自治体の入札参加資格

入札の不調・不落のあとの流れ|再度入札・再公告・不落随意契約で参加側が確かめること

入札で落札者が決まらなかったとき、自治体はどう進めるのか。地方自治法施行令と予算決算及び会計令の条文、堺市・亀岡市・静岡県の公式資料から、再度入札に出られない人、不落随意契約の条件、参加側が確かめる点を整理します。

条文・各自治体の公式資料(確認日 2026-10-17)
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

入札の公告を見て準備したのに、開札で「不調」「不落」になることがあります。このとき、すぐ再度入札になるのか、公告をやり直すのか、見積書を出すだけで契約になるのかは、自治体の要領で違います。この記事では、条文で決まっている部分と、自治体ごとに違う部分を分けて整理します。

ここで引くのは、条文と、確認できた3つの自治体の公式資料です。自社が参加する発注機関の扱いは、その入札公告と要領で確かめてください。

不調と不落の違い

この記事では、入札に参加した人がいなかった場合を「不調」、入札はあったが落札者が決まらなかった場合を「不落」と呼びます。守口市は、入札参加者がいなかったことを不調の理由として事業者へ通知しています。

不落になるのは、たとえば予定価格を超える入札しかなかったときです。最低制限価格を設けている入札では、予定価格の範囲内で最低制限価格以上の入札がなかったときも落札者が決まりません。

再度入札:条文と自治体の要領

地方自治法施行令第167条の8第4項は、開札した結果、予定価格の制限の範囲内の価格の入札がないときは、直ちに再度の入札をすることができると定めています。最低制限価格を設けた場合は、予定価格の範囲内で最低制限価格以上の価格の入札がないときです。国の契約でも、予算決算及び会計令第82条に同じ趣旨の定めがあります。

条文は「できる」と書いています。再度入札を行うか、何回行うかは、自治体の要領で決まります。確認した2市の例は次のとおりです。

再度入札の扱い(各市の公式資料から)
項目堺市(平成26年3月28日のお知らせ)亀岡市(予定価格の事後公表の要領)
再度入札の回数1回1回限り
参加できない人1回目の入札を辞退した人、参加しなかった人、1回目が無効とされた人当初入札で不着または辞退となった人、無効または失格の入札をした人
日程1回目の開札日の翌日から2日間が入札書の提出期間(休日を除く)。開札はその翌日原則として当初入札の開札日の翌開庁日に入札書を提出し、同日に開札
内訳書再度入札では添付不要。有効札のうち最低の価格の人には、後日の提出を求める提出不要

亀岡市は、再度入札で予定価格を超える価格を入れた人を失格としています。また、すべての入札が無効または失格だったときは、再度入札を行わないと定めています。

1回目の入札に出ていないと、再度入札には出られない自治体があります。辞退や無効の入札も同じ扱いです。公告に出ている入札は、1回目から参加しておく必要があります。

不落随意契約:条件は変えられない

再度入札でも落札者がいないとき、自治体は随意契約にできます。地方自治法施行令第167条の2第1項第8号は「競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき」を随意契約の要件にしています。

同条第2項は、この場合、契約保証金と履行期限を除き、最初に競争入札に付したときの予定価格その他の条件を変更できないと定めています。国の契約では、予算決算及び会計令第99条の2が同じ内容を定めています。つまり、不落随意契約でも、予定価格は最初の入札と同じです。

どの業者から見積書を取るかは、条文には書かれていません。静岡県は、次の基準を定めています(平成27年4月1日の通知)。

  • 再度の入札でも落札者がいない場合、最低価格と予定価格の差が予定価格のおおむね5%以下か、入札執行者が入札の状況から随意契約が可能だと認めたときに、随意契約の手続に移れる(価格競争の場合)。
  • 見積書は、再度の入札で有効な入札をした人のうち、最低価格だった人から取る。
  • 総合評価落札方式で公告に記載した場合は、差が予定価格の5%以下で最高評価値だった人から取る。

この5%は静岡県の基準です。ほかの自治体に当てはめず、公告と要領で確かめます。

再公告になるとき

再度入札を行わない自治体や、入札参加者がいない不調では、公告をやり直す(再公告)ことがあります。再公告のときに条件を変えるかどうかは、自治体が決めます。

国土交通省が公表した建築工事の不調の事例(資料2-2-2)には、再公告で条件を変えた例が載っています。

  • 工事規模が小さく入札希望者がいなかったとみて、別の地区の工事と合わせて規模を大きくし、入札対象業者のクラスを上げた。
  • 地域要件が厳しく参加できる業者が少なかったとみて、「県内に本店」を「県内に営業所」へ緩和した。
  • 最新の単価に入れ替えた、工期を見直した。

この資料は平成26年に宮城県が報告した事例です。現在の運用を示すものではなく、再公告で条件が変わり得ることの例として読んでください。再公告で参加資格の条件が緩和されると、1回目は出られなかった会社が参加できる場合があります。

参加側が確かめる点

  1. 入札公告に、再度入札を行うことが書かれているか(亀岡市は公告で定めた工事が対象)。
  2. 再度入札の参加条件。1回目の辞退・不参加・無効で出られなくなるか。
  3. 再度入札の日程。堺市は翌日から2日間、亀岡市は翌開庁日で、準備の時間が短い。
  4. 最低制限価格を設けた入札か。設けた入札では、予定価格の範囲内でも最低制限価格を下回る入札は落札者になれない。
  5. 不落随意契約になったとき、見積書を求められる範囲。静岡県は、再度入札で有効な入札をした人のうち最低価格だった人から取る。
  6. 入札書は提出後に書換え・引換え・撤回ができない(地方自治法施行令第167条の8第3項)。再度入札の金額は、提出前に決めておく。

この記事は本人が制度の仕組みを把握するための整理です。実際の取扱いは、各発注機関の入札公告、要領、契約担当課の案内が優先します。

確認した一次資料

まとめ

  1. 不調は参加者がいない場合、不落は入札はあったが落札者が決まらない場合として整理する。
  2. 再度入札は条文で「できる」とされ、回数や参加条件は自治体の要領で決まる。堺市と亀岡市は1回で、1回目に出ていない人は出られない。
  3. 再度入札でも落札者がいないとき、自治体は随意契約にできる。予定価格などの条件は、契約保証金と履行期限を除き変えられない。
  4. 見積書を取る相手や移行の基準は自治体ごとに違う。静岡県は予定価格の5%以下という基準を定めている。
  5. 参加する発注機関の入札公告と要領で、再度入札の有無、日程、参加条件を事前に確かめる。

次に知りたいこと:最低制限価格と低入札価格調査、自治体の少額工事の随意契約と見積合せ、同額の入札とくじの扱い

よくある質問

入札の不調と不落は何が違いますか?
この記事では、入札参加者がいなかった場合を不調、入札はあったが落札者が決まらなかった場合を不落と整理しています。守口市は、入札参加者がいなかったことを不調の理由として通知しています。
不落になったら、すぐ再度入札になりますか?
地方自治法施行令第167条の8第4項は、予定価格の範囲内の入札がないとき、直ちに再度の入札をすることができると定めています。実施するか、何回行うかは自治体の要領で決まります。堺市と亀岡市は1回です。
1回目の入札に出ていなくても、再度入札に参加できますか?
堺市は、1回目の入札を辞退した人や参加しなかった人を再度入札に参加できないとしています。亀岡市も、当初入札で不着・辞退・無効または失格となった人は参加できないと定めています。
不落随意契約になると、予定価格は変わりますか?
変わりません。地方自治法施行令第167条の2第2項は、契約保証金と履行期限を除き、最初の競争入札のときに定めた予定価格その他の条件を変更できないと定めています。
不落随意契約では、どの業者から見積書を取りますか?
条文には定めがなく、自治体で違います。静岡県は、再度の入札で有効な入札をした人のうち最低価格だった人から見積書を取るとしています。参加する発注機関の要領で確かめます。

P点から国交省・関東地方整備局の等級目安を確認(無料・登録不要):入札参加資格ランクの目安計算を使う

事業者ご自身が入力する概算の試算です。申請の代行・作成支援や個別相談は行っていません。正式な評点は登録経営状況分析機関・審査行政庁の審査結果が優先します。算定方法・出典・免責