受審後の実務

岸和田市の等級格付と経審(土木A1は総合評定値860点以上、主観点数)

岸和田市の建設工事の指名業者の等級格付について、経審の総合評定値に主観点数を足して決まる仕組み、土木・建築の昇格と降格の条件、市内業者と準市内業者の違い、新規登録業者の格付、等級の有効期間を、市の要領から整理します。

岸和田市「建設工事指名業者等級格付基準要領」・建設業者格付一覧表
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

岸和田市は、市の指名競争入札に参加できる建設業者を、経営事項審査(経審)の総合評定値に、市での工事成績などの「主観点数」を足した総合点数で見て、等級に分けています。昇格と降格の条件は、等級ごとに点数と在籍年数が決まっています。

この記事は、市が公開している「建設工事指名業者等級格付基準要領」と、2026年10月1日に更新された格付一覧表の昇格条件・降格条件を原文で確認して整理します。府の制度は大阪府の入札参加資格と経審、近くの市の例は茨木市の等級別格付と経審で説明しています。

総合評定値と主観点数で決まる総合点数

要領は、等級格付を「経営事項審査の結果通知書の総合評定値」に「主観点数」を加えた総合点数で行うと定めています。主観点数は次の4つです。

主観点数の項目(要領第4条)
項目内容
工事成績点市が採用している工事成績評定書で出した、市での3か年の合計の点数
工事評点工事成績点から標準点(60点)を引いた点数。3か年の合計と、前年度の点数が使われる
福祉点岸和田市内の事業所に在籍する障害者の人数が、法定雇用率を超えた分の人数に8点を掛けた点数
労働安全対策点建設業労働災害防止協会に加入していると8点
岸和田市の等級は、経審の総合評定値だけでは決まりません。市の工事での成績と、福祉・労働安全の加点が足された総合点数の順位が、土木の上位等級などの昇格・降格に使われます。
  • 使う経営事項審査の結果通知書は、毎年2月の指名競争入札参加資格の審査申請のときに出した有効な通知書、または3月末日までに受け付けた最新の通知書です。
  • 市での工事の実績がない業者の工事成績点は、工事成績評定書の標準点の80%または90%が与えられます。
  • 総合評定値は、業種ごとの値です。土木の等級には「土木一式」、建築の等級には「建築一式」の値が使われます。

P点(総合評定値)の計算そのものは経審のP点の計算の仕組み、通知書の有効期限の考え方は経審の有効期間と逆算で説明しています。

格付の対象と、市内業者・準市内業者の違い

等級格付の対象工事は、土木、建築、電気、管、造園、舗装の6業種です。対象になるのは、岸和田市の指名競争入札参加資格を持つ業者のうち、市内業者と準市内業者です。

市内業者と準市内業者(要領第3条)
区分法人の場合
市内業者市内に法人登記の本店があり、かつ市内に建設業の許可の主たる営業所がある
準市内業者市内に建設業の許可の従たる営業所だけがある、または、本店は市外で市内に建設業の許可の主たる営業所がある
  • 個人業者は、法人の「本店」を「代表者の住所」に読み替えた形で、同じように区分されます。
  • 準市内業者は、土木のA1・A2・a2、建築のAB1・AB2・ab2、電気のA・a、管・造園・舗装のAには格付されません。総合順位も、準市内業者を除いた順位で数えます。
  • 本店を市外へ移した業者でも、土木A1・建築AB1などの最上位等級に20年以上継続して在籍し、直前5年間に指名停止がないなどの条件をすべて満たせば、市内業者として扱われる特例があります。
この記事の等級の条件は、市内業者と準市内業者に向けた格付基準です。市外の業者に対する扱いは、この要領には書かれていません。市の入札参加資格の案内で確かめてください。

土木工事の昇格と降格の条件

昇格するには、すべての等級に共通する条件と、等級ごとの条件を全部満たす必要があります。共通の条件は次のとおりです。

  • 金銭的信用状況に問題がなく、経営状況が健全であること。
  • 前年度に指名停止などの措置を受けていないこと。
  • 事業所の看板などがあり、事務所の形態に不備がないこと(昇格候補者は、毎年、現地調査があります)。
  • 前年度に、指名通知の辞退の連絡の不備がなく、入札に無届で遅刻・欠席をしていないこと。
  • 3か年の工事評点の合計が、マイナス1点より高いこと。
土木工事の昇格の条件(等級ごと)
昇格工事成績点総合点数の順位「土木一式」の総合評定値在籍年数
A2→A1直近が60点以上A1・A2・a2の中で15位以内860点以上4年以上
a2→A2直近が60点以上条件なし条件なし2年以上
B→a2直近が60点以上Bの中で10位以内710点以上5年以上
C→B直近が60点以上条件なし610点以上4年以上
D→C直近が60点以上条件なし460点以上2年以上
E→D条件なし条件なし条件なし2年以上
  • B→a2には、上の表に加えて、特定建設業の許可を持ち、監理技術者証のある監理技術者を雇用していること、準市内業者でないことが条件に入っています。
  • 「工事成績点」は、その等級に格付されている期間の直近の工事成績点です。在籍年数は、連続して同じ等級に格付されていた年数です。
土木工事の降格の条件
降格条件
A1→A2A1・A2・a2の中で総合点数の順位が40位以下、または「土木一式」の総合評定値が760点未満(どちらか一つに当てはまると対象)
A1・A2・a2→B総合評定値が710点未満、または特定建設業の許可を持たなくなった
B→C総合評定値が610点未満
C→D総合評定値が460点未満
D→E共通の条件以外の降格の要件なし

降格は、共通の条件と等級ごとの条件のどちらかに当てはまると対象になります。共通の条件は、不渡り手形の発行や銀行取引停止などで経営状況が不健全なとき、建設業法による営業停止処分を受けたときです。要領の別表には、降格は「どれか一つの要件に該当する者」と書かれています。

経審の総合評定値を上げる考え方はP点と入札ランクの関係で整理しています。

建築工事の昇格と降格の条件

建築工事も、土木と同じ共通の条件があり、等級の名前と点数が違います。使う総合評定値は「建築一式」です。

建築工事の昇格の条件(等級ごと)
昇格工事成績点総合点数の順位「建築一式」の総合評定値在籍年数
AB2→AB1直近が60点以上AB1・AB2・ab2の中で15位以内860点以上4年以上
ab2→AB2直近が60点以上条件なし条件なし2年以上
C→ab2直近が60点以上Cの中で10位以内660点以上5年以上
D→C直近が60点以上条件なし460点以上2年以上
E→D条件なし条件なし条件なし2年以上
  • C→ab2にも、特定建設業の許可と監理技術者の雇用、準市内業者でないことが条件に入っています。
  • 降格は、AB1・AB2・ab2→Cが総合評定値660点未満または特定建設業の許可を持たなくなったとき、C→Dが460点未満のときです。AB1→AB2は、総合評定値760点未満などの条件で、順位の条件も含まれます。細かい数字は市の格付一覧表の原文で確かめてください。

電気・管・造園・舗装の昇格・降格の点数は、要領の別表に業種ごとに書かれています(たとえば管と造園のBからAへは、総合評定値560点以上と在籍年数が条件)。この記事では、一覧表の文字が読み取りにくく、他の業種の数字を取り違えるおそれがあるため、土木と建築だけを載せています。

新規登録・未登録期間があった業者の格付

  • 新規に登録した業者は、土木・建築はE、電気・管・造園はC、舗装はDに格付されます。
  • 指名競争入札参加資格を持たない未登録期間があった業者は、期間が1年を超えると最下位等級に格付されます。
  • 未登録期間が1年以下なら、従前の格付になります。ただし、降格の緩和は使えません。
  • 参加資格を辞退して未登録期間ができた場合は、期間の長さにかかわらず最下位等級です。
  • 復帰する前の在籍期間と工事の実績は、無効になります。

市内業者や準市内業者が、市外へ移るなどして格付されない期間があったときも、同じ考え方で扱われます。1年を超えると最下位等級、1年以下なら従前の格付です。

降格の緩和・申し出降格・有効期間

  1. 降格の対象になった初年度は、降格を緩和して格付が据え置かれます。2年度連続で降格の対象になると、降格します。
  2. 不渡り手形などの共通の条件で降格の対象になった場合や、特定建設業の許可を持たなくなった場合には、緩和は使えず、その時点で降格します。
  3. 特定建設業の許可を持たなくなって降格した業者が、その年度中に特定建設業の許可を受けたときは、共通の昇格条件を満たすことを条件に、許可を受けた日以後の最初の7月1日から、降格前の等級に戻ります。
  4. 降格を希望する業者は、毎年4月1日から4月末日(土日・祝日を除く)までに、書面で申し出ることができます。7月1日の格付で降格されます。
  5. 申し出で降格した業者は、降格から5年間はその等級にとどまり、昇格の在籍年数も5年が過ぎてから数え直します。
  6. 等級格付の有効期間は、毎年7月1日から1年間です。

市は、格付一覧表を契約検査課の掲示板に張り、市のサイトにも載せています。2026年10月1日に更新された一覧表は、令和8年10月1日から令和9年6月30日までの格付を示すものとして公表されています。

確認した一次資料

この記事は、岸和田市の要領と格付一覧表の内容を整理したものです。点数や在籍年数の条件は改正されることがあり、要領は令和7年4月1日施行の改正まで確認しています。指名競争入札参加資格の申請の受付時期や提出書類は、市が公表する案内を確かめてください。格付の判断は、市の審査結果が優先されます。

まとめ

  1. 等級は、経審の総合評定値に、市での工事成績・福祉点・労働安全対策点を足した総合点数で見る。対象は市内業者と準市内業者。
  2. 土木のA2からA1へ昇格するには、「土木一式」の総合評定値が860点以上、在籍4年以上、総合点数が15位以内などが必要。
  3. 建築のAB2からAB1へも、「建築一式」の総合評定値860点以上、在籍4年以上、15位以内が必要。
  4. 準市内業者は、土木のA1・A2・a2や建築のAB1・AB2・ab2などの上位等級に格付されない。
  5. 新規登録の業者は、土木・建築はEからはじまる。等級の有効期間は毎年7月1日から1年間で、降格は初年度に限り緩和される。

よくある質問

岸和田市の等級格付は、何の点数で決まりますか?
経営事項審査の総合評定値に、市での工事成績点・工事評点・福祉点・労働安全対策点の主観点数を足した総合点数で見ます。
岸和田市で土木のA2からA1に昇格する条件は何ですか?
A2に4年以上在籍し、直近の工事成績点が60点以上、A1・A2・a2の中で総合点数が15位以内、土木一式の総合評定値が860点以上であることなどが必要です。
岸和田市の準市内業者は、上位の等級に格付されますか?
土木のA1・A2・a2、建築のAB1・AB2・ab2などの上位等級には格付されません。順位も準市内業者を除いて数えます。
岸和田市に新規登録した業者は、何等級になりますか?
土木・建築はE、電気・管・造園はC、舗装はDの最下位等級に格付されます。
岸和田市の等級格付の有効期間は、どのくらいですか?
毎年7月1日から1年間です。降格を希望する業者は、4月1日から4月末日までに書面で申し出ることができます。

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