入札の方式

指名競争入札で指名されるまで|指名基準・指名通知・指名されなかったときの説明請求

指名競争入札で、発注者がどの業者を指名するのか、指名の通知は何を伝えるのか、指名されなかったときに理由を聞けるのかを、法令と国・県の公表資料で整理します。

地方自治法施行令・国交省通達・県の要領で確認
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

指名競争入札は、発注者があらかじめ名簿に登録された業者の中から参加者を選び、通知を出して行う入札です。入札参加資格を取っていても、指名されなければ入札には出られません。指名の基準と、指名されなかったときの確認先は、発注者ごとに決まっています。

この記事では、法令の定めと、国土交通省(地方整備局)、岐阜県、広島県の公表資料を取り上げます。ほかの自治体は同じ手順とは限らないため、実際の基準と期限は、発注者の公表ページで確認してください。

指名競争入札の仕組み(法令の定め)

国の契約では、会計法第29条の3が、契約の性質や目的により競争に加わる者が少数で、一般競争に付する必要がない場合などに指名競争に付するとしています。自治体では、地方自治法施行令第167条が、指名競争入札ができる場合を3つ挙げています。

地方自治法施行令第167条が挙げる、指名競争入札ができる場合
号場合
第1号工事・製造の請負などで、性質や目的が一般競争入札に適しないとき
第2号競争に加わる者が、一般競争入札に付する必要がないと認められる程度に少数のとき
第3号一般競争入札に付することが不利と認められるとき

自治体の長は、指名競争入札の参加資格を持つ者の中から参加させる者を指名します(施行令第167条の12第1項)。そのうえで、入札の場所、日時などの必要な事項を、指名した者に通知しなければなりません(同条第2項)。

指名競争入札に出られるのは、入札参加資格を持つ業者のうち、発注者が指名して通知を出した業者だけです。

指名の前に見られる項目(国の技術審査基準の例)

国土交通省中国地方整備局が公表している「施工体制確認型指名競争入札における技術審査基準」(令和2年6月1日以降適用)は、指名の前に何を見るかを表にしています。最初の審査Aでは、次の項目に当てはまる者を残します。

審査Aの項目(中国地方整備局の例)
項目着目点
地理的条件当該工事種別の建設業許可を持つ本支店営業所が、管内・県内などの設定した地域にあること
技術的適性過去15年間に完成した同種工事の施工実績があること(整備局発注工事は評定点65点未満を認めない。注書きで適用は案件ごと)
不誠実な行為の有無指名停止期間中でないこと、警察からの排除要請中でないこと、請負契約の履行が不適切でないこと
経営状況会社更生・民事再生の手続中でないこと、経営状況が極めて不安定でないこと
経営事項経営事項審査の有効期限が切れていないこと
安全管理・労働福祉事故等による指名停止中でないこと、賃金不払いなどの事実がないこと

続く審査Bでは、地理的条件、工事成績、手持ち工事量(当該事務所の直近の受注の有無)、指名回数、優良工事、地域貢献、安全管理の評価を見ます。評価の数で順位をつけ、原則として20者程度を選ぶ、という書き方になっています。

経営事項審査の有効期限が切れていないことは、審査Aの項目の1つです。経審の結果が入札で使われる場面は『経審と入札参加資格の違い』で説明しています。

この表は中国地方整備局の1つの基準です。ほかの地方整備局や自治体の指名基準は項目も絞り込み方も違うため、同じ内容を前提にしないでください。

国の公募型指名競争入札の流れ

国土交通省が地方整備局に出した通達「公募型指名競争入札方式の手続について」(最終改正 平成16年12月22日)は、技術資料の提出を幅広く求めたうえで指名する方式を定めています。対象は、工事規模が概ね2億円以上7億5千万円未満の工事で、緊急の場合などは除かれます。

  1. 発注者が、技術資料の提出を求める対象者の範囲を決める(指名競争参加資格の認定を受けている者のうち)。
  2. 工事の概要、技術資料の提出事項、対象者を、地方整備局などの掲示で示す。
  3. 業者が技術資料を提出する。内容は、施工実績、配置予定の技術者、施工計画などから、工事に応じて選ばれる。
  4. 発注者が技術資料を審査し、指名基準に基づいて、入札契約手続運営委員会の議を経て指名する。

技術資料の作成と提出の費用は、資料を出す側の負担です。虚偽の記載をすると、指名停止の措置を受けることがあると通達に書かれています。

この通達は平成16年の改正版です。現在の工事で同じ方式が使われているかは、案件の公表ページで確認してください。

指名通知で伝えられること

自治体では、入札の場所と日時、そのほか入札に必要な事項が、指名した者に通知されます(施行令第167条の12第2項)。総合評価で落札者を決める指名競争入札では、これに加えて、総合評価の方法で行う旨と落札者決定基準も通知されます(同条第4項)。

国の公募型の通達では、技術資料を出したのに指名されなかった者へ、指名しなかった旨と理由(非指名理由)を書面で通知します。この通知は、指名通知と同時に行うとされています。

指名されなかったとき

指名されなかった理由について、説明を求められる仕組みが、国と一部の県で文書になっています。次の表は、原文を確認できた3つの文書を並べたものです。期限の長さも、日数を数え始める日も違います。

指名されなかった理由の説明請求(確認した3つの文書)
発注者説明を求められる人期限(休日を除く)回答
国(公募型指名競争入札の通達)技術資料を出して指名されなかった者非指名理由の通知の翌日から5日以内請求できる最終日の翌日から5日以内に書面
岐阜県同じ工事種別の有資格業者で、指名されなかったことに不服がある者指名業者名の公表日の翌日から5日以内請求できる最終日の翌日から10日以内に書面
広島県同じ業種の有資格者で、指名されなかった者指名理由の公表日の翌日から10日以内請求できる最終日の翌日から10日以内に回答書

対象となる工事の金額も文書ごとに違い、岐阜県と広島県は予定価格が400万円を超える工事です。書面の様式は、岐阜県は自由、広島県は決められた苦情申立書です。

国の通達では、説明に不服がある場合、説明の書面を受け取った日から7日以内(休日を含まない)に、書面で再苦情を申し立てられます。入札監視委員会が審議を行います。

国の工事で、一般競争入札や総合評価の結果についての説明請求は『国の工事入札の理由の説明請求』にまとめています。

事務担当の確認順

  1. 発注者の入札契約の案内ページで、その工事が指名競争入札か、公募型かを確認する。
  2. 入札参加資格の名簿に、希望する工事種別で登録されているかを確認する(希望工事内容コード)。
  3. 経審の有効期限、指名停止の有無など、指名基準にある項目を自社で点検する。指名停止の影響は『指名停止と経審・入札参加資格』で整理しています。
  4. 公募型なら、掲示に書かれた提出期限までに技術資料を出す。
  5. 指名されなかったときは、発注者の苦情処理の要領で、請求の窓口と期限を先に確認する。期限は数日から10日で、日数に休日は入らない。

確認した一次資料

本記事は公表されている資料の紹介です。個別の案件への判断や相談は行っていません。実際の基準と期限は、発注者の公表資料と入札説明書が優先します。

まとめ

  1. 指名競争入札は、入札参加資格を持つ業者のうち、発注者が指名して通知した業者だけが出られる。
  2. 国の地方整備局の基準では、地理的条件、施工実績、不誠実な行為の有無、経審の有効期限などを見て、原則20者程度に絞る例がある。
  3. 国の公募型では、技術資料を出し、審査を経て指名される。
  4. 指名されなかった理由の説明請求は、国と岐阜県が5日以内、広島県が10日以内(休日を除く)と、発注者ごとに違う。

次に知りたいこと:『指名停止と経審・入札参加資格』/『プロポーザル・技術提案型への参加』/『入札の辞退のしかた』

よくある質問

指名競争入札では、誰が入札に参加できますか?
入札参加資格を持つ業者のうち、発注者が指名して通知を出した業者だけです。自治体の長は、資格を持つ者の中から参加させる者を指名し、入札の場所と日時などを通知します(地方自治法施行令第167条の12)。
指名の前に、どんな項目が見られますか?
国土交通省中国地方整備局の技術審査基準では、地理的条件、同種工事の施工実績、不誠実な行為の有無、経営状況、経営事項審査の有効期限、安全管理などを見て、原則20者程度に絞る例があります。基準は発注者ごとに違います。
国の公募型指名競争入札では何を出しますか?
施工実績、配置予定の技術者、施工計画などから、工事に応じて選ばれた技術資料を出します。提出の費用は提出者の負担で、虚偽の記載は指名停止の対象になることがあります。
指名されなかったとき、理由を聞けますか?
国の公募型では、指名しなかった旨と理由が書面で通知され、通知の翌日から5日以内(休日を除く)に説明を求められます。岐阜県は公表日の翌日から5日以内、広島県は10日以内です。
説明に納得できないときはどうなりますか?
国の通達では、説明の書面を受け取った日から7日以内(休日を含まない)に書面で再苦情を申し立てられ、入札監視委員会が審議します。県の手続は要領ごとに確認が必要です。

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