ガイド

公共工事の資金繰り表の作り方|請負6,000万円の立替額は前払金・中間前払金で6,000万円から2,400万円に

公共工事1件ごとに、費用の累計と入金の累計を月末ごとに並べて、差が最大になる額と立替が続く日数を求める手順を、請負6,000万円の計算例で示します。立替額の目安の計算ツールと同じ計算です。

国の工事の前払金4割・中間前払金2割
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

公共工事の資金繰り表は、工事1件ごとに「ここまでに使った費用」と「ここまでに受け取った代金」を並べ、その差を見る表です。差が最大になった額が、自社が一時的に立て替える金額の目安になります。国の工事で前払金と中間前払金を満額で受け取ると、この額は前払なしの場合の4割まで下がります。

資金繰り表の作り方(3つの数字)

表に並べるのは、月末ごとの3つの数字だけです。

  1. 費用の累計:着工から月末までに使った費用。工期の日数で均等に出ていくと置くと、請負金額から工事の利益を引いた費用の総額を、日割りで積み上げられます。
  2. 入金の累計:前払金は着工日、中間前払金は工期の中間日、残りは完成日に入金までの日数を足した日に入ると置いて、月末までに受け取った額を足します。
  3. 立替額:費用の累計から入金の累計を引いた額。マイナスなら0とします。この列の最大値が、立て替える額の目安です。

前払金と中間前払金の割合や、実際の入金日は、発注者との契約書で決まります。この表に入れる割合と日数は、契約書の数字に置き換えてください。国の工事の割合の上限は『公共工事の代金の支払時期』で整理しています。

計算例:請負6,000万円・工期6か月

請負金額6,000万円、着工2027年4月1日、完成2027年9月30日、完成から入金まで40日、前払金4割(2,400万円)、中間前払金2割(1,200万円)で、費用の総額を請負金額と同じ6,000万円と置いた場合の月末表です。

月末ごとの費用・入金・立替額(単位:万円、100万円未満を四捨五入。工期の日数で均等に費用が出ると仮定)
月末費用の累計入金の累計立替額
2027年4月9562,4000
2027年5月1,9782,4000
2027年6月2,9672,400567
2027年7月3,9893,600389
2027年8月5,0113,6001,411
2027年9月6,0003,6002,400
2027年10月6,0003,6002,400
2027年11月(11月9日に入金)6,0006,0000

立替額が最大になるのは完成日の9月30日で、2,400万円です。立替が始まるのは6月13日ごろで、11月9日の入金まで149日続きます。前払金の2,400万円が費用を上回っている4月と5月は、立て替える額が0です。

表の数字は、同じ条件を立替額の目安の計算ツール(/funding-gap)に入れた結果です。自社の工事の金額・工期・割合を入れて、表と同じ形で確かめられます。

前払金・中間前払金・入金日数で立替額はどう変わるか

同じ工事で、前払金と中間前払金の有無、完成から入金までの日数、費用の総額を変えると、最大の立替額と立替が続く日数は次のように動きます。

請負6,000万円・工期6か月の工事での比較(同じ前提の計算ツールの結果)
条件最大の立替額立替が続く日数
前払金も中間前払金も受け取らない(入金は完成から40日後)6,000万円221日
前払金4割のみ3,600万円149日
前払金4割+中間前払金2割2,400万円149日
前払金4割+中間前払金2割、入金が完成から90日後2,400万円199日
前払金4割+中間前払金2割、費用の総額が請負金額の85%1,500万円136日
  • 前払金と中間前払金は、最大の立替額を下げます。前払金4割で3,600万円、中間前払金2割まで足すと2,400万円です。
  • 入金までの日数は、最大の立替額を変えず、立替が続く日数を延ばします。40日が90日に延びると、日数が149日から199日になります。
  • 費用の総額が小さい(利益が大きい)工事ほど、最大の立替額は小さくなります。

立替が続く日数は、運転資金の借入れの期間や、支払いを待たせる下請けとの関係を考える材料になります。資金繰りを助ける手段は、『建設業の資金調達手段の比較』で整理しています。

この計算の前提と実際の工事との違い

  • 費用は日割りで均等に出ると置いています。実際は、材料の購入や外注の支払いが工期の特定の月に偏るため、最大の立替額が表より大きい月が出ることがあります。
  • 中間前払金は工期の中間日に入ると置いています。実際は、工期の半分を過ぎ、出来高が請負金額の半分以上になり、1,000万円以上・工期150日以上などの条件を満たしたうえで請求してからの入金です。
  • 割合の上限は国の工事の値です(前払金4割・中間前払金2割)。地方公共団体は発注者の定めによるので、自治体の工事は契約書の割合を使ってください。
  • 消費税・保証料・下請代金の支払日は入れていません。表は立替額の大まかな目安で、会計処理や資金調達の判断を示すものではありません。

この記事は制度の説明と計算例で、個別の資金繰りや借入れの判断は行いません。割合・期日は発注者の契約書と公共工事標準請負契約約款で必ず確認してください。

確認した一次資料

まとめ

  • 資金繰り表は、月末ごとの費用の累計・入金の累計・差(立替額)の3列で作る。
  • 請負6,000万円・工期6か月の例では、前払金4割と中間前払金2割で、最大の立替額が6,000万円から2,400万円に下がる。
  • 入金までの日数は、立替額ではなく立替が続く日数を延ばす。
  • 費用の偏り・中間前払金の請求条件・自治体ごとの割合で実際は変わるため、契約書の数字で確かめる。

この記事は制度の説明で、個別の申請内容の判断は行いません。正式な評点は審査結果が優先します。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

公共工事の資金繰り表には、何を並べればよいですか?
月末ごとの「費用の累計」「入金の累計」「立替額(費用の累計から入金の累計を引いた額。マイナスなら0)」の3列です。立替額の列の最大値が、自社が一時的に立て替える金額の目安になります。
請負6,000万円の工事で、前払金と中間前払金を受け取ると立替額はいくらになりますか?
工期6か月・完成から入金まで40日・費用の総額が請負金額と同じ場合、前払金も中間前払金もないと最大6,000万円、前払金4割のみで3,600万円、前払金4割と中間前払金2割で2,400万円です。
入金までの日数が延びると、立替額は増えますか?
最大の立替額は変わらず、立替が続く日数が延びます。前の例で完成から入金までを40日から90日にすると、最大は2,400万円のままで、立替が続く日数が149日から199日になります。
この資金繰り表の計算は、実際の工事と同じになりますか?
同じにはなりません。費用が工期の日数で均等に出る、中間前払金が工期の中間日に入ると置いた目安です。実際は費用の偏りや中間前払金の請求条件で変わるため、割合と期日は発注者の契約書で確かめてください。

令和8年新基準・改正前基準を新旧比較で無料試算(無料・登録不要):経審P点シミュレーターを使う

事業者ご自身が入力する概算の試算です。申請の代行・作成支援や個別相談は行っていません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。算定方法・出典・免責