ガイド

法人成りの手続きの順番|建設業許可・経審・入札参加資格・コリンズ

個人事業から法人成りするとき、建設業許可、経審、入札参加資格、コリンズの4つを、どの順で、何を引き継げるのか確かめるための整理です。許可の事前認可は国交省関東地方整備局の資料、入札参加資格の承継は広島市の取扱要領、コリンズはJACICの登録手順で確認できた範囲だけを書きます。

関東地方整備局の事前認可制度・広島市の承継要領・JACICの訂正登録の手順
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

法人成りでは、4つの手続きが別々の窓口で、別々の基準で動きます。先に決めるべきなのは建設業許可です。許可を法人が受けていることが、あとの経審と入札参加資格の前提になるためです。この記事は、順番と各手続きの窓口の違いを一覧にし、詳しい条件は個別の記事へつなぎます。

4つの手続きを並べた早見表

法人成りで動く手続きと、確認できた引き継ぎの扱い
順番手続き窓口引き継ぎの扱い(確認できた範囲)
1建設業許可国交大臣許可は地方整備局、知事許可は都道府県事前認可を受ければ、許可を取り直さずに地位を承継できる。事業譲渡に個人から法人への法人成りを含む
2経審許可行政庁4条件を満たす場合に限り、営業年数や完成工事高を引き継げる。許可の承継とは別の手続き
3入札参加資格発注者(国・都道府県・市区町村)ごと承継の制度を持つ発注者もある。広島市は法人成りを承継の対象にしている
4コリンズJACICと各発注機関登録内容の訂正は発注機関の確認を通す流れ。法人成りの扱いを書いた公式資料は確認できなかった

1. 建設業許可:事前認可で空白期間を作らない

関東地方整備局の資料によると、令和2年10月1日から建設業許可の事業承継・相続の制度が新設されました。それ以前は、事業承継のたびに従前の許可を廃業し、新規に許可を申請し直す必要があり、廃業日から新しい許可日までは軽微な工事以外を請け負えない空白期間が生じていました。

現在は、事前の認可を受ければ、承継者が被承継者の建設業者としての地位の全部を、空白期間なく承継できます。資料は、事業譲渡の例として個人から法人への法人成りを挙げています。

  • 流れ:窓口への事前の連絡、認可、認可条件書類の提出の順です。
  • 受付期間:事業承継は承継予定日の90日前までに申請します(標準処理期間は90日)。法人の設立日と個人事業の廃業日を決める前に、窓口への連絡の日程を早めに調整する必要があります。
  • 手数料:認可手続きに手数料はかかりません。
  • 知事許可の場合:承継人または被承継人が知事許可のときは、別に知事への届出書の提出が必要です。
  • 審査:承継者が許可要件を備えていることが認可の条件です。

許可の承継の考え方は『建設業許可・地位承継の認可』も参照してください。

2. 経審:引き継ぎは条件つき

許可を承継しても、経審の実績が自動で引き継がれるわけではありません。経審で個人の営業年数・完成工事高・技術職員を使うには、個人の廃業や出資比率などの条件を満たす必要があり、許可の承継と経審の承継は別の手続きです。条件の4つと、引き継げる項目・引き継げない項目は『個人事業から法人成りした建設業者の経審』にまとめています。

順番として注意するのは、経審の条件に事業年度の連続があるため、法人の設立日と決算期を、許可の承継予定日と合わせて決めることです。法人の営業年数の数え方は『営業年数の数え方』で確認できます。

3. 入札参加資格:承継の制度は発注者ごとに違う

入札参加資格は、発注者ごとに定める資格です。法人成りで承継できるかどうかも発注者ごとに決まっており、全国共通の扱いは確認できませんでした。確認できた例として、広島市の取扱要領を挙げます。

  • 法人成りの定義:個人の有資格事業者が建設事業の全部を廃止し、権利義務の全部を、その人が発起人となって新しく設立した法人に譲渡し、法人が引き続き事業を営むことです(要領第2条)。
  • 承継できない部分:承継人が必要な許可などを受けていない部分と、元の事業との同一性が失われていると認められる部分は、承継を申請できません(要領第3条第2項)。
  • 工事の資格の申請書類:被承継人の同意を得たうえで、承継申請書、法人の履歴事項全部証明書の写し、市税と消費税・地方消費税の滞納がないことの書面の写し、建設業の許可を受けていることの書面の写しなどを出します(要領第4条)。

この例から読み取れる順番は、許可の承継が先に済んでいないと、入札参加資格の承継書類に許可の写しを添えられないという点です。広島市以外の発注者は、承継の制度の有無、申請できる期間、必要書類がそれぞれ異なる可能性があります。取引のある発注者ごとに、承継か新規申請かを要綱や手引きで確かめてください。

市区町村の入札参加資格の定期受付の時期は『地域別の入札参加資格と経審の一覧』から探せます。

4. コリンズ:発注機関の確認を通す

JACICの登録手順によると、コリンズの登録内容を訂正するときは、受注企業が訂正データを作り、発注機関の確認担当者に確認を依頼し、確認結果を受け取ってから登録します。確認の結果は、登録内容確認システムでの承認、署名を受けた書面、または登録を認めたことが分かるメールなどの書面のいずれかで受け取ります。

法人成りで受注者の名義が個人から法人に変わる場合の扱いを書いた、JACICや国交省の資料は、今回の調査では見つかりませんでした。そのため、個人名義で登録した実績を法人の実績としてどう扱うかは、この記事では断定しません。登録した発注機関の担当者に、早めに確認してください。コリンズの登録の仕組みは『コリンズとは』で確認できます。

確認欄

  • 許可の窓口への連絡と申請は、承継予定日の90日前までに間に合う日程か。
  • 知事許可の場合、事前認可とは別の届出書が必要なことを確認したか。
  • 法人の設立日・決算期と個人の廃業日を、経審の事業年度の連続の条件に合わせたか。
  • 入札参加資格のある発注者ごとに、承継の制度があるか、新規申請になるかを確かめたか。
  • 承継申請の書類に、許可を受けていることの写しが必要か確認したか。
  • コリンズに登録した個人名義の工事の扱いを、発注機関の担当者に確認したか。

確認した一次資料

入札参加資格の例は広島市の要領です。他の発注者で同じ扱いとは限りません。コリンズの項は、法人成りの扱いを明記した資料が確認できていないため、手順の事実だけを書いています。

まとめ

  • 法人成りは、許可、経審、入札参加資格、コリンズの順に確認する。許可が法人に承継されていることが、あとの手続きの前提になる。
  • 許可は事前認可で空白期間を避けられるが、事業承継は承継予定日の90日前までの申請が必要。
  • 経審の引き継ぎは4条件を満たす場合に限る。許可の承継とは別の手続き。
  • 入札参加資格の承継は発注者ごとに違う。広島市は法人成りを承継の対象にしている。
  • コリンズは、個人名義の実績の扱いを発注機関に確認する。

個別の申請内容の判断は行いません。正式な評点は審査結果が優先します。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

法人成りで、建設業許可は取り直しになりますか?
事前認可を受ければ、許可を取り直さずに地位を承継できます。関東地方整備局の資料は、事業譲渡に個人から法人への法人成りを含むとしています。
許可の事前認可は、いつまでに申請しますか?
事業承継は、承継予定日の90日前までに申請します。標準処理期間は90日で、手数料はかかりません。
法人成りしたら、入札参加資格は引き継げますか?
発注者ごとに異なります。広島市は、取扱要領で法人成りを承継の対象とし、被承継人の同意を得て承継申請書などを出す手続きを定めています。
コリンズに登録した個人名義の実績は、法人の実績になりますか?
法人成りの扱いを書いた公式資料は確認できませんでした。登録内容の訂正は発注機関の確認を通す流れなので、登録した発注機関の担当者に確認してください。

令和8年新基準・改正前基準を新旧比較で無料試算(無料・登録不要):経審P点シミュレーターを使う

事業者ご自身が入力する概算の試算です。申請の代行・作成支援や個別相談は行っていません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。算定方法・出典・免責