建設業許可

営業所技術者のテレワーク可否|必要な環境・無人の営業所・遠距離の扱い

建設業許可の営業所技術者(旧・専任技術者)が在宅勤務をしても「専任」と認められるかを、国土交通省の「営業所専任技術者等のテレワークに関するQ&A」と許可事務ガイドラインから整理します。

国土交通省のQ&A・許可事務ガイドラインで確認
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

営業所技術者を在宅勤務にしたい、営業所を無人にしたい、遠方に住む人を営業所技術者にしたい。こうした場面で迷う点は、テレワークをしても「専任」の要件を満たすのか、という1点です。国土交通省は、この点に答えるQ&Aを4問だけ公表しています。

この記事は、公表されている資料の整理です。特定の人や営業所が要件を満たすかどうかは、この記事では判断できません。申請先の許可行政庁の案内が優先します。

要点:テレワークをしても「専任」の要件は変わりません。営業所と同等の職務ができ、所定の時間中に常時連絡が取れる環境であれば、テレワークを含めて常勤と扱われます。ただし、営業所に常識上通勤できない場所でのテレワークは、専任の要件を満たしません。

テレワークでも「専任」と認められる条件

建設業許可事務ガイドライン【第7条関係】は、「専任」の者を、その営業所に常勤(テレワークを行う場合を含む)して専らその職務に従事することを要する者と説明しています。括弧書きで、テレワークが常勤に含まれることが明記されています。

Q&Aのこの点に関する答え(Q2)も同じ趣旨です。「専任」の要件自体に変更はなく、営業所に常勤して専らその職務に従事することを要する者を指す、とされています。テレワークは、専任の意味を緩めるものではなく、働く場所の選び方が広がったという位置づけです。

「専任」の意味や、専任といえない4つの場合は『建設業許可の営業所技術者(旧・専任技術者)』にまとめています。この記事は、テレワークに関する3つの論点に絞ります。

求められる環境(Q1)

Q1は、テレワークで専任と認められる環境を、「ICTの活用により、営業所等で職務に従事している場合と同等の職務を遂行でき、かつ、所定の時間中において常時連絡を取ることが可能な環境」と示しています。具体例として、次の3点が必要と考えられる、と答えています。

テレワーク中に必要と考えられる環境の例(Q&A Q1)
項目内容
メールメールを送受信・確認できること
書面の確認契約書、設計図書等の書面が確認できること
電話電話が常時つながること

回答には「ICT機器の使用状況等を含め総合的に判断する」とも書かれています。3点は例であり、これだけで足りると決まるものではありません。営業所にいるときと同じ仕事ができ、いつでも連絡がつくことが、判断の中心です。

営業所が無人になるとき(Q3)

Q3は、営業所技術者を含む営業所の従業員全員がテレワークをして、営業所が無人になっても問題ないか、という質問です。答えは、営業所技術者がテレワークをするなら、Q1の環境下で職務に従事する必要があり、そのうえで次の2点が求められる、というものです。

営業所が無人になる場合に求められること(Q&A Q3)
項目内容
連絡先の把握テレワーク中の連絡先等を、発注者等が把握できるようにしておく
対面の環境発注者等から対面での対応を求められることも想定されるため、営業所に、対面での打ち合わせ等が可能な環境を整えておくことが必要と考える

Q&Aは、無人を禁止しているわけではありません。無人でもよいとも、はっきりとは書いていません。連絡先を知らせることと、対面で会える環境を営業所に残すことを、条件として示しています。営業所の実体そのものの確認は、『建設業許可の営業所の追加・移転の手続き』で扱っています。

遠距離でのテレワーク(Q4)

Q4は、営業所と著しく離れた場所でテレワークをしてもよいか、という質問です。例として、沖縄県在住の人が北海道の営業所の営業所技術者になれるか、が挙がっています。

答えは、営業所に常識上通勤できない場所でのテレワークは、「専任」の要件を満たさない、というものです。理由として、緊急時などに対面での説明や現場の確認が求められる場合があることと、従来から営業所に常識上通勤できない遠距離に住む人は専任の要件を満たさないと扱ってきたことが挙げられています。ガイドライン【第7条関係】にも、住所またはテレワークを行う場所が営業所から著しく遠く、常識上通勤できない人は原則として専任といえない、と書かれています。

どこまでが「通勤できる範囲」かの距離や時間の数字は、Q&Aにもガイドラインにも示されていません。境目に近い場合は、申請先の許可行政庁に確認します。

営業所技術者以外の人の扱い

テレワークを含めて常勤と扱う考え方は、営業所技術者だけのものではありません。ガイドラインでは、次の人についても、常勤にテレワークを含むとされています。

  • 経営業務の管理を担う常勤役員等の「常勤」(第7条関係)
  • 建設業法施行令第3条の使用人(支配人や、主たる営業所以外の支店・営業所の代表者)の従事(第5条関係)

常勤役員等については『常勤役員等(経営業務の管理責任者に代わる要件)の経験の数え方』を参照してください。

事務担当の確認順

  1. 営業所技術者が、営業所と同じ内容の仕事(書面の確認、メール、電話の対応)を、自宅などでできるかを確かめる。
  2. 所定の勤務時間中に、発注者などが営業所技術者に常時連絡できるかを確かめる。
  3. 営業所を無人にする日があるときは、テレワーク中の連絡先を発注者などが知ることができるかを確かめる。
  4. 発注者などから対面の対応を求められたとき、営業所で打ち合わせができる環境が残っているかを確かめる。
  5. 営業所技術者の住所とテレワークの場所が、営業所に常識上通勤できる範囲かを確かめる。境目に近いときは許可行政庁に確認する。
  6. 営業所技術者を交代するときの届出は『建設業許可の変更届の期限』で確認する。

確認した一次資料

本記事は公表されている資料の紹介です。個別の案件への判断や相談は行っていません。実際の判断は、許可行政庁の案内が優先します。

まとめ

  1. テレワークを含めて常勤と扱われる。「専任」の要件自体は変わらない。
  2. 営業所と同等の職務ができ、所定の時間中に常時連絡が取れる環境が必要。メール、書面の確認、電話が例に挙がっている。
  3. 営業所が無人になるときは、テレワーク中の連絡先を発注者などが把握できるようにし、対面で打ち合わせができる環境を営業所に整えておく。
  4. 営業所に常識上通勤できない場所でのテレワークは、専任の要件を満たさない。

次に知りたいこと:『建設業許可の営業所技術者(旧・専任技術者)』/『建設業許可を新しく取るための要件』/『営業所技術者と技術職員の違い』

よくある質問

営業所技術者はテレワークをしても「専任」と認められますか?
許可事務ガイドラインは、専任の者を営業所に常勤(テレワークを行う場合を含む)して専らその職務に従事する者としています。ただし環境などの条件があり、専任の要件自体は変わりません。
テレワークで専任と認められる環境とは、どんな環境ですか?
国土交通省のQ&Aは、営業所と同等の職務を遂行でき、所定の時間中に常時連絡が取れる環境とし、メールの送受信・確認、契約書や設計図書等の書面の確認、電話が常時つながることが必要と考えられるとしています。
従業員全員がテレワークで、営業所が無人になっても問題ありませんか?
Q&Aは、無人になる場合は、テレワーク中の連絡先等を発注者等が把握できるようにし、対面での打ち合わせ等が可能な環境を営業所に整えておくことが必要と考える、と答えています。
営業所から遠く離れた場所でテレワークをしてもよいですか?
Q&Aは、営業所に常識上通勤不可能な場所でのテレワークは「専任」の要件を満たさないとしています。例として、沖縄県在住の人が北海道の営業所の専任技術者になる場合が挙がっています。
通勤できる範囲は、何キロや何分までですか?
Q&Aにもガイドラインにも、距離や時間の数字は示されていません。境目に近い場合は、申請先の許可行政庁に確認します。
テレワークを含めて常勤と扱われるのは、営業所技術者だけですか?
ガイドラインでは、経営業務の管理を担う常勤役員等の「常勤」と、建設業法施行令第3条の使用人の従事についても、テレワークを含むとされています。

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