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下請業者を選ぶ前の確認の順番|許可・社会保険・建退共・施工体制台帳

元請が下請に工事を出す前に確認することを、判断する順に並べました。建設業許可の有無、特定建設業の要否、社会保険の加入、建退共の報告、施工体制台帳への記載の順です。

建設業法・同施行規則・国土交通省の下請指導ガイドライン(令和7年12月10日適用)
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

下請に工事を出すときは、契約の前に確認することと、契約の後に書類へ反映することが混ざりやすくなります。ここでは「契約の前」と「契約の後」に分けて、元請が確認する順番を条文と公式資料から整理します。個別の工事で必要かどうかは、契約金額や工事の内容によって変わります。

確認の順番(早見表)

契約の前に1〜4、契約の後に5を行う並びです。前の確認で問題が見つかったときは、次へ進む前に直します。

下請を選ぶときの確認の順番
順確認すること見る先・根拠
1許可の有無・業種・許可番号国土交通省の建設業者検索、建設業法第3条
2下請代金の合計が特定建設業の金額に達するか建設業法第16条、同施行令第2条
3健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入下請指導ガイドライン、建設キャリアアップシステム
4建退共の対象労働者数の報告(公共工事)建退共の元請の事務の案内
5施工体制台帳・再下請負通知書への記載建設業法第24条の8、同施行規則第14条の2・第14条の4

1. 建設業許可の有無と業種を確かめる

建設業法第3条は、建設業を営むには許可が要ると定めています。ただし、施行令第1条の2により、工事1件の請負代金が500万円(建築一式工事は1,500万円)に満たない工事などの「軽微な建設工事」だけを請け負う場合は許可が要りません。そのため、下請の請負代金が軽微な工事の範囲かどうかで、確認の仕方が変わります。

  • 許可が必要な金額の工事を出すときは、下請の許可番号と、その工事に当たる業種の許可があるかを確かめます。
  • 国土交通省の建設業者検索(建設業者・宅建業者等企業情報検索システム)では、商号や許可番号から許可業種を調べられます。
  • 契約金額を複数の契約に分けたときは、同一の建設業を営む者が分割して請け負う場合、原則として各契約の合計額で軽微かどうかを見ます(施行令第1条の2第2項)。

施工体制台帳には、下請負人が建設業者であるときの許可番号と、請け負う工事に係る許可業種を載せます(施行規則第14条の2第1項第3号ロ)。ここで書くことになる内容を、契約前に確かめておくと台帳の作成で迷いません。

2. 自社が特定建設業の許可を要する下請金額か

建設業法第16条は、発注者から直接請け負った工事のために、下請契約の代金が一定額以上になるときは、特定建設業の許可を受けた者でなければ下請契約を結べないと定めています。金額は施行令第2条で5,000万円(建築工事業は8,000万円)です。1件で達する場合のほか、すでに結んだほかの下請契約との総額が達する場合も含まれます。

  • 自社が一般建設業の許可の場合、下請契約の合計がこの金額に達する契約は結べません。
  • 下請の側の許可の種類ではなく、元請である自社の許可の種類の話です。
  • この金額は、施工体制台帳を作る義務が生じる金額と同じ区切りです。民間工事での作成義務の詳細は『施工体制台帳と再下請負通知書』にあります。

一般と特定の違いは『一般建設業と特定建設業の違い』で確認できます。

3. 社会保険の加入状況を確かめる

国土交通省の「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」は、元請に対し、下請を選ぶ前に社会保険の加入状況を確認するよう求めています。同ガイドラインは令和7年12月10日から改訂版が適用されています。

  • 確認の対象は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険です。
  • 適用除外でないにもかかわらず未加入の場合は、早期に加入手続を進めるよう指導します。
  • 全部または一部の保険について、適用除外でないにもかかわらず未加入である建設企業は、下請として選定しない取扱いを徹底するとされています。

確認の方法として、ガイドラインは建設キャリアアップシステムの活用を挙げています。使わない場合は、保険料の領収済通知書などの写しを出してもらい、雇用保険は厚生労働省の労働保険適用事業場検索サイト、厚生年金と健康保険は日本年金機構の適用事業所検索システムで適用状況を確かめるとされています。

契約後の工事では、再下請負通知書の「健康保険等の加入状況」欄と、現場に入る作業員の名簿の社会保険欄でも確認します。未加入が判明したときの影響は『社会保険未加入が経審に与える影響』にまとめています。

4. 建退共の対象労働者数の報告を求める

公共工事を請け負い、建退共(建設業退職金共済制度)の証紙貼付方式で掛金を納める元請は、下請と請負契約を結んだとき、全ての下請に「建設業退職金共済制度加入労働者数報告書」の提出を求め、下請が雇用している被共済者数を把握するよう努めることとされています。この報告書をもとに、必要な共済証紙の枚数を算定します。

  • 報告書の様式は建退共事務受託様式第6号です。
  • 的確な把握が難しいときは、建退共の案内にある「掛金納付の考え方」を参考に算定します。
  • 工事の完成後は、下請から出された就労状況報告書などをとりまとめ、掛金充当実績総括表を作って発注者に示します。

下請を選ぶ段階では、下請が建退共に加入している会社かどうかで、証紙の交付や報告のやり取りが変わります。工事ごとの事務は『公共工事を受注したときの建退共の事務』に書いています。

5. 施工体制台帳と再下請負通知書に反映する

契約を結んだら、施工体制台帳に下請の情報を載せます。施行規則第14条の2第1項第3号は、下請負人について次の事項を求めています。

  • 商号または名称、住所
  • 建設業者であるときの許可番号と、請け負う工事に係る許可業種
  • 健康保険等の加入状況

これらは、上の1〜3で確かめた内容がそのまま台帳の記載事項になります。さらに、下請がその工事を別の会社に出したときは、施行規則第14条の4により、下請が再下請負通知書を元請に出します。再下請負通知は請け負わせる都度、遅滞なく行います。

  • 台帳には、請負契約書の写しなどの書類を添付します(施行規則第14条の2第2項)。
  • 台帳を作る会社が注文者でない下請契約(二次以下)で、公共工事以外のものは、請負代金の額に係る部分を除いた写しとできます。
  • 台帳は工事現場ごとに備え置きます(建設業法第24条の8第1項)。

次に知りたいこと

確認した一次資料

まとめ

  • 契約の前に、許可の有無と業種、自社が特定建設業を要する金額か、社会保険の加入、建退共の報告の順に確かめる。
  • 特定建設業の金額は、下請契約の合計で5,000万円(建築工事業は8,000万円)。
  • 社会保険は、適用除外でないのに未加入の会社を下請に選ばない取扱いが求められている。
  • 契約後は、確認した許可番号・業種・保険の加入状況を施工体制台帳に載せ、再下請があれば再下請負通知書で受ける。

この記事は制度の説明で、個別の契約の適否の判断は行いません。個別の工事は、発注者の契約条件と所管の許可行政庁の案内で確認してください。正式な評点は審査結果が優先します。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

下請に工事を出す前に、何を確認しますか?
建設業許可の有無と業種、自社が特定建設業の許可を要する下請金額か、社会保険の加入状況、公共工事では建退共の対象労働者数の報告の順に確かめます。契約後は、確かめた内容を施工体制台帳に載せます。
下請契約の金額が大きいと、元請の許可に影響しますか?
あります。建設業法第16条は、発注者から直接請け負った工事の下請契約の代金が、1件または総額で5,000万円(建築工事業は8,000万円)以上になるときは、特定建設業の許可を受けた者でなければ下請契約を結べないと定めています。
社会保険に入っていない会社を、下請に選んでよいですか?
国土交通省の下請指導ガイドラインは、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の全部または一部について、適用除外でないにもかかわらず未加入である建設企業は、下請として選定しない取扱いを徹底すべきとしています。
下請の社会保険の加入は、どう確かめますか?
ガイドラインは建設キャリアアップシステムでの確認を挙げています。使わない場合は、保険料の領収済通知書などの写しを出してもらい、厚生労働省の労働保険適用事業場検索サイトと日本年金機構の適用事業所検索システムで適用状況を確かめます。
施工体制台帳には、下請のどんな情報を載せますか?
施行規則第14条の2第1項第3号により、商号または名称と住所、建設業者であるときの許可番号と許可を受けた業種、健康保険等の加入状況を載せます。

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