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経審の資本性借入金とは|自己資本への算入とX2への影響

要件を満たす借入金を自己資本とみなせる制度です。残存期間が5年を切ると毎年20%ずつ効果が目減りします。

計算エンジンによる実測
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

令和7年7月1日以降の経営事項審査から、一定の要件を満たす借入金(資本性借入金)を自己資本とみなして申請できるようになりました。負債として扱われていた借入が自己資本に組み替わるため、X2評点をはじめ複数の評点に影響します。この記事は「借りるべきか」ではなく、該当する借入があると仮定した場合に経審上どう扱われるかを一次資料にもとづいて整理します。

資本性借入金の要件

経審の事務取扱いにおける「資本性借入金」は、以下をすべて満たす借入に限られます(国土交通省「資本性借入金に係る経営事項審査の事務取扱いについて」令和7年国不建第41号)。

資本性借入金として認められる要件
区分内容
償還条件償還期間が5年超・期限一括償還
金利設定配当可能利益に応じた金利設定(業績連動型が原則)
劣後性法的破綻時に他の債権より劣後する、または破綻に至るまで他の債権に先んじて回収されない仕組みがある
貸出主金融機関(政府系含む)、または産業復興機構による既往債権の買取制度等の公的制度による借入

対象となりうる制度には、日本政策金融公庫の挑戦支援資本強化特例制度、中小企業活性化協議会版「資本的借入金」、日本政策投資銀行・商工中金の危機対応業務による劣後ローン等が例示されています。制度の詳細・自社の借入が該当するかは、貸出を行った金融機関または専門家に確認してください。

どの評点に反映されるか

資本性借入金のうち自己資本と認められる金額は、負債合計額から控除し、自己資本の額に加算します。この組み替えは経営状況分析(Y評点)と経営規模等評価(X2評点)の両方の申請で行う必要があり、どちらか一方だけを組み替えることはできません。

影響する評点は4つです。Y評点側は負債回転期間(Y評点への寄与度11.4%)・自己資本対固定資産比率(同6.8%)・自己資本比率(同14.6%)の3指標、X2評点側はX21自己資本の1指標です(関東地方整備局「経営事項審査の手引き」表4)。

本サイトのY評点計算は、経営状況分析結果通知書の点数をそのまま入力する方式のため、Y評点への影響は通知書の再分析結果に反映されます。以降の実測はX2評点(自己資本の点数)に絞って確認します。

残存期間5年未満の逓減ルール

資本性借入金の残存期間が5年未満になると、1年ごとに20%ずつ自己資本とみなす部分が逓減します。国交省が公開する証明書様式の記入例では、借入額5,000万円に対する自己資本とみなす額が次のように示されています。

国交省の記入例(借入額5,000万円、令和7年8月1日付証明書様式より)
決算日残存年数自己資本とみなす額借入額に対する割合
前期決算日(2024年3月31日)3年以上4年未満3,000万円60%
当期決算日(2025年3月31日)2年以上3年未満2,000万円40%

1年で残存期間が1段階進み、自己資本とみなす割合が60%→40%へ20ポイント下がっています。この記入例から逆算すると、残存5年以上は100%、4年以上5年未満は80%、1年以上2年未満は20%、1年未満は0%という段階になります(国交省の記入例で明示されているのは60%・40%の2点で、他の段階は「1年ごとに20%ずつ逓減」というルールから本サイトが機械的に算出した値です)。

実測:X2・P点への影響

本サイトのモデルケース(自己資本5,000万円、他条件は経審P点の計算方法のモデルケースと同一)に、国交省の記入例と同額(借入額5,000万円)の資本性借入金があると仮定し、逓減段階別にX2評点・P点への影響を計算しました。

資本性借入金5,000万円の逓減段階別、X2・P点への影響(モデルケース基準)
残存期間自己資本とみなす額X2評点総合評定値PP点差
該当なし(モデルケース)0円647719点±0
1年以上2年未満(20%)1,000万円652720点+1点
2年以上3年未満(40%)2,000万円657721点+2点
3年以上4年未満(60%)3,000万円662721点+2点
4年以上5年未満(80%)4,000万円666722点+3点
5年以上(100%)5,000万円670723点+4点

本サイトの計算エンジンで実測。X2はY評点・X1・Z・Wを据え置きモデルケース通りとした場合の値のため、実際のP点差はY評点側3指標の変動を含めるとこれより大きくなります。

借入額5,000万円がすべて自己資本とみなされてもP点は+4点にとどまります。X2のウェイトが0.15と小さいためで、通常の増資・利益積み増しで自己資本額を動かす場合と同様、大きな金額を動かさないと点数への効果は出にくい構造です。

申請の流れと必要書類

  1. 公認会計士・税理士・建設業経理士1級等の有資格者から、指定様式「資本性借入金」該当証明書で該当する借入であることの証明を受ける。
  2. 経営状況分析の申請時に、証明書の写し・当該借入の契約書の写しとともに、申請書の余白に金額を記載して登録経営状況分析機関へ提出する。
  3. 経営規模等評価の申請時に、自己資本額へ資本性借入金の額を含めて記載し、証明書の写しを添付して審査行政庁へ申請する。
注意:本取扱いの対象は、審査基準日が令和7年3月31日以降かつ令和7年7月1日以降に経営状況分析の申請を行う者に限られます。証明書の詳しい記入方法・自社の借入が要件に該当するかは、貸出を行った金融機関または公認会計士・税理士・建設業経理士等の専門家に確認してください。

まとめ

  • 令和7年7月1日以降の申請から、要件を満たす借入金(資本性借入金)を経審の自己資本とみなせる。
  • 影響するのはX2評点(X21自己資本)だけでなく、Y評点の負債回転期間・自己資本対固定資産比率・自己資本比率の3指標も含む。
  • 残存期間が5年未満になると、1年ごとに20%ずつ自己資本とみなす割合が逓減する(国交省の記入例で60%→40%の段差を確認)。
  • モデルケースで借入額5,000万円が全額自己資本とみなされてもP点差は+4点。X2のウェイトの小ささゆえ効果は限定的。

経審の申請全体の流れは経審の流れと申請手数料、P点全体の計算方法は経審P点の計算方法を参照してください。自社の数値でどう変わるかは経審P点シミュレーターで試算できます。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

資本性借入金とはどのような借入ですか?
償還期間5年超・期限一括償還、配当可能利益に応じた金利設定、法的破綻時の劣後性確保等の要件を満たす、金融機関等からの借入です(国土交通省令和7年国不建第41号)。
いつから経審の自己資本に算入できますか?
令和7年7月1日以降の経営状況分析の申請から対象です。審査基準日が令和7年3月31日以降で、単独決算での申請者に限られます。
残存期間が5年を切るとどうなりますか?
残存期間が5年未満になった資本性借入金は、1年ごとに20%ずつ自己資本とみなす部分が逓減します。国交省の記入例では、残存2〜3年で借入額の40%が自己資本として扱われています。
X2評点だけに影響しますか?
いいえ。X21自己資本(X2の構成要素)に加え、Y評点を構成する負債回転期間・自己資本対固定資産比率・自己資本比率の3指標(合計約33%のウェイト)にも影響します。
申請にはどんな書類が必要ですか?
公認会計士・税理士・建設業経理士1級等による「資本性借入金」該当証明書と、当該借入に係る契約書の写しが必要です(規則別記様式第25号の11の余白に金額を記載)。

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本ツールは事業者ご自身が入力・利用する試算です(申請の代行・作成支援は行っていません)。個別のご相談は承っておりません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。数値は概算であり、実際の申請前に専門家へご確認ください。算定方法・出典・免責