一般建設業から特定建設業へ切り替える般・特新規の手続き
一般建設業の許可だけを持つ会社が、同じ業種で特定建設業の許可を取るときの手続きを整理します。申請の区分(般・特新規)、一般の許可がどうなるか、申請先と手数料、有効期間の扱い、経審との関係を、建設業法と国土交通省の資料で確認します。
建設業法・施行令・許可事務ガイドラインで確認発注者から直接請け負う1件の工事で、下請契約の合計が5,000万円(建築工事業は8,000万円)以上になるなら、特定建設業の許可が要ります。一般建設業の許可を持つ会社がこれを取る申請は、国土交通省の資料で「般・特新規」という区分です。この記事は、切り替えの手続きの流れに絞ります。一般と特定の分かれ目の金額は『一般建設業と特定建設業の分かれ目』で確認してください。
般・特新規とは:申請の区分
国土交通省の許可申請の手続きのページと許可事務ガイドラインでは、許可の申請を「新規」「許可換え新規」「般・特新規」「業種追加」「更新」に分けています。このうち般・特新規は、一般建設業の許可のみを受けている者が新たに特定建設業の許可を申請する場合(またはその逆)です。
区分の取り違えは、窓口での差し戻しにつながります。次の表で、自社がどれに当たるかを確かめます。
| いまの許可 | 取りたい許可 | 申請の区分 |
|---|---|---|
| 一般のみ | 同じ業種を特定に | 般・特新規 |
| 一般のみ | 別の業種を一般で | 業種追加 |
| 一般のみ | 別の業種を特定で | 般・特新規(一般のみを受けている者が新たに特定を申請する場合に当たる) |
| 特定のみ | 別の業種を特定で | 業種追加 |
3行目は、ガイドラインの文言(一般のみを受けている者が新たに特定を申請する場合)からの読み取りです。迷うときは、申請先の窓口で区分を確かめてください。
特定を取ると、同じ業種の一般の許可は失効する
建設業法第3条第6項は、一般建設業の許可を受けた者が、その許可に係る建設業について特定建設業の許可を受けたときは、その建設業に係る一般建設業の許可は効力を失う、と定めています。ガイドラインも、この規定があるため、一般のみを受けている者が全部または一部の業種について特定を申請するときは、その申請をそのまま「般・特新規」として扱ってよいとしています。
許可は業種ごとに与えられる(法第3条第2項)ので、切り替わるのは申請した業種だけです。たとえば、とび・土工工事業と管工事業の一般許可を持つ会社が管工事業だけを特定にすると、とび・土工工事業は一般のまま残ります。
特定の許可が下りるまで、一般の許可は有効です。工事が止まる心配は、申請の時点では要りません。ただし、特定の許可が必要になる契約(下請契約の合計が基準以上になる工事)は、許可が下りる前には結べないため、受注の見込みから逆算して申請の時期を決めます。
特定で確認される要件
特定建設業の許可の基準は法第15条にあります。一般の基準(法第7条)との違いは、次の2点です。
- 営業所ごとの技術者が「特定営業所技術者」になる。1級の技術検定・免許などの合格者、または一般の技術者の要件に当たる者のうち、元請として請負代金4,500万円以上の工事で2年以上の指導監督的な実務経験がある者(施行令第5条の3)、または国土交通大臣が同等以上と認定した者です(法第15条第2号)。
- 財産的基礎が重くなる。発注者との請負契約を履行するに足りる財産的基礎が求められます(法第15条第3号)。具体的な数値は『許可の財産的基礎』で一般との違いを整理しています。
経営業務の管理に関する基準と、請負契約に関する不正・不誠実のおそれがないことは、特定でも法第7条第1号・第3号に該当することが求められ(法第15条第1号)、一般と同じ基準です。
指定建設業の7業種(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業。施行令第5条の2)は、さらに限られます。特定営業所技術者は、1級の技術検定などの合格者(法第15条第2号イ)か、国土交通大臣の認定を受けた者(同号ハ)に限られ、指導監督的な実務経験による者(同号ロ)は認められません。一般の営業所技術者から横滑りできるとは限らないため、この7業種で切り替えるときは、技術者の資格を最初に確かめます。
申請先と手数料
申請先は、一般のときと同じ考え方で決まります(法第3条第1項)。2つ以上の都道府県に営業所があれば国土交通大臣(本店所在地を所管する地方整備局等)、1つの都道府県にだけ営業所があればその都道府県知事です。特定にしても、申請先が変わるわけではありません。
国土交通省の「許可申請の手続き」のページでは、手数料を次のように示しています。
| 新規の許可 | 更新・同一許可区分内の追加 | |
|---|---|---|
| 国土交通大臣 | 登録免許税15万円 | 許可手数料5万円 |
| 都道府県知事 | 9万円 | 5万円 |
このページは、般・特新規の欄を別に立てていません。般・特新規がどちらの金額に当たるかは、申請の区分ごとに申請先へ確かめてください。納め方(収入印紙か、税務署への納付か)も、大臣許可と知事許可で違います。
添付書類と有効期間の扱い
添付書類は一部を省略できる
ガイドラインは、更新・般・特新規・業種追加の申請では、すでに提出した書類との重複を避けるため、建設業法施行規則第4条第1項の添付書類の一部を省略できるとしています。般・特新規と業種追加では、使用人の一覧表(様式第十一号)、申請者の調書(様式第十二号)、使用人の調書(様式第十三号)と、規則第4条第1項第5号・第6号の証明書のみを提出すればよく、同項のほかの書類は省略できる、という整理です。
ただし、特定では技術者と財産的基礎の確認が加わります。特定営業所技術者が資格や実務経験を証明する書類、財産的基礎を示す書類を実際に何で出すかは、申請先が示す提出書類の一覧に従ってください。
一般の有効期間の満了が近いとき
ガイドラインは、一般の許可の有効期間の満了日以前に特定への移行の申請があり、満了日までに処分が出ないときは、その申請を法第3条第4項の「更新の申請」とみなして扱うとしています。この場合、特定の処分が出るまでの間は、一般の許可がなお効力を持つ取扱いです。期限の直前に申請して許可が空白になる不安は、この取扱いで抑えられますが、ガイドラインの運用は許可行政庁に確かめてください。
複数の許可の有効期間を一本化する
ガイドラインは、同じ業者が別々に複数の許可を受けていると更新の時期を失念しやすいため、般・特新規を含む業種追加の申請の際に、有効期間の残る他の許可の更新を同時に申請して、有効期間を一本化できる取扱いを定めています。同時に更新できる他の許可は、有効期間が原則として6か月以上残っていることが条件です。
経審との関係
経営事項審査は、許可を受けた建設業ごとに受けるものです。一般か特定かは点数の項目ではないため、特定に切り替えても、それだけでP点は上がりません(詳しくは『分かれ目の記事の経審の節』)。
手続きの面で注意したいのは、許可番号が変わる点です。大阪府の「経営事項審査の手引き(令和8年)」は、経審を受けた後に般・特新規などで許可番号が変わった場合、同一の審査基準日・同一の内容であれば受け直しができるとしています。通常とは異なる手続きになるため、事前に担当職員へ問い合わせるよう求めています。これは大阪府の手引きの扱いなので、他の許可行政庁では、受審先の手引きや窓口で確かめてください。
切り替えの時期と経審の申請の時期が近い会社は、先に経審の受審先に、許可番号の変更後の手続きを聞いておくと安全です。技術職員の人数をどう数えるかは『技術職員数値の数え方』を見てください。
逆に、特定から一般へ戻すとき
ガイドラインは、逆の手続きを区別しています。特定のみを受けている者が、許可を受けている建設業の一部を一般にしたいときは、先にその一部の特定を廃止して、あらためて般・特新規として一般を申請します。許可を受けている建設業の全部を一般にしたいときは、特定の全部を廃業したうえで新たに一般を申請するため、般・特新規ではなく新規に当たります。
特定をやめる手順は、先に廃業の届出が必要になる場合があるため、許可行政庁の窓口で順番を確認してから動いてください。
確認した一次資料
- 建設業法(e-Gov法令検索)第3条(許可の区分・第6項の一般許可の失効)、第7条、第15条(特定建設業の基準)
- 建設業法施行令(e-Gov法令検索)第2条(5,000万円・建築8,000万円)、第5条の2(指定建設業7業種)、第5条の3(4,500万円)
- 国土交通省 建設業許可事務ガイドラインについて(最終改正 令和7年2月1日)申請の区分(般・特新規)、添付書類の省略、有効期間の一本化、一般・特定間の移行申請の取扱い
- 国土交通省 許可申請の手続き申請の区分、登録免許税15万円・許可手数料5万円・知事許可の手数料
- 大阪府 経営事項審査の手引き(令和8年)般・特新規などで許可番号が変わった場合の受け直しの扱い
確認日:2026年10月15日。許可の手数料や運用は変わることがあるため、申請の前に、申請先の許可行政庁の案内で最新の内容を確かめてください。
まとめ
- 一般のみの会社が特定を取る申請の区分は「般・特新規」。申請先は営業所の配置で決まり、一般のときと変わらない。
- 特定の許可を受けると、その業種の一般の許可は法第3条第6項で効力を失う。ほかの業種の一般は残る。
- 特定では、特定営業所技術者と財産的基礎の基準が加わる。指定建設業7業種は、実務経験による技術者が認められない。
- 一般の有効期間の満了前に申請すれば、更新とみなして扱われ、処分が出るまで一般の許可は有効という取扱いがある。
- 許可番号が変わったときの経審の扱いは、受審先の手引き・窓口で事前に確かめる。
この記事は法令と国土交通省の資料の整理です。個別の許可の要否は、許可行政庁の窓口で確認してください。正式な評点は審査結果が優先します。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。
よくある質問
- 般・特新規とは何ですか?
- 国土交通省の許可事務ガイドラインと許可申請の手続きのページでは、一般建設業の許可のみを受けている者が新たに特定建設業の許可を申請する場合(またはその逆)を「般・特新規」という申請の区分としています。
- 特定建設業の許可を取ると、一般の許可はどうなりますか?
- 建設業法第3条第6項により、特定建設業の許可を受けた建設業については、その建設業に係る一般建設業の許可は効力を失います。許可は業種ごとなので、申請していない業種の一般許可は残ります。
- 指定建設業の7業種は何が違いますか?
- 土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種(施行令第5条の2)は、特定営業所技術者が1級の技術検定などの合格者か国土交通大臣の認定を受けた者に限られ、指導監督的な実務経験による者は認められません(法第15条第2号)。
- 一般の許可の有効期間の満了が近いときはどうなりますか?
- ガイドラインは、一般の許可の有効期間の満了日以前に特定への移行の申請があり、満了日までに処分が出ないときは、更新の申請とみなして扱い、特定の処分が出るまで一般の許可はなお効力を持つとしています。運用は許可行政庁に確認してください。
- 般・特新規で許可番号が変わると、経審はどうなりますか?
- 大阪府の経営事項審査の手引き(令和8年)は、受審後に般・特新規などで許可番号が変わった場合、同一の審査基準日・同一の内容で受け直せるとし、事前に担当職員へ問い合わせるよう求めています。他の許可行政庁の扱いは受審先に確認してください。
公開日: 2026-10-15
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