経営力向上計画・事業継続力強化計画は経審や入札で点数になるか
中小企業等経営強化法に基づく2つの認定制度が、経審(経営事項審査)の評点と、発注者の総合評価で扱われるかを整理します。認定の目的、支援の内容、経審の防災協定との違いを書きます。
経営事項審査の事務取扱い(令和8年改正反映版)・中小企業庁の手引き経営力向上計画や事業継続力強化計画の認定を受けると、経審や入札で有利になるのかを調べる方がいます。結論から言うと、国土交通省の経審の事務取扱いには、どちらの制度の名前も出てきません。経審のW点の項目にもありません。この記事は、2つの制度の目的と、点数になる場面・ならない場面を確認できた範囲で整理します。
経審の点数にはならない
国土交通省の「経営事項審査の事務取扱いについて」(令和8年改正反映版)の全文を検索したところ、「経営力向上」「事業継続力強化」の語は見つかりませんでした。本サイトが転記しているW点(社会性等)の項目にも、この2つの認定はありません(確認日:2026年10月15日)。
認定を受けていても、経審の評点には加点されません。経審で防災に関係する項目は、国・特殊法人等・地方公共団体との防災協定を評価するW3です。
経営力向上計画とは
中小企業庁の手引きによると、経営力向上計画は、人材育成、コスト管理などのマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画です。認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けられます。
| 項目 | 手引きの記載 |
|---|---|
| 支援の内容 | 税制(中小企業経営強化税制など)、金融(融資・信用保証等)、認定事業者に対する補助金における優先採択、事業承継等での不動産取得税の軽減、業法上の許認可の承継を可能にする等の法的支援 |
| 計画の期間 | 3年・4年・5年のいずれか |
| 提出先 | 計画に記載した事業分野を所管する省庁(複数の分野なら、いずれか1つの所管省庁へ)。不動産取得税の軽減を受ける場合は、都道府県への提出も手引きに書かれている |
| 標準処理期間 | 約30日(所管する省庁が単一の場合。複数の省庁にまたがる場合は期間が変わる。申請の方法でも期間が異なる記載がある) |
支援の中に、補助金の優先採択はありますが、入札の参加資格や経審の評点、総合評価に結び付ける記載は、確認した手引きにありませんでした。
事業継続力強化計画とは
中小企業庁の制度概要によると、事業継続力強化計画は、中小企業・小規模事業者が災害リスク等を認識し、自社の防災・減災対策の第一歩として取り組むための計画です。認定を受けた中小企業者は、防災・減災設備に対する税制措置、低利融資、補助金の加点措置等を受けられるとされています。
| 項目 | 制度概要の記載 |
|---|---|
| 計画の種類 | 自社のみの「単独型」と、複数の事業者が連携する「連携型」 |
| 計画の期間 | 上限は3年 |
| 申請 | 事業継続力強化計画電子申請システムから。標準処理期間は45日 |
| 公表 | 認定を受けた事業者名等は、中小企業庁のホームページに公表される |
加点の対象として書かれているのは補助金です。入札の総合評価や経審の評点への加点は、この制度概要には書かれていません。税制措置の対象になる企業は、認定を受けられる企業の全部ではない、とも注記されています。
経審の防災協定(W3)との違い
| 経審のW3 防災協定 | 事業継続力強化計画の認定 | |
|---|---|---|
| 評価されるもの | 審査基準日に防災協定を締結していること | 自社が作る防災・減災の計画 |
| 相手方 | 国・特殊法人等・地方公共団体(団体経由なら、団体の活動計画書等で役割を確認) | 国の認定制度。行政機関と協定を結ぶことは、制度概要で示した内容に含まれていない |
| 経審での扱い | W3の点数20(Wの原点) | 項目なし |
防災協定の加点の条件は『経審のW3防災協定とは』で確認できます。計画の認定があっても、行政機関との防災協定がなければ、W3の加点にはなりません。
入札の総合評価での扱い
総合評価落札方式の評価項目は、発注者ごとに決まります。確認できた例として、中部地方整備局の令和6年12月の運用ガイドラインには、災害協定の締結の有無と並んで、同整備局が認定する「建設会社における災害時の事業継続力認定制度」の認定の有無を、1点の加点で評価する項目があります。この加点の対象は同整備局の認定制度で、中小企業庁の事業継続力強化計画の認定を評価する書き方は、確認した範囲にありませんでした。
自治体の入札で事業継続力強化計画や経営力向上計画を評価する例があるかどうかは、確認していません。加点があるかどうかは、入札公告・入札説明書の評価項目に、制度名が書かれているかで確かめます。公告の読み方は『入札公告の参加条件の読み方』にあります。
確認した一次資料
- 国土交通省 経営事項審査の事務取扱いについて(令和8年改正反映版)防災協定の審査基準。2つの制度名が出てこないことの確認
- 中小企業庁 経営力向上計画策定の手引き制度の概要、支援措置、計画期間、提出先、標準処理期間
- 中小企業庁 事業継続力強化計画 認定制度の概要(令和8年7月17日版)制度の目的、支援措置、計画期間、申請方法
- 中部地方整備局 工事調達における総合評価落札方式の運用ガイドライン(令和6年12月)災害協定、事業継続力認定制度の加点
確認日:2026年10月15日。税制措置・金融支援の要件の詳細、認定の可否の基準、国土交通省以外の発注機関と自治体の評価項目は確認していません。中小企業庁の資料は更新されることがあるため、最新版を各ページで確認してください。
次に知りたいこと
まとめ
- 経営力向上計画・事業継続力強化計画の認定は、経審の評点の項目ではない。
- 経営力向上計画は自社の経営力を向上する計画で、税制・金融・補助金の優先採択などの支援がある。事業継続力強化計画は防災・減災の計画で、税制・低利融資・補助金の加点などの支援がある。
- 経審で防災に関係するのは、行政機関等との防災協定を評価するW3(20点)である。
- 入札の総合評価の加点は発注者ごとに違う。公告の評価項目に制度名があるかで確かめる。
この記事は公開情報の整理で、個別の申請に対する判断や、申請・届出の代行・個別の相談は行いません。具体的な取扱いは、各機関の案内で確認してください。正式な評点は審査結果が優先します。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。
よくある質問
- 経営力向上計画の認定を受けると経審で加点されますか?
- 加点されません。国土交通省の経営事項審査の事務取扱い(令和8年改正反映版)に経営力向上計画の項目はなく、W点にもありません。計画の認定で受けられる支援は、手引きでは税制、金融、補助金の優先採択などです。
- 事業継続力強化計画の認定は経審のW3防災協定と同じ扱いですか?
- 同じ扱いではありません。W3は、国・特殊法人等・地方公共団体との防災協定を審査基準日に締結していることを評価する項目です。事業継続力強化計画は、中小企業が自社で作る防災・減災の計画です。
- 事業継続力強化計画の認定で入札の総合評価は加点されますか?
- 制度概要には、税制措置、低利融資、補助金の加点措置が挙げられ、入札の加点は書かれていません。発注者ごとに評価項目が異なるため、公告・入札説明書に制度名があるかで確認します。
- どちらの計画も申請から認定までの期間は同じですか?
- 異なります。中小企業庁の資料では、経営力向上計画は所管省庁が単一の場合に約30日(申請方法で期間が異なる記載もあります)、事業継続力強化計画の標準処理期間は45日です。
公開日: 2026-10-15
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