建設業許可

建設業許可の営業所技術者(旧・専任技術者)|「専任」の意味と実務経験の数え方

建設業の許可で営業所ごとに置く営業所技術者について、3つの要件、特定建設業との違い、国土交通省のガイドラインが示す「専任」の意味、実務経験の数え方、提出する証明書を、条文とガイドラインから整理します。

建設業法・同法施行規則・許可事務ガイドラインで確認
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

建設業の許可を取るときも、更新するときも、営業所ごとに「営業所技術者」を専任で置いていることが基準になります。以前は専任技術者と呼ばれていた人です。事務担当が迷うのは、誰が営業所技術者になれるかと、専任と認められる勤務の形の2点です。

この記事は、公表されている法令とガイドラインの整理です。特定の人が営業所技術者になれるかどうかは、この記事では判断できません。申請先の許可行政庁の案内が優先します。

要点:営業所技術者は、①学歴+実務経験、②10年以上の実務経験、③国土交通大臣の認定のいずれかを満たす人です。「専任」は、その営業所に常勤して専らその職務に従事することを指し、通勤が常識上できない人や、他の営業所で専任が必要な人は原則として認められません。

呼び名の変更と条文

建設業法第7条第2号は、営業所ごとに営業所技術者を専任の者として置くことを、許可の基準の一つにしています。営業所技術者は、建設工事の請負契約の締結と履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者と、条文に定義されています。

令和6年12月13日の改正建設業法の施行で、呼び名が専任技術者から営業所技術者に変わりました。この記事で営業所技術者と書く人は、古い手引きやブログの専任技術者と同じ位置づけの人です。許可の基準全体は『建設業許可を新しく取るための要件』にまとめています。

営業所技術者の3つの要件(一般建設業)

第7条第2号は、次のいずれかに当たることを求めています。

営業所技術者になれる人(建設業法第7条第2号)
区分内容
イ(学歴+実務)高校(中等教育学校を含む)を卒業後5年以上、または大学・高等専門学校を卒業後3年以上、許可を受けようとする建設業に係る建設工事の実務経験があり、在学中に国土交通省令で定める学科を修めた人
ロ(実務のみ)許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、10年以上の実務経験がある人
ハ(認定)国土交通大臣が、イまたはロと同等以上の知識と技術・技能を有すると認定した人

イの「国土交通省令で定める学科」は、建設業法施行規則第1条が、許可を受ける建設業の種類ごとに決めています。卒業しただけではイに当たらず、在学中に省令で定める学科を修めている必要があります。

ハの認定の対象は、施行規則第7条の3が列挙しています。旧実業学校卒業程度検定や旧専門学校卒業程度検定の合格者、許可を受けようとする建設業の種類に応じた資格を持つ人、登録基幹技能者講習を修了した人(国土交通大臣が認めるものに限る)などです。資格ごとの対応は業種で変わるため、申請先の手引きの一覧で確認します。

特定建設業の特定営業所技術者

特定建設業の許可では、第15条第2号が、営業所ごとに特定営業所技術者を専任で置くことを求めています。基準は一般建設業より厳しく、次のいずれかです。

特定営業所技術者になれる人(建設業法第15条第2号)
区分内容
イ1級の技術検定など、国土交通大臣が定める試験に合格した人、または国土交通大臣が定める免許を受けた人
ロ第7条第2号のイ・ロ・ハのいずれかに当たる人のうち、発注者から直接請け負った一定額以上の工事で、2年以上の指導監督的な実務経験がある人
ハ国土交通大臣が、イまたはロと同等以上の能力を有すると認定した人

条文のただし書は、政令で定める指定建設業の許可を受けるときは、置くべき専任の者をイの人、またはイと同等以上と認定された人に限っています。指定建設業ではロの経験による道は使えません。一般と特定の違い全体は『一般建設業と特定建設業の分かれ目』で整理しています。

「専任」とは何か(ガイドラインの定め)

国土交通省の建設業許可事務ガイドラインは、「専任」の者を、その営業所に常勤(テレワークを行う場合を含む)して専らその職務に従事することを要する者と説明しています。会社の社員は、勤務状況、給与の支払状況、人事権の状況などで専任かどうかを判断します。専任性が認められれば、出向社員でも営業所技術者として扱われます。

ただし、次の4つに当たる人は、原則として専任の者とはいえないとされています。

原則として「専任」といえない人(許可事務ガイドライン)
場合内容
通勤できない住所またはテレワークを行う場所が、勤務する営業所から著しく遠く、常識上通勤できない人
他の営業所で専任が必要他の営業所(他の建設業者の営業所を含む)で専任を要する人
他の法令で専任が必要建築士事務所を管理する建築士や専任の宅地建物取引士など、他の法令で特定の事務所に専任を要する人。ただし、建設業の営業所と他の法令の事務所が同じ場合に、その事務所で専任を要する人は除く
他の事業に専念している他に個人営業をしている人や、他の法人の常勤役員など、他の営業について専任に近い状態にある人

専任かどうかは、肩書きではなく、勤務の実態で判断されます。名簿に名前があっても、実際には別の会社で常勤役員をしている人は、4つ目に当たるおそれがあります。

実務の経験の数え方

イとロで使う「実務の経験」について、ガイドラインは次のように取り扱っています。

実務の経験の扱い(許可事務ガイドライン)
項目扱い
対象になる経験建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験。設計技術者として設計に従事した経験、現場監督技術者として監督に従事した経験、土工とその見習いに従事した経験も含む
対象にならない経験建設工事の雑務のみを行っていた経験年数
期間の計算具体的に建設工事に携わった経験期間の積み上げによる合計期間。経験期間が重複しているときは、原則として二重に計算しない
電気工事・消防施設工事電気工事士免状や消防設備士免状などの交付を受けた人でなければ直接従事できない工事は、免状の交付を受けた人として従事した経験に限って算入する

解体工事については、平成28年5月31日までにとび・土工工事業の許可を受けて請け負った経験も、実務経験の期間に算入できるとされています。実務経験は、許可を受けようとする建設業に係る建設工事の経験であることを、使用者の証明書で示します。

兼ねられる場合

ガイドラインは、兼ねられる場合を2つ書いています。

  • 複数の業種を同じ人で満たす:2つ以上の建設業の許可を行う場合に、1つの業種でイ・ロ・ハの要件を満たしている人が、他の業種でも要件を満たしているときは、その人を他の業種の営業所技術者としても扱えます。
  • 常勤役員等との兼任:経営業務の管理を担う常勤役員等が、営業所技術者の要件も備えている場合、勤務場所が同一の営業所である限り(原則として本社または本店等)、営業所技術者を兼ねられます。

どちらも「同じ人が複数の役割を担える」という扱いで、専任の例外ではありません。たとえば、別の営業所の営業所技術者を兼ねることは、前の表の「他の営業所で専任が必要」に当たります。なお、営業所技術者が工事現場の技術者を兼ねられる場合については、令和6年12月の改正で緩和があります。内容は『建設業許可の更新』の該当の節にあります。

申請で出す証明書

建設業法施行規則第3条第2項は、第7条第2号の基準を満たすことを証する書面として、別記様式第八号の証明書と、次のいずれかの組み合わせを定めています。

営業所技術者の基準を証する書面(施行規則第3条第2項)
組み合わせ内容
学歴+実務で示す学校を卒業したことと学科を修めたことを証する学校の証明書、および実務の経験を証する使用者の証明書(別記様式第九号)
認定で示す第7条第2号ハの認定を受けた者であることを証する証明書
資格者証で示す監理技術者資格者証の写し

許可の更新を申請するときは、同条第4項により、第7条第2号の基準を証する書面の提出を省略できます。実際に何を出すかは、申請先の許可行政庁の手引きの一覧で確かめます。

事務担当の確認順

  1. 許可を受けたい業種と、一般建設業か特定建設業かを決める。
  2. 営業所技術者にする人が、イ(学歴+実務)・ロ(10年の実務)・ハ(認定)のどれで示せるかを確認する。特定建設業は、第15条第2号のイ・ロ・ハで見る。
  3. 実務経験で示すときは、許可を受けたい業種の工事の経験を、使用者の証明書で証明できるかを確認する。
  4. その人が、通勤できる範囲にいるか、他の営業所・他の法令・他の事業で専任に近い状態でないかを確認する。
  5. 経営業務の管理を担う常勤役員等と同じ人にするときは、同一の営業所の勤務であることを確認する。
  6. 申請先の手引きで、資格の対応表と必要書類を確認する。経審の技術職員との関係は『営業所技術者と技術職員の違い』にあります。

確認した一次資料

本記事は公表されている資料の紹介です。個別の案件への判断や相談は行っていません。実際の判断は、許可行政庁の案内が優先します。

まとめ

  1. 営業所技術者(旧・専任技術者)は、学歴+実務経験、10年以上の実務経験、国土交通大臣の認定のいずれかを満たす人。
  2. 特定建設業は、1級の技術検定合格など、または指導監督的な実務経験2年以上などが基準になる。指定建設業は経験による道を使えない。
  3. 「専任」は、その営業所に常勤して専らその職務に従事すること。通勤できない人、他の営業所・他の法令・他の事業で専任に近い人は、原則として認められない。
  4. 実務経験は、施工に関する技術上の職務経験で、雑務のみは含まれない。重複した期間は二重に数えない。

次に知りたいこと:『建設業許可を新しく取るための要件』/『一般建設業と特定建設業の分かれ目』/『営業所技術者と技術職員の違い』

よくある質問

営業所技術者と専任技術者は、同じ人のことですか?
同じ位置づけの人です。令和6年12月13日の改正建設業法の施行で、許可の要件の呼び名が専任技術者から営業所技術者(特定建設業は特定営業所技術者)に変わりました。
営業所技術者になれるのは、どんな人ですか?
建設業法第7条第2号は、①高校卒業後5年以上または大学・高専卒業後3年以上の実務経験があり指定の学科を修めた人、②10年以上の実務経験がある人、③国土交通大臣が同等以上と認定した人のいずれかとしています。
「専任」とは、どういう意味ですか?
国土交通省の許可事務ガイドラインは、その営業所に常勤(テレワークを含む)して専らその職務に従事することを要する者としています。勤務状況、給与の支払状況、人事権の状況などで判断します。
専任とは認められない人は、どんな人ですか?
ガイドラインは、常識上通勤できない人、他の営業所で専任を要する人、他の法令で特定の事務所に専任を要する人、他に個人営業をしている人や他の法人の常勤役員など専任に近い状態にある人を、原則として専任といえないとしています。
実務経験には、現場の雑務や設計の経験も数えられますか?
雑務のみを行っていた経験年数は含まれません。設計技術者として設計に従事した経験、現場監督技術者として監督に従事した経験、土工とその見習いの経験は、実務の経験に含まれると取り扱われます。
経営業務を担う役員と営業所技術者は、同じ人でもよいですか?
常勤役員等が営業所技術者の要件も備えている場合、勤務場所が同一の営業所(原則として本社または本店等)であれば、営業所技術者を兼ねられるとガイドラインは取り扱っています。

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