公共工事の契約保証の種類と免除の条件|契約保証金・履行保証保険・保証証券
落札した後、契約を結ぶ時に求められる「契約保証」を、国の法令と標準約款、自治体の実例で整理します。
会計法・予算決算及び会計令・公共工事標準請負契約約款契約保証とは、落札者が工事を最後までやり遂げなかったときの損害に備えて、契約を結ぶ時に発注者へ差し出す保証のことです。国の工事では、契約金額の10分の1以上の契約保証金を納めるのが原則で、保険や保証証券を付ければ納付が免除されます。自治体は、率や免除の扱いを各団体の規則で決めています。
契約保証は入札の保証金とは別のもの
入札保証金は、入札に参加する時に納めるものです。契約保証金は、落札した後に契約を結ぶ時に納めます。名前が似ていますが、納める時期と目的が違います。このページが扱うのは後者の契約保証です。
会計法第29条の9は、国と契約を結ぶ者に、契約金額の100分の10以上の契約保証金を納めさせなければならないと定めています。ただし書きで、政令で定める場合は全部または一部を納めさせないことができるとしています。この政令が予算決算及び会計令です。
標準約款が挙げる5種類の保証
中央建設業審議会が決めた公共工事標準請負契約約款(令和7年12月2日改正)の第4条は、受注者が契約の締結と同時に付ける保証として、次の5つのうちいずれかを挙げています。第4条には、この5つから選ばせる形(A)と、公共工事履行保証証券による保証だけを求める形(B)があります。下の表は(A)です。
| 号 | 保証の種類 | 中身 |
|---|---|---|
| 1 | 契約保証金の納付 | 現金などを発注者に納める |
| 2 | 有価証券等の提供 | 契約保証金に代わる担保として、有価証券などを差し出す |
| 3 | 金融機関等の保証 | 債務の不履行で生じた損害金の支払いを、銀行または発注者が確実と認める金融機関等が保証する |
| 4 | 公共工事履行保証証券 | 債務の履行そのものを保証する証券による保証 |
| 5 | 履行保証保険契約 | 債務の不履行で生じた損害をてん補する保険を結ぶ。保険証券は直ちに発注者へ寄託する |
約款は、第2号または第3号を付けたときは契約保証金に代わる担保の提供として扱い、第4号または第5号を付けたときは契約保証金の納付を免除すると定めています。保険証券の寄託は、保険会社が定め、発注者が認めた電磁的な方法に代えることもできます。
第3号から第5号の保証は、破産管財人などによる契約の解除の場合も保証するものでなければなりません。保険や保証証券を申し込む時は、この点を含めた内容になっているかを、取扱会社に確かめます。
保証の額と、契約金額が変わったとき
約款の第4条第3項は、保証の額(契約保証金の額、保証金額または保険金額)を請負代金額の「十分の○以上」とすると書いています。○の部分は、発注者が契約ごとに埋める空欄です。国の会計法は10分の1以上ですが、標準約款そのものは数字を決めていません。
請負代金額が変更になったときは、保証の額が変更後の請負代金額の一定割合に達するまで、発注者は保証の額の増額を請求できます。設計変更で金額が増える工事では、保険や保証証券の変更手続きが後から必要になることがあります。
国の工事で契約保証金が免除される場合
予算決算及び会計令第100条の3は、契約担当官等が契約保証金の全部または一部を納めさせないことができる場合を挙げています。
- 履行保証保険:契約の相手方が保険会社との間で、国を被保険者とする履行保証保険契約を結んだ時。
- 工事履行保証契約:契約の相手方から委託を受けた保険会社、銀行、農林中央金庫など財務大臣の指定する金融機関と、工事履行保証契約を結んだ時。
- 必要がないと認められる時:第72条第1項の資格を有する者による一般競争などで、契約保証金の納付が必要ないと認められる場合。
3つ目は、発注者の判断に任される規定です。どの契約が当てはまるかは、入札公告や契約の案内に書かれた条件で確かめます。
契約保証金の代わりに差し出す担保は、同令第100条の4が第78条を準用しています。第78条は、国債のほか、政府の保証のある債券、銀行などが発行する債券、銀行が振り出しまたは支払保証をした小切手などを挙げています。
自治体の場合:広島市の実例
地方自治法施行令第167条の16は、契約保証金の率または額を、各自治体の規則で定めると書いています。免除の扱いや保証の種類は、自治体ごとに違います。ここでは、広島市の「契約保証金の納付(建設工事用)」のページ(2025年2月16日更新、令和2年4月の取扱い)に書かれた内容を例に挙げます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原則 | 請負代金額の10分の1以上の契約保証金を、契約締結の日までに納付する |
| 納付を要しない場合 | 契約金額が100万円未満で、契約の相手方が契約を履行しないおそれがないとき |
| 納付に代えられるもの | 利付国債または広島市債の提供、金融機関または保証事業会社の保証 |
| 納付が免除される場合 | 公共工事履行保証証券による保証を付けるか、履行保証保険契約を結んだとき。現金の契約保証金と保険等の併用はできない |
| 事前審査 | 金融機関の保証、保証事業会社の保証、保証証券、履行保証保険は、取扱機関の事前審査が必要。落札決定後や契約締結日になって初めて申し込むと、受けられない場合がある |
| 金融機関等の保証の書き方 | 保証期間は契約書の工期と同一、保証金額は請負代金額の10分の1以上など |
| 変更契約 | 請負代金額が増える変更契約でも、増えた分を含む額で契約保証金の納付などが必要 |
この表は広島市の取扱いで、他の市町村の同じ内容とは限りません。免除できる金額の上限や、保証の種類の絞り込みなどは、自治体や発注機関の規則・入札公告で確かめます。東京都の手引きでは、契約保証金の免除額が等級に応じて決まる扱いが書かれています。詳しくは東京都の入札参加資格と経審の使われ方で確認できます。
契約前に確かめること
- 入札公告・契約書案:保証の額の割合、選べる保証の種類、免除の条件が書かれています。
- 保険・証券の事前審査:落札が決まってから申し込むと、契約日に間に合わないことがあります。取扱会社へは、入札に参加する段階から問い合わせておきます。
- 保証の内容:工事名、工事場所、請負代金額、保証期間が契約書と合っているか。破産管財人などの解除も保証する内容か。
- 価格の仕組み:落札価格の決まり方は最低制限価格と調査基準価格の違いで確認できます。
保険料や保証料の水準、取扱会社ごとの条件は、このページでは扱いません。入札参加資格と経審の全体像はインターネット一元受付の審査・認定の流れから、国の入札参加資格の取り方は国交省の入札参加資格申請の手順で確認できます。
確認した一次資料
- 会計法(昭和22年法律第35号)第29条の9(契約保証金)
- 予算決算及び会計令第78条(担保)、第100条の3(契約保証金の納付の免除)、第100条の4(契約保証金に代わる担保)
- 地方自治法施行令第167条の16(契約保証金)
- 国土交通省「公共工事標準請負契約約款」(令和7年12月2日改正まで反映)第4条(契約の保証)
- 広島市「契約保証金の納付(建設工事用)」原則、免除、事前審査、変更契約(令和2年4月の取扱い)
まとめ
- 契約保証は、落札後の契約時に求められる保証で、入札保証金とは別のものです。
- 国の会計法は契約金額の10分の1以上の契約保証金が原則で、履行保証保険などを付けると免除できます。
- 標準約款は、契約保証金、有価証券等、金融機関等の保証、保証証券、履行保証保険の5つを挙げ、保証の額の割合は発注者が決めます。
- 自治体は率や免除を規則で決めます。保険や保証証券は事前審査があるため、落札前から取扱会社に問い合わせます。
この記事は制度の説明で、個別の契約の判断や特定の保険・保証サービスの推奨は行いません。契約の条件は、発注者の入札公告と契約書で確認してください。
よくある質問
- 契約保証金と入札保証金は同じものですか?
- 別のものです。入札保証金は入札に参加する時に納め、契約保証金は落札した後に契約を結ぶ時に納めます。
- 国の工事の契約保証金は、いくら必要ですか?
- 会計法第29条の9は、契約金額の100分の10以上の契約保証金を納めさせると定めています。履行保証保険などを付けた場合は、予算決算及び会計令第100条の3により免除できます。
- 公共工事標準請負契約約款は、どんな保証を挙げていますか?
- 第4条は、契約保証金の納付、有価証券等の提供、金融機関等の保証、公共工事履行保証証券、履行保証保険契約の5つを挙げています。保証の額の割合は発注者が決める空欄です。
- 履行保証保険や保証証券は、落札後に申し込めばよいですか?
- 広島市は、取扱機関の事前審査が必要で、落札決定後や契約締結日になって申し込むと受けられない場合があると案内しています。他の自治体の扱いは、入札公告で確認してください。
公開日: 2026-10-13
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