決算変更届・工事経歴書

工事台帳の項目の決め方|工事経歴書と完成工事高に転記できる列

工事台帳は、工事ごとの請負金額・期間・技術者・原価を1行にまとめる管理表です。決算後に工事経歴書へ写すとき迷わない列を、記載要領から逆算して整理します。

工事経歴書の記載要領・茨城県の手引きで確認
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

決算変更届に付ける工事経歴書は、前の事業年度に完成した工事と、その年度末に完成していない工事を並べる書類です。工事台帳は法令で様式が決まった書類ではなく、会社が工事ごとの数字を日々ためておくための管理表です。この記事では、工事経歴書の記載要領が求める項目から逆算して、台帳に持たせる列を決めます。

帳簿そのものの備付け義務は『建設業の帳簿・図書の備付けと保存期間』で扱っています。ここでは、決算と経審の書類づくりに使う列だけを扱います。

工事経歴書の欄から決める台帳の列

工事経歴書(建設業法施行規則の様式第二号)は、工事ごとに次の欄を書く様式です。台帳にこれらの列があれば、決算のときに探し直さずに写せます。

工事経歴書の欄と、台帳に持たせる列
工事経歴書の欄台帳に持たせる列記載要領の定め
元請又は下請の別元請・下請の区分発注者から直接請け負った工事が「元請」、下請負人として請け負った工事が「下請」
JVの別JVかどうか、出資割合共同企業体として行った工事に「JV」と記載
注文者・工事名注文者名、工事名下請工事は直接の注文者の名称を書く。個人の氏名が特定されないよう留意する
工事現場のある都道府県及び市区町村名工事現場の所在地都道府県と市区町村まで
配置技術者配置した技術者の氏名、主任技術者か監理技術者かの別施工中に交代があれば、変更前の者も含めて全員を書く
請負代金の額契約金額、税込か税抜か税込・税抜のどちらかに丸を付ける
工期着工年月、完成(予定)年月着工年月と完成又は完成予定年月

配置技術者は、台帳をあとから作り直すと最も抜けやすい項目です。技術者の交代は、そのつど台帳に追記しておくと、変更前の者の記載漏れを防げます。記載要領は、監理技術者補佐を置いた場合や、特定専門工事で主任技術者を置かなかった場合も、その旨を書くよう求めています。

完成・未成の分け方と対象の年度

記載要領は、工事経歴書に載せる工事を、申請又は届出をする日の属する事業年度の前事業年度に完成した工事(完成工事)と、その前事業年度末に完成していない工事(未成工事)としています。台帳には、決算日の時点で完成しているかどうかを判定できる列が要ります。

台帳で持っておくと決算時に区分しやすい日付
列使いみち
着工年月工事経歴書の工期の欄に写す
完成年月(予定を含む)決算日より前に完成した工事は完成工事、決算日の時点で完成していない工事は未成工事として分ける
引渡し年月日完成と引渡しの日がずれる工事で、どの事業年度に入れるかの確認に使う

どの工事をどこまで載せるか(請負代金の大きい順におおむね7割までなど)は、『経審の工事経歴書はどこまで書くか』にまとめています。台帳には載せない小さな工事も含めて全件を入れておき、載せる範囲は決算のときに選ぶ形にすると、あとから7割の計算をやり直せます。

請負代金の額と完成工事高を分けて持つ

記載要領には、請負代金の額と完成工事高を分けて扱う場面が出てきます。工事進行基準を採用している場合や、会社が顧客との契約に基づく義務の履行の状況に応じて収益を認識する場合は、完成工事だけでなく未成工事も記載の対象になり、完成工事高を括弧書で付記します。

共同企業体(JV)の工事では、共同企業体全体の請負代金の額に出資の割合を乗じた額、又は分担した工事額を書きます。台帳に全体の契約金額だけを置くと、自社分への換算が決算時の作業になります。

金額まわりで台帳に分けて持つ列
列理由
契約金額(全体)契約書の金額をそのまま残す
自社の分担額・出資割合JV工事で、工事経歴書に書く額を出す元になる
当期の完成工事高(進行基準を使う場合)工事経歴書の括弧書に付記する額を出す元になる

完成工事高が経審の評点にどう効くかは『完成工事高の評点(X1)』、JV工事の扱いは『JV工事の完成工事高の計上』で説明しています。

契約書・請求書と突き合わせる列

茨城県の経営事項審査の手引きは、基準決算の工事経歴書に載せた工事のうち、業種ごとに元請・下請を問わず金額の大きいものから上位3件分の工事請負契約書を、確認資料として求めています。契約書で工事経歴書の請負代金の額及び完成工事高を突合できない場合は、注文書、請求書、見積書と預金通帳なども添付するとしています。

工事進行基準を導入している場合は、工事の進捗率を算出した根拠資料が必要で、入金書類は不可とされています。入金の割合では完成工事高を計上できないためです。申請先によって求める資料は異なるため、実際の提出物は申請先の手引きで確認してください。

台帳に残しておくと突合しやすい列
列理由
契約書・注文書の保管場所上位の工事の契約書をすぐ出せる
請求書・入金の日付と金額契約書だけで金額を突合できないときの補助資料の所在がわかる
進捗率とその根拠資料の所在工事進行基準を使う場合に、完成工事高の算出根拠を示せる

原価の列を持たせる理由

工事経歴書は、請負代金の額を書く様式で、工事ごとの原価を書く欄はありません。それでも台帳に原価の列を置くのは、実行予算と実際の原価を工事ごとに比べ、決算の数字の確認に使うためです。台帳の完成工事高の合計と、決算書の完成工事高が合うかどうかは、決算のたびに確認します。

台帳の原価は、材料費・労務費・外注費・経費のように会社の決算書の区分に合わせておくと、あとから集計し直さずに済みます。区分の名前と集計の方法は、顧問の税理士や会計担当と決めてください。この記事は、会計処理や税務の助言をするものではありません。

決算変更届で何を出すかは『決算変更届の必要書類一覧』、期限は『決算変更届の提出期限』で確認できます。

まとめ

  1. 工事台帳は様式の決まった書類ではなく、工事経歴書の欄から逆算して列を決める管理表。
  2. 元請・下請、JV、注文者、現場、配置技術者、税込・税抜、工期を列に持つ。技術者の交代は変更前の者も残す。
  3. 完成か未成かは、決算日の時点の完成年月で分ける。
  4. JV工事は自社分の額、進行基準の工事は完成工事高を、契約金額とは別の列に持つ。
  5. 契約書や請求書の保管場所を列に残すと、確認資料の突合に使える。

次に知りたいことは、次の3本で確認できます。

出典:建設業法施行規則 様式第二号(工事経歴書)の記載要領(e-Gov法令検索)、茨城県土木部監理課「経営事項審査の手引き」(令和7年4月改訂・令和7年8月一部修正)。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

工事台帳は法律で様式が決まっていますか?
工事経歴書には建設業法施行規則の様式第二号がありますが、工事台帳そのものの様式は、この記事で確認した範囲では定められていません。会社が工事経歴書の欄に合わせて作る管理表として扱います。
工事台帳には、どの項目を入れておくと工事経歴書に写しやすいですか?
元請・下請の別、JVの別、注文者、工事名、工事現場の都道府県と市区町村、配置技術者、請負代金の額、税込か税抜か、着工と完成の年月です。記載要領の欄に合わせた列にします。
工事経歴書には、どの期間の工事を載せますか?
記載要領では、申請や届出をする日の属する事業年度の前事業年度に完成した工事と、その前事業年度末に完成していない工事を載せます。決算日の時点の完成年月を台帳に残して区分します。
JVの工事は、どの金額を工事経歴書に書きますか?
記載要領では、共同企業体全体の請負代金の額に出資の割合を乗じた額、又は分担した工事額を書きます。台帳に自社の分担額と出資割合を別の列で持つと写しやすくなります。
契約書だけでは完成工事高を確認できないときはどうしますか?
茨城県の手引きでは、契約書で工事経歴書の請負代金の額及び完成工事高が突合できない場合、注文書、請求書、見積書と預金通帳なども添付するとしています。申請先の手引きで確認してください。

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