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公共工事の工期設定の基準|著しく短い工期の禁止と工期に関する基準を契約前に確認する順番

公共工事の工期は発注者が設定し、入札に付されます。受注する側の事務担当が、契約前に工期の条件をどの順で確かめるかを、建設業法と国土交通省の「工期に関する基準」から整理します。個別の工事で工期が適正かどうかは、この記事では判断しません。

建設業法・工期に関する基準の整理
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営者情報

入札公告や設計図書に書かれた工期が短いと感じたとき、事務担当が知りたいのは「工期の決め方に決まりはあるのか」「短すぎる場合に何ができるのか」「契約後に延ばしたいときはどうするのか」の3点です。この記事は、建設業法の条文と、中央建設業審議会が作成した「工期に関する基準」から、契約前に確かめる順番をまとめます。契約後に工期の変更が出たときの登録はコリンズの変更時登録で確かめられます。

著しく短い工期を禁じる条文

建設業法第19条の5は、注文者と建設業者の双方に、その建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない、と定めています。第1項が注文者、第2項が建設業者への規定です。

第19条の6は、建設業者と請負契約(請負代金の額が政令で定める金額以上のもの)を結んだ発注者が第19条の5に違反した場合で、特に必要があると認めるときに、許可をした国土交通大臣または都道府県知事が発注者に勧告できるとします。勧告に従わないときは、その旨を公表できます。勧告のために必要なときは、発注者に報告や資料の提出を求めることもできます。

第20条の2は、注文者が、地盤の沈下など工期や請負代金に影響する事象が発生するおそれがあると認めるときに、契約を結ぶまでに建設業者へ通知することを定めています。契約前に受け取る設計図書や現場説明の中に、こうした情報が含まれているかも確認の対象になります。

条文の文言は法改正で変わることがあります。引用した条文は、e-Gov法令検索で2026年10月15日に確かめた現行の文言です。

工期に関する基準とは何か

建設業法第34条第2項は、中央建設業審議会が建設工事の標準請負契約約款や、工期および労務費に関する基準などを作成し、その実施を勧告できると定めています。国土交通省の資料によると、工期に関する基準は令和2年7月に作成され、令和6年3月27日に最終改定されています。

基準の趣旨は、適正な工期の設定や見積りをするときに、発注者と受注者(下請負人を含む)が考慮する事項をまとめた、というものです。基準そのものが工期の日数を決めるのではなく、考慮すべき事項の一覧として使います。

基準は、著しく短い工期の疑義がある場合について、次の流れを示しています。

  • 基準を踏まえ、過去の同種類似工事の実績との比較や、建設業者が行った工期の見積りの内容の精査などを行う。
  • 許可行政庁が工事ごとに個別に判断する。
  • 著しく短い工期と判断されたとき、発注者には建設業法第19条の6の勧告がなされる。
  • 公共工事では、入札契約適正化法第11条第2項により、受注者が下請負人と著しく短い工期で契約していると疑われる場合、その工事の発注者は受注者の許可行政庁へ通知しなければならない。

つまり「何日以下なら違反」という日数の線は、基準にも条文にも書かれていません。個別に判断されます。

公共工事で発注者が考慮する項目

基準は、公共工事について、公共工事の品質確保の促進に関する法律第7条第1項第6号により、休日や準備期間、天候などでやむを得ず工事が困難になる日数を考慮して適正な工期を設定することが発注者の責務とされていると整理しています。入札契約適正化指針が挙げる考慮事項は、次のとおりです。

考慮事項基準が挙げる内容
休日週休2日に加え、祝日、年末年始、夏季休暇
準備期間労務・資機材の調達、現地調査、現場事務所の設置など
後片付け期間工事完成後の自主検査、清掃など
作業不能日数降雨日、降雪・出水期など
発注者側の手続用地取得、建築確認、道路管理者との調整など、着手前に発注者が対応する事項の期間
過去の実績同種類似工事で当初の見込みより長い工期を要した実績が多い場合は、その実績

契約の方式でも工期は変わります。基準は、発注者の運用指針にある余裕期間制度として、発注者が工事の始期を指定する方式、発注者が示した着手期限までの間で受注者が始期を選ぶ方式(任意着手方式)、発注者が設定した全体工期の中で受注者が始期と終期を決める方式(フレックス方式)の3つを挙げています。どの方式かは入札公告や特記仕様書で示されるため、工期の数字だけでなく、始期がいつ決まるかも確認します。

施工時期の平準化も、発注者の責務とされています。工期が1年に満たない工事について、繰越明許費や債務負担行為を使って翌年度にわたる工期を設定する、という例が基準に挙げられています。年度末に工期が集中していないかは、同じ発注者の他工事の公告と並べて確かめる材料になります。

契約前に確認する順番

  1. 工期の数字と始期の決まり方を確かめる。入札公告・特記仕様書で、工期の日数、始期の指定の有無、余裕期間の方式を見る。
  2. 工期に含まれる休日と不稼働日の前提を確かめる。表の休日、作業不能日数がどう見込まれているかを、特記仕様書や現場説明書で探す。書かれていなければ、質問書の機会に問い合わせる。
  3. 自社の見積りと比べる。建設業法第20条は、建設業者が工程ごとの作業と準備に必要な日数を明らかにして見積りを行うよう努めることを求めています。社内で日数を積み上げ、発注者の工期との差を数字で残す。
  4. 発注者側の手続が工期に影響しないかを確かめる。用地取得、他工事との調整、地盤などの情報が設計図書に示されているか。第20条の2の通知に当たる情報の有無も見る。
  5. 変更時の取り決めを確かめる。契約約款で工期変更の協議の定めがあるかを見る(次の章)。
  6. 疑義があるときの問い合わせ先を決める。質問書の期限内に発注者へ確かめる。それでも著しく短いと考える場合の扱いは、許可行政庁の案内で確かめる。

国土交通省の資料は、日本建設業連合会の「建築工事適正工期算定プログラム」や国土交通省の「工期設定支援システム」を、工期を考えるときの参考として挙げています。工事の種類により当てはまらないこともあるため、使うかどうかは工事ごとに決めてください。

契約後に工期が変わるとき

基準は、公共工事で設計図書に示された施工条件と実際の現場が一致しない場合や、着手前に発注者が対応すべき手続が超過した場合、災害などのやむを得ない事由が生じた場合などに、必要があると認められるときは適切に設計図書を変更するものとされている、と整理しています。工事内容の変更などで工期が変動したときは、公共工事標準請負契約約款に沿った契約約款に基づいて変更契約を結び、工期が翌年度にわたるときは繰越明許費の活用などの措置を講じるとされています。

工期を変更する契約を結んだあとの事務は、次のとおりです。

この記事は公開資料の整理で、個別の工事の工期が適正かどうかの判断や、法的な助言ではありません。実際の取り扱いは、発注者の入札公告・契約約款と許可行政庁の案内に従ってください。

確認した一次資料

まとめ

  1. 建設業法第19条の5は、注文者も建設業者も、通常必要な期間に比して著しく短い工期での請負契約を禁じている。
  2. 「何日以下は違反」という線はなく、許可行政庁が工事ごとに個別に判断する。
  3. 公共工事の発注者は、休日、準備期間、後片付け、作業不能日数などを考慮して工期を設定する。
  4. 契約前は、工期の数字と始期の決まり方、休日と不稼働日の前提、自社の日数の見積りの順に確かめる。
  5. 契約後の工期変更は、約款に基づく変更契約を結び、コリンズなどの登録を直す。

評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

著しく短い工期の契約は禁止されていますか?
建設業法第19条の5は、注文者も建設業者も、通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならないと定めています。
何日以下の工期なら違反になりますか?
日数の線は条文にも工期に関する基準にも書かれていません。基準は、過去の同種類似工事の実績との比較や工期の見積りの精査などを行い、許可行政庁が工事ごとに個別に判断するとしています。
公共工事の発注者は工期を決めるときに何を考慮しますか?
工期に関する基準は、入札契約適正化指針が挙げる事項として、週休2日・祝日・年末年始・夏季休暇などの休日、準備期間、後片付け期間、降雨日などの作業不能日数、着手前に発注者が対応する手続の期間、過去の同種類似工事の実績を示しています。
契約後に工期が変わったらコリンズの登録はどうしますか?
コリンズに登録済みの工事は、工期の変更を登録します。手順は変更時登録の記事で整理しています。

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