受注後の実務

下請代金の支払期日|元請の入金から1か月以内・引渡しの申出から50日以内・手形は60日まで(建設業法)

下請工事の代金がいつまでに支払われるかを、建設業法と国土交通省の建設業法令遵守ガイドライン(第12版)から整理します。

e-Gov法令・国土交通省 建設業法令遵守ガイドライン
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典・免責

下請代金は、元請が発注者から支払を受けた日から1か月以内に支払う決まりです。元請が特定建設業者なら、下請が引渡しを申し出た日から50日以内という期限も加わり、早いほうが期限になります。

支払期日の要点(建設業法)

1か月以内
元請が発注者から出来高払・完成払を受けた日から1か月以内で、できる限り短い期間内(第24条の3)
50日以内
元請が特定建設業者のとき、下請が引渡しを申し出た日から50日以内で支払期日を定める。発注者から入金があるかどうかに関係しない(第24条の6)
検査20日
下請から完成の通知を受けた日から20日以内に、元請は完成の検査を終える(第24条の4)
手形60日
手形期間が60日を超える手形は、割引を受けにくい手形として違反になる場合がある(ガイドライン)
遅延利息
50日の期限を過ぎた分は、年14.6%の遅延利息が付く(第24条の6第4項・施行規則第14条)

50日の定めは、下請が特定建設業者の場合と、資本金4,000万円以上の法人の場合には当てはまりません。実際の支払期日は下請契約書で決まるので、契約書の支払の欄と合わせて確かめてください。

支払期日の決まり方

建設業法には、下請代金の支払について2つの期限があります。

  1. 元請の入金から1か月以内(第24条の3)元請が発注者から出来高払(工事の途中で出来た部分の支払)や完成払を受けたら、その日から1か月以内に、下請が施工した部分に相応する代金を支払います。元請が一般建設業者でも特定建設業者でも当てはまります。
  2. 引渡しの申出から50日以内(第24条の6)元請が特定建設業者のときは、下請が工事の引渡しを申し出た日から50日以内で支払期日を定めます。発注者から元請への入金があるかどうかに関係なく、この期日までに支払います。

両方が当てはまるときは、早いほうが支払の期限です(ガイドライン 10-1)。特定建設業者とは、発注者から直接請け負った工事で、下請に出す代金の合計が一定額以上になる工事を請け負える許可を持つ建設業者です。

支払期日を契約で定めなかったときは引渡しの申出の日が、50日を超える日を定めたときは申出の日から50日を経過する日が、支払期日とみなされます(第24条の6第2項)。

工事が完成し、検査と引渡しが終わった後に、正当な理由なく保留金として代金の一部を長く支払わないことも、第24条の3または第24条の6の違反になります。下請から請求がないことを理由に、法定の期限を超えて支払わないことも、違反のおそれがある例に挙げられています(ガイドライン 10-1)。

50日の定めが当てはまる下請

元請下請当てはまる期限
特定建設業者一般建設業者で、資本金4,000万円未満の法人または個人事業主1か月以内と50日以内の早いほう
特定建設業者特定建設業者、または資本金4,000万円以上の法人1か月以内(50日の定めは当てはまらない)
一般建設業者どの下請でも1か月以内(50日の定めは当てはまらない)

資本金4,000万円は、建設業法施行令第7条の2が定める金額です。どの場合でも、下請代金はできるだけ早く支払うことが望ましいとされています(ガイドライン 10-1)。

完成の検査と引渡し(20日以内)

下請が工事の完成を元請に通知すると、元請はその日から20日以内に完成を確かめる検査を終えなければなりません(第24条の4第1項)。検査で完成を確かめた後、下請が申し出たら、元請はすぐに引渡しを受けます(同第2項)。

50日の期限は、この引渡しの申出の日から数えます。完成の通知・検査・引渡しの申出の日付を、書面やメールで残しておくと、支払期日を確かめるときの根拠になります。

手形・現金払いの扱い

下請代金のうち労務費に当たる部分は、現金で支払うよう適切に配慮しなければなりません(第24条の3第2項)。ガイドラインは、全額を手形で払うことや、労務費に満たない額だけを現金で払うことを、望ましくない例に挙げています(10-2)。

元請が特定建設業者のときは、金融機関で割引を受けにくい手形で下請代金を払ってはいけません(第24条の6第3項)。ガイドラインは、手形期間(手形を受け取ってから支払期日までの日数)が60日を超える手形がこれに当たる場合があるとしています(11)。

ガイドライン(第12版、令和8年1月)は、建設業界でも発注者を含めて約束手形の利用の廃止に向け、前払金の充実、振込払いへの移行、支払までの期間の短縮に努めることを求めています(10-2)。

支払期日を過ぎたとき

元請が特定建設業者で、50日の期日までに支払わなかったときは、引渡しの申出の日から50日を経過した日から支払う日までの日数に応じて、未払の金額に年14.6%を掛けた遅延利息を支払わなければなりません(第24条の6第4項、建設業法施行規則第14条)。

まずは下請契約書の支払期日と、完成の通知・引渡しの申出の日付を確かめ、元請に書面で支払を求めるのが出発点です。個別の事案で法的な手続きを取るかどうかは、弁護士など専門家に相談してください。

入金までの資金が足りないとき

期限どおりに支払われても、元請が特定建設業者の場合で、完成の通知から検査まで最大20日、引渡しの申出から支払まで最大50日かかり、合わせると2か月を超えることがあります。その間、下請は材料費や外注費、職人への賃金を立て替えます。入金までの資金をつなぐ方法は、速さと費用が違います。

方法速さ費用向いている場面
元請に前払金を求める契約の時点で決まるかからない元請が発注者から前払金を受ける工事(第24条の3第3項は、元請に下請への前払金の配慮を求めている)
銀行の当座貸越・運転資金の借入枠があればすぐ。新しく借りるなら審査の期間がかかる利息取引のある金融機関があり、繰り返し立て替えが出るとき
日本政策金融公庫の融資審査の期間がかかる利息まとまった運転資金を、期間をかけて返したいとき
ファクタリング(売掛金の売却)早い手数料(借入の利息より高めになりやすい)ほかの手段が間に合わず、入金の日までの資金が足りないとき

ファクタリングは、元請に対する代金の請求権(売掛金)をファクタリング会社に売って、入金日より前に現金を受け取る方法です。借入ではないので返済はありませんが、売る金額から手数料が差し引かれ、自己資本や利益は増えません。下請契約書に代金の請求権の譲渡を制限する定めがあるかを先に確かめ、売掛先が払えなかったときに買い戻しを求められない契約(償還請求権なし)かを、契約書で確かめてください。

入金までの資金が足りない場合 PR

元請・発注者からの入金を待つ間の資金が足りないときに、売掛金を先に現金化する方法があります。手数料がかかるため、ほかの手段と比べて判断してください。

手段ごとの速さ・費用・審査の重さは建設会社の資金調達の手段、工事ごとに立て替える金額の目安は完成から入金までの立替額の目安で確かめられます。

確認した一次資料

まとめ

  1. 下請代金は、元請が発注者から支払を受けた日から1か月以内に支払う(第24条の3)。
  2. 元請が特定建設業者なら、引渡しの申出から50日以内の期日も加わり、早いほうが期限。下請が特定建設業者か資本金4,000万円以上の法人なら、50日の定めは当てはまらない。
  3. 元請は、完成の通知から20日以内に検査を終え、申出があればすぐに引渡しを受ける。
  4. 労務費の部分は現金で払うよう配慮し、手形期間が60日を超える手形は違反になる場合がある。
  5. 50日の期日を過ぎると、年14.6%の遅延利息が付く。入金までの資金は、前払金・借入・ファクタリングを速さと費用で比べて選ぶ。

公共工事で元請に代金が入る時期は公共工事の代金の支払時期で確認できます。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

下請代金はいつまでに支払われますか?
元請が発注者から出来高払・完成払を受けた日から1か月以内で、できる限り短い期間内に支払う決まりです(建設業法第24条の3)。元請が特定建設業者なら、下請が引渡しを申し出た日から50日以内の支払期日も加わり、早いほうが期限になります(第24条の6)。
50日以内の決まりは、どの下請に当てはまりますか?
元請が特定建設業者で、下請が特定建設業者でも資本金4,000万円以上の法人でもない場合です(建設業法第24条の6第1項、建設業法施行令第7条の2)。元請が一般建設業者のときは当てはまりません。
手形で支払われる場合、期間の上限はありますか?
国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインは、特定建設業者である元請が手形期間60日を超える手形で下請代金を支払うことを、建設業法第24条の6第3項に違反するおそれがある例に挙げています。労務費に当たる部分は現金で払うよう配慮することも定められています(第24条の3第2項)。
支払期日を過ぎた場合、遅延利息はいくらですか?
元請が特定建設業者の場合、引渡しの申出の日から50日を経過した日から支払う日まで、未払の金額に年14.6%を掛けた遅延利息を支払う決まりです(建設業法第24条の6第4項、建設業法施行規則第14条)。

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