W1実務

経審の法定外労災補償制度|下請・通勤災害・障害等級を証券で確認

加入先の名称だけで判断せず、審査基準日、対象者、災害区分、給付範囲を保険証券・加入証明で照合します。

契約範囲の4点照合
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

法定外労働災害補償制度は、労災保険への加入そのものではなく、法定給付に上乗せする契約を評価するW1項目です。対象団体や保険会社と契約していても、自社職員だけ、業務災害だけ、元請だけを対象とする証券では制度要件を満たさない場合があります。

証券で見る4条件

全国制度の必須確認
項目確認内容
基準日審査基準日に契約・補償が有効
災害業務災害と通勤災害の両方
対象者申請者の直接雇用職員に加え、請け負った工事を施工する全ての下請負人の直接雇用職員
給付範囲原則、障害等級第1級〜第7級の障害補償給付・障害給付と、遺族補償給付・遺族給付の原因となった災害の全て

法定外労災は対象者・災害・給付範囲を証券で確認します。

「下請を含む」という一語だけで判断しないでください。数次下請まで含むか、対象工事・対象職種・地域に限定がないかを、証券本文・特約・加入証明で確かめます。

対象となる契約先

国の事務取扱いは、建設業福祉共済団、全国建設業労災互助会、全国労働保険事務組合連合会、認可を受けた共済事業者、または保険会社との対象契約を挙げています。団体名だけで加点を決めず、その契約が上記4条件を満たすか確認します。

全国要件は国土交通省の経営事項審査の事務取扱いについて(令和8年7月1日施行・全文)、書類例は関東地方整備局の令和8年7月改正版手引き別添で確認できます。

1契約の確認順

  1. 保険期間を確認始期・終期から審査基準日に有効か確認します。自動更新予定ではなく、基準日を含む実際の期間を見ます。
  2. 被保険者・補償対象者を確認自社職員と、請負工事を施工する全下請負人の職員が含まれる記載を探します。対象工事・地域・職種の限定も確認します。
  3. 被保険者数を照合する準記名式普通傷害保険では、記載された被保険者数が自社と全下請の対象人数を満たすか、作業員名簿等の人数と照合します。
  4. 業務・通勤を確認通勤災害を対象にする特約・条項を探し、業務災害だけの契約になっていないか、免責・除外がないか読みます。
  5. 障害・遺族給付を確認第1級〜第7級の障害補償給付・障害給付と、遺族補償給付・遺族給付の原因となる災害全てを対象にする記載を確認します。実務資料の「死亡+1〜7級」という要約とも照合します。
  6. 不足記載を証明書で補う証券だけで範囲が読めなければ、契約先発行の加入証明に、対象者、被保険者数、通勤災害、給付範囲を明記できるか申請先へ確認します。

証券の表紙に商品名があっても、必要条件は普通保険約款や特約へ分かれていることがあります。「保険の種類」「保険期間」「被保険者または対象者」「被保険者数」「対象工事」「通勤災害特約」「死亡・後遺障害の支払区分」を1枚の確認表に転記すると、加入証明で補うべき不足箇所が分かります。

関東地整の書類例

大臣許可業者向けの確認資料例
契約経路書類例
指定団体・認可共済各団体・共済事業者の加入証明
保険会社労働災害総合保険または準記名式普通傷害保険の証券・加入証明。準記名式は対象範囲を満たす被保険者数も確認

関東地方整備局の例では、要件を確認できる箇所へ印を付ける運用も示されています。知事許可業者は都道府県の最新資料を優先してください。

この記事は契約の制度照合であり、特定保険商品の推奨、補償額の設計、事故時の保険金判断は行いません。関連する他の15点項目は建退共加点ガイドで確認できます。

加入の有無によるP点の実測

本サイトのモデルケース(建退共・退職一時金制度は「有」のまま固定)で、法定外労働災害補償制度の加入だけを「有」から「無」に変えて計算エンジンで実測しました。

法定外労災補償制度の加入の有無によるP点の比較
制度加入総合評定値P
有(モデルケース)719点
無700点

条件はほかの記事と共通のモデルケースです(『経審P点の計算方法』参照)。この1項目だけを分離し、本サイトの計算エンジンで実測。

この1項目だけでP点は719点から700点(19点差)に下がります。W1は他の細目とあわせて評点化されるため、自社の他の細目構成によって差の大きさは変わります。証券の範囲が4条件を満たさず「無」と扱われる場合も、この差が生じる可能性があります。

確認した加入・未加入でP点がどう変わるかは、経審P点シミュレーターの「社会性等(W点)① 担い手の育成・営業継続」にある「法定外労働災害補償制度の加入」の欄を切り替えて試算できます。

確認した一次資料

まとめ

  1. 法定外労災は、労災保険への加入ではなく、法定給付に上乗せする契約を評価するW1項目で、加入の有無だけでP点が動きます。
  2. モデルケースでは、この1項目だけで719点から700点(19点差)になります(本サイト計算エンジンの実測)。
  3. 証券では、基準日、業務・通勤災害、自社と全下請の職員、障害等級第1級〜第7級と遺族給付の4点を照合します。
  4. 証券だけで範囲が読めない場合は、契約先発行の加入証明で不足記載を補えるか申請先へ確認します。
  5. 自社の数値でのP点は経審P点シミュレーターで試算できます(概算で、正式な評点は審査結果が優先されます)。

よくある質問

法定の労災保険に加入していれば経審で加点されますか?
法定労災への加入だけでは足りません。業務・通勤災害、自社と全下請職員、障害等級第1級〜第7級と遺族給付の基因となる災害を対象とする法定外の給付契約を確認します。
自社の従業員だけを補償する保険は対象ですか?
全国要件は、申請者が請け負った工事を施工する全ての下請負人の直接雇用職員も対象とする給付を求めています。
いつの時点で保険が有効ならよいですか?
審査基準日に契約と補償が有効かを保険期間で確認します。
何を提出しますか?
申請先の手引きに従い、対象団体の加入証明、保険証券または加入証明など、補償範囲と基準日の有効性を示す書類を提出します。

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専門書で詳しく確認したい場合

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下記書籍の紹介による報酬の有無は、記事の内容に影響しません。制度の背景や申請実務を書籍でまとめて確認したい方向けです。

本ツールは事業者ご自身が入力・利用する試算です(申請の代行・作成支援は行っていません)。個別のご相談は承っておりません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。数値は概算であり、実際の申請前に専門家へご確認ください。算定方法・出典・免責