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予定価格とは|公共工事の入札で上限になる金額・決め方・入札前に公表しない原則・歩切りの禁止

公共工事の入札で、発注者が決めておく「予定価格」の意味を整理します。落札できる金額の上限になること、国の契約での決め方、国土交通省の適正化指針が入札前には公表しないとしていること、歩切りを行わないとしていることを、法令と指針の原文で確認できます。

e-Gov法令検索・適正化指針
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営について

予定価格は、発注者が入札の前に、その工事の価格として見込んで決めておく金額です。入札した金額がこの金額を超えると、原則として落札できません。入札結果の表で「予定価格」と「落札金額」が並んで出るのは、この関係があるためです。ここでは、予定価格の位置づけ、決め方、公表の考え方を、法令と国の指針から整理します。

要約:予定価格は、落札できる金額の上限です。会計法と地方自治法は、予定価格の制限の範囲内で最低の価格の者を契約の相手方とすると定めています。国の契約では、取引の実例価格や需給の状況などを考えて適正に定めます。国の適正化指針は、予定価格を入札の前には公表しないとし、設計書の金額の一部を差し引く歩切りも行わないとしています。

予定価格は落札できる金額の上限

国の契約について、会計法第29条の6第1項は、競争に付する場合は、予定価格の制限の範囲内で最高または最低の価格で申し込んだ者を契約の相手方とすると定めています。地方公共団体は、地方自治法第234条第3項が同じ趣旨を定めています。工事の発注では、予定価格の範囲内で最も低い価格の者が、原則として落札者になります。

入札の金額の線(地方公共団体の入札の整理)
金額役割根拠
予定価格上限。この範囲内の入札から落札者を選ぶ会計法第29条の6、地方自治法第234条第3項
最低制限価格発注者があらかじめ設けた場合、予定価格の範囲内で、最低制限価格以上の者のうち最低の価格の者を落札者にできる地方自治法施行令第167条の10第2項
低入札価格調査予定価格の範囲内で最低の価格の者でも、契約内容に適合した履行がされないおそれがあるときは、次に低い価格の者を落札者にできる地方自治法施行令第167条の10第1項

下限の二つの仕組みは、別の記事で整理しています。この記事は、上限の予定価格を扱います。

国の契約での決め方

国の契約の手続を定める予算決算及び会計令は、予定価格の作り方を二つの条で定めています。

  • 第79条(作成):契約担当官等は、競争に付する事項の価格を仕様書、設計書等によって予定します。その予定価格を記載または記録した書面を、内容が認知できない方法で、開札の際に開札場所に置きます。
  • 第80条(決定方法):予定価格は、競争入札に付する事項の価格の総額について定めます。契約の目的となる物件または役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して、適正に定めます。

この二つは国の契約の定めです。地方公共団体の予定価格の作り方は、各団体の財務規則などで決まります。工事を発注する団体の規則で確かめてください。

公表の時期:入札前には公表しない

令和6年12月13日に閣議決定された「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」は、予定価格を入札の前には公表しないものとしています。理由として、指針は次の点を挙げています。

  • 予定価格が目安となって競争が制限され、落札価格が高止まりになること
  • 建設業者の見積努力を損なわせること
  • 入札談合が容易に行われる可能性があること
  • 低入札価格調査の基準価格や最低制限価格を強く類推させ、これらを入札前に公表した場合と同様の弊害が生じかねないこと

一方で、指針は、入札と契約に関する情報は公表することを基本とし、公表の対象に「予定価格及びその積算内訳」を挙げています。この項目は、事後の契約で予定価格を類推させるおそれがないと認められる場合、または発注者の事務や事業に支障を生じるおそれがないと認められる場合に限られます。公表の時期については、公共工事入札契約適正化法施行令が、個別の入札と契約に関する事項は契約を締結した後に遅滞なく公表することを原則とし、契約の締結前の公表も妨げないとしており、指針はこれを踏まえて適切に行うとしています。

予定価格の公表(適正化指針の整理)
時期指針の扱い
入札の前公表しないものとする
契約の締結後予定価格と積算内訳を公表する対象にしている。ただし、類推のおそれがない場合、または事務や事業に支障のない場合に限る

地方公共団体については、指針が「予定価格の事前公表を禁止する法令の規定はない」と書いています。そのうえで、事前公表をするかどうかを十分に検討し、弊害が出たときは取りやめを含めて対応するものとしています。事前公表をしている団体もあるため、発注者ごとの募集案内で確かめます。

歩切りの禁止と、入札が成立しないとき

適正化指針は、予定価格を定めるときの考え方も示しています。市場の最新の実勢価格を適切に反映し、実際の施工に必要な通常妥当な経費を積算することです。そのうえで、積算に基づく設計書金額の一部を差し引く、いわゆる歩切りを行わないとしています。理由は、公共工事品質確保法第7条第1項第1号に違反すること、予定価格は取引の実例価格等を考慮して定めるものとされていること、工事の品質や安全の確保に支障を来すおそれがあることです。

入札で予定価格の範囲内の入札がなかったときの扱いも、法令に定めがあります。地方自治法施行令第167条の8第4項は、開札した各人の入札に予定価格の制限の範囲内の価格がないとき(最低制限価格を設けた場合は、最低制限価格以上でもあるもの)は、直ちに再度の入札をすることができると定めています。

  • 国の契約:競争に付しても入札者がないとき、または再度の入札をしても落札者がないときは、随意契約によることができます。この場合、最初に定めた予定価格その他の条件は、契約保証金と履行期限を除いて変更できません(予算決算及び会計令第99条の2)。
  • 指針の考え方:入札が成立しないときは、参加者から見積書を集めるなどの方法で積算し、適正な予定価格を定めて、できるだけ早く契約するよう努めるものとされています。

次に知りたいこと

確認した一次資料

まとめ

  1. 予定価格は落札できる金額の上限で、予定価格の範囲内の最低の価格の者が原則として落札者になる。
  2. 国の契約では、取引の実例価格、需給の状況などを考慮して、仕様書や設計書をもとに適正に定める。
  3. 適正化指針は、予定価格を入札の前には公表しないものとし、契約の後に予定価格と積算内訳を公表する対象にしている。
  4. 設計書金額の一部を差し引く歩切りは行わないものとされ、予定価格の範囲内の入札がなければ再度の入札ができる。

実際の予定価格の決め方や公表の時期は、発注者ごとに異なります。入札に参加する工事の募集案内や、発注者の財務規則で確かめてください。法令や指針は改正されることがあるため、実務の前に最新の内容も確認してください。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

予定価格とは、何ですか?
発注者が入札の前に決めておく、その工事の価格です。会計法第29条の6と地方自治法第234条第3項により、予定価格の制限の範囲内で最低の価格の者が、原則として契約の相手方になります。
予定価格を超える金額で入札すると、どうなりますか?
原則として落札の対象になりません。地方公共団体では、予定価格の範囲内の入札がないとき、直ちに再度の入札をすることができます(地方自治法施行令第167条の8第4項)。
国の契約では、予定価格をどう決めますか?
仕様書、設計書等によって予定し、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めます(予算決算及び会計令第79条・第80条)。
予定価格は、入札の前に公表されますか?
国の適正化指針(令和6年12月13日閣議決定)は、予定価格を入札の前には公表しないものとしています。地方公共団体には事前公表を禁止する法令の規定はなく、団体ごとに扱いが異なるため、募集案内で確かめます。
歩切りとは何ですか?
適切な積算に基づく設計書金額の一部を差し引くことです。適正化指針は、公共工事品質確保法第7条第1項第1号に違反するなどの理由から、行わないものとしています。

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