公共工事の代金の支払時期|前払金4割・中間前払金2割・部分払い・完成払い(検査14日・支払40日)
公共工事の代金が、着工から完成後までのどの時点で、いくら入るかを、法令・国の通知・標準請負契約約款から整理します。
e-Gov法令・国土交通省の通知・公共工事標準請負契約約款公共工事の代金は、着工時の前払金、工期の半ばの中間前払金(または部分払い)、完成後の残りの支払いに分かれて入ります。完成後の残りは、検査と支払の期限を合わせると、完成の通知から最大で約54日後です。
支払時期の要点(国の工事の例)
- 前払金
- 請負代価の10分の4以内(1件300万円以上の土木建築の工事)。保証証書を預けて請求し、請求から14日以内に支払い
- 中間前払金
- さらに10分の2以内(1件1,000万円以上・工期150日以上)。工期の半分を過ぎ、進み具合が契約額の半分以上のとき
- 部分払い
- 工事の途中で、出来た部分に相応する代金の「十分の〇以内」を請求できる(割合と回数は契約で決まる)
- 完成払い
- 完成の通知から14日以内に検査、検査に合格して請求してから40日以内に支払い
- 地方公共団体
- 前払金は4割まで、中間前払金は条件つきで2割まで(法令の上限)。実際の割合と対象の金額は発注者が決める(国と地方の違い)
割合と日数は、発注者の工事請負契約書と前払金の取扱いの定めで決まります。この記事は国の工事の例と法令の上限を示すので、実際の契約は契約書で確かめてください。
着工から完成後までの入金の流れ
- 契約・前払金の請求保証事業会社と保証契約を結び、保証証書を発注者に預けて請求する。請求から14日以内に支払われる。
- 工期の半ば・中間前払金(または部分払い)工期の半分を過ぎ、工程表どおりに進み、出来高が請負代金の半分以上なら、中間前払金を請求できる。出来た部分の代金を受け取る部分払いの仕組みもある。
- 完成・検査完成を発注者に通知し、通知から14日以内に完成の検査が行われる。
- 残りの代金の支払い検査に合格して請求してから40日以内に、残りの代金が支払われる。
前払金と中間前払金で受け取れるのは、国の工事で最大6割です。残りの4割は完成後の支払いなので、工事にかかる費用のうち、受け取った額を超えて支払う分は、完成後の入金まで自社の資金で立て替えることになります。
前払金
国の工事の前払金の範囲と割合は、予算決算及び会計令臨時特例に基づき、国土交通大臣が財務大臣と協議して年度ごとに定めます。令和8年度分は、令和8年3月26日の協議と3月31日の財務大臣の回答で、次のとおりです。
| 区分 | 対象 | 割合 |
|---|---|---|
| 工事 | 1件の請負代価が300万円以上の土木建築に関する工事 | 請負代価の10分の4以内 |
| 設計または調査 | 1件の請負代価が300万円以上の土木建築に関する工事の設計または調査 | 請負代価の10分の3以内 |
| 測量 | 1件の請負代価が200万円以上の測量 | 請負代価の10分の3以内 |
公共工事標準請負契約約款では、受注者は保証事業会社と保証契約を結び、保証証書を発注者に預けて前払金を請求します。発注者は、請求を受けた日から14日以内に前払金を支払います。約款の割合の欄は「十分の〇以内」で、注に「たとえば、四と記入する」とあります。
国土交通省の工事では、前払金のうち100分の25までの額を、その工事の現場管理費・一般管理費等の支払いにも充てられる特例があります(平成28年4月1日以降に契約した工事で、令和7年4月1日以降に払い出す前払金が対象。中間前払金は対象外)。
中間前払金
国の工事の中間前払金は、令和8年度分で、1件の請負代価が1,000万円以上かつ工期が150日以上の土木建築に関する工事が対象で、請負代価の10分の2以内です。支払の条件は次の2つです。
- 工期の2分の1を経過し、かつ、工程表によりその時期までに実施すべき工事が行われていること
- 工事の進捗額が契約額の2分の1以上であること
北陸地方整備局の説明資料では、請求には中間前払金認定請求書・工事履行報告書と、工程表や工事写真などの添付書類を出すとしています。部分払いと違い、出来高の現場検査は要りません。同資料は、中間前払金の保証料率を一律0.065%としています。
部分払い
公共工事標準請負契約約款では、受注者は工事の完成前に、出来形部分と工事現場に搬入済みの工事材料に相応する請負代金相当額の「十分の〇以内」の額について、部分払いを請求できます。約款の注は「たとえば、九と記入する」としています。請求できる回数も契約で決めます。
部分払いを請求するには、先に出来形部分の確認を発注者に請求します。発注者は、請求を受けた日から14日以内に、受注者の立会いのうえで確認の検査を行います。中間前払金と部分払いをどう組み合わせられるかは、発注者の定めによって異なります。
完成払い(検査14日・支払40日)
公共工事標準請負契約約款と政府契約の支払遅延防止等に関する法律は、完成後の手順と期限を次のように定めています。この法律は、地方公共団体の契約にも準用されます。
| 手順 | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 完成の検査 | 完成の通知を受けた日から14日以内 | 約款第32条、支払遅延防止法第5条 |
| 代金の支払い | 検査に合格して請求を受けた日から40日以内 | 約款第33条、支払遅延防止法第6条 |
発注者の責めによって検査が14日を過ぎた場合、過ぎた日数は40日の支払期間から差し引かれます(約款第33条第3項)。
国と地方公共団体の違い
地方公共団体の前金払は、地方自治法施行令と同施行規則の附則が上限を定めています。実際の割合・対象の金額・中間前払金を使えるかは、各発注者の規則や要綱で決まります。
| 項目 | 国の工事(令和8年度) | 地方公共団体(法令の上限) |
|---|---|---|
| 前払金の対象 | 1件300万円以上の土木建築の工事 | 1件50万円以上の土木建築の工事 |
| 前払金の割合 | 請負代価の10分の4以内 | 材料費等の4割以内 |
| 中間前払金の対象 | 1件1,000万円以上かつ工期150日以上 | 1件50万円以上の土木建築の工事で、次の3条件を満たすもの |
| 中間前払金の割合 | 請負代価の10分の2以内 | 材料費等の2割以内(前払金に追加) |
| 中間前払金の条件 | 工期の2分の1経過・工程表どおり・進捗額が契約額の2分の1以上 | 工期の2分の1経過・工程表どおり・作業の経費が請負代金の2分の1以上 |
地方自治法施行令附則第7条は前金払を経費の3割までとし、総務省令で割合を加減できるとしています。地方自治法施行規則附則第3条が、土木建築の工事について4割・中間前払金2割を定めています。
請負代金1億円の工事の例
国の工事で、請負代金が1億円、工期が200日の工事を例にすると、代金は次のように入ります。前払金・中間前払金とも上限まで受け取り、検査と支払が期限いっぱいかかった場合です。
| 時期 | 入る額 | 受け取った累計 |
|---|---|---|
| 着工時(前払金の請求から14日以内) | 4,000万円 | 4,000万円(4割) |
| 100日目以降(中間前払金) | 2,000万円 | 6,000万円(6割) |
| 完成後(通知から検査14日以内・請求から支払40日以内) | 4,000万円 | 1億円 |
この例では、完成までに受け取れるのは6,000万円です。工事の費用のうち6,000万円を超えて先に支払う分は、完成の通知から最大で約54日後(検査14日+支払40日。請求の準備の日数は含まない)まで、自社の資金で立て替えます。部分払いを使える契約なら、完成前に出来た部分の代金を受け取れる場合があります。
確認した一次資料
- 国土交通大臣から財務大臣への協議と財務大臣の回答(令和8年3月26日 国官会第22442号・第22443号、3月31日 財計第2060号・第2062号。日本建設機械施工協会掲載の写し)令和8年度の国の公共工事の前金払・中間前金払の範囲と割合(2026-10-11確認)
- 中央建設業審議会 公共工事標準請負契約約款(令和7年12月2日改正)第32条(検査)・第33条(支払い)・第35条(前金払及び中間前金払)・第38条(部分払)(2026-10-11確認)
- e-Gov法令検索 政府契約の支払遅延防止等に関する法律第5条(検査の時期)・第6条(支払の時期)・第14条(地方公共団体への準用)(2026-10-11確認)
- e-Gov法令検索 地方自治法施行令附則第7条(公共工事の前金払)(2026-10-11確認)
- e-Gov法令検索 地方自治法施行規則附則第3条(土木建築の工事の前金払4割・中間前金払2割)(2026-10-11確認)
- 国土交通省 国の公共工事の代価の前金払の特例措置に係る取扱いについて(令和7年3月31日)前払金の100分の25までを現場管理費・一般管理費等に充てられる特例(2026-10-11確認)
- 北陸地方整備局 中間前払金制度の説明資料請求の書類、出来高の現場検査が不要なこと、保証料率(2026-10-11確認)
まとめ
- 国の工事の前払金は請負代価の10分の4以内(1件300万円以上)。保証証書を預けて請求し、請求から14日以内に支払われる。
- 中間前払金は10分の2以内(1件1,000万円以上・工期150日以上)。工期の半分経過と、進捗額が契約額の半分以上が条件。
- 完成後は、通知から14日以内に検査、請求から40日以内に支払い。地方公共団体の契約にも準用される。
- 地方公共団体は法令の上限が前払金4割・中間前払金2割で、実際の割合と対象は各発注者が定める。
- 前払金と中間前払金で受け取れるのは最大6割で、残りは完成後。その間の費用は自社の資金で立て替える。
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評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。
よくある質問
- 公共工事の前払金は請負代金の何割ですか?
- 国の工事は、令和8年度分で1件の請負代価が300万円以上の土木建築の工事について、請負代価の10分の4以内です。地方公共団体は、地方自治法施行規則附則第3条の上限が4割で、実際の割合と対象の金額は各発注者が定めます。
- 前払金はいつ支払われますか?
- 公共工事標準請負契約約款では、保証事業会社の保証証書を発注者に預けて請求し、発注者は請求を受けた日から14日以内に前払金を支払います。
- 中間前払金を受け取れる条件は何ですか?
- 国の工事は、1件1,000万円以上かつ工期150日以上の工事で、工期の2分の1を経過して工程表どおりに工事が行われ、進捗額が契約額の2分の1以上であることが条件です。割合は請負代価の10分の2以内です。
- 工事が完成してから代金が入るまで何日かかりますか?
- 完成の通知から14日以内に検査が行われ、検査に合格して請求してから40日以内に支払われます(公共工事標準請負契約約款第32条・第33条、政府契約の支払遅延防止等に関する法律第5条・第6条)。最大で約54日に、請求の準備の日数が加わります。
公開日: 2026-10-11
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