入札・契約

公共工事の部分払い(出来高払い)の請求手順|確認請求・検査14日・支払14日・前払金との関係

工事の完成前に、出来た部分の代金を受け取る部分払いの請求の順番と、支払額の式を、公共工事標準請負契約約款の第38条から整理します。

公共工事標準請負契約約款 第38条
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

部分払いは、いきなり請求書を出すのではなく、先に出来形部分などの「確認」を発注者に請求します。発注者は請求から14日以内に検査して結果を通知し、確認があったあとで部分払いを請求すると、発注者は請求から14日以内に支払います。支払える額には上限があり、割合と回数は契約の空欄で決まります。前払金を受け取っている場合は、その分が式の中で差し引かれます。

請求の流れ:確認請求から支払いまで

標準約款 第38条の流れ
順番やること期限・条項
1出来形部分や搬入済みの工事材料の「確認」を、発注者に請求する第38条第2項
2発注者が、受注者の立会いのうえで検査し、確認の結果を通知する請求を受けた日から14日以内(第3項)
3確認があったあとで、部分払いを請求する第5項
4発注者が部分払金を支払う請求を受けた日から14日以内(第5項)

確認の請求と、お金の請求は別々です。確認の請求だけでは支払いは始まらず、確認の通知を受けてから、あらためて部分払いを請求します。確認の検査に要する費用や、検査のために壊した部分の復旧に直接要する費用は、受注者の負担です(第4項)。発注者は、必要があると認めるときは、理由を通知して出来形部分を最小限度破壊して検査できます(第3項)。

完成後の検査から引渡し・請求までの順番は完成検査から引渡し・請求までの順番で確認できます。部分払いは、その完成払いより前に行う中間の請求です。

部分払いの対象になるもの

第38条第1項は、工事の完成前に、次のものに相応する請負代金相当額を対象にできるとしています。

  • 出来形部分:工事が出来上がった部分。
  • 工事現場に搬入済みの工事材料:監督員の検査を要するものは検査に合格したもの、監督員の検査を要しないものは、設計図書で部分払いの対象とすることを指定したものに限ります。
  • 製造工場等にある工場製品:約款の注では、部分払いの対象とすべき工場製品がないときは、この部分を削除するとされています。対象にするかどうかは契約で決まります。

材料だけを現場に運び込んでも、検査に合格していない、または設計図書で対象に指定されていないものは対象になりません。

支払額の式と、前払金との関係

第38条第6項は、部分払金の額を次の式で決めるとしています。

部分払金の額 ≦ 請負代金相当額 ×(〇/10 − 前払金額/請負代金額)

  • 請負代金相当額:出来形部分などに相応する額です。請負代金内訳書が承認を受けている場合は内訳書によって定め、その他の場合は発注者と受注者が協議して定めます(第3条(A)を使う契約の場合)。第3条(B)を使う契約では、協議して定めます。
  • 〇/10:第1項の「十分の〇」と同じ数字です。約款の注は「たとえば、九」としています。
  • 前払金額/請負代金額:すでに受け取った前払金の割合です。部分払いの上限から、この割合が差し引かれます。

協議が、請求を受けた日から契約で決めた日数以内に整わないときは、発注者が定めて通知します(約款の注では、日数は14未満の数字を記入するとされています)。

仮の数字で確かめます。請負代金額を1億円、前払金を4割(4,000万円)、部分払いの割合を「十分の九」、出来形に相応する請負代金相当額を6,000万円とします。上限は 6,000万円 ×(9/10 − 4/10)= 3,000万円 です。出来形が6,000万円分できていても、前払金を受け取っているため、部分払いで請求できるのは最大で3,000万円になります。この数字は計算のしかたを示すための仮の例で、実際の割合は契約書で確かめます。

2回目以降の請求では、第7項により、式の「請負代金相当額」は、すでに部分払いの対象になった請負代金相当額を控除した額に置き換わります。

前払金そのものの請求と、完成までの代金の入り方は公共工事の代金の支払時期で、契約前に見ておく条項は契約前に確かめる約款の条項で確認できます。

割合と回数は契約で決まる

第38条第1項は、請求できる額を「十分の〇以内」、請求できる回数を「工期中〇回を超えることができない」と書いています。約款の注によると、回数の〇には、工期と請負代金額を勘案して妥当と認められる数字を記入します。標準約款の文面からは、割合も回数も決まりません。

部分払いの回数の上限があるため、出来形が積み上がるたびに請求できるとは限りません。回数を使い切ったあとは、完成払いを待つことになります。

出来高の資料と検査(沖縄県の共通仕様書の例)

沖縄県の土木工事共通仕様書(令和7年10月版)の1-1-33は、既済部分検査を定めています。

  • 検査を受ける場面:契約書第38条第2項の部分払の確認請求を行った場合などに、既済部分に係る検査を受けます。
  • 出来高の資料:部分払の請求を行う場合は、検査を受ける前に、監督職員の指示により、工事の出来高に関する資料を作成して監督職員に提出します。
  • 検査の内容:検査職員が、監督職員と受注者の立会いのもと、工事の出来形(形状、寸法、精度、数量、品質、出来ばえ)と、工事管理状況(書類、記録、写真)を検査します。
  • 検査日:発注者が、検査に先立って、監督職員を通じて受注者に通知します。

これは沖縄県の例です。出来高の資料の様式、提出先、検査の項目は、国や他の自治体の共通仕様書で違うことがあります。

支払いが遅れたとき、代金を第三者に受け取らせるとき

  • 支払いの遅れ:発注者が部分払いの支払いを遅らせ、相当の期間を定めて請求しても支払わないときは、受注者は工事の全部または一部を一時中止できます(第44条第1項)。その場合は、理由を明示した書面で、直ちに発注者に通知します。
  • 代理受領:請負代金の受領を第三者に任せるには、発注者の承諾が要ります(第43条第1項)。第三者が代理人である旨を支払請求書に明記すると、発注者は、その第三者に第38条の支払いをします(第2項)。
  • 材料や出来形の扱い:部分払のための確認を受けた工事目的物や工事材料は、発注者の承諾なしに、第三者への譲渡や担保に使えません(第5条第2項)。

引渡し後の不具合の扱いは引渡し後の契約不適合責任、契約後に出す書類は契約直後に出す書類の順番で確認できます。

契約書と特記仕様書で確かめること

  • 使えるか:部分払いの定めがあるか。中間前払金と併用できるか、どちらか一方かも、発注者の定めで違います。
  • 割合と回数:「十分の〇」と「〇回」に入った数字。
  • 対象:工事材料や工場製品が対象か。検査を要しない材料は、設計図書で指定があるか。
  • 資料:出来高の資料の様式、提出先、期限。
  • 協議の期限:請負代金相当額の協議が整わないときの日数。

確認した一次資料

まとめ

  • 部分払いは、先に確認を請求し、検査14日以内の通知を受けてから、あらためて請求します。支払いは請求から14日以内です。
  • 支払額の上限は、請負代金相当額 ×(〇/10 − 前払金額/請負代金額)です。前払金を受け取っていると、その割合が差し引かれます。
  • 割合と回数は契約で決まり、約款の文面だけでは分かりません。
  • 出来高の資料や検査の項目は、発注者の共通仕様書で確かめます。

この記事は制度の説明で、個別の契約の判断や特定のサービスの推奨は行いません。請求の手順と期限は、発注者の契約書と特記仕様書で確認してください。

よくある質問

部分払いは、いきなり請求書を出せますか?
出せません。標準約款第38条は、先に出来形部分や搬入済みの工事材料の確認を発注者に請求するとしています。発注者は請求から14日以内に検査して結果を通知し、確認があったあとで部分払いを請求します。
部分払いでいくら請求できますか?
第38条第6項の式で、請負代金相当額 ×(〇/10 − 前払金額/請負代金額)が上限です。前払金を受け取っていると、その割合が差し引かれます。〇の数字は契約で決まります。
部分払いは何回請求できますか?
標準約款は「工期中〇回を超えることができない」とし、〇には工期と請負代金額を勘案した数字を記入します。回数は契約書で確かめます。
部分払いの請求から支払いまで何日ですか?
標準約款では、確認の検査が請求から14日以内、部分払金の支払いも請求から14日以内です。発注者が支払いを遅らせたときは、相当の期間を定めて請求しても支払われなければ、工事の一時中止ができます。

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