受注後の資金繰り

手形の廃止後の工事代金の資金化|でんさいの割引・分割とファクタリングの違い(2027年度初に交換廃止)

紙の手形・小切手がいつ使えなくなるか、代わりのでんさいを入金日より前に資金化する方法、ファクタリングとの違いを、金融庁・全国銀行協会・でんさいネット・国土交通省の資料から整理します。

金融庁・全国銀行協会・でんさいネット・国土交通省
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典・免責

銀行界は、2027年度の初めから電子交換所での手形・小切手の交換を廃止します。金融機関によっては2026年9月30日を最終の振出期限にしており、10月1日以降は原則として当座勘定から支払えません。代わりに使われるでんさいは、手形と同じように支払期日より前に割引・譲渡でき、必要な分だけ分割して資金化できます。

手形の廃止とでんさいの要点

交換の廃止
2027年度初から、電子交換所での手形・小切手の交換を廃止(金融庁の案内)
最終振出期限
金融機関によっては2026年9月30日。10月1日以降は原則、当座勘定から支払えない(全国銀行協会)
でんさいの金額・期日
1円以上100億円未満。支払期日は発生記録日の3銀行営業日後から10年後まで(でんさいネット)
期日前の資金化
手形と同様に支払期日前に譲渡・割引でき、必要な金額だけ分割して資金化できる。譲渡記録には譲渡人の保証が付く
ファクタリング
売掛金を売って現金化する方法。償還請求権なしの契約なら、売掛先が払えなくても買い戻しを求められない

最終振出期限は取引金融機関ごとに違います。紙の手形・小切手を使っている場合は、取引金融機関の案内で自社の期限を確かめてください。

紙の手形・小切手が使えなくなる時期

銀行界は、手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた自主行動計画で、2026年度末までに電子交換所での手形・小切手の交換枚数をゼロにすることを最終目標にしています。そのうえで、2027年度初から電子交換所での交換を廃止するとしています(金融庁の案内)。

交換の廃止より前に、最終の振出期限を設けている金融機関があります。全国銀行協会の2026年6月5日の公表では、金融機関によっては9月30日を最終振出期限としており、10月1日以降は原則として当座勘定からの支払ができなくなるとしています。

代わりの手段として、金融庁は、でんさいなどの電子記録債権や、インターネットバンキングによる振込を挙げています。

建設業の下請代金と手形

国土交通省の建設業法令遵守ガイドライン(第12版、令和8年1月)は、下請代金はできる限り現金で支払い、少なくとも労務費に当たる部分は現金で支払う条件にするよう求めています。元請が特定建設業者の場合、手形期間が60日を超える手形で下請代金を払うことは、建設業法第24条の6第3項に違反するおそれがある例に挙げられています。

同じガイドラインは、建設業界でも発注者を含めて約束手形の利用の廃止に向け、前金払の充実、振込払いへの移行、支払までの期間の短縮に努めることを求めています。下請代金の支払期日そのものは下請代金の支払期日で確認できます。

でんさいの仕組み

でんさいは、株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)が記録する電子記録債権です。取引金融機関(窓口金融機関)を通じて利用を申し込み、インターネットバンキングなどで記録を請求します。

項目でんさいの扱い
金額1円以上100億円未満(日本円のみ)
支払期日発生記録日の3銀行営業日後から10年後まで
支払支払期日に、支払企業の口座から受取企業の口座へ送金される
譲渡手形の裏書譲渡に当たる。譲渡記録日は、支払期日の3銀行営業日前以前の日
印紙手形のような印紙は不要
手数料金融機関ごとに異なる

でんさいを入金日より前に資金化する

でんさいネットの説明資料では、でんさいは手形と同様に、支払期日前に譲渡・割引でき、担保としても使えるとされています。受け取ったでんさいのうち、必要な金額だけを分割して譲渡・割引することもできます。資料には、700万円のでんさいのうち300万円を分割して取引金融機関に譲渡して資金化し、残りの400万円は支払期日に受け取る例が載っています。

割引は、取引金融機関にでんさいを譲渡して資金化することです。割引ができるか、割引料がいくらかは、取引金融機関の審査と条件によります。でんさいネットの資料では、譲渡記録には譲渡人の保証がセットされるとされています。保証の意味と、支払企業が払わなかった場合の扱いは、取引金融機関に確かめてください。

でんさいの割引とファクタリングの違い

方法資金化する相手使える場面売掛先が払わないとき
でんさいの割引取引金融機関支払がでんさいで行われているとき。分割して必要な分だけ資金化できる譲渡記録に譲渡人の保証が付く(扱いは金融機関に確認)
銀行の当座貸越・運転資金の借入取引金融機関売掛金の形に関係なく、繰り返し立て替えが出るとき借入なので、売掛金の回収に関係なく返済する
ファクタリング(売掛金の売却)ファクタリング会社振込で支払われる売掛金で、入金日までの資金が足りないとき償還請求権なしの契約なら、買い戻しを求められない

手形がなくなって振込払いに移ると、入金日より前に資金を用意する主な方法は、借入とファクタリングです。ファクタリングは手数料がかかり、自己資本や利益は増えません。金融庁は、売った債権の回収を売主が任され、売主が集金できなかった場合に、売主が債権を買い戻すことや、自分の資金でファクタリング業者に払うことになっている取引は、貸付に当たるおそれがあると注意を呼びかけています。使う場合は、償還請求権なしの契約かを契約書で確かめてください。

入金までの資金が足りない場合 PR

元請・発注者からの入金を待つ間の資金が足りないときに、売掛金を先に現金化する方法があります。手数料がかかるため、ほかの手段と比べて判断してください。

速さ・費用・審査の重さで手段を比べるときは建設会社の資金調達の手段、入金が遅れているときの対処は元請からの入金が遅れた・払われない時の対処で確認できます。

確認した一次資料

まとめ

  1. 銀行界は2027年度初から電子交換所での手形・小切手の交換を廃止する。金融機関によっては2026年9月30日が最終振出期限。
  2. 建設業の下請代金は、できる限り現金払いにし、元請が特定建設業者なら手形期間60日超の手形は違反のおそれがある。
  3. でんさいは1円以上100億円未満、支払期日は発生記録日の3銀行営業日後から10年後まで。
  4. でんさいは支払期日前に譲渡・割引でき、必要な分だけ分割して資金化できる。譲渡記録には譲渡人の保証が付く。
  5. 振込払いの売掛金で入金日より前に資金を用意する主な方法は、借入とファクタリング。ファクタリングは償還請求権なしの契約かを確かめる。

公共工事で元請に代金が入る時期は公共工事の代金の支払時期で確認できます。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

紙の手形はいつ使えなくなりますか?
銀行界は2027年度初から電子交換所での手形・小切手の交換を廃止するとしています(金融庁の案内)。全国銀行協会の2026年6月5日の公表では、金融機関によっては2026年9月30日を最終振出期限としており、10月1日以降は原則として当座勘定から支払えなくなります。期限は取引金融機関に確かめてください。
でんさいは支払期日前に現金にできますか?
でんさいネットの説明資料では、手形と同様に支払期日前に譲渡・割引でき、必要な金額だけ分割して資金化できるとされています。割引ができるか、割引料がいくらかは取引金融機関の審査と条件によります。
でんさいの金額と支払期日に決まりはありますか?
でんさいネットの説明資料では、債権金額は1円以上100億円未満(日本円のみ)、支払期日は発生記録日の3銀行営業日後から10年後までです。
でんさいの割引とファクタリングは何が違いますか?
でんさいの割引は取引金融機関にでんさいを譲渡して資金化する方法で、譲渡記録には譲渡人の保証が付きます。ファクタリングは振込で支払われる売掛金などをファクタリング会社に売る方法で、償還請求権なしの契約なら売掛先が払えなくても買い戻しを求められません。

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