公共工事を受注したときの建退共の事務|元請・下請・JVの書類と期限
公共工事を受注したときに、建退共(建設業退職金共済)で元請と下請がそれぞれ行う事務を、公式ページから整理します。契約時の報告、購入額の算定、掛金収納書の提出期限、現場標識、完成時の保存書類を示します。
建退共 公式サイト公共工事を受注すると、建退共の加入事業者には、毎月の掛金のほかに、工事ごとの事務が加わります。建退共の公式ページは、この事務を「契約締結時」「工事施工中」「工事完成時」の3つの時期に分けて案内しています。この記事は、元請の事務、下請の事務、JVの扱い、現場標識を順に整理します。発注者が独自の取り扱いを定めている場合があるため、実際の事務は発注者と建退共の最新の案内に従ってください。事業主の毎月の事務は『建退共の事業主の事務』にまとめています。
元請の事務:契約時・施工中・完成時
公式ページは、掛金の納め方(電子ポイント方式と証紙貼付方式)ごとに、元請の事務を次のように示しています。
| 時期 | 電子ポイント方式 | 証紙貼付方式 |
|---|---|---|
| 契約締結時 | 下請に加入労働者数報告書(事務受託様式第6号)の提出を求める。必要な退職金ポイントを算定して購入し、電子申請専用サイトから出力した掛金収納書を、工事契約締結から40日以内に発注者へ提出する | 下請に加入労働者数報告書(様式第6号)の提出を求める。必要な共済証紙を算定して金融機関で購入し、掛金収納書を掛金収納書提出用台紙(様式第033号)に貼って、工事契約締結から1か月以内に提出する。共済証紙受払簿(様式第030号)と工事別共済証紙受払簿(様式第032号)を作る |
| 施工中 | 現場標識を掲示する。毎月、下請から就労状況の報告を受け、自社分と合わせて電子申請専用サイトで建退共に報告する。建退共が購入済みのポイントから労働者ごとに掛金を充当する | 現場標識を掲示する。毎月、下請から被共済者就労状況報告書の提出を受け、それに基づいて共済証紙を交付する(少なくとも月1回)。自社の労働者の分は貼付して消印する |
| 完成時 | 掛金の納付日数とポイントの購入日数を比べ、大幅に下回るときは確認して追加で納付する。書類を完成後1年間保存し、掛金充当実績総括表を作って発注者に提示する | 掛金の納付日数と証紙の購入日数を比べ、大幅に下回るときは確認して追加で納付する。書類を完成後1年間保存し、掛金充当実績総括表を作って発注者に提示する |
公式ページは、元請が「元請事業主による建退共制度関係事務受託処理要綱」に基づき、工事に従事するすべての被共済者に、就労実績に応じて適正に掛金が充当されるようにするよう求めています。
購入額の考え方と計算例
契約時に必要な購入額は、下請から出された加入労働者数報告書をもとに、対象労働者数とその延べ就労日数から算定します。的確に把握するのが難しいときは、公式ページの「掛金納付の考え方」の表を参考にします。表の値に、工事の労働者の建退共加入率÷70%を掛けて求めます(表の値は加入率を7割と仮定したものです)。
公式ページの計算例は次のとおりです。
表の値は工事の種別によって異なります。発注者が独自の購入率を定めている場合もあるため、事前に発注者へ確かめるよう案内されています。公式ページには、購入額を計算するExcelも掲載されています。
下請の事務
下請の事務は、元請への報告が中心です。
- 契約時:加入労働者数報告書(様式第6号)で、雇用する対象労働者を元請に報告します。一次下請は、二次下請以下の報告を取りまとめて一緒に報告します。慣用的に使われてきた「辞退届」は使わないよう案内されています。
- 施工中:毎月、被共済者就労状況報告書を作って元請に出します。電子ポイント方式では、電子申請専用サイトで報告します。証紙貼付方式では、元請から証紙を受け取ったら受領者確認欄に記入して元請に提出し、証紙を就労日数に応じて貼って消印します。
- 証紙貼付方式の記録:証紙の購入、貼付、下請への交付のたびに共済証紙受払簿(様式第030号)を作り、共済証紙貼付状況報告書(様式第3号)で元請に報告します。
- 完成時:就労状況報告書や、証紙貼付状況報告書(電子ポイント方式では掛金充当書)を、完成後1年間保管することが義務付けられています。
JVの場合の掛金収納書
JV(共同企業体)で工事を請け負ったときは、各構成企業が購入した際の掛金収納書に、共済契約者の氏名の下に( )書きでJV名を記入し、代表企業がとりまとめて発注者に提出します。代表企業がポイントや証紙を一括して購入した場合は、代表企業が提出します。
現場標識の掲示
公共工事を受注した元請は、工事現場の見やすい場所に現場標識を掲示します。公式ページによると、標識は公共工事の現場に限らず、民間工事の現場にも掲示するよう案内されています。
- シールタイプは、建退共の都道府県支部に請求できます。費用はかかりません。工事名、発注者名、元請事業主名、共済契約者番号を記入して使います。
- 大きさはA3(横420×縦297mm)とA4(横297×縦210mm)があり、記載内容は共通です。
- 電子ポイント方式の現場には、基本の標識に加えて「電子申請方式適用工事現場標識」を掲示します。
- 電子看板用のデータを印刷して貼ることはできません。貼るときはシールタイプを請求します。
この記事は公式ページの整理です。様式、提出期限、購入額の表は改定されることがあります。工事ごとの取り扱いは、発注者の指示と建退共の最新の案内に従ってください。
次に知りたいこと
- 加入後の毎月の事務(証紙の購入・貼付・手帳の更新):『建退共の事業主の事務』
- 経審での加点:『経審の建退共加点は15点』
- 受注後に作る書類:『施工体制台帳と再下請負通知書』
確認した一次資料
- 建退共「元請としてやること」契約時・施工中・完成時の事務、掛金収納書の提出期限、購入額の計算例
- 建退共「下請としてやること」下請の報告書類と保管義務
- 建退共「共同企業体(JV)の取り扱い」JVの掛金収納書の提出
- 建退共「現場標識」現場標識の種類と請求先
まとめ
- 元請は、契約時に下請から加入労働者数報告書を集め、購入額を算定してポイントまたは証紙を購入する。
- 掛金収納書の提出は、電子ポイント方式で契約締結から40日以内、証紙貼付方式で1か月以内。
- 下請は、契約時の報告、毎月の就労状況報告、完成後1年間の書類保管が必要。
- JVは構成企業の掛金収納書にJV名を書き、代表企業がまとめて提出する。契約締結前の購入は受け付けられない場合がある。
この記事は公式資料の整理です。評点表・算式の転記元は一次資料・出典にまとめています。
よくある質問
- 公共工事の元請は、掛金収納書をいつまでに発注者へ出しますか?
- 建退共の公式ページでは、電子ポイント方式は工事契約締結から40日以内、証紙貼付方式は工事契約締結から1か月以内に提出するとされています。
- 建退共の購入額は、どう算定しますか?
- 下請から出された加入労働者数報告書で対象労働者数と延べ就労日数を把握して算定します。把握が難しいときは、公式の掛金納付の考え方の表の値に、加入率÷70%を掛けて求めます。発注者が独自の購入率を定めている場合もあります。
- 下請は建退共でどんな書類を出しますか?
- 契約時に加入労働者数報告書(様式第6号)、施工中は毎月の被共済者就労状況報告書を元請に出します。完成後は就労状況報告書などを1年間保管することが義務付けられています。
- JVの場合、掛金収納書は誰が出しますか?
- 各構成企業の掛金収納書に、共済契約者氏名の下にJV名を書き、代表企業がとりまとめて提出します。代表企業が一括して購入した場合は代表企業が提出します。
- 現場標識は民間工事にも掲示しますか?
- 公式ページは、公共工事の現場に限らず民間工事の現場にも掲示するよう案内しています。シールタイプは都道府県支部に無料で請求できます。
公開日: 2026-10-15
令和8年新基準・改正前基準を新旧比較で無料試算(無料・登録不要):経審P点シミュレーターを使う
専門書で詳しく確認したい場合
PR制度の背景や申請実務を書籍でまとめて確認したい方向けです。
事業者ご自身が入力する概算の試算です。申請の代行・作成支援や個別相談は行っていません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。算定方法・出典・免責
