種ごとの完成工事高がP点のX1に使われる流れは『経審のX1(完成工事高)とは』で解説しています。

経審を受ける場合の3段階

経営規模等評価の申請を行う会社は、次の順に記載します。

工事経歴書の記載順(経営規模等評価の申請を行う者)
段階対象記載の範囲
①元請工事の完成工事元請工事の請負代金の合計額の、おおむね7割を超えるところまで。大きい順
②①に載せた以外の元請工事と下請工事の完成工事すべての完成工事の請負代金の合計額の、おおむね7割を超えるところまで。大きい順
③主な未成工事請負代金の大きい順

①と②には、合計額が1,000億円を超える場合に、超える部分の完成工事は記載を要しないという但し書きも付いています。

注意:7割の基準は①と②で分母が違います。①は元請工事だけの合計、②は元請と下請をあわせたすべての完成工事の合計です。②の7割を数えるときは、①で載せた元請工事も合計に含まれる点に注意してください。

記載要領が「おおむね7割を超えるところまで」と書いているため、7割ちょうどで止めず、7割を超えた工事まで記載します。

10件の上限が効く工事

①②の括弧書きは、建設業法施行令第1条の2第1項に規定する建設工事については、10件を超えて記載することを要しないとしています。

同項が定める工事は、工事1件の請負代金の額が500万円(建築一式工事は1,500万円)に満たない工事と、延べ面積が150平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事です。

10件の上限が効く工事と効かない工事
工事の種類10件の上限
請負代金が500万円未満の工事(建築一式工事以外)10件を超えて記載不要
請負代金が1,500万円未満の建築一式工事10件を超えて記載不要
延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事10件を超えて記載不要
上記より大きい工事上限なし(7割まで記載)

この10件を元請工事だけで数えるのか、①②の段階ごとに数えるのかは、記載要領の文面だけでは本記事で判断していません。数え方は申請先の手引きで確認してください。

経審を受けない場合との違い

経営規模等評価の申請を行わない場合の記載要領は、主な完成工事を請負代金の大きい順に記載し、それに続けて主な未成工事を大きい順に記載するとしています。7割や10件といった数の基準は、この場合には書かれていません。

決算変更届(事業年度終了届)に添える工事経歴書と、経審に使う工事経歴書では、同じ様式でも記載範囲の考え方が異なる点を押さえておきます。決算変更届の全体像は『建設業の決算変更届とは』で解説しています。

配置技術者とJV工事の書き方

記載要領は、完成工事の配置技術者について、施工中に配置技術者の変更があった場合は、変更前の者も含むすべての者を記載するとしています。監理技術者補佐を置いた場合や、特定専門工事に該当して主任技術者を配置しなかった場合は、その旨を記載します。

JV(共同企業体)として行った工事は「JVの別」の欄にJVと記載し、金額は共同企業体全体の請負代金に出資の割合を乗じた額、または分担した工事額を記載します。詳しくは『JV工事の工事経歴書・完成工事高への計上』を参照してください。

金額は税抜きで記載します。税込みで転記した場合の影響は『経審の完成工事高は税込み・税抜きどちらで書くか』で実測しています。

電子申請で添付が不要になる場合

関東地方整備局の運用のお知らせは、電子申請(JCIP)の場合に、直前の決算変更届(事業年度終了届)をJCIPで提出していれば、確認資料の「工事経歴書」「直前3年の各事業年度における工事施工金額」「貸借対照表」「損益計算書」の添付が不要になるとしています。

同じお知らせは、提出する工事経歴書に記載された工事のうち、業種ごとに元請・下請の区別なく請負代金の大きい順に3件の契約書等を提出するとしています。確認資料の扱いは整備局・都道府県ごとに異なるため、必ず申請先の最新の案内を確認してください。準備の流れは『JCIPで経審を電子申請する前の準備』にまとめています。

確認した一次資料

本記事は記載範囲の決まりの紹介です。どの工事をどう記載するかの個別の相談は受け付けていません。正式な記載は申請先の手引きと審査結果が優先します。

まとめ

  1. 工事経歴書は、前事業年度の完成工事と、前事業年度末の未成工事を対象に、業種ごとに作成する。
  2. 経審を受ける場合は、元請工事のおおむね7割、元請・下請をあわせたおおむね7割、主な未成工事の3段階で書く。
  3. 500万円未満(建築一式は1,500万円未満)の工事などは、10件を超えて記載しなくてよい。
  4. 経審を受けない場合は、主な完成工事と主な未成工事を大きい順に書き、7割・10件の基準はない。
  5. 配置技術者は変更前の者も含めてすべて記載する。JV工事は出資割合を乗じた額か分担工事額で書く。

よくある質問

経審を受ける場合、工事経歴書には工事を全件記載しますか?
全件ではありません。記載要領は、元請工事の請負代金の合計のおおむね7割を超えるところまで、続けて元請・下請をあわせた合計のおおむね7割を超えるところまで、大きい順に記載するとしています。
10件を超えて記載しなくてよい工事はどれですか?
建設業法施行令第1条の2第1項に規定する工事です。請負代金が500万円(建築一式工事は1,500万円)に満たない工事と、延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事が該当します。
未成工事も記載しますか?
記載します。経審を受ける場合は、完成工事の記載に続けて、主な未成工事を請負代金の大きい順に記載します。対象は前事業年度末に完成していない工事です。
経審を受けない場合の工事経歴書の書き方は違いますか?
違います。経営規模等評価の申請を行わない場合は、主な完成工事と主な未成工事を請負代金の大きい順に記載します。7割や10件といった数の基準は記載要領に書かれていません。
配置技術者が途中で交代した工事はどう書きますか?
記載要領は、施工中に配置技術者の変更があった場合、変更前の者も含むすべての者を記載するとしています。監理技術者補佐を置いた場合は、その旨も記載します。
電子申請なら工事経歴書の添付は不要になりますか?
関東地方整備局の案内では、直前の決算変更届をJCIPで提出していれば、確認資料の工事経歴書の添付が不要です。他の整備局や都道府県は扱いが異なる場合があるため、申請先の案内で確認してください。

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