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建設業の労働保険の年度更新|申告の期間・賃金総額の考え方・一括有期事業の書類

年度更新は、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を、原則として毎年6月1日から7月10日までに申告・納付する手続きです。保険料は賃金総額に保険率を掛けて計算します。建設の一括有期事業では、申告書に加えて一括有期事業報告書と総括表を提出します。

厚生労働省・労働局
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト)/確認日:2026年10月20日

労働保険(労災保険と雇用保険)の保険料は、年度の初めに概算で納め、翌年度の初めに確定させて精算します。この毎年の手続きが年度更新です。建設業では、現場ごとの工事(有期事業)を年度でまとめる「一括有期事業」の書類が加わります。申告前には、厚生労働省の年度更新案内で当年度の期間を確かめてください。この記事は一般的な手順を説明するもので、個別の保険料計算や労務判断を扱いません。

年度更新とは・申告の期間

厚生労働省の案内によると、労働保険の保険料は年度当初に概算で申告・納付し、翌年度の当初に確定申告のうえ精算します。事業主は、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料をあわせて申告・納付します。これが「年度更新」です。

年度更新の期間(厚生労働省・労働局の案内による)
項目内容
原則の期間例年6月1日から7月10日まで
初日が休日のとき6月1日が土曜日なら6月3日、日曜日なら6月2日から
末日が休日のとき7月10日が土曜日なら7月12日、日曜日なら7月11日まで
令和8年度東京労働局・大阪労働局とも、6月1日から7月10日までと案内

提出の方法は、電子申請、郵送、金融機関を通じた提出などがあります。令和9年度以降の期間は、上の厚生労働省の年度更新案内で確かめます。

年度更新は「前年度の確定」と「今年度の概算」を1回の申告で済ませる手続きです。経営事項審査の申請とは別の制度で、時期も別に動きます。

賃金総額の考え方

労働保険料は、労働者に支払う賃金の総額(賃金総額)に、事業ごとに定められた保険率(労災保険率と雇用保険率)を掛けて計算します。大阪労働局の案内では、賃金総額にはすべての労働者に支払われる賃金を入れます。ただし雇用保険分では、雇用保険の対象者(被保険者)に当たらない人の賃金を除きます。厚生労働省の計算例では、賞与も賃金総額に含めています。

  • 負担の割合:労災保険分は全額が事業主の負担です。雇用保険分は事業主と労働者の双方が負担します。
  • 保険率:労災保険率は事業の種類ごとに、雇用保険率も別に定められています。年度ごとの率は、厚生労働省の年度更新案内にある保険率表で確かめます。
  • 年度の途中で事業が大きく伸びたとき:賃金総額の見込みが当初の申告の2倍を超えて増え、概算保険料が13万円以上増える場合は、増加分を増加概算保険料として申告・納付します(厚生労働省の案内による)。

建設の一括有期事業の要件と書類

建設の工事は、工事ごとに始まりと終わりがある有期事業です。そのうち小規模な工事は、まとめて1つの事業として扱う「一括有期事業」になります。

一括有期事業の要件(大阪労働局・厚生労働省の資料による)
項目内容
要件1つの工事の請負金額が1億8千万円未満(消費税額を除く)で、概算保険料が160万円未満
労災保険の事業主原則として、施主から直接工事を受注した元請負人。その工事では、下請負人や孫請負人の労働者も元請の労災保険関係で扱う
地域の要件平成31年4月1日以降に始まる工事は廃止。遠隔地の工事も一括できる
算定の単位算定年度内に終了した一括有期工事をとりまとめて算定する
  • 賃金総額の算定:賃金総額を正確に算定することが難しいときは、請負金額に、事業の種類ごとの労務費率を掛けて賃金総額とする方法もあります。賃金総額に保険率を掛けた額が保険料です。
  • 請負金額の数え方:請負代金に、支給された資材などの評価額を加え、告示で定める工事用物の価額を除きます。平成27年4月1日以降に始まった工事は、消費税額を除いた金額で数えます。
  • 提出する書類:概算・確定保険料申告書のほか、一括有期事業報告書と一括有期事業総括表を出します。報告書には、算定年度内に終了した工事を事業の種類ごとにまとめて書きます。1つの工事の請負金額が500万円未満なら、「○○工事ほか○○件」とまとめてもかまいません。
  • 支払賃金で算定する工事:報告書には賃金で算定する旨を示し、総括表の請負金額欄は、賃金で算定した工事と労務費率で算定した工事を上下に分けて書きます(大阪労働局の案内による)。

厚生労働省の建設の事業の年度更新(PDF)には、「年度更新申告書計算支援ツール(建設事業用)」の案内先があります。労務費率や労災保険率は年度や事業の種類で異なるため、申告する年度の表を案内先から開いてください。

納付と分割(延納)の条件

厚生労働省の案内では、労災保険と雇用保険の両方が成立している事業は、概算保険料が40万円以上なら延納できます。どちらか一方だけが成立している事業は、20万円以上が基準です。労働保険事務組合に事務を委託している場合も対象となり、原則として3回に分けて納められます。

  • 有期事業の分割:有期事業は、事業の全期間が6か月を超え、かつ概算保険料が75万円以上のものについて、おおむねこれに準じた方法で分割納付が認められます。
  • 10月1日以降に成立した事業:延納が認められず、成立した日から3月31日までの保険料を一括して納めます。

分割の各回の納期限は、前年度以前に成立した事業か、年度の途中で成立した事業かで異なります。具体的な日付は、その年度の案内と申告書の納付書で確かめてください。

経営事項審査との関係

令和8年6月30日までの経営事項審査(経審)の申請では、W点(社会への貢献など)に、雇用保険・健康保険・厚生年金保険の未加入による減点項目がありました。令和8年7月1日以降の申請では、この3項目が審査項目から削除されました。詳しい経緯は『社会保険の未加入・加入漏れがあるときの影響』で整理しています。

年度更新は、労災保険と雇用保険の保険料を申告・精算する手続きです。経審にあった旧項目は、雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況を評価するものでした。どちらにも雇用保険が出てきますが、保険料の年度更新と経審の申請は別の手続きです。

読むときの注意

  • 年度ごとに変わる点:期間、保険率、労務費率、様式は年度ごとに案内が出ます。この記事の内容は確認日時点の公開資料の整理で、翌年度以降は公式の案内を優先してください。
  • 個別の事情:一括有期事業に当たるか、賃金総額をどう数えるかは、事業所の状況で決まります。迷うときは所轄の労働局や労働基準監督署、労働保険事務組合に確かめてください。
  • 当サイトの範囲:当サイトは申告の代行や個別の相談をしません。経審の試算は本人利用の概算で、正式な評点は審査結果が優先します。

次に知りたいこと

確認した一次資料

まとめ

  1. 年度更新は、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を、例年6月1日から7月10日までを原則に申告・納付する手続き。
  2. 保険料は、賃金総額に保険率を掛けて計算する。賞与も賃金総額に含め、労災保険分は全額が事業主の負担。
  3. 建設の小規模な工事は一括有期事業になる。請負金額1億8千万円未満(消費税額を除く)かつ概算保険料160万円未満が要件で、加入者は元請負人。
  4. 提出は申告書に加え、一括有期事業報告書と総括表。賃金の算定が難しいときは請負金額に労務費率を掛ける方法がある。
  5. 経審の社会保険加入状況とは別の手続き。期間や率は年度ごとの案内で確かめる。

よくある質問

労働保険の年度更新はいつ行いますか?
厚生労働省の案内では、原則として例年6月1日から7月10日までの間に行います。6月1日や7月10日が土日に当たるときは、期間がずれます。令和8年度は東京労働局・大阪労働局とも6月1日から7月10日までと案内しています。
建設業の一括有期事業とは何ですか?
1つの工事の請負金額が1億8千万円未満(消費税額を除く)で、概算保険料が160万円未満の小規模な工事を、年度ごとにまとめて1つの事業として扱う仕組みです。その工事の労災保険関係では、原則として施主から直接受注した元請負人が事業主になります。
賃金総額を正確に出せないときはどうしますか?
大阪労働局の案内では、賃金総額の算定が難しい一括有期事業の工事は、請負金額に事業の種類ごとの労務費率を掛けて賃金総額とする方法も認められています。
年度更新で保険料を分割して納められますか?
厚生労働省の案内では、概算保険料が40万円以上(労災保険か雇用保険の一方だけの場合は20万円以上)、または労働保険事務組合に事務を委託している場合に、原則3回に分けて納められます。有期事業は、事業の全期間が6か月を超え概算保険料が75万円以上のものが、おおむねこれに準じます。

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