JV(共同企業体)工事の工事経歴書・完成工事高への計上|出資割合と分担工事額
共同施工方式は出資の割合、分担施工方式は分担した工事額で計上する記載要領と、経理の確認項目・添付書類を整理します。
国土交通省・地方整備局・県の公式手引き共同企業体(JV)の構成員として請け負った工事は、経審の工事経歴書にJV全体の請負代金の額ではなく、出資の割合を乗じた額または分担した工事額で記載します。経審の申請書の別紙一に書く完成工事高は工事経歴書の金額と一致させる必要があるため、この計上方法が経審の完成工事高にもそのまま影響します。
この記事では、関東地方整備局・近畿地方整備局の手引きと、国土交通省の事務取扱い通知の確認項目から、JV工事の記載方法と、申請時に求められる書類を整理します。
工事経歴書の記載方法(JVの別・請負代金の額)
工事経歴書(建設業法施行規則様式第2号)には、JV工事に関係する欄が2つあります。
| 欄 | 記載要領 |
|---|---|
| JVの別 | 共同企業体(JV)の構成員として請け負った工事について「JV」と記載する |
| 請負代金の額 | JV全体の請負代金の額に出資の割合を乗じた額、または分担した工事額を記載する |
JV全体の請負代金の額をそのまま書くのではなく、自社の持ち分に当たる金額を書きます。近畿地方整備局の手引きは、工事経歴書は許可を受けている業種ごとに作成し、全て税抜額で記載するとしています。
近畿地方整備局の手引きには、JVの構成員を注文者として請け負った下請工事は「JVの別」欄の記載対象外という注記もあります。JVそのものの構成員ではなく、構成員から下請として受けた工事であれば「JV」とは書きません。
共同施工方式と分担施工方式の計上の違い
国土交通省の「経営事項審査の事務取扱いについて」通知の別添「建設業の経理が適正に行われたことに係る確認項目」は、JVの会計処理を施工方式ごとに次のように示しています。
| 施工方式 | 計上する金額 | 計上しない金額 |
|---|---|---|
| 共同施工方式 | JVに係る資産・負債・収益・費用のうち、自社の出資割合に応じた金額のみ | JV全体の資産・負債・収益・費用等、他の割合による金額 |
| 分担施工方式 | JVに係る収益のうち、契約金額等の自社の施工割合に応じた金額 | JV全体の施工金額等、他の金額 |
工事経歴書の「出資の割合を乗じた額」は共同施工方式、「分担した工事額」は分担施工方式の考え方に対応します。どちらの方式でも、JV全体の金額を自社の完成工事高に入れないという点は共通です。
同じ確認項目には、JVを代表して自社が実際に支払った金額と協定原価とが異なることに起因する利益を、当期の収益または未成工事支出金のマイナスとして処理しているか、という項目もあります。
別紙一の完成工事高との一致
近畿地方整備局の手引きは、別紙一の【項番32】に記入する各事業年度の完成工事高・元請完成工事高の値を、工事経歴書に計上した金額と一致させる必要があるとしています。
工事経歴書でJV全体の金額を書いてしまうと、それと一致させる別紙一の完成工事高も過大になります。X1の年間平均完成工事高の考え方は経審のX1(完成工事高)とは、元請の完成工事高(Z2)は経審Z2の元請完成工事高で解説しています。
JV工事を元請完成工事高(Z2)にどう扱うかは、本記事で確認した手引き・通知の範囲では明記を確認できませんでした。申請先の審査行政庁に確認してください。
JV工事で求められる添付書類
JV工事の金額を確認するため、審査行政庁は契約書類に加えてJVの書類を求めています。求める書類の範囲は審査行政庁によって異なります。
| 審査行政庁 | 手引きの記載 |
|---|---|
| 近畿地方整備局 | JVの構成員として請け負った工事では、申請者が請け負った金額の確認のため、JVの協定書等をあわせて提出する |
| 茨城県 | 工事請負契約書について、JV工事の場合は協定書及び清算書も添付が必要 |
他の審査行政庁で申請する場合は、その手引きの提出書類一覧を確認してください。
シミュレーターに入力する金額
本サイトの経審P点シミュレーターで完成工事高を入力するときも、JV工事は出資の割合を乗じた額または分担した工事額(自社分)を合計に含めます。JV全体の請負代金の額で入力すると、X1が実際より高く試算されます。完成工事高の2年平均・3年平均の選び方は経審の2年平均・3年平均の選び方で比較できます。
確認した一次資料
- 関東地方整備局「経営事項審査の手引き 別添資料【令和8年7月改正版】」工事経歴書の記載要領(JVの別・請負代金の額)
- 近畿地方整備局「経営規模等評価申請・総合評定値請求手引き(令和8年7月版)」工事経歴書の留意事項、別紙一との一致、JVの協定書等の提出
- 国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて」通知(令和8年改正反映版)別添「建設業の経理が適正に行われたことに係る確認項目」のJVの項目
- 茨城県「経営事項審査の手引き」(令和7年4月改訂・令和7年8月一部修正)提出書類(JV工事の協定書及び清算書)、確認項目
本記事は制度の一般的な記載方法の整理です。個別の工事の計上可否や金額は、申請先の審査行政庁の判断が優先します。
まとめ
- JVの構成員として請け負った工事は、工事経歴書の「JVの別」欄に「JV」と記載する。JVの構成員から請け負った下請工事は対象外(近畿地方整備局の注記)。
- 「請負代金の額」はJV全体の額ではなく、出資の割合を乗じた額または分担した工事額を記載する。
- 経理の確認項目では、共同施工方式は自社の出資割合に応じた金額のみ、分担施工方式は自社の施工割合に応じた金額を計上する。
- 別紙一の完成工事高は工事経歴書の金額と一致させるため、JV全体の額を書くと別紙一の完成工事高も過大になる。
- JV工事の確認書類は、近畿地方整備局は協定書等、茨城県は協定書及び清算書と、審査行政庁によって異なる。
自社の数値でどう変わるかは経審P点シミュレーターで試算できます。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。
よくある質問
- JV工事は工事経歴書にいくらで記載しますか?
- JV全体の請負代金の額に出資の割合を乗じた額、または分担した工事額を記載します(関東地方整備局・近畿地方整備局の記載要領)。JV全体の額をそのまま書くのではありません。
- 共同施工方式と分担施工方式で計上方法は違いますか?
- 国交省通知の確認項目では、共同施工方式は自社の出資割合に応じた金額のみ、分担施工方式は契約金額等の自社の施工割合に応じた金額を計上するとしています。
- JVの構成員から下請で受けた工事も「JV」と書きますか?
- 近畿地方整備局の手引きは、JVの構成員を注文者として請け負った下請工事は「JVの別」欄の記載対象外としています。
- JV工事ではどの書類を添付しますか?
- 近畿地方整備局はJVの協定書等、茨城県は協定書及び清算書の添付を求めています。範囲は審査行政庁ごとに異なるため、申請先の手引きで確認してください。
公開日: 2026-09-27
令和8年新基準・改正前基準を新旧比較で無料試算(無料・登録不要):経審P点シミュレーターを使う
専門書で詳しく確認したい場合
広告下記書籍の紹介による報酬の有無は、記事の内容に影響しません。制度の背景や申請実務を書籍でまとめて確認したい方向けです。
本ツールは事業者ご自身が入力・利用する試算です(申請の代行・作成支援は行っていません)。個別のご相談は承っておりません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。数値は概算であり、実際の申請前に専門家へご確認ください。算定方法・出典・免責
